short short short!

短編にすらならない夢。ただの会話文とか。
更新履歴にも載らない。

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  • 暗殺チームのあの子は異動したい

    20201113(金)00:19
    「転職……いや、せめて異動したい」
    「また言ってるぜ、こいつ。何度目だ?友人が欲しいとか恋人が欲しいとか、下らねーことばかり」
    「放っておけ、イルーゾォ。どうせ今回も同じだ。一時間後には撃沈してるぜ」
    「イルーゾォ、ホルマジオ。わたしは今回、ちゃんと用意して来たよ。ほら、異動願い!これを上のヤツらの口に捻じ込んでやる」
    「まあ、提出したところでゴミ箱行きだな。暗殺チームにいた女をどこが欲しがるんだよ。そもそもオメー、人殺し以外になにができた?」
    「兄貴、あんまり言うとこいつまた泣きますよ。あ、ほら、泣いちまった……ッ。おまえ、泣くなよ~ッ」
    「ぐすっ……。ペッシだけが優しい。ペッシ、一番好きッ」
    「痛ェ!あ、兄貴、何で殴るんだよ~!」
    「このチームに入ったら、他じゃあ『信用ならねえヤツ』だしな。諦めてこのチームにいた方が君のためだ。イルーゾォの言う通り、下らないものを欲しがるなよ。欲張りだな」
    「下らなくない。欲張ったっていいでしょ」
    「ほら、さっさとそのゴミを寄越せ!捨ててやる!細かく千切って読めねーようにしてなァ~ッ!」
    「ちょっと、ギアッチョ!何をするの!止めて!あっ、リゾットさん!助けて!ギアッチョが、ギアッチョがッ!」
    「さっきから煩い。静かにしろ。それと、おまえはこっちに来い。話がある」
    「リゾットさん、怒ってる?」
    「オレは来いと言ったんだ。それ以外の答えは求めていない」

    「そんなにこのチームが嫌か」
    「……このチームに異動してから、前のチームの人たちから避けられるようになって、ギャングになってから知り合いも減ってたのに更に少なくなって。友人なんて片手どころか指一本もいなくなりました」
    「友人が必要か?」
    「友人も恋人も欲しい」
    「そんなものがおまえの傍にいたとして、何になる?おまえに何か起きたところで、何をしてくれる?」
    「え?」
    「本当に友人だというなら、おまえがギャングになっても離れなかったはずだ。おまえがギャングになってこのチームに入ってから、今まで誰が傍にいた?離れていった薄情な友人や元チームのメンバーか?ギャングだとか暗殺者だとかそんな理由で突き放した恋人か?」
    「……」
    「違うだろ。おまえがヘマをした時も、寂しいと喚いた時も、おまえの傍にいたのは今のチームのヤツらだ」
    「……」

    一時間後

    「兄貴……。あいつ、スゲー落ち込んでますよ。な、何か言ってあげた方が……」
    「リゾットに叩きのめされたんだろ。前もそうだった」
    「ヒャハハッ!バカなヤツだな~。このチームから抜けるなんて考えるだけで無駄だってのによォ」
    「……わ、笑うな、ホルマジオ!わたしは退団するんじゃあなく、せめて異動したいって考えてただけなのに!」
    「オレが慰めてやろうか?」
    「イルーゾォはバカにするだけだから嫌」
    「メローネ。オメー、教育が得意ならあのバカに教えてやれ」
    「オレがやらなくたって、リゾットがやっているさ。オレ以上に徹底的だろうけどな」

    暗殺チーム

  • 護衛チームのあの子は転職したい

    20201112(木)11:11
    「……転職したい」
    「バカ言ってねえで仕事しろ」
    「わたしは真面目です、アバッキオさん。さすがに気付いたんです。このまま女のギャングだなんて、周りが引いていくような仕事でいいのかって。友達だっていなくなったし、恋人もできない。『女ギャングなんて付き合えるわけねーだろ』って言われるんですよ。毎日毎日、仕事仕事、周りはギャングだらけ。このままギャングとして年を取っていくと思うと怖い。普通の女になりたい」
    「なあ、フーゴ。普通の女って、どんなの?」
    「この女以外の女です、ナランチャ。ほら、あそこにいるような」
    「聞こえていますよ、フーゴさん」
    「しっかしよォ、今から『普通の女になりたい』って言ってなれるもんじゃあねーだろ」
    「なれます、ミスタさん!普通の女になって、友達も恋人も作って、仕事中や帰り道や休日に命を狙われる心配もせず、遊んだりデートしたりッ!」
    「友達や恋人ならこの世界で作ればいいじゃあないですか」
    「ジョルノは分かってないな。そういう問題じゃあないの。とりあえず求人を掻き集めて来たんだ、ほら。人の前で堂々と言える仕事に就こうと思うんです」

    「転職したがっているとジョルノたちから聞いたが、本当か?」
    「本当です、ブチャラティさん」
    「……」
    「あの、ブチャラティさん?」
    「おまえがそんなに悩んでいるとは知らなかった。すまない」
    「いえ……ブチャラティさんのせいではありません」
    「あまり無理をしなくていい。おまえの好きなようにしろ」
    「……ブチャラティさん!」

    「……だ、誰ですか!わたしが応募した先にギャングだってバラしたの!」
    「誰だろうな。オレは知らねーぜ。おい、ミスタ、チクったヤツに心当たりは?」
    「オ、オレだって知らねえよ、アバッキオ。ナランチャ、おまえは?」
    「オレも……その、全然。ひ、酷ェことをするヤツもいるんだなァ~」
    「ぼくも知りませんね。そもそも職業を偽って応募したんですか?まったく……。ジョルノは知っていますか?」
    「さあ?別のチームの人間では?」
    「なんか……なんか空気が『知ってます』感が凄い」
    「残念だったな。次がある」
    「ブチャラティさん……ッ!」
    「まあ、次に応募できる場所があるといいな」
    「えっ」

    護衛チーム

  • 恋人がベタ惚れ~ドッピオ~

    20201112(木)01:14
    「じゃ、じゃあ……あの、これ。お願いします」
    「はい」
    「それと、任務が終わったら一緒に食事でも……」
    「ドッピオさん。時間通りに任務が終わるとは限りません。ちゃんと時間がある時に誘ってください」
    「あ、ああ……。そうですよね。すみません」

    「おまえたち、本当に恋人同士なのか?そうには見えねえぜ」
    「スクアーロさん」
    「もうちょっと優しい言い方ってできねーのか」
    「仕事中ですので。私情を挟むのはどうかと」
    「せっかく食事に誘ってくれたんだ。任務があっても、別に食事くらい乗ってやってもいいだろ。それに、あれじゃ冷た過ぎて浮気する可能性だってある」
    「……ドッピオさんは」
    「ん?」
    「とても真面目な方で、優しく、信頼できる方です。少し気の弱いところがありますが、そこがまた人間らしいというか、彼の魅力でもあって。それに、任務で会えない日は寝る前に電話をくれて、デートの時は必ず手を繋いでくれて、キ……スの時も許可を求めて来るんです。それくらい紳士で、相手を大切に出来る方です。浮気は……しないとは言い切れませんが、彼は誰かに心が移ったなら、きっと付き合う前にわたしに別れを告げるはずです。そ、そうなったら悲しいですが……。受け入れようとは思います。ああ、でも、許せなくて相手の方を殺してしまうかも」
    「お、おい……?」
    「わたし、ヴィネガーと話しているとドキドキしてしまって、恥ずかしくて恥ずかしくて……。もっと可愛らしく答えられればいいんですが、どうしてもあのような感じに。ほ、本当に可愛げのない女なんですが、それでもヴィネガーは恋人でいてくれるんです。素直に反応できるように練習をしているんですけど、やっぱりそんなことをしても本物のヴィネガーを前にすると……ッ。任務の後のデートを断っているのには理由があるんです。任務の後は髪型が崩れていたり、服装だって任務に合わせて選んでいるのでデートに不向きで。ちゃんと整えた状態でデートをしたいんです。汚らしい格好で大好きな方とデートなんてッ」
    「(めちゃくちゃ惚れてんじゃあねーか、こいつ)」


    恋人がベタ惚れシリーズ終わり。

    ドッピオ&ディアボロ

  • 恋人がベタ惚れ~ポルポ~

    20201111(水)05:09
    勤務先の刑務所には、ポルポという囚人がいる。なんでもギャング組織の幹部らしいが、どうやってこの部屋に入ったのかってくらいにデカい男だ。そいつには定期的に面会人が来る。その面会人はポルポの恋人らしいが、これがどこからどう見ても普通の女だった。いや、ギャングと付き合って、更に捕まっている男のためにここに来ていることを考えれば普通じゃあないんだろう。それに『特別』ということで、ある程度の『持ち物』が許可されている。やっぱり見た目は普通でも、普通じゃあない。そして、今日もそいつは来た。

    「毎日会えないのが嫌」
    「毎日来ればいい」
    「会話はできてもキスができない」
    「ああ、確かにそれはあるな」
    「わたし、このままじゃあ寂しくてどうにかなりそう!」
    「それは困るなあ~」
    「ポルポは寂しくないの!?わたしに会えなくて!辛くないの!?わたし、毎日毎日ポルポの写真と一緒に寝て、一緒にご飯食べて、一緒にお風呂に入って……ッ!直ぐにボロボロになるから何枚も焼き増ししてッ」
    「寂しいさ。しかし、仕方がないだろう?」
    「早く出て来てよ!」
    「まだまだかかるなあ。わたしが出たら、最初に何をしたい?」
    「キス。それで、ぎゅってして」
    「フフフホホホ。好きなだけしてあげよう」
    「絶対だからね!約束だよ!わたしは覚えてるから!あ、これにサインして!約束したって印!」
    「君は結構、こういうことに細かいな」
    「だってポルポ、たまに嘘を吐くから。もうそろそろ時間だ。面会時間が短すぎるよ」
    「ある程度の物が許可されているんだ。こっちもある程度は、あちら側のルールを守るのも大切だ。それが関係を維持するってことだよ」
    「分かってるよ」

    終わったみたいだ。出て来た女は、入った時と同じく紙とペン以外は何も持っていない。周りの刑務官も何も言わずに彼女を通す。本当に見た目は普通の、そこら辺にいる女だが……色々と怖い女だ。世の中には、見た目じゃあ分からないことの方が多いんだろうな。

    スタンド、その他5部、他部

  • 恋人がベタ惚れ~リゾット~

    20201109(月)20:19
    「おかしいと思う」
    「……君の頭のことかい?」
    「違う、メローネ!違う以前にムカつくな、それ!」

    『三時のおやつ』の菓子を頬張りながら、あいつが顰め面を浮かべた。その隣で任務遂行の報告をまとめているのは、あいつの恋人であるリゾット。眉毛の一つも動かしていないが、きっと……確実にオレたちの話を聞いているだろう。表情にこそ出さないがリゾットはああ見えて嫉妬深いし、何も言わないがあいつの行動を監視していることが殆どだからだ。

    「だったら何だよ」
    「ネアポリスに行くとね、街の人たちが『ブチャラティさんって素敵』とか『彼以上に魅力的な人はいない』とか『理想のギャング』とか、とにかくブローノ・ブチャラティの評判がいいの」
    「それで?」
    「違うと思う。この世で一番素敵で、魅力的で、理想のギャングは他にいる」
    「他に?そんなにイイ噂のあるヤツ、パッショーネにいたか?」
    「いるよ!わたしの隣に!」

    リゾットか。こいつはリゾットにべったりだからな。何をするにも一緒がいいと喚くし、任務でたった数日離れただけで荒れ狂うし、一日に一回でも会えなければ携帯電話にしつこく連絡をいれるくらいだ。こんな女のどこにリゾットが惚れたのか。それはオレたちのチームの最大の謎だった。

    「リゾット以上の男やギャングっているの!?リゾットの方がもっとずっと素敵だし、魅力的だし、ギャングとしても……ッ!」
    「まあ、オレたちは暗殺チームだ。そんな担当地区を持つチームみたいに堂々とできる仕事じゃあないだろ」
    「そうだけど……ッ!リゾットを知らないなんて勿体ない!」
    「だったら、他の女がリゾットのことを知って惚れたりなんかしたら、君は許せるのか?」
    「あ、それは無理。許せない」
    「だろ?」
    「でも納得できない」
    「面倒くさいヤツだな」

    ブチャラティが人気ってのは理解できる。そりゃあ女は、ああいう男が好きだろう。特にブチャラティは、幹部からも信頼されていて部下からも慕われている。オレたちだってリゾットを信じているが、上はオレたちなんか信用してねえだろう。そういう意味でも雲泥の差ってやつだ。

    「あ、リゾットを独り占めできるのは嬉しいよ。リゾットの魅力をわたしだけが知ってるって特別感がある」

    リゾットが書類に向けていた顔を上げた。そして二つの目であいつを見つめる。

    「みんなにはブローノ・ブチャラティが最高でも、わたしにとってはリゾットが最高だから」

    ……リゾットがこいつに惚れた理由が、分かった気がした。

    リゾット

  • 恋人がベタ惚れ~ギアッチョ~

    20201107(土)02:20
    こいつはバカだ。どんな任務でも確実にこなすが、それ以外ではバカだ。人を殺すことに関しては天才的だが、本当にそれ以外の全ての事に関してはバカでしかない。

    「痛い……ッ!暴力だ、暴力反対ッ!」
    「人を殺す仕事をしてるヤツが、なに言ってんだよ~ッ!頭を冷やせ、このバカ!」
    「バカっていうヤツがバカなんだよ!知らないんだ、ギアッチョ!バーカッ!」
    「てめーも言ってんじゃあねーか!」
    「はっ!クソッ、嵌めたな!」
    「嵌めてねーよッ!」

    もう一度、小さいうえに脳みそが詰まってるのか分からない頭をブッ叩いてやって、オレは部屋を出た。すると、入れ替わるようにプロシュートのヤツが入っていく。扉が閉まったと同時に、オレは立ち止まった。別に仲間やあいつを疑っているわけじゃあねえ。ただ、プロシュートはあいつに甘いところがあることは、オレだけじゃなくチームのヤツら全員が知っていた。止めた足を少し戻して壁に近付ける。薄い壁は、話し声なんて簡単に通していた。

    「また喧嘩か。飽きねーな」
    「だってさ!」
    「オメー、何をしたんだよ」
    「最近、ギアッチョとわたしの任務が交互に入ってて、デートもまともに出来てないの。ギアッチョとの時間が欲しくて無理を言って任務に同行して、さっさとターゲットを殺したの」
    「他人のターゲットを奪ったのか」
    「だって早く殺せばそのぶん時間が出来て、長く一緒にいられるでしょ。ギアッチョの能力って強いけれど、周りへの影響が大き過ぎて不便なところもあるから、殺すタイミングを伺わないといけないんだもん。時間が掛かるの。まあ、それでリゾットに叱られて、ギアッチョがキレたってわけ」
    「ハッ、そりゃあ当然だな」
    「まあね」
    「喧嘩ばかりでも、よく続くぜ。オメーら」
    「だって、ギアッチョほど素敵な男なんていないもん。顔は怖いでしょ~?目付きも悪いし、神経質だし、暴力的。あと口煩い」
    「それだけ聞くと悪口だな」
    「違うの!それなのに、わたしには優しいところもあって、文句を言ってても『傍にいて』って言えば傍にいてくれるし、一日に一回はチューしてくれるし、道を歩く時はちゃんと手を繋いでくれるし、本当にごくたまにだけど『好きだ』って言ってくれるの!言葉はちょっと足りないけど、態度には出してくれるし男らしいところもあるんだよ!新しい服を着た時にはぶっきらぼうだけど『いいんじゃあねーか』って言ってくれるの!これね、男の人って中々言ってくれないんだよ。服とか髪型とかって自己満足でも、やっぱり褒められたり気付いてくれると嬉しいの。ギアッチョはそういう細かいところに気が付くんだ。でね、でね~」
    「いつまで続くんだ、それ」
    「え、まだ……あともう少し」
    「もういい。黙ってろ」
    「プロシュート、もっと女心を学んだ方がいいよ」

    ……聞かなけりゃあよかった。あいつ、よくもあんなベラベラと話しやがって!次に会うとき、思い出しちまうじゃあねーかッ!そうなるとよ~、話しにくくなるだろ!あ~ッ、クソッ!

    ギアッチョ

  • 恋人がベタ惚れ~メローネ~

    20201105(木)04:36
    オレのチームは変わり者が多い。イルーゾォなんて人を揶揄うわりに臆病で、プロシュートは口よりも先に手が出るし、ペッシは暗殺者とは思えねえくらいビビりで、ギアッチョはキレやすく、リゾットはたまに何を考えているのか分からねえ。その中でも、このカップルは格別だった。それはメローネと唯一の女のメンバー。こいつらは特に変わっていた。

    「メローネは、なんでわたしの『好み』を聞いてくれないの?」
    「君を『母親』にはできないからな」
    「聞いてくれたっていいじゃない!」
    「……仕方ないな。じゃあ、聞くぜ?君の好みは?」
    「ええっとね。まずはスタンド使いで~」

    いきなりかよ。普通はよ、もっと見た目とか性格とか、そういうところから話すだろ。

    「変なマスクをしてて、手袋もしてて、身体の半分が妙に布面積の狭い服を着てて」
    「へえ」

    悪口かってくらいの特徴をベラベラと挙げていくあいつ。その隣でパソコンを眺めていたメローネが、特に気にもしてねえような声で返していた。

    「金髪で、格好良くて、細いわりに筋肉もあって、拘りが強いくせにドライなところもある人!」
    「なるほど」
    「ちなみに嫌いなところは、女の人に声を掛けたり、わたし以外の女の人を性的な目で見てるところ」
    「そうか」
    「凄いよ、メローネってば全部当て嵌まってる!」
    「そうみたいだな」

    そうみたい、じゃあねーだろ。まんまメローネじゃあねーか。メローネの特徴を並べてるだろ、それ。

    「やっぱりメローネはわたしの好み……ッ」
    「じゃあ、今度は逆だ。オレの好みを教えてやるよ」
    「えっ、なになに!?」
    「君さ。君みたいにちょっとバカで、手の掛かる女がオレは結構好みだ」
    「メローネ……ッ!」

    メローネの発言に、あいつが目を輝かせて自分の胸に手を置いた。おいおい、今のが突き刺さったのか?

    「なんだよ、ホルマジオ。ジロジロ見てきて」
    「相変わらずだなって思ってよ」
    「羨ましいのか?」
    「んなわけねーだろ」

    メローネ

  • 恋人がベタ惚れ~ペッシ~

    20201102(月)23:10
    あいつと兄貴が睨み合っていた。なんでそんなことになっているのかなんて、考えなくても分かった。

    今日、オレは兄貴の任務に同行した。「今日こそはオメーが始末しろ」。兄貴にそう言われた次の瞬間には、あいつがターゲットを殺していた。それが二人が睨み合っている原因だった。

    「てめー、また任務の邪魔をしやがって!」
    「耳元で叫ばないでよッ!それに言ったでしょ!ペッシが同行する任務には、わたしも連れて行けって!」
    「連れて行ったら、ペッシにやらせるはずだったことをオメーがやるじゃあねーか!」
    「当たり前でしょ!ペッシが怖がってるのに、殺しなんかさせられないよ!」
    「オメーが甘やかすからあいつは成長しねえんだ!」
    「いいよ!ペッシの仕事はわたしがする。ペッシのターゲットはみんなわたしが始末するから!ペッシは何もしなくていいの。身の回りのことも、みーんなわたしがしてあげるの。わたしはペッシがいないとダメな人間だから、ペッシにもわたしがいないとダメな人間になって欲しい!」
    「おい、ペッシ!オメーも見てねえで、このバカに何か言え!オメーの女だろう!」

    さすがのプロシュート兄貴も、あいつをコントロールするのは難しいらしく、オレに投げて来た。何日か前に、「あの女はオメーの話だけはまともに聞く」と言っていたからだと思うけど、オレだってこいつの扱いは上手いってわけじゃあねーんだよ。

    「あ、あのよ……。その、おまえが色々としてくれるのは嬉しいんだけど、オレも兄貴に認められねえと」
    「……」
    「だから、ああいうのは……」
    「……嫌?」
    「え?」
    「わたしがペッシのために何かをするのって……嫌?迷惑?」
    「いや、だから……ッ」
    「ペッシを誰よりも愛してるから色んなことをしたいと思ってたんだ。……それが迷惑だったんだね」
    「お、落ち着けよッ」
    「……ペッシに嫌われた。明日の任務、やる気がなくなった。ていうかもう任務に行きたくない。生きていけない」

    余計に面倒くさい感じになっちまった!クソッ、どうすりゃあいいんだよ!こいつは泣いてるし、兄貴は睨んでるし!

    ペッシ

  • 恋人がベタ惚れ~プロシュート~

    20201030(金)08:04
    「オメー、あの時、わざとミスをしたな」
    「……わざとじゃあないよ」
    「おい、嘘を吐くな。オレの目を見てそれを言え」
    「む、無理ッ!そんな……ッ!プロシュートの目を見て話すなんてできない!話せなくなる!ちょ……!し、視界に入らないで!格好良過ぎて目がダメになる!」

    兄貴とあいつ、またやってる。オレが兄貴の弟分になった時には、あいつは既に兄貴の恋人だった。恋人なのにあいつは兄貴をまともに見ることができない。いや、見ることはできても、視線を合わせることができないらしい。

    あいつは兄貴よりもチームでの経験は短いけど、それなりの年数は経っている。それでもミスをしていた。まあ、致命的なものじゃあなく、本当にちょっとしたやつだけど。最初は「よくミスをするヤツ」と思ってたら、それには理由があるらしい。なんでも、兄貴に叱られたいだとか。オレには理解できねーが、あいつはとにかく兄貴に叱られたいらしい。「ペッシが来てから、ペッシばかり構ってるのがズルい」「ペッシばかり叱られてズルい」と前にスゲー睨まれたし。

    「プロシュート、叱ってくれる?」
    「叱るもなにも、わざと小さいミスをするヤツに言うことはねーよ。オメーは本来、あんなミスをするヤツじゃあねーはずだ」
    「ほ、褒めないでよ!」
    「褒めてもいねえ」
    「……うっ」

    両手で目を隠しながら兄貴と話すあいつは、希望通りの反応がないことにしょんぼりと頭を下げた。兄貴も早くあいつの気持ちに気付いて、ちょっとくらい叱ってやってもいいんじゃあ……とは思うけど、兄貴は兄貴であいつには色々と甘いから、そんなことはしねーんだろうな。

    「今度はちゃんと仕事をしろ」
    「……」
    「返事はどうした」
    「……はーい」

    うわっ、指の隙間からこっちを睨んでる!後でまたオレのところに来るんだろうな。兄貴……あいつを何とかしてくれよ。

    プロシュート

  • 恋人がベタ惚れ~イルーゾォ~

    20201028(水)22:37
    「……クッソ!イルーゾォのヤツ……ッ!」
    「なーにキレてんだよ」
    「ホルマジオ!イルーゾォがね、わたしの前で女に声を掛けてたんだよ!ありえないよね!普通、恋人の前でそういうことする!?」
    「まあまあ、落ち着けって。そもそもオメー、自分のいねえところで声を掛けててもキレるだろ」
    「当たり前でしょ」
    「で、目の前であいつが女を引っ掛けてたのを黙って見てたのかよ」
    「なに言ってんの。ぶん殴ってやったよ。女もイルーゾォも」
    「ヒャヒャッ!だろーな!」
    「女は骨を折ってやって、イルーゾォにはデコピン」
    「差があり過ぎだろ」
    「渾身のデコピンだから威力はあったよ」
    「そういえばオメーは馬鹿力だったな」
    「わたしを怒らせたあっちが悪いの。……わたしはこんなにイルーゾォが好きなのに」
    「……」
    「朝起きて毎日おはようって言ってるし、寝る時もおやすみって言ってる。休みの日はずっとくっ付いてて、片時も離れないのに」
    「オメーら、一緒に暮らしてたっけか?」
    「ううん。最近育ててるサボテンにイルーゾォって名前を付けたんだ。あ、これ本人には内緒にしてるから言わないでね」
    「サボテンってオメー……」
    「イルーゾォって言葉とか結構チクチクしてるでしょ?でもあれって弱さの裏返しだから。それがなんだかサボテンに似てて……。ほら、サボテンって見た目のわりに繊細でしょ?つい買っちゃったよ」
    「へー」
    「とにかく、それくらいわたしはイルーゾォが好きなのに、あいつってば他の女に……ッ」
    「(気を引くためって気付いてねーのか。イルーゾォの野郎も不器用だからな。それに、後ろの鏡にイルーゾォが入ってるってことも気付いてねえみてーだ)」
    「今度やったらデコピンじゃ済まさない」
    「(あ、イルーゾォが震えた)」

    イルーゾォ