short short short!
短編にすらならない夢。ただの会話文とか。
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暗殺チームの幼女は言わない7
20210616(水)00:41※幼女夢主
「チビ!てめー、髪くらい乾かしてから歩き回れッ!」
「ギアッチョ、いたい!」
「水がダラダラと垂れてんだよッ!」
ガキってのはなんでこうも髪を乾かすのが嫌いなんだ。風呂に入れてやった後、髪から水を垂らしたままあちこちへ歩き回るチビを捕まえて、強引にドライヤーをかける。最初は嫌だと暴れていたが、直ぐに大人しくなって、ドライヤーの風を受けながら膨れっ面を浮かべていた。面倒くせーのはオレの方だっつーの。
髪を乾かし終えてからソファーに戻ると、チビは欠伸をしてオレの膝に頭を乗せて来た。こいつ、寝ようとしてんじゃあねーだろうな。
「……」
「おい、こんなところで寝るな」
「んー……」
「聞いてんのかッ」
「んー、きいてる、ギアッチョ……」
聞いてねーだろ。オレの呼びかけに力の入ってねえ返事をするチビを揺するが、目を開けたと思えば直ぐに閉じてオレのズボンを握り締めた。
「寝るなって言っただろ」
「ねて、ないもん」
「寝てるだろうがッ」
「ねて……ないもん」
そう言ったチビは、その数秒後に寝息を立て始めた。オレのズボンをしっかりと握ったまま。チビが寝る時は、オレたちが必ず傍にいる。じゃねーと寝つきが悪いし、酷ェ時は泣きわめくからだ。メローネは「不安なんだろ」と言っていた。服を握るのも、行かないで欲しいとか、いなくなることへの不安だとか。こいつはそういう言わなきゃならねーことを、何も言わねえ。
「チッ……」
手を強引に引き剥がしてベッドに連れて行くこともできるが、起きたら起きたで面倒だ。暫くはこのままにしておいてやるか。
暗殺チームの幼女は言わないシリーズ終わり。ギアッチョ
暗殺チームの幼女は言わない6
20210615(火)00:35※幼女夢主
チビに少し早い晩飯を食べさせた帰り。信号待ちをしていると、チビが横断歩道の向こう側にいた小学生くらいのガキを眺めていた。
「どうかしたか?」
「ううん」
チビは、あれがしたいこれが欲しいとそれなりに駄々をこねたりはするが、その殆どはオレたちが叶えてやれることばかりだ。オレたちじゃあできねーことはチビも分かっているのか言わない。
チビは保育園だとか幼稚園だとかは通っていない。小学校も行くことはできないだろう。当然だ。リゾットが拾って来て、チームで育てているんだからな。だからチビは恐らく、学校ってのに憧れているんだろう。
アジトに帰ってソファーに座ると同時に、チビはテーブルに乗っていた絵本をオレに差し出した。どうやら、本を読んで欲しいらしい。これはもう何度も読んでやってるんだがな。その証拠に、かなりボロボロになっちまってる。
「メローネ、これよんでー」
「ん?ああ、いいぜ。ほら、おいで」
チビを膝に乗せ、本の最初のページを開く。本に走る文字を読み上げていけば、チビは食い入るように本を見つめた。
「面白かったかい?」
「うん。メローネによんでもらうの、すき」
「一番にか?」
「うん。いちばんすき」
「そりゃあ嬉しいな。オレもおまえに読み聞かせをするのが好きだぜ」
頭を撫でて額にキスをしてやると、チビはお返しだとオレの頬にキスをくれた。ああ、本当に可愛いヤツだ。そう思っていると、チビはまた別の本をオレに向けた。
「メローネ、つぎはこれ」
「おいおい、まさか次の次もあるんじゃあないだろうな?」
「これでおわり。ダメ?」
「まったく……仕方ねーな」
首を傾げてそんな事を言われちゃあ、甘やかしてやりたくなるだろ。
メローネ
暗殺チームの幼女は言わない5
20210614(月)06:38※幼女夢主
オレ以外のヤツらはみんな任務へ行っちまった。兄貴も珍しくギアッチョと組むらしく、オレはチビと留守番。もう時間は夜の九時を過ぎていて、チビはソファーに寝そべりながら瞼を閉じては開いてを繰り返していた。
「眠いのか?」
「……うん」
「おまえ、ソファーで寝るなよッ」
「だって、ねむいんだもん」
「ほら、ベッドに行くぞ」
歩こうとしないチビを抱き上げて、仮眠室に用意されているベッドに行く。もう殆どチビ専用になっているそこには、いつの間にか増えていくぬいぐるみが並んでいた。ベッドにチビを寝かせると、デカい欠伸をして一つのぬいぐるみを抱き締めた。
「ペッシ。リゾットたち、まだかえってこないの?」
「もう今日は帰って来ねーだろ。予定よりも長引いてるから、帰って来るのは明日じゃあねーか?結構遠いところに行ったらしいし」
「……みんな、だいじょうぶかな?」
「問題なんてねーだろ」
チビはオレたちがどんな仕事をしているのか知らない。リゾットが「絶対に教えるな。そして知られないようにしろ」と言っているからだ。だけど、危ねーことをしているとチビなりに感じ取っているらしい。だからこうして聞いてくるんだろう。それにチビは、チームのヤツらの帰りが予定よりも遅くなると、落ち着きがなくなる。誰かが帰って来ないのが不安なんだ、捨てられた記憶が頭の中に残っていて。前に兄貴がそう言っていた。
「おまえはもう寝ろよ。夜更かしなんかさせたら、オレが怒られる」
「うん……。ペッシは、いっしょにいてくれる?」
「いるから、早く寝ろって」
「おやすみ、ペッシ」
「ああ」
ペッシ
暗殺チームの幼女は言わない4
20210613(日)00:29※幼女夢主
「おい。早く昼飯を選べ」
「ピッツァ!」
「オメー、いつもいつもピッツァばかりじゃあねーか」
「おいしいからいーの」
「よくねーんだよ。チッ……ったく仕方ねえな。買って来るからここで待ってろ」
チビを連れて昼飯を買いに来たはいいが、どこも混んでいた。まあ、それは当然だ。昼時なんだからな。とりあえずチビが強請ったピッツァを注文していると、女が一人近付いて来た。これからどこかへ行かないかと誘う女を押し退けてピッツァを受け取り、チビの元へと向かう。すると、壁から顔だけを出してこちらを伺うチビがそこにいた。チビの視線はオレじゃあなく、声を掛けて来た女に向かっている。それを遮るようにチビと女の間に入って、オレはチビの手を掴んで引っ張った。
「さっさと行くぞ」
チビは時々、ああやって特定の人間を見つめる。それは大体決まっていた。子供を連れた父親や母親。そして派手な身形の女。チビはリゾットが拾って来たスタンドが使えるガキだ。親がどんなヤツで、どんな理由でこいつを捨てたのかはオレたちには分からねえ。だが、何となく分かっているのは、チビの母親はああいったタイプの女だという事だった。目を見ていれば分かる。チビのさっきの目は、母親に縋るときのガキの目だった。
「あにき。ピッツァ、わたしがもつ」
「落とすからダメだ」
「もつの!」
「ダメだって言ってんだろうが。オメーは逸れねーように、大人しくオレの手ェ掴んでろ」
チビは文句を垂れながらも、オレの手を強く握った。
「ねえ、あにき」
「何だ」
「ごはんたべたら、あそんでね」
「分かってるから前を見て歩け」
プロシュート
暗殺チームの幼女は言わない3
20210610(木)23:45※幼女夢主
「何をしてんだ?」
「ううん。なんでもない」
リゾットが拾って来たチビは、たまにこうしてどこか遠くを見つめている。その時に声を掛ければ何事もなかったように反応して、決まって「なんでもない」と答えていた。
「イルーゾォ、だっこして」
「こんな暑苦しい日にか?ガキの体温はただでさえ高いんだよ」
「だっこ!」
「チッ。仕方ねーな、ほら」
ガキってのは、どうしてこんなのが好きなんだ。もう自分自身のガキの頃なんて覚えてないが、ベタベタとされるのは昔から好きじゃあなかった。けどまあ、チビのこの我が儘に付き合うのは悪くはない。オレの髪を弄って遊ぶのは少し煩わしいが、それを撥ね退ける気にはならなかった。髪を掴んでは引っ張るチビを膝に乗せてテレビを眺めていると、チビはオレの胸に顔を埋めて、細い両腕を背中に回して抱き付いて来た。
「イルーゾォ」
「今度は何だ」
「……イルーゾォたちは、いなくならないよね?」
オレたちがいなくなることを、チビは恐れているとリゾットが言っていた。オレたちギャングの中には、チビのように親のいない人間は数えきれないほどいる。だからこそ簡単に稼げるギャングになるんだが、チビはそういうヤツらとはまた違っていた。誰かの傍に引っ付いていないと落ち着きがなくなり、泣きだすこともある。代わりだと与えた人形やぬいぐるみも、いつも持ち歩いているせいか直ぐにボロボロになっていた。
「オレたちも、ここ以外に居場所なんてねーからな」
チビとは境遇は違うが、オレたちはこのチームにしか居場所なんてない。オレたちは他のチームどころか組織そのものにも信用されていない。だからオレたちも、チームのヤツら以外を信用なんてしていないし、する気もない。
「わたしもずっといっしょにいるから、さみしくないよ、イルーゾォ」
イルーゾォ
暗殺チームの幼女は言わない2
20210609(水)21:17※幼女夢主
「ホルマジオ、おかえり!」
リビングの扉を開けると、チビが走り寄って来て勢いよく抱き付く。まあ、勢いがいいって言っても、ガキの力だ。別に痛くもねえ。
「他のヤツらはどうした?確か、プロシュートとペッシがいたはずだろ」
「にんむだって」
「あー?呼び出されたのかよ。一人で留守番してたのか?」
「ホルマジオ、すぐにかえってくるから、まってろって」
「それで一人で待ってたのか」
「プロシュート、でんわしようとしてたよ」
「そういえば、携帯電話を持って行かなかったな。プロシュートのヤツが帰って来たら、何で持ち歩いてなかったってキレるだろうな。まあ、とりあえず土産だ」
「ジェラート!グラッツェ!」
小さい頭を撫でてジェラートを渡すと、チビはそれを受け取ってソファーへと戻って行った。
「おいしー」
「良かったな」
「ホルマジオ、あーん」
スプーンで掬ったジェラートを押し付けるチビに、オレは「しょうがねーなァ~」と口を開ける。どこで覚えたのか、メローネが教えたのか。「あーん」と言ってジェラートを食わせて来るチビがスゲー可愛かった。
「おいしい?」
「ああ、美味いぜ。オメーが食わせてくれたからな」
ジェラートを食うチビを眺めていると、目が赤くなっていることに気付く。更に目を凝らせば、目尻には涙の跡があった。今までも短時間であれば、チビ一人に留守番をさせることはあった。そりゃあ、こんな仕事をしてるからな。一応は誰かが必ず付いているようにしているが、そういかねーこともある。どんなに短くても一人で留守番ってのは、こんなガキには寂しいだろう。
「それ食ったら、どこかに行くか?」
「いく!おさんぽ!」
「今日はオメーの行きたいところに、とことん付き合ってやるからな」
ホルマジオ
暗殺チームの幼女は言わない
20210608(火)00:36※幼女夢主
任務を終えてあいつを待たせていた公園に行くと、一人で遊ぶあいつに話しかける男がいた。同じ年代の子供が横にいて手を繋いでいることから、その父親だということが分かる。あいつは男の言葉に耳を貸さず、手に持っていた木の枝で地面を突いていた。オレは近付いた。わざと足音を立てて。すると、あいつが顔をあげてこちらを見る。それに続いてその親子がオレに気付き、あいつに向けていた顔をオレに移した。
「そいつから離れろ」
「あ、その……すみません。迷子だと思って、それで……ッ」
「何度も言わせるな。さっさと離れろ」
そう言えば、親子は直ぐに離れて行った。あいつは子供の手を引いて走っていく父親の背中を見つめてから、持っていた木の枝をその場に置いて立ち上がり、オレの脚に縋り付いた。
「何をしていた?」
「アリさんとあそんでた」
あいつは小さい手を伸ばしてオレの手を掴む。男が連れていた子供がしていたように。
「リゾット、おしごとおわった?」
「ああ。帰るぞ」
「かえったら、あそんでくれる?」
「報告を終えたらな」
あいつの手を握り返し、遊び回る子供やその親たちの間を縫って歩く。あいつの目は、時々すれ違う親子に向けられていて、その度にオレの手を握る指に力を込めていた。
「リゾット」
「何だ」
「ううん。やっぱり、なんでもない」
「……」
「リゾット。のど、かわいた」
「そこの店で好きな物を買ってやる」
あいつは年相応に何かを強請るが、決して「羨ましい」とは言わない。しかし、見ていれば分かる。自分と同じ年の子供が親と一緒にいて、親と一緒に遊んでいることが羨ましいのだと。
リゾット
リゾット・ネエロには恋人がいる3
20210607(月)00:50あいつは、リゾットがいれば常にくっ付いて離れようとしない。一日で一番多く吐き出す言葉も「リゾット」だ。リゾットがいなければ死んでんじゃあねーかってくらいに脱力してるし、不在を嘆いて喚いて最終的にはプロシュート兄貴やギアッチョに怒鳴られている。リゾットが任務でアメリカに行った時、二週間は帰って来ないと言われて絶望して、出発当日には「わたしも行く」と泣いて縋り付いていた。まあ、結局はあいつにも任務があったからリゾットに同行することはなかったんだけど、その次の日には「リゾットの匂いがするから」とリゾットが使っているらしい枕を持って来ていた。あれにはちょっぴり引いたぜ。
オレはそんな女と付き合っているリゾットがスゲーと思う。会話が噛み合ってねー時が多いが、あいつを見ているリゾットの目は優しいし、ベタベタしてくるあいつを振り解くこともしねえ。いつだって受け入れている。あんな重い女、嫌にならねーか?そう思って、オレはリゾット本人に聞いてみた。い、いや、言葉は選んだぜ?いくらなんでも、リーダー相手に「なんであんな女と付き合ってるんですか?」なんて聞けねーし。すると、リゾットはオレを見ずにこう答えた。
「あいつは、他のヤツらが思っているよりも強くはない」
「そ、それはどういう……」
「一見すれば我が儘で自分勝手に見えるが、信頼する人間の言う事は何でも聞くし、そいつのために何でもする。妄信的で、依存的。それは精神が弱いからこそであって、あいつそのものは非常に不安定な人間だ」
「……」
「あいつには、誰かが傍にいてやらなければならない」
どっちも依存してるって事か。兄貴たちは、リゾットリゾットと騒ぎ立てるあいつに怒鳴りはするが二人を見守っている。このチームでは、リゾットとあいつの仲はそれはそれで受け入れられているらしい。
リゾット
リゾット・ネエロには恋人がいる2
20210604(金)06:55リゾットの恋人だという女が、オレの目の前にいる。テーブルに両手を付いて身を乗り出し、右から左から正面からと色んな角度からオレの顔を覗き込んでいた。
「へー。ペッシくんっていうんだー」
「は、はい」
「ペッシくんは、何でこのチームに?」
「いや、オレもよく分からないんだけど、ここに配属だって言われて……」
女は「そっかー」と語尾を伸ばしてソファーに座ると、ミルクが入ったグラスを掴んだ。このチームでミルクを飲むのはオレと女だけなようだ。女は、オレと同じでコーヒーが苦手なうえに、リゾットのために身長を伸ばしたいらしい。ミルクを飲んで背を伸ばすってガキの話だし、ミルクでデカくなるって話は嘘でもないが本当でもねえ事を教えたら、スゲーショックを受けていた。そもそも、今から伸ばすって無理があるだろ。
「このチーム、変わった人ばかりが来るんだよね。性格もバラバラで。あ、でもね、みんなスタンド使いだって共通事項はあるんだよ。ペッシくんもスタンドが使えるでしょ?」
「一応……。あの、なんであんたはここに?オレや他のヤツらと同じく、そういう指示で?」
「え?わたし?わたしはここに異動したいって希望を出したの」
「わざわざ?」
「うん、わざわざ」
「それは……何で?」
「リゾットを偶然見かけて、一目惚れしたから!」
「……」
「好きで好きで好きで仕方なくて、情報管理チームの人に問い質したら、暗殺チームのリーダーだって。だから、異動願いを出してここに来たんだ!」
ミルクを一気に飲みほした女は、グラスをテーブルに置いてまた身を乗り出す。い、いちいち距離が近いな、こいつ。しかし、普通は好きな男を追い駆けて暗殺チームに来るか?人を殺すんだぜ?
「ひ、人を殺すのは平気なのか?」
「うん。だって、任務をちゃんと熟せば、チームが切り捨てられることはないし、何よりリゾットが責任を負うことだってなくなるんだよ」
確かにそうだけどよ、怖いだろ?殺すなんて。兄貴たちは顔色も変えずにやってるけど……。
「失敗すればね、やっぱりチームの評価は下がるし、リゾットがリーダーとして責任を負うんだ。最悪の場合、リゾットがリーダーじゃあなくなって、チームもなくなるから」
高かったはずの女の声が、少しだけ低くなる。オレよりガキっぽい雰囲気がガラリと変わって、空気が冷たくなっていくのが分かった。リゾットにベタベタしていた時とはまるで別人だった。
「みんな一緒にいられなくなるんだよ、ペッシくん。だから、殺せって言われれば殺すよ。みんなと……リゾットと一緒にいたいから」
やっぱりとんでもねえ女だった。こいつ、リゾットのためなら何でもするんだろうな。好きな男のために、何人も人を殺すなんて普通じゃあねーよ。
「ペッシくんもチームに早く慣れるといいね。あ、もう少しでリゾットが帰って来る!お迎えしないと!」
時計を見ることもなく女は玄関へと向かった。あんなヤベー女ってマジでいるんだな。すっかり温くなったミルクを飲んでいると、玄関から弾んだ女の声が聞こえて来た。
「リゾット、お帰り!報告が終わったら帰るでしょ?夕食は何がいい?あとね、帰りにジェラートを買ってもいい?シャワーの後に一緒に食べたい!」
……リゾットもスゲーよな。疲れねーのかよ。あいつと一緒で。リゾット
リゾット・ネエロには恋人がいる
20210603(木)10:07暗殺チームに配属されて初日。オレはプロシュート兄貴と一緒にアジトを訪れた。
「おい。そんなところで突っ伏してたら邪魔だ」
ソファーにうつ伏せに倒れていた女が一人。こんなチームに女がいることにも驚いたが、それよりも兄貴に対して「煩い」と一言だけ返して、全く動こうとしないのにも驚いた。
「うう……ッ。リゾットともう三日も会ってないッ」
「今日帰って来るだろ。予定通りにいけば午後だ」
「それまでにわたしが死んじゃう!」
「うるせーなッ!男に会えねーくらいで泣いてんじゃあねえッ!」
リゾットって、確かチームのリーダー……だよな。オレも今日初めてここに来たから、まだ会ってねーけど。
「ペッシ。こいつはこう見えてリゾットの女だ。一応、覚えておけ」
「は、はい」
ソファーに顔を埋めて爪を立てる女がリーダーの?嘘だろと思っていたら、女が突然顔を上げてオレの方を向いた。スゲー笑顔で。いや、笑顔なんだが目からは涙がボロボロと出ていて、もう泣いてるんだか笑ってるんだか分からねえ。
「リゾット!」
「え?」
その声に後ろを振り向くと、そこには背のデカい男が立っていて、オレを見下ろした後に女へと視線を持って行った。こ、この人がリーダーのリゾット・ネエロか。兄貴も迫力があるけど、リゾットもまた別の迫力があるな……。リゾットはオレを避けて部屋の中に入ると、空いていた一人掛けのソファーに座った。女は飛び起きてリゾットの背後に回ると、首に腕を回して抱き付き、帽子で隠れている後頭部に頬擦りをした。
「リゾット、遅かった!」
「予定よりも早い」
「遅くて死んじゃうところだった!」
「それよりも、おまえの方の任務はどうなった。負傷したと聞いている」
「殺した人の話よりも、リゾットとお話したい!」
「任務を終えたなら、上に報告をしておけ」
か、会話が噛み合ってねえ。女はオレたちがいることも気にせず、「好き」「愛してる」「寂しかった」とか言いながらリゾットにベタベタと触れて挙句にはキスをしている。一方で、リゾットの方は淡々としていて温度差を感じた。兄貴は慣れているようで、女が陣取っていたソファーが無人になったことでそこに座った。「胸を撃たれても死ななかった女が何言ってんだ」と呟きながら。よくよく見ると、服の襟から包帯が見えている。包帯をしてるってことは、まだ真新しい傷なんじゃあねーのか?それでも平気そうに腕を動かす女を見ていると、リゾットの目がオレに向けられていることに気付いた。
「おい、ペッシ。あまりそいつをジロジロと見るな」
「あ、ああ、はい」
「嫉妬深いのはリゾットの方なんだよ」
……そういう事かよ。
リゾット