short short short!

短編にすらならない夢。ただの会話文とか。
更新履歴にも載らない。

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  • 恋人がベタ惚れ~ホルマジオ~

    20201027(火)00:09
    「……はっ!ホルマジオの匂いがする!」
    「おまえは犬か何かか?」
    「ホルマジオが近い!帰って来る!イルーゾォ、三日ぶりにホルマジオに会える!どうしよう、ねえ、わたし変じゃない?」
    「変だろ。普通は匂いだなんだって言わねえ」
    「見た目の話!見た目!」

    予定よりも早く任務を終えてソファーで眠っていたあいつは、突然目を覚ましたと思うとそんなことを叫んでいた。気配でもなく匂いってこいつ……。

    「たった三日だろ」
    「三日も、だよ。会えないとやっぱり寂しいし苦しいし、そんな任務を持って来た上のヤツらがムカついてくるよね。今度またちゃんと言っておかないと」
    「またって……前にも言ったのか」
    「うん。そういう日数がかかる任務はホルマジオに任せないでって上のヤツらに言った。リゾットにも」
    「……おまえ」
    「リゾットには『ふざけるな』って言われたけどね。はあ……早くホルマジオを補給しないと、わたしの命が危険」
    「面倒くさい女だな」
    「そんなことホルマジオは言わないから。ホルマジオはいつも『いい子だな』って褒めてくれるから」
    「似た者同士だな、おまえら」
    「イルーゾォも恋人を作れば?」
    「作ったとしても、おまえみたいな女は御免だ」
    「わたしもホルマジオ以外の男なんていらない。ホルマジオ以上に魅力的な男なんていない」
    「これはある意味、あいつも幸せだな」
    「ホルマジオが幸せなら、わたしも幸せ」

    玄関の扉が開く音が聞こえた。やっとホルマジオの野郎が帰って来たかと思ったが、あいつは反応しない。迎えに行かないのかと聞けば、「これはホルマジオじゃあない」と即答した。それは正解で、リビングに現れたのはメローネ。その顔を見たあいつはソファーに沈んで、ホルマジオの名前を連呼し始めた。

    「ホルマジオが帰って来るまであと8分」
    「おまえのその能力、ホルマジオ以外にも使えたら便利なのにな」
    「ホルマジオ以外には使えないよ。興味ないから」

    ホルマジオ

  • 恋人がベタ惚れ~アバッキオ~

    20201024(土)00:56
    「あり得ない」
    「そうですね、あり得ないですね。他人の服の匂いを嗅いで待つ女なんて」
    「フーゴうるさい!レオーネに一日も会えないなんてあり得ないッ!」

    わたしの恋人であるレオーネは、泊りがけの任務に行ってしまった。彼が仕事に向かう際、これでもかというほど徹底的に我が儘を言って服を一枚だけ借りた。その匂いを嗅いで何とか乗り越えようとするけれど、やっぱり足りない。服で味わえるのは匂いだけで、温もりも身体の厚みも感じられない。成分が足りなさ過ぎる。依頼主め、覚えておけよ。

    「うう……!ぐすっ、レオーネ!」
    「はあ……。本当にうるさい女だなッ」
    「フーゴは恋人がいないから分からないんだよ。恋人がいないって、寂しいものなんだよ」
    「いくら寂しくても、服なんて借りないですよ。ああ、まあ、子供は親の服の匂いで落ち着くって言いますからね」
    「それ、わたしをバカにしてるよね」
    「してますけど」
    「ムカつく!穴だらけのその服、どこで買ったのよ!」
    「あんたに答える義務なんてないでしょう」

    苛立たせる同僚に唸って返し、わたしはレオーネの服に顔を埋めた。ああ、いい匂い。早く帰って来て、抱き締めて、キスをして、手を繋いで一緒に帰って、ご飯を食べて、一緒にお風呂に入って、抱き締め合いながら寝たい。でも今日一日、それはないんだ。一人で過ごさないといけないんだ。

    「寂し過ぎて死んだらどうしよう」
    「あんたは殺しても死なないでしょ。きっと誰よりもタフだ」
    「か弱いです、わたし」
    「か弱い~?冗談はやめてくださいよ」
    「か弱いよ!缶のプルタブとか開けるの苦手だから!」
    「それ、不器用なだけだ」
    「いつもレオーネが開けてくれるの。優しいから。えへへっ」
    「はいはい、そうですか」
    「はあ!?もっと詳しく聞いてよ!レオーネのわたしへの優しさについて!」
    「嫌ですよ、面倒くさい」

    ったく。女心の分からない男だな、フーゴは。可愛いネクタイしてるくせに。あーあ、ここにいるのがレオーネだったらな。干乾びる前に早く帰って来てよ。たくさん甘えたいから。

    アバッキオ

  • 恋人がベタ惚れ~フーゴ~

    20201023(金)02:36
    「パンナコッタ!わたしにも構ってよ!ナランチャだけズルい!わたしにも勉強を教えて!」
    「あなたには教える必要がないでしょう……」
    「パンナコッタに教わるってことが重要なの!」
    「何ですか、それ。とにかく、少し黙っててください。あと少しなんですから」
    「……う、浮気してやる!」
    「はいはい」

    賑やかなヤツらだな。飯の後くらい静かにしろよ。なんて思って、少し離れたテーブルで拳銃の点検をしていたら、フーゴに放置されたあいつがオレの前に座った。

    「浮気するんじゃなかったのか?」
    「しないよ。できるはずがない。わたし、パンナコッタ以外の人に興味ないし」
    「嘘かよ」
    「嘘だよ」
    「本当におまえ、よく毎日飽きもしねーでフーゴにくっ付いてるよな」
    「恋人なんだから当然でしょ」
    「四六時中離れようとしねえってフーゴが言ってたぜ」
    「当然でしょ」
    「そんなだと嫌われるぜ~?」

    ちょっとした冗談のつもりだった。フーゴにべったりとするこいつを揶揄ったつもりだった。だけど、それがオレの予想以上にきいちまったらしい。オレの言葉を聞いた途端、あいつはテーブルに顔面を押し付けて震え始めた。

    「……い」
    「ん?」
    「パンナコッタには絶対に嫌われたくないッ」
    「お、おいおい、泣くなよ」
    「パンナコッタに嫌われたらどうしよう……!」
    「冗談だって。あいつがおまえを嫌うはずねーだろ?な?」
    「ううん。嫌われるだけならまだいい!もし他の女を好きになったら……ッ!」
    「人の話を聞けって!」
    「そいつを殺してやる……!探し出して、追いかけて、スタンドを使ってでも!パンナコッタにはわたし以外の好きな人を作って欲しくない!わたしが最後の彼女でいたい!」

    やばい。まさかここまで本気にするとは思ってなかった。テーブルを想像上の女としているのか、拳で殴り付けているあいつを宥めようとして手を伸ばした時。それを、女のあいつの手じゃなく男の手に掴み上げられた。

    「ミスタ。あんた、何でこいつを泣かせてるんですか」
    「フ、フーゴ……。いや、ちょっとな、冗談をひとつ言ったら……」
    「こいつを泣かせてんじゃあねーぞ!」

    フーゴもあいつもどっちもどっちだ。

    フーゴ

  • 恋人がベタ惚れ~ナランチャ~

    20201022(木)06:19
    「この世で一番好きな物って何?」
    「ナランチャくん」
    「へへっ……って、そうじゃあなくて、食べ物の話だよ。食べ物!」
    「えー」

    あいつは眉毛を垂らして、唇で小さな山を作った。そもそも食べ物の話をしている最中に質問をしたのに、何でそんな答えが返って来るんだよ。いや、嬉しいけどさ。こいつ、オレよりずっと頭がいいのに、たまに変なところがあるんだよね。フーゴも「頭がいいくせにバカ」とか言ってたし。

    「好きな食べ物……」
    「そーそー、食べ物」
    「ナランチャくんと同じやつ!」
    「え?ピッツァとオレンジジュース……?」
    「うん!」
    「おまえ、あまりジュース飲まないじゃん」
    「……の、飲めるようにする」
    「飲めるようにって。別に苦手なものを無理して得意にならなくてもよ……。それに、オレは好きな食べ物を聞いてるんだぜ」
    「ナランチャくんが好きな物は好きになりたい」
    「何で?」
    「だって好きな物が一緒なら、デートのときに一緒の物を一緒に食べて一緒に幸せになれるでしょ?」

    だからって無理に好きになるなよ。それぞれ好きな物を食べればいいのに。そうやって言えば、あいつは「一緒がいい」とオレの手を握って来た。やっぱり手が小せえな。オレより小柄だってのもあるけど、女の子らしいな。手を繋ぐのは初めてじゃねーけど、こいつとは何度繋いでもドキドキする。

    「それに、ナランチャくんが大好きだから、ナランチャくんが好きな物を好きになりたい」
    「……よ、よくそんな恥ずかしいことを言えるよな」
    「そんな……?」
    「……大好き、とか」
    「だって事実だから」

    普通は、仲間の前だと少しは隠すもんだと思うけど。……まあ、いいか。悪くねえし、むしろ……そういうのオレは好きだし。好きなヤツに好きって言われて、嫌だなんて思うはずねーだろ?

    ナランチャ

  • 恋人がベタ惚れ~ミスタ~

    20201019(月)22:36
    「ナランチャ、聞いて!今日のグイードも格好良かったの!」
    「へー」

    ミスタのこととなると、こいつは煩い。オレが言うんだから、アバッキオやフーゴはもっと煩いと思ってるはずだ。だからこいつの話を聞くのは、殆どオレかブチャラティの役割。

    「銃を構えている時の、あの真剣な瞳……ッ。素敵!わたしもあんな瞳で見つめられたい!」
    「なに?ミスタに撃たれたいの?」
    「そんなことされたら、グイードとチューできなくなるでしょ!」
    「だって見つめられたいんでしょ?」
    「それとこれとは別!それに、こう……なんて言うのかな。銃を構えて腰を捻っている時?その時の腰がセクシーでねッ」
    「へー」

    男の腰について語られてもね。空になったオレンジジュースのグラスで遊びながら「へー」とか「ふーん」とか言ってても、こいつは一人で語り尽くす。まあ、たまに面白い話が聞けるんだけど。ミスタが任務でやらかした話とか。

    「あの腰に抱き付きたい!」
    「抱き付けばいいじゃん」
    「抱き付いたよ!そうしたら、グイードが『可愛いな』って頭を撫でてくれたの!嬉しい!もう本当に大好き!」
    「ふーん」
    「でもね、ちょっと不満があるんだ」
    「不満?」
    「グイードといるとピストルズも常に一緒だから、喧嘩が始まると仲裁に入ったり、ご飯をあげたり。ちょっといい雰囲気の時でもそうなんだ」
    「仕方ねーじゃん」
    「そうなんだけど、もっと二人きりを楽しみたいの!それにグイードにご飯を食べさせてもらってズルい!」
    「だったら食べさせてもらえばいいだろ、おまえも」
    「それだ!頼んでみる!あ、それでね、それでね」

    え、まだ続くのかよ。ミスタの話は尽きないらしく、手がどうの、唇がこうだと、別に興味もない仲間の魅力を語られる。あーあ。こんなことならオレもブチャラティの任務についていけば良かった。そんなことを考えると同時に、これだけ想われるミスタがちょっぴり羨ましいとも思っていた。

    ミスタ

  • 恋人がベタ惚れ~ブチャラティ~

    20201017(土)06:02
    「いいか?今回の任務はオレとミスタが行く。おまえはここで待機をするんだ」
    「わたしも……ッ」
    「ダメだ。今回は許さねえ」

    ブチャラティの言葉に、あいつが崩れるように床に突っ伏した。「汚ェな」と思うも、あいつはそんなことよりもブチャラティと離れることが苦痛だったらしい。「出来る限り早く帰って来る」「帰って来たら、どこかに食事をしに行こう」と震える肩に手を添えたブチャラティは、居心地悪そうにしているミスタを連れてレストランを出て行った。

    「ブローノ……ッ!」
    「うるせーな。黙って待ってろよ。あといい加減に顔を上げろ。汚ェぞ」

    なんでこんなヤツがブチャラティの恋人なんだ。ブチャラティほどの男なら、もっとイイ女と付き合えるはずだろう。なんでこんな「一秒でも離れたら死ぬ」とか言うイカれた女と付き合ってるんだ。ここにはいない依頼人に恨み節を言うあいつは、漸く顔を上げて椅子に座った。

    「ねえ。アバッキオ」
    「何だ」
    「わたしがブローノを好きになった話、聞きたい?」
    「もう何十回と聞いた。いらねえよ」
    「あれはね」
    「おい、いらねーって言ってんだろう!」

    勝手に一人、ブチャラティと出会った日から付き合うまで、ブチャラティのどこが好きかを語り始めたあいつ。これはブチャラティが帰って来るまで続くな。ブチャラティの事を考えて顔を綻ばせているあいつの話を聞き流しながら、オレはコーヒーを流し込んだ。

    それが何時間続いたか。苛立ちが頭の天辺に来ようとした頃、ブチャラティとミスタが帰還し、待ち焦がれていた恋人の足音を聞いたあいつは、飛びつくようにブチャラティに抱き付いた。

    「ブローノ、いい子で待ってた!」
    「そうか。……アバッキオ、すまないな」
    「いいや。さっさとそいつをどこかにやってくれ」

    あいつの頭を撫でるブチャラティは、他の女には絶対に向けない表情をしていた。心底満たされたって顔だ、あれは。そんなブチャラティの名前を繰り返し呼びながら、鼻を押し付けて匂いを嗅ぎ、頬擦りまでするあいつ。いかにも幸せだって二人が、オレには理解のできねーものだった。

    ブチャラティ

  • 恋人がベタ惚れ~ジョルノ~

    20201016(金)06:00
    「ジョルノ、ジョルノ」
    「何ですか」
    「名前を呼んでみただけ!」
    「そうですか」

    ぼくの恋人は、ミスタに「重い」と言われている。任務で離れることがなければいつも傍にいて、こうして特に何もなくても名前を呼び、暇があれば腕を絡めてきたり抱き付いて来る。自分以外の女性がぼくの近くにいることも良く思っていないらしく、女性が近付こうものなら「侵入者を見つけた番犬」のように唸っている……らしい、ミスタ曰く。彼はそれらが「重い」らしい。

    「ジョルノ、ジョルノ」
    「今度は何ですか」
    「わたしのこと、好き?」
    「好きでなければ一緒にいません」
    「じゃあ、愛してる?」
    「愛してると言えば、満足しますか?」
    「するわけないでしょ!わたしは愛してるとかそういうレベルじゃあないんだから!」
    「困ったな。どう言えばあなたは満足しますか?」
    「ええ……と。うーん」
    「……」
    「あー……えー……」
    「……」
    「分からない。あっ、言葉も大切だけど、やっぱり行動あってこそだよね!」
    「まあ、それは一理ありますね」
    「わたしは、ジョルノと『おはよう』って一緒に朝を迎えたいし、お昼も一緒に食べたいし、夜も『おやすみ』って一緒のベッドで寝たい!毎日!」
    「毎日ですか」
    「うん。だから、結婚しよう、ジョルノ!」
    「そうですね。仕事が落ち着いたら、結婚しよう」

    そんな「重い」彼女が、ぼくはたまらなく好きだ。やや離れたところからこちらを眺めていたミスタが、「そいつでいいのかよ」と独り言を漏らしている。いいんだ、ぼくは。彼女でなければ、ぼくはここまで好きになれないだろう。

    ジョルノ

  • ディアボロとドッピオは縛り付けた

    20201014(水)21:48
    sssネタ募集企画より
    桜様「病んだディアボロとドッピオに監禁された夢主」

    ※病んでるボスとドッピオ、微裏


    彼らに出会ったのはいつだったか。そもそもわたしは、彼らと出会っていたのか。それすらも分からなかった。わたしはあの日、いつも通り帰宅をして夕食を終え、お風呂に入ってから眠っていたはずだ。寝苦しくて目を覚ました時には、既にそこは見知らぬ場所で、覚えのない天井との間に初めて会う男の人がいた。やけに鮮やかなピンク色の髪をしたその人は、わたしの両脚の間に身体を押し込み、汗を散らしながら腰を打っていた。

    わたしは抵抗しようとしたけれど、身体が動かなかった。まるで何かに押さえ付けられているような。そんな感じだった。

    行為の最中に気を失い、再び目を覚ますとわたしを犯していた男はいなくなっていて、代わりに気の弱そうな少年がいた。

    「おはようございます。喉、渇いたんじゃありませんか?水でも飲みますか?」

    わたしは彼に聞いた。ここはどこなのかと。あなたたちは何なのかと。だけど少年は答えることなく、一方的にこちらに「何か必要な物は?」「食べたいものは?」と聞くだけ。少年は夜以外の殆どの時間、わたしの傍にいた。時々いなくなったと思えば、代わりに別の男が部屋に入って来る。確か……スクアーロ、そしてティッツァーノと名乗っていただろうか。彼らも特に何をするわけでもなく、ただわたしを監視しているだけだった。

    夜になると、あの男がやって来て、決まってわたしを犯す。教えたわけでもないわたしの名前を呼んで。「好きだ」と、理解し難い言葉を囁いて。

    ここに来て……いや、ここに連れて来られてどれくらい経ったか。時計のないここでは正確な時間は分からないし、窓から見える太陽と月で日にちを数えても途中で忘れてしまった。生理は二回ほど来たはずだ。つまりはここに来て、最低二か月は経っているということ。

    無駄だと分かっていても男に抵抗し、それでも犯されてしまう夜は地獄でしかなかった。その疲労のためか、最近は妙に眠く、昼間に目を開けていられないことが増えていた。寝ても疲れが取れず、激しい行為のせいかお腹が痛い。

    「眠いんですか?」
    「……」
    「寝ていることが増えましたね」
    「……」
    「熱っぽいなどはありますか?お腹が張るとかも」

    少年の問いかけの意味が分かった。最後の生理が来たのはいつだったか。はっきりとは覚えていない……いや、そもそも時間の感覚がないために覚えられないのだが、三度目のそれが来ていないような。身体中の血液が冷めていき、わたしは身震いをした。ストレスでただ遅れているだけ。そう思いたかった。

    「ボスからも確認をしろと言われているんです。そろそろ検査薬が使えるはずなので。確認をさせ貰ってもいいですか?」

    少年の手に握られていたそれが何であるのかなんて、女のわたしには嫌でも分かった。



    sssネタ募集企画で戴いたネタ、全て消化しました。お付き合いして下さり、ありがとうございます。

    ドッピオ&ディアボロ

  • プロシュートはスデに行動を終える3

    20201013(火)18:59
    sssネタ募集企画より
    匿名様「プロシュートはスデに行動を終える2の続き」


    「さすがだな、ブチャラティ。ポルポの野郎に信頼されるだけはある。一筋縄ではいかねえか……」
    「褒め言葉か?ありがたいな」
    「だが、オレも簡単に諦める性格じゃあねーんだ。特に獲物を前にして逃げるなんて男じゃあねえ」
    「男なら、諦めるということも大切だとオレは思うが?」
    「その言葉、そっくり返すぜ。そんなに部下に……そいつに手を出されるのが嫌か?ただの部下だろ?それとも、『ただの部下』じゃねーってことか?」
    「言ったはずだ。オレは上司として当然のことをするまでだ、と。部下が危険な状態にあるのに見ているだけなんてのは、上司のあるべき姿じゃあない」
    「上司……か。本当にそれだけか?」
    「さあ、どうだろうな」

    「ミスタ、ミスタ!早くブチャラティたちを止めないと……!また列車内で戦おうとしてるッ」
    「いや、さすがにオレも無理だぜ、あれを止めるの。おい、てめーの兄貴なんだろ。オメーもなんとかしろよ」
    「む、無理だよ、オレにも!兄貴は感情的なところがあるから、ああなるとオレの話も聞かねえし……ッ」
    「何なんだよ、オメーの兄貴は!」
    「ひいッ!なんか二人ともこっちを見た!近寄ってくる!ミスタ、どうしよう!」
    「おいおい!引っ張るなよ!」

    「聞きたいことがある。おまえ、まさかブチャラティの女じゃあねーだろうな?」
    「彼女に近付くな、暗殺チーム!」
    「い、いや、あの、違いますけど。ほ、本当に上司と部下で……」
    「だとしたら、随分と束縛の激しい上司だな」
    「暗殺チーム。それ以上、彼女に近付いたらもう容赦はしない」
    「ほう。なら、オメーの『上司』としての本気を見せてもらうぜ!」

    「ミスタ。わたしたちって任務の途中だよね?」
    「あ、ああ」
    「兄貴……。オレたちも目的が……!」

    プロシュート

  • パンナコッタ・フーゴは隠していた

    20201011(日)21:22
    sssネタ募集企画より
    三山光圀様「病んだフーゴと学生夢主」


    ※病んでるフーゴ


    「あなたが好きです」

    わたしが大学の休日や空いた時間に働いているお店に、パンナコッタ・フーゴという男の子がよく来ていた。16歳だと話していたけれど、とてもそうには見えないくらい大人びている。飛び級で大学に通っていたが色々とあって中退してしまい、今は信頼する知人のところで働いているらしい。わたしの方が2歳年上だけど、大学の講義で分からなかったところがあると話した時、とても分かり易く教えてくれた。それからよく話すようになって、つい先日、顔を真っ赤に染めた彼から告白を受けた。フーゴくんの告白に「わたしも」と答えて恋人となってから一週間。友人から、フーゴくんの話を聞いた。「あの人、ギャングだよ」と。友人はわたしをよく揶揄うから、それも冗談だと思っていた。

    「ねえ、フーゴくん。フーゴくんって、確か今は知り合いのところで働いているんだよね?」
    「ええ。突然、どうしたんですか?」
    「ううん、気になっただけ。それって、どんなお仕事?」
    「まあ、色々とやっていますよ」

    けれど、違った。冗談なんかじゃあなかった。大学の講義が突然なくなってしまったため、予定よりも早く帰宅していたその途中。わたしは見てしまった。細い路地の奥で、柄の悪い男の人に暴力を振るっているフーゴくんを。初めて見た。荒れ狂った彼の姿を。怒りのままに顔を歪め、拳で相手を殴り、長い脚で蹴っている姿を。丁寧だった言葉を崩し、声を荒げ、聞いたことのないそれらで相手を罵っていた。フーゴくんが相手に浴びせていた言葉の中に、「組織」という言葉があったことから確信した。フーゴくんは、ギャングだと。

    途端に、フーゴくんが怖くなった。今までわたしには暴言も暴力もなかったが、ギャングという事実と他人へ暴力を振るうことに躊躇いのない様子が、怖くて仕方なかった。

    「フーゴくん。その……は、話したいことがあるの」
    「なんですか?」
    「……わ、別れたい」
    「……それは、どうして」
    「フーゴくん、ギャング……だよね?」
    「……」
    「友達から聞いたの。それに、この前……見ちゃった。フーゴくんが、男の人を殴ってるところ」
    「……」
    「だから、その……ごめんなさ……ッ」
    「『分かった』なんて言うとでも?」

    フーゴくんの手が、わたしの腕を掴んだ。骨が軋むほど強い力が籠っていて、わたしは思わず声を詰まらせる。いつもの彼なら直ぐに力を緩めてくれるはずなのに、この時は違った。

    「フーゴ、くん」
    「あんたはぼくを受け入れた。好きだと言ってくれた」
    「痛いよ、フーゴくんッ」
    「今更、裏切るんですか?」
    「フーゴくん、離して!」
    「期待をさせておいて、ギャングだという理由だけで別れたいなんてふざけるにも程がある」
    「フーゴくん!離してってば!」
    「ぼくをバカにしているのか?……別れるだなんて、許さないに決まっているだろ」

    視界の端で、フーゴくんの手は硬い拳を作っていた。

    フーゴ