第一章
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「……はぁ」
最近の俺は変だ
ぼぅとする事が増え勉強に身が入らない
気がつくとナマエの事ばかり考えてしまい今も自室の窓から遠くに見える彼女の家の明かりを見つめている
夜のせいか余計に輝いて見える彼女の部屋の明かり、そこに彼女がいるのだと考えるだけで俺の胸は熱く切なくなった
何度か行ったことがあるナマエの部屋は女の子らしくぬいぐるみが多く可愛らしい
柔らかいクッションやぬいぐるみに包まれ微笑む姿は可愛らしくて部屋に似合っていた
「(早く明日にならないかな)」
彼女と会うと時間は瞬く間に過ぎ、自分の心を癒し温かくしてくれる
離れていても彼女の笑った顔や話しした時の姿を思い出すと熱いため息が出た
「しっかりしないとな…もうすぐ旅に出るんだから」
弟のホップとも約束したんだ
チャンピオンになって戻ってくると
それにナマエのポケモンも俺が用意してやるんだ
チャンピオンになった俺がポケモンを持って帰ってきたら彼女はどんな顔をするだろうか
驚いて嬉しそうに駆け寄ってくれるかもしれない、そう考えると頬が熱くなり照れてしまい唇をキュッと噛んだ
「……一緒に行けたらよかったのにな」
そうすればずっと一緒だ
ポケモンバトルしたり見たことがない景色を見たりテントで一緒に寝転んで朝まで話したり
もっと今よりも近い距離に近い関係になれたかもしれない
友人よりも近い…大切な存在に…
「そうだったら…俺は嬉しい」
窓をそっと撫で薄いガラスの向こうに見える小さな明かりを見つめる
俺のこの気持ちが少しでも届きますように…と
同じ頃ー
ナマエは学校の鞄の中身を広げ床に座り込んでいた
広げた教科書やノートは落書きだらけにされ破かれた個所もある
陰口をしていた女子達によるものだろう
よく言われていた言葉がそこには書かれていた
おばけ
おばあちゃん
呪い人形
そして特に目に入ったのが
ダンデにぶりっ子するな
ダンデに媚を売るな
何様のつもりだ身の程を知れ
きっとダンデに恋をしている少女の言葉だろう
彼はスクールで女子からの人気が高い
友人は多く明るく成績も優秀でバトルも強い
活発な少年に恋をする者は少なくない
幼馴染みのソニアも何度か女子に妬まれた事はあったが彼女の性格上すぐに言い返す強さがあったお陰で今は標的にはされていない
その為だろう、行き場のない嫉妬は全て言い返す勇気もないナマエへと向けられた
ジムチャレンジが近づき余計にイジメは酷くなり陰口から嫌がらせへと変化し日々彼女の心を痛めつける
『(大丈夫…我慢すればいいんだもん、十歳になったらあたしも学校を卒業して旅に出ちゃえばいいんだ)』
ボロボロの教科書を握りしめ長い髪を下へと垂らしながら俯く
酷い有様の所有物達を見ていると自分が酷く惨めに思え喉奥が焼けそうに熱くなる
ひくつく喉を我慢させ唇を噛むともう見たくないと言うように乱暴にそれらを鞄へとしまい込んだ
『(ダンデさんには…知られたくないな)』
イジメにあっていたなんて恥ずかしくて言えない、知ればきっと惨めな目でこちらを見るに決まっている
彼の自分への態度が変わるのが怖くて誰にも相談出来ず小さな体に溜め込んだ
そのせいだろう
胃の辺りが日に日に酷く痛むようになる
誰にも言えず
我慢する日々を過ごしその日はついに来た
ダンデが十歳となりジムチャレンジへと旅立つ日が……
「じゃあ行ってくるぜ!」
駅に集まった家族や友人達に挨拶をするダンデは希望しか見えていない程明るい表情だった
チャンピオンになって帰ってくる事だけを信じ旅立つ少年は人混みの中プラチナブロンドを見つけると急いで駆け寄りナマエの前に立つ
『……ダンデさん』
「ナマエ?目の下にクマができるぜ?寝てないのか?」
色白のせいか目の下のクマが余計に目立つ
彼女はそっと自分の目元を指先で撫で苦笑いを浮かべた
『とうとうダンデさんとソニアさんが旅立つんだと思ったら…なんか眠れなくて』
弱々しく笑う彼女が儚くてダンデはいっそ彼女を連れ出したくなる
共に行こうと言いたい気持ちを我慢し彼は目元を撫でるナマエの手を掴み引き寄せた
「必ずチャンピオンになって急いで帰ってくるから、それまで元気でいてくれ」
真剣にこちらを見てくる金色の瞳
少年からは既に男としての雰囲気を感じられナマエは照れてしまう
『……それあたしがダンデさんに言うつもりだったのに、元気で帰ってきてくださいって』
片手でポケットから何かを取り出すと彼の前に差し出し、ダンデも自然と彼女の手を離し両手を広げた
「これ…リストバンドか?」
『はい!お守り代わりに使ってくれたら…嬉しいなぁと思って』
白いリストバンドをダンデはすぐに片方の手首に着けてみた
少し大きいが彼女からのプレゼントだと思うと心が嬉しさで溢れ笑顔が浮かぶ
「ありがとう!」
白い歯を出して笑う少年の笑顔は眩しくナマエまで吊られて微笑んだ
ダンデはそろそろ行こうと一度は彼女に背中を向け数歩歩くが、ぴたりと足が止まるとすぐに戻ってきた
『ダンデさん?忘れ物です…か……』
彼はナマエの長い髪の毛を一束取ると背中を丸めそこへ唇を落とした
手の甲にキスをする王子様のような姿をする彼に驚き言葉を失うと、ダンデはゆっくりと唇を髪の毛から離し背筋を戻した
「帰ったら…君に伝えたい事がある、だから…それまで俺を待っててくれ」
『え…あ…は、はいっ』
肌に触れたわけではないのに顔を真っ赤にした彼女にダンデは満足そうに微笑み今度こそ背を向け電車へと乗り込んだ
ドアが閉まりゆっくりと動き出す電車の窓から手を振り家族や友人と別れを交わすと次第に窓の外の景色は早くなり豊かな牧草地へと変わる
流れる景色を見ながらダンデは自分の胸の上に手のひらを置き早鐘を打つ心臓を感じた
「(そうか…俺はずっと…君が好きだったんだ)」
咄嗟の行動で自分の気持ちに気がついた彼は初めての恋を感じながら窓の外を切なげに見つめ、ナマエもまた触れられた髪の毛を撫で熱くなる瞳を潤ませた
最近の俺は変だ
ぼぅとする事が増え勉強に身が入らない
気がつくとナマエの事ばかり考えてしまい今も自室の窓から遠くに見える彼女の家の明かりを見つめている
夜のせいか余計に輝いて見える彼女の部屋の明かり、そこに彼女がいるのだと考えるだけで俺の胸は熱く切なくなった
何度か行ったことがあるナマエの部屋は女の子らしくぬいぐるみが多く可愛らしい
柔らかいクッションやぬいぐるみに包まれ微笑む姿は可愛らしくて部屋に似合っていた
「(早く明日にならないかな)」
彼女と会うと時間は瞬く間に過ぎ、自分の心を癒し温かくしてくれる
離れていても彼女の笑った顔や話しした時の姿を思い出すと熱いため息が出た
「しっかりしないとな…もうすぐ旅に出るんだから」
弟のホップとも約束したんだ
チャンピオンになって戻ってくると
それにナマエのポケモンも俺が用意してやるんだ
チャンピオンになった俺がポケモンを持って帰ってきたら彼女はどんな顔をするだろうか
驚いて嬉しそうに駆け寄ってくれるかもしれない、そう考えると頬が熱くなり照れてしまい唇をキュッと噛んだ
「……一緒に行けたらよかったのにな」
そうすればずっと一緒だ
ポケモンバトルしたり見たことがない景色を見たりテントで一緒に寝転んで朝まで話したり
もっと今よりも近い距離に近い関係になれたかもしれない
友人よりも近い…大切な存在に…
「そうだったら…俺は嬉しい」
窓をそっと撫で薄いガラスの向こうに見える小さな明かりを見つめる
俺のこの気持ちが少しでも届きますように…と
同じ頃ー
ナマエは学校の鞄の中身を広げ床に座り込んでいた
広げた教科書やノートは落書きだらけにされ破かれた個所もある
陰口をしていた女子達によるものだろう
よく言われていた言葉がそこには書かれていた
おばけ
おばあちゃん
呪い人形
そして特に目に入ったのが
ダンデにぶりっ子するな
ダンデに媚を売るな
何様のつもりだ身の程を知れ
きっとダンデに恋をしている少女の言葉だろう
彼はスクールで女子からの人気が高い
友人は多く明るく成績も優秀でバトルも強い
活発な少年に恋をする者は少なくない
幼馴染みのソニアも何度か女子に妬まれた事はあったが彼女の性格上すぐに言い返す強さがあったお陰で今は標的にはされていない
その為だろう、行き場のない嫉妬は全て言い返す勇気もないナマエへと向けられた
ジムチャレンジが近づき余計にイジメは酷くなり陰口から嫌がらせへと変化し日々彼女の心を痛めつける
『(大丈夫…我慢すればいいんだもん、十歳になったらあたしも学校を卒業して旅に出ちゃえばいいんだ)』
ボロボロの教科書を握りしめ長い髪を下へと垂らしながら俯く
酷い有様の所有物達を見ていると自分が酷く惨めに思え喉奥が焼けそうに熱くなる
ひくつく喉を我慢させ唇を噛むともう見たくないと言うように乱暴にそれらを鞄へとしまい込んだ
『(ダンデさんには…知られたくないな)』
イジメにあっていたなんて恥ずかしくて言えない、知ればきっと惨めな目でこちらを見るに決まっている
彼の自分への態度が変わるのが怖くて誰にも相談出来ず小さな体に溜め込んだ
そのせいだろう
胃の辺りが日に日に酷く痛むようになる
誰にも言えず
我慢する日々を過ごしその日はついに来た
ダンデが十歳となりジムチャレンジへと旅立つ日が……
「じゃあ行ってくるぜ!」
駅に集まった家族や友人達に挨拶をするダンデは希望しか見えていない程明るい表情だった
チャンピオンになって帰ってくる事だけを信じ旅立つ少年は人混みの中プラチナブロンドを見つけると急いで駆け寄りナマエの前に立つ
『……ダンデさん』
「ナマエ?目の下にクマができるぜ?寝てないのか?」
色白のせいか目の下のクマが余計に目立つ
彼女はそっと自分の目元を指先で撫で苦笑いを浮かべた
『とうとうダンデさんとソニアさんが旅立つんだと思ったら…なんか眠れなくて』
弱々しく笑う彼女が儚くてダンデはいっそ彼女を連れ出したくなる
共に行こうと言いたい気持ちを我慢し彼は目元を撫でるナマエの手を掴み引き寄せた
「必ずチャンピオンになって急いで帰ってくるから、それまで元気でいてくれ」
真剣にこちらを見てくる金色の瞳
少年からは既に男としての雰囲気を感じられナマエは照れてしまう
『……それあたしがダンデさんに言うつもりだったのに、元気で帰ってきてくださいって』
片手でポケットから何かを取り出すと彼の前に差し出し、ダンデも自然と彼女の手を離し両手を広げた
「これ…リストバンドか?」
『はい!お守り代わりに使ってくれたら…嬉しいなぁと思って』
白いリストバンドをダンデはすぐに片方の手首に着けてみた
少し大きいが彼女からのプレゼントだと思うと心が嬉しさで溢れ笑顔が浮かぶ
「ありがとう!」
白い歯を出して笑う少年の笑顔は眩しくナマエまで吊られて微笑んだ
ダンデはそろそろ行こうと一度は彼女に背中を向け数歩歩くが、ぴたりと足が止まるとすぐに戻ってきた
『ダンデさん?忘れ物です…か……』
彼はナマエの長い髪の毛を一束取ると背中を丸めそこへ唇を落とした
手の甲にキスをする王子様のような姿をする彼に驚き言葉を失うと、ダンデはゆっくりと唇を髪の毛から離し背筋を戻した
「帰ったら…君に伝えたい事がある、だから…それまで俺を待っててくれ」
『え…あ…は、はいっ』
肌に触れたわけではないのに顔を真っ赤にした彼女にダンデは満足そうに微笑み今度こそ背を向け電車へと乗り込んだ
ドアが閉まりゆっくりと動き出す電車の窓から手を振り家族や友人と別れを交わすと次第に窓の外の景色は早くなり豊かな牧草地へと変わる
流れる景色を見ながらダンデは自分の胸の上に手のひらを置き早鐘を打つ心臓を感じた
「(そうか…俺はずっと…君が好きだったんだ)」
咄嗟の行動で自分の気持ちに気がついた彼は初めての恋を感じながら窓の外を切なげに見つめ、ナマエもまた触れられた髪の毛を撫で熱くなる瞳を潤ませた