short short short!

短編にすらならない夢。ただの会話文とか。
更新履歴にも載らない。

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  • ブローノ・ブチャラティは妹の出勤日を把握する

    20231014(土)12:56
    sssネタ募集企画より「シフトをどれだけ変えてもバイト先に現れるブチャラティ兄さん」

    ※シスコンブチャラティシリーズ

    「よし。仕事を変えた初日に兄さんが来たのは驚いたけど、シフトを代わってもらったしし、大丈夫なは……ず?」
    「近くを通ったから寄ってみたんだが……何か困っていることはないか?」
    「仕事を変えて、シフトも変わっているはずなのに……。なんでわたしが出勤している日に確実に来ることができるの、兄さん。それに近くを通ったって、今日はこの店の近くすら来ることがない、隣町での任務のはずじゃあ?」
    「オレとフーゴは駅近くの店で起きた問題を対処しに残ったんだ。急遽な。それと、なぜおまえが出勤している日が分かるかって?愛の力ってやつだな。おまえのことなら何でもわかる。おまえもオレのことは当然分かっているだろ?」
    「全く分からない。兄さんがなぜここまで妹から離れようとしないのかも分からない。そもそも分かりたくもない」
    「なら、帰ってから教えてやる」
    「要らない。今すぐ、早く、一瞬で帰って」
    「店主に言ってやってもいい。おまえは客を差別するヤツだと」
    「……くッ」
    「それにしても、この服屋……。よく見たら、女物だけじゃあなく男物も置いてあるようだな」
    「そりゃあ……」
    「……ダメだ。おまえに危険が及ぶ」
    「どこにそんな要素があるの」
    「客の男に試着室に引き摺り込まれるかもしれないし、言い寄られる可能性も高い」
    「そんなことあるはずないし、もしそうなったとしても店主がちゃんと……」
    「まあ、とりあえずせっかく来たんだ……そうだな。オレの服を選んでくれないか?おまえから見て、オレに似合う物を選んで欲しい」
    「すみません。それはできません。お客様自身がお好きな物をお選びください」
    「オレはおまえに選んでもらいたい」
    「て、手に触るなッ!あ、いや……ッ、手に……触らないでくだ、さい。おきゃく……さま」
    「そうだ。今のオレはちゃんとした客だからな」
    「くッ」
  • 神父と囚人の双子はあの子で争う

    20231013(金)21:36
    sssネタ募集企画より「もしもな感じのお話でウェザーとプッチの双子に取り合われ困る夢主」

    ※平和な刑務所で普通に双子してるウェザーとプッチ

    「わたしは彼女に掃除の手伝いを頼んだはずだが?君には頼んでいない、ウェザー」
    「す、すみません、神父様。そこで偶然ウェザーさんと会って、挨拶をした時に神父様のところに掃除に行くと言ったら、手伝ってくれると言ってくれたので、わたしが勝手に……」
    「そういうことだ。彼女ひとりじゃあ大変だと思ったんだ。オレが加わるくらい特に問題はないだろ、『兄さん』?」
    「…………まあ、いいだろう。じゃあ、君には掃き掃除を、ウェザーには溜まりきったゴミを捨てて来てもらおうか」
    「は、はいッ。あ、で、でも、ウェザーさん一人でこの量は多いですよね。掃き掃除が終わったら一緒に……」
    「いいや。ウェザーなら出来るだろう。一人で。男だろう?力がある」
    「そうまでして彼女と二人きりになりたいのか?結構ズルいところがあるよな」
    「おまえだってわたしの立場ならそうするし、それはおまえだって言えたことじゃあないだろ?わたしは知っているよ。この前、彼女との時間を作りたいがため、女子囚の空条徐倫に二人きりになる機会を作ってもらったと」
    「また得意の盗み聞きか。オレの兄にしてはやることが汚い」
    「随分と長い時間二人きりになっていて、その距離も近かったと聞いている。おまけに彼女の肩に手を回して触れたとも」
    「少し寒いと彼女が言ったんだ」
    「……ウェザー・リポートの能力を使ったな?」
    「天候を操る能力……便利だ。寒ければ寄り添えばいいし、暑ければ彼女が自分で薄着になる」
    「おまえはさっき、わたしを汚いと言っていたが、やっていることがわたし以上に汚いぞ」
    「神父さま、あの……。は、掃き掃除が……」
    「いつもいつも抜け駆けばかりをしようとするヤツには言われたくないな」
    「直ぐに彼女に触れようとするヤツが言えることか?」
    「ウェ、ウェザーさん。わたし、先にゴミ捨てに……」

    「何してんの?一人でそんなに大きいゴミ袋抱えてるの?大変じゃあない?手伝おうか?」
    「ありがとう、F・Fちゃん」
    「ウェザーも一緒に行ったんじゃあなかったの?ウェザーは?」
    「神父様と仲良さそうに話してるよ。兄弟だもんね。邪魔をしちゃあ悪いかなって思って一人で捨てに来たんだけど助かったよ、F・Fちゃん」
    「まあ、これくらい別にいいって」
    「お礼もしたいし、売店で何か買って一緒にお茶にしない?」
    「いいの?ラッキー!」

    F・Fに一番いいところを持って行かれる双子。

    スタンド、その他5部、他部

  • 勧誘拒否~ぼくは猫である~

    20231009(月)02:04
    sssネタ募集企画より「勧誘拒否の主人公と訳あって一時的に猫になってしまったジョルノ・ジョバァーナの話」

    気付けば猫になっていた。いや、気付けば……ではなく、ぼくとミスタが追っていた敵のスタンド攻撃を受けた直後だ。ぼくとしての意識はあるが、人間の言葉を話そうとしても上手く出て来ず、スタンドは以前と変わらず使えるものの猫の身体というのが慣れずに敵を追うことができなかった。とりあえず敵はミスタに任せ、その足取りと行き先を予想しながら先回りをしようと路地を歩いていると、前方から恐らくは大学の帰りであろう彼女がやって来た。

    「……猫」

    この角度から彼女を見るのは初めてだ。普段はぼくの方が身長は大きいし、そう簡単に手の届く距離に入れてはくれない。もし、そんな距離に近付けても、彼女のスタンド能力で移動させられるだけだ。彼女はぼくが『ジョルノ・ジョバァーナ』であると知らずに近付いて来る。そう、彼女から近付いて来た。ぼくは立ち止まり、ジッと彼女を見上げる。すると、彼女は膝を折り、ぼくの頭に指を乗せて緩やかに撫で始めた。

    「か、可愛い……ッ」

    彼女が動物を好んでいることは知っている。彼女の指は耳の付け根に移っていく。

    「野良……にしては凄くいい毛並み。瞳も綺麗な色だし、美人さんだねー。どこから来たの?お名前は何ていうの?」

    ぼく……今は猫だが、猫であるぼくに話しかける彼女。彼女のこんな声は初めて聞く。甘やかしているような、だけど彼女自身も甘えているような。ぼくが試しに彼女の指に頬を擦り付ければ、彼女の瞳は輝いて口元は更に緩んでしまった。

    「うう……ッ!可愛い……ッ!どうしたの?ほっぺが痒いの?掻き掻きしてあげるねッ」

    彼女の指先がぼくの頬を優しく掻く。ああ、何て幸せな時間なんだ。猫のままでもいいとさえ思ってしまう。ぼくとしては彼女を甘やかして反応を窺い、色々構ってやって、彼女が甘えて来るときにそれを全力で受け入れたいという、どちらかといえば飼いたい側だがこれもいいんじゃあないかと思考が傾く。もっと撫でてもらいたい。そう思って指に顎を乗せた瞬間だった。ぼくの身体は猫ではなく、元の人間の姿に戻った。

    「……え?ジョルノ・ジョバァーナさん?はあ?何で……?」

    彼女の表情が固まった。そして、次第に歪みを帯びていく。勘のいい彼女は、『どうせ何かしらあって、例えば誰かのスタンド能力で、あの姿になっていたんだろう』と察したのだろう。

    「もう撫でてはくれないんですか?」

    ぼくがそう言って彼女の手を包んで頬擦りをすれば、彼女は眉を顰めて勢い良く手を引き抜き、「触らないでください」と冷たく言い放った。さっきまで、あれだけぼくに触れていたのに。その頬は少し赤く染まっている。ぼくであることを知らずに、あんな甘い声で話しかけ、挙句には撫で回していたことに今更ながら恥じているのだろう。

    「人を騙すなんて最低です」

    彼女の両手には地図と羽根ペン。いつも通り、ぼくは別の街に移動させられてしまった。

    ジョルノ

  • 東方仗助はあの子の恋を邪魔したい

    20231003(火)07:03
    sssネタ募集企画より「大人太郎にグイグイ迫る夢主と満更でもない大人太郎と上手くいくと困る仗助」

    仗助→夢主→承太郎

    「あ、承太郎さんだ!仗助くん、承太郎さんだよ!」
    「ゲッ!あ、おいッ、行くなって!承太郎さん、おれたちなんかよりずっと忙しいはずだ。そ、そうに違いねーし、今だって用事を済ましてる最中かもしれねーんだ。だ、だから……ッ」
    「承太郎さーん!」
    「おれの話を聞けよ……ッ」
    「ん?君たちか。下校途中か?」
    「はい!承太郎さん。あのこと、考えてくれましたか?」
    「あのこと?あのことって何だよ。おまえ、承太郎さんに何を……」
    「わたしとデートをしてくださいってお願いをしたの」
    「はあ!?デートだとォ~!?デートって……あのデートだよな……ッ?」
    「デートはあのデートしかないよ。で、承太郎さん。わたしとデートしてくれますか?」
    「君はどうしたいんだ?」
    「承太郎さんとデートがしたいからお願いしたんじゃあないですか!」
    「確かに。それはそうだな」
    「(なんか……承太郎さん、嬉しそうじゃあねーか?ちょっぴり笑っているような……。だって、前に言ってたよな?女が騒ぐとムカつくって……。なーんか、こいつには妙に甘いっつーか、贔屓してるところがあるっつーか……。もしかして……もしかしてよォ、承太郎さん、こいつのことを気に入っちゃったりなんかしてねーよな?)」
    「承太郎さんって結構意地悪ですよね。でも、そういうところが素敵ですし、好きですよッ」
    「あ、あーッ!おれたち、今日かなり宿題が出たんスよッ。これからおれの家で一緒にやるかってなってたんで……ッ。あんまり暗くならねーうちにこいつが帰れるように、そろそろ行かせてもらいますねッ!」
    「え?仗助くん。そんな約束は……」
    「それじゃあ承太郎さん、また……ッ!」
    「承太郎さん!また今度お返事聞かせてくださいね!仗助くん、そんなに腕を引っ張らないでよッ」

    スタンド、その他5部、他部

  • バウムクーヘンエンド~ディオ~

    20231002(月)02:53
    sssネタ募集企画より「バウムクーヘンエンドの他部バージョン」

    ※病んでるディオ、暴力・微裏表現あり

    「ディオくんがしあわせになれるなら、わたしはおうえんするよ」

    貧民窟にいた頃、おれよりも酷い生活を送っていた女が言った。女といっても、おれと変わらない年齢のそいつ。その女に両親はおらず、どうやら捨てられたようだ。視力が極端に弱く、物をはっきりと見ることのできないそいつは、木の枝を杖の代わりにして物乞いをし、その日その日を生きていた。そんな女と知り合った切っ掛けというのは単純で、孤児であることをいい事に男がそいつを襲っていたところを助けてやっただけのこと。おやじに殴られてむかっ腹が立っていたせいで、目障りだったその男を殴り殺しただけだが、女は自分のためにやってくれたと思ったらしい。「ありがとう」と拙い様子で言う女に、おれは「感謝しているなら礼を寄越せよ」と言った。何も持っていない女だと知っていても。案の定、女は困惑した。「身体があるだろ、マヌケ」。ぼろきれのような服を捲れば、女は戸惑いながらもおれの要求を受け入れた。こいつ、頭が悪いな。それ以来、おれはそいつと会う度にその身体を犯した。それでもあいつは逃げなかった。そもそも逃げる場所なんかないんだろう。それどころか、いつの間にかおれに会う度に嬉しそうに笑い、「ディオくん、またあいにきてくれたの?」と、決まってそう言っていた。

    おれが『ある金持ちの家』に引き取られることになったと言ったら、そいつは自分のことのように喜んだ。そして、ああ言ったんだ。おれはその女を置いてジョースター家に向かった。

    「ジョースター卿。ここに来て早速で申し訳ないのですが、ひとつお願いがあります」
    「なんだね?君は息子も同然。可能な限り応えよう」
    「一人……連れてきたい友人がいます。その子はぼくと同じくらいの年齢の少女なのですが、親に捨てられて身寄りがありません。それどころか、目が殆ど見えていません。以前、その子をぼくが助けて以来、家族のように過ごしていた少女なのです。ここで何か、目の見えていない彼女でもできる仕事を与えてやってはくれませんか?ぼくがいなくなったことでこのままでは彼女は一人きりとなり、恐らく生きてはいけないでしょう」

    ジョースター卿は少しの間考え、首を縦に振った。それから数日後、あの女はジョースター家に連れて来られ、メイドとして働くことになった。といっても、そいつにはできることなんて限られている。メイドの手伝い程度だが、初めての仕事をあいつは喜んでいた。なぜ、わざわざそいつを連れて来たのか……。こんなに都合も使い勝手もいい女を手放すのは惜しいと思ったからだ。アッチの方の具合は最高だからな。おれは度々、真夜中にそいつを呼び出して犯した。声を抑えろと言えば、健気にもそいつは自分の腕を噛んで声を殺し、後始末さえせっせとこなした。

    「あの子をぜひ妻にしたいという人がいてね。あの子に聞いたら『わたしで良ければ直ぐにでも』と言っていた」
    「それってつまり……」
    「結婚が決まったよ」

    おれが大学に入って少し経った頃。そんな話が出て来た。学はないし、目も殆ど見えない。そんな女だが、成長と共に見た目だけはイイ女になっていた。それもあってか、ジョースター卿の知り合いの息子があいつを気に入ったらしい。結婚はいつになるかまだ分からないが、できるだけ早くする予定だともジョースター卿は話した。それを聞いたおれは、直ぐにあいつの元へ向かった。そして、あいつの頬を殴り付け、ベッドに押し倒し、まだ慣らしてもいないそこに突っ込んだ。

    「あの場所から助けてやったっていうのに、今更おれから逃げるつもりか……ッ!おれがいなきゃあ、おまえはあの時、薄汚い男に犯されて殺されていたはず……ッ!おれがいなきゃ生きていけなかったくせにッ!調子に乗りやがって……ッ!金持ちの男に靡く尻軽がッ!」

    ディオ様。いつの間にか変わった呼び名を漏らす唇を手で覆い、おれは初めてそいつの中に出した。


    できれば1部……ということでディオにさせていただきました。あの子はあの子でディオの幸せの邪魔になると思っていたし、ディオにつり合わないとも思っていたので、結婚の話を受け入れてました。

    スタンド、その他5部、他部

  • 隣人のブローノ・ブチャラティの秘密

    20231001(日)03:00
    sssネタ募集企画より「隣人のブチャラティにおすそわけを持っていく夢主。なぜか全く同じものを同じ皿で食べている怪しいブチャラティ」

    ※病んでるブチャラティ

    今日、わたしの家に泊まる予定だった友人が急用で来れなくなってしまった。残業になってしまったからだとか……。それは仕方のないことだけど、困ってしまったことが一つ。残業がなくとも友人が来るのは夜遅くを予定していたから外食もできず食事を用意していた。二人分よりも多く作ってしまったそれは、一人暮らしのわたしには量が多過ぎる。悩んだ末、隣に住んでいる人から以前「作り過ぎたから」とスープを貰ったことを思い出し、わたしは空いていた容器に友人のために作った料理を詰めて隣を訪ねた。

    「すみません、ブチャラティさん」
    「ああ、君か。どうした?何かあったのか?」
    「い、いえッ。あの、これ……実は友人が来るからと作ったのですが、突然来れなくなってしまって。もしよろしければどうぞ。あ、無理なようであれば……」
    「君が作ったのか?」
    「は、はい」
    「じゃあ、遠慮なくいただこう。それに、丁度食事にしようかと思っていたんだ」
    「すみません。ありがとうございます。お、お口に合わなかったら無理をしないでくださいね」
    「君が作ったんだ。合わないはずがない」
    「わたし、料理のプロというわけではないので、そんなに美味しくはないかと……」
    「本当に……君のなら大丈夫だ」

    そう言って、わたしから容器を受け取るブチャラティさんの手が指先に触れた。「では、失礼しました」。わたしはそう言って扉を閉めようとする。その時、ブチャラティさんの部屋がほんの少しだけ見えてしまった。わたしの部屋と同じ間取りなのは当然。ここは賃貸なのだから。だけど、彼が使っているテーブルもわたしが使っている物と全く同じだった。そして、その上にあった物。夕食と思われる料理とそのための食器。それは、わたしが先程まで自分の部屋で友人のために用意していた物と全く同じだった。メニューも、食器も。

    「……スープ」

    そう、ブチャラティさんからスープを貰った時。あの時も、彼が持って来た容器はわたしが好んで使っている物と同じだった。あの時は「まあ、雑貨屋で売っている物だし偶然だろうな」と思っていた。あのテーブルも、食器も、料理も……。同じなのは偶然なのだろうか。

    ブチャラティ

  • エンリコ・プッチは間違えた10

    20230930(土)02:38
    sssネタ募集企画より「プッチ神父とアホの子。看守にイジメられるアホの子を助けようとしたらウェザーに先を越されそうになり小競り合いする」

    ※アホの子な夢主

    「も、持ち物……検査?何でわたしだけ……ッ」
    「目に付いたからじゃあ悪いってのか~?その反応、何か見つかったらヤベー物でも持ってんじゃあねーのか?」
    「も、持ってませんッ」
    「だったら持ち物を全部ここに出せよッ」
    「ひいいッ!はいッ!……こ、これで全部です」
    「金持ってるじゃあねーか。ガキの小遣いみてーな額だけど」
    「それはおやつ代……ッ」

    あいつが看守や他の囚人たちの『玩具』になるのは今に始まったことじゃあない。ああやって金を奪われることは日常的だし、言葉でバカにされることもそうだ。今日は看守があいつで遊んでいるらしい。もう一人、近くに看守がいるが、その様子を見てニヤニヤと笑っているだけだ。あいつがバカなのは事実だ。わたしの指示を忘れて空条徐倫たちとすっかり友人関係を築き、ウェザー・リポートに至っては男女としての感情をあいつに向けている。あいつにスタンド能力を与えたことは後悔していた。なんでこんなバカを選んだのかと今でも思っている。しかし、それでも、あのバカの隣にわたし以外の誰かがいることは許したくなかった。

    「仕方がない……。本当に手が掛かる」

    看守を引き離してやろうと足を向けたその時。わたしよりほんの少し早いタイミングで現れた影が一つ。それはウェザー・リポートだった。彼はわたしを一瞥してからあいつへと視線を戻す。その足が一歩踏み出しかけたのを見て、わたしはウェザー・リポートの手首を鷲掴んで止めた。

    「待て」
    「……何だ。別にオレは悪い事をしようだなんて考えていない。あの看守を追い払おうとしているだけだ。もしかして、見なかったフリをしろと言うのか?」
    「そんな事じゃあない。君が出たところで話しはややこしくなるだけだ。君は囚人。それも男子囚。ここに男子囚がいるとなれば問題になるし、看守に楯突くことはマズいんじゃあないか?」
    「彼女が怖がっている。助けるのは当然だ」
    「だからこそだ。わたしは神父。君が助けるより、わたしが助けた方がずっと自然だし、よっぽど平和的に事を収められる」
    「……オレが助ける」
    「いいや。彼女を助けるのはわたしだ」
    「随分と彼女が大切なんだな、神父」
    「別に大切というわけじゃあない」
    「……」
    「……」
    「……ん?」
    「あれは……エルメェス・コステロ」

    わたしとウェザー・リポートが言い争っているその間に、気付けばエルメェス・コステロがあいつから看守を払ってしまっていた。奪われかけていた金も無事なようで、あいつは掌にある金をしっかりと数えてから握り締めた。わたしが与えた菓子代を。そして、あろうことか、わたしがいるというのにわたしの目の前であいつはエルメェスに抱き付いた。

    「ありがとう、エルメェス!助かった!」
    「鼻水垂らしながら抱き付くなッ!……ったく、金は隠して持ち歩けって教えただろ」
    「ごめんなさい……」
    「だから鼻水を付けるなって……ッ」
    「本当にありがとう。あのままじゃあ、また服まで脱がされるところだった……ッ」
    「またって……。徐倫の予想が当たったな。『売店に行くなら様子を見て来て』って頼まれたんだよ。買い物をしに行く途中だったんだろ?一緒に行くぞ」
    「うんッ」

    エルメェスがあいつを助けたのはこの際はいい事としよう。それよりもだ。あいつ、さっき『また』って言っていなかったか?『また』脱がされるだと……?つまり、あいつは過去にあの看守に服を脱がされたのか?わたしは知らない。そんなことは聞いていないぞ。後で問い質してやらなければ。

    「……神父」
    「なんだ」
    「あの看守の名前は?」
    「さあな。だが、考えていることは分かるぞ、ウェザー・リポート。今回だけは協力をしようじゃあないか」

    スタンド、その他5部、他部

  • 空条承太郎はチャンスを掴んだ

    20230928(木)07:03
    sssネタ募集企画より「不良に憧れ承太郎とタイマンを申し込む夢主」

    「承太郎く……空条承太郎ッ!わたしとタイマン勝負をして……いや、しろッ!」
    「てめーは……」
    「あ、わたし、隣のクラスの…………。うッ、そ、それは関係ないッ!とにかく、勝負をしろッ!」
    「……勝負か。なんでおれがおまえと勝負をしなくちゃあならねーんだ」
    「そ、それは……空条承太郎にタイマン勝負で勝てたら、ふ、不良として認められるから……です」
    「不良になりてーのか」
    「うん!」
    「……」
    「だから勝負しろッ」
    「準備と覚悟はいいのか?」
    「いい!」
    「腹は?腹は減ってねーのか?今は丁度授業が全部終わったころ。腹が減っているはずだ」
    「……減ってるかも」
    「なら付いて来な。おめーがどうしてもって言うならその勝負をしてやってもいいが、まずは腹ごしらえだ。じゃなきゃあ、お互いに満足いく結果がでねーだろ。おまえもそれで負けたりなんかしたら悔しいだろうしな」

    「ここは?空条……まさか、承太郎くんの家?」
    「ああ」
    「大きいッ!広いッ!え?やっぱり身体が高いからそれに合わせたの?」
    「んなわけねーだろ。いいから来い」
    「承太郎、帰って来たの?……ん?キャーッ!承太郎が初めて女の子を連れて来たわ!」
    「あ、す、すみません。お邪魔していますッ。あの、まさか、承太郎くんのお母さんですか?」
    「は~い!承太郎のママ、ホリィよ!あ、日本のお友達には聖子さんって呼ばれてるから、聖……」
    「おい。こいつは話し出すと長い。先に部屋に行ってろ。おれの部屋はこの廊下の奥だ」
    「う、うん……?」
    「もう!恋人ができたならママに言ってくれなきゃあ寂しいわ!それも、あんなに可愛らしい子ッ!でも、やっぱり承太郎はママのことを考えてくれたのね。ママに紹介をするために連れて来てくれたのよね?ママには分かるわッ」
    「……まあな。そんなところだ」
    「お祝いよ、お祝いッ!今日はご馳走を作るから、三人で一緒に晩御飯を食べましょう!」

    「どうかしら?美味しい?お口に合う?」
    「はい!凄く美味しいです!」
    「たくさん食べてね!まだまだいっぱい作ってあるから!」
    「わたし、料理が苦手なので、こんなに美味しい料理が作れるの羨ましいです!」
    「やだ~ッ!嬉しい事を言ってくれるのね!でも大丈夫ッ。あたしも最初から上手くなんて作れなかったんだから。いつか一緒に料理をしましょうね!お揃いのエプロンとか買って!」
    「おい。余計なことを言うんじゃあねーぜ」

    「今日はごちそうさまでした!承太郎くんのお母さんの料理、美味しかった!それに送ってくれてありがとう!」
    「『明日も来て欲しい』と言ってたが、どうする?おれは別にかまわねえ。おまえのために張り切って菓子を作るらしい」
    「いいの?行く!明日、授業が終わったら承太郎くんのクラスに行くからね!」
    「ああ。じゃあ、寝坊するなよ」
    「承太郎くんはちゃんと学校に来てね。…………ん?わたし、何のために承太郎くんのところに行ったんだっけ?」


    根は真面目なアホなので何だかんだ承太郎に上手く騙されていく夢主。

    スタンド、その他5部、他部

  • ペッシは自分のためにやっていた

    20230927(水)20:55
    sssネタ募集企画より「ヤンデレペッシ」

    ※病んでるペッシ

    オレの視線の先には、一人の女がいた。情報管理チームにいる女。その女は、兄貴にもオレにも変わらない態度で接してくれていた。殆どの女は兄貴に惚れて、兄貴に近付くためにオレに近付く。時々、兄貴に酷くフラれて、その怒りをオレにぶつける女もいた。だけど、あいつだけは違う。兄貴に言い寄るためにオレと話すこともなけりゃあ、オレが任務で怪我をすれば心配してくれたこともあったし、ちょっと時間が空いてるからと飯に誘った時もにこにこと笑いながらそれを受け入れてくれた。

    「ペッシさん!丁度良かった。プロシュートさんに頼まれていた資料が出来たので、届けてもらえますか?」
    「ああ。いいぜ。この後、プロシュート兄貴とは待ち合わせをしてるからよ」
    「ありがとうございます。これ、お礼です。甘い物、平気でしたよね?」

    あいつのどこが好きかって言ったら、一番は笑顔だ。日本人の血が半分入っているらしく、どこか恥ずかし気に、控え目に笑うところが好きだ。そういう笑い方を「自信がなさそうだから」って理由で嫌うヤツもいるし、チームでも静かな方で目立たないが、オレにとっては十分いい女だった。今まで会った女に比べればずっと。いや、比べるのも悪いくらいだ。

    でも、こいつにもそりゃあ欠点はある。他人に騙されやすいところだ。疑うってことを知らないのか、誰かが嘘を吐いて仕事を押し付けても、それを信じて大量の仕事を抱える。それでも嫌そうな顔なんかしない。だから、あいつを利用して楽をするクソ野郎が何人もいた。あいつが良くてもオレは許すことができなくて、あいつの厚意を利用したヤツの後を尾けて、ビーチ・ボーイで釣りあげてやった。ビーチ・ボーイの針を腕や脚に食い込ませ、車の前に引き摺り出して事故死を装ったり、海に落として溺死させたこともあったし、建物の天辺から振り落として殺したこともあった。任務の時みてーな恐怖なんてなかった。むしろ、そいつを殺したらあいつが喜んでくれるとさえ思い、達成感さえ感じていた。

    四人だ。あいつのチームの人間を含めて四人殺した頃、兄貴が「最近、いい面構えになって来たな」と褒めてくれた。確かに、オレは自信を持つようになっていた。オレは強くてあいつを守れるんだと。強いオレは、あいつを自分のものにできるんだと。あいつにとっての悪いヤツを始末したんだ。あいつはオレに惚れてくれる。そう思って、いつもよりいい雰囲気の店にあいつを誘い、その帰りに自分の気持ちを伝えた。

    だけど、返って来た言葉はオレが思っていたものと違っていた。オレはおまえのために四人も人間を殺したってのに。それを言えば、あいつはぎこちない笑顔を消して顔中を青くさせ、オレから逃げようとした。逃がすわけがなかった。直ぐにビーチ・ボーイであいつを捕らえ、悲鳴をあげようとする口を手で覆い、近くの路地裏に引き摺り込んだ。

    ペッシ

  • 隣人のディオ・ブランドー4

    20230925(月)01:41
    sssネタ募集企画より「「隣人のディオ・ブランドー」続編。ジョナサンとディオの作ったものをそれぞれ口に詰め込まれてどっちが美味しいか詰め寄られる話」

    「ディオくん、ディオくん。ジョナサンくんが来たよ。お菓子を作って来てくれたんだって!」
    「何だと……?おまえ、部屋に入れたりなんかしてないだろうな?」
    「え?こっちも丁度おやつの時間だから、一緒に食べようって……」
    「やあ、ディオ。ああ、まさか君もバノフィーパイを作っていたのかい?被っちゃったね。ぼくもバノフィーパイを作って来たんだ」
    「こいつが一昨日、バノフィーパイが食いたいと騒いだんだ。それにジョジョ。ここはおれの部屋だし、上がっていいなんて一言も言っていないぞッ」
    「美味しい物はみんなで食べた方がいいんだよ、ディオくん!ね、ジョナサンくん!」
    「ね」
    「ベタベタとするなッ!」
    「ディオくんのバノフィーパイは美味しいんだよ。お店のやつよりも美味しいの」
    「へえ。ぼくも結構自信があるんだけどな」
    「フンッ!おれの菓子に敵うやつなんかいないッ。例えどんな菓子職人でもな。ふーん、そうか。ジョジョ、おまえもバノフィーパイを作って来たのか。なら、このバカに決めさせようじゃあないか。どっちの方が美味いかを」
    「いいけど……。君はそれでいいの?」
    「バノフィーパイ、大好きッ」
    「こいつは底なしの胃袋だ。食った物がどこに行っているのか分からないくらい貧相だがな」
    「ディオ。女性に対して失礼だよ。じゃあ、まずはぼくのバノフィーパイから食べてもらおうかな。はい」
    「ジョナサンくん。自分で食べられるよ」
    「いいから。どうぞ」
    「いただきますッ!……美味しいッ!凄く美味しいよ、ジョナサンくん!」
    「本当?良かった」
    「そんな物よりもこっちの方が美味いぞ、アホ女。ほら、さっさとそのだらしない口を開けろッ」
    「んぐ……ッ。んん……あ、やっぱりディオくんのバノフィーパイ、美味しい!」
    「当然だ。おれの作ったものの方が美味いだろ?」
    「うーん……」
    「正直に言ってもいいんだよ。無理なんかしなくたって」
    「ううーん……。ディオくんのも、ジョナサンくんのも同じくらい美味しかったよッ」
    「そんなことがあるはずないッ!おまえ、とうとう舌までアホになったのかッ!?もう一回食えッ!」
    「じゃあ、ぼくの方のもまた一口どうぞ」
    「ちょ……ッ、そ、そんなに詰め込まな……ッ!」
    「おれの方が美味いと言えッ!分からないならもっと食わせてやるッ!」
    「ディオ。彼女、苦しがっているよ。それに、そんなに押し込んだらどっちがどっちか分からなくなる」
    「おまえも詰め込んでいるだろ、ジョジョ!邪魔だ!それに、さっきからこいつに馴れ馴れしいんじゃあないかッ!?」
    「仲はいいと思ってたんだけど……。違ったかな?僕の勘違いだったらごめんね。頬がハムスターやリスみたいになってる。可愛いね」
    「(口の中が美味しいでいっぱいだけど、どっちの味か分からなくなっちゃった)」

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