short short short!
短編にすらならない夢。ただの会話文とか。
更新履歴にも載らない。
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あの子とジョルノ・ジョバァーナの二時間後
20231105(日)17:13sssネタ募集企画より「町中で声を掛けられてから2時間後、気づいたらジョルノくんと同棲することになっていた人」
駅のベンチに座ってバスを待っていたら、突然知らない人が隣に座った。まあ、それだけなら当たり前のこと。だけど、当たり前のことではなかった。普通は距離をあけて座るもののはず。なのに彼は拳一つ分の距離に座り、こちらに顔を向けて微笑むと、まるで以前からの知り合いのように話しかけて来た。
「ボンジョルノ」
「え、あ……ボ、ボンジョルノ」
「今日はいい天気ですね」
「そうです……ね?」
よく見てみるが、やはり知らない人だ。彼は一方的に話しかけて来た。「タクシー乗り場、混んでますね」「午後からは雨らしいですね」「傘は持っているんですか?」なんて言う彼に機械的に頷いていると、「この後、時間はありますか?」という問いにも流れのままに頷いてしまい、わたしの返事は後悔へと姿を変えた。直ぐに否定をしようとしたが、「では行きましょうか」「おすすめの場所なんですよ」と微笑む彼の前に訂正の言葉は痞えてしまった。連れて行かれるままにやって来たのは喫茶店。まさか奢らせる気じゃあないだろうかと警戒していると、わたしの心を読み取ったのか「そんなことはしませんよ。むしろ、ここはぼくが払います。誘ったんですから」と言って飲み物を二つとプリンを頼んだ。
「この街に住んでいるんですか?」
「いいえ。隣の街です。職場がこの街で……」
「そうなんですね。それは不便だ」
「まあ、バスの時間に合わせて動くのは結構大変です。朝も早いですし」
「この街に住んでしまえばいいのに」
それが出来たらとっくにしている。仕事に就いてまだそれほど経っていないわたしには、そんな金銭的な余裕なんてない。一人暮らしをするにも家具を揃えないといけないし。そう付け加えれば、彼は「なるほど」と、首を縦に振ってからコーヒーを呷った。
「そうなると、足りない物は日用品とかですかね」
「日用品以外にも色々と……」
「他は揃っているので。ああ、しかし、ベッドは二人で寝るには狭いか。買い換えないと」
「……ん?何の話ですか?」
「引っ越し次第、職場へは住所の変更をしてくださいね」
「んん?」
「ここを出たら日用品を買いに行きましょうか」
「んんん?待ってください。意味が分かりません」
「これから一緒に住む話ですが?」
「誰と誰が?どこに?」
「ぼくとあなたが。ぼくの家に」
「凄い。全然意味が分かりません」
出会って二時間。なんでこうなった。
ジョルノ
あの子はジョセフ・ジョースターに片想いをする2
20231103(金)01:32sssネタ募集企画より「ヒロインを親友扱いし、全く女性扱いをしてくれないジョセフの続き」
※「あの子はジョセフ・ジョースターに片想いをする」の続き
「見つけたッ!どこにいるかと思ったら、外にいたのかよ~。結構探したんだぜ」
「あ、ジョ、ジョセフ……!どうしたの?何かあった?」
「おまえが髪を切ったって、シーザーのやつが言ってたから見に来たんだよ。あの野郎、スゲー褒めていたぜ。魅力的になった~とか、天使かと思った~とかよ。あー、歯がガッタガタに浮く台詞をよくもポンポンと」
「シーザーが?」
「ああ。まあ、あいつは女相手なら誰に対してもそんな態度だけどよ」
「シーザーは……確かにそうだね。街でも色んな女の人を褒めてるし。そういうことに慣れてるから。それより……ジョセフ。ま、前より少し短くしてみたの。毛先も傷んでたし、厚くなってたし、丁度いいかなって。ど、どうかな?ジョセフはどう思う?」
「ん~?」
「どう?」
「ん~……。大して変わらねーんじゃあねーの?髪がちょっと短くなっても、他は変わってねーし。あれ~?むしろ髪を梳いた分、前よりチビになったんじゃあねーのォ?ほらほら、前はこんくらいあっただろ」
「髪を梳いただけで身長が低くなるはずないでしょッ」
「そうだったか?」
「ジョセフ、笑ってるじゃん!またそうやって揶揄うんだからッ!」
「いちいち反応しておもしれーんだよ、おまえは。それに、おれは揶揄うのが好きだし?揶揄われるのは大嫌いだけど。別にいいだろ?ちょっぴりふざけても。おれたち親友じゃあねーか。なあ」
「……」
「あれれ?怒っちゃった?」
「ジョセフのバカッ!ちょっとはシーザーを見習ってよ!」
「はあ~ッ!?なんでおれがあんなスケコマシを……ッ!」
「付いて来ないで、バカジョセフッ!」
「何だよ何だよ。まさかおまえ、シーザーみたいに褒めて欲しかったのか?だったらそう言えよ。このジョセフ・ジョースター、女を褒めるくらいできるっつーのッ」
「……な、なら……褒めてみてよ」
「よーし、しっかり聞いておけよ。……短くしたら、前に見たおまえのガキん時の写真とそっくりになったな。随分と若返って……」
「本ッ当にジョセフってバカだよねッ!女心も分かってない!そ、そんなんだから、も、モテないんだよ!」
「言ったなァ〜ッ!待て、このチビ女ッ!」スタンド、その他5部、他部
暗殺チームの怖い話
20231102(木)11:50sssネタ募集企画より「意味が分かると怖い話暗チ編」
睡眠なんてまともにとれなかった任務から帰って来て、わたしは仮眠室のベッドに倒れ込んだ。そのまま眠りに落ちて二時間後。聞こえて来た話し声。そしてドタドタと駆け回る音。壁を激しく殴打する音。それらに覚醒を促され、せっかくの心地良い睡眠を邪魔されて怒りが込み上げたわたしは、スタンドの拳で壁を殴りつけた。
「煩いな……ッ!漸く任務が終わって寝てるのに……ッ!ちょっと、静かにして!騒ぐなッ!」
すると、今度は壁を引っ掻く音が聞こえて来た。誰か、任務から帰って来たヤツが揶揄っているのか。そう思ってベッドから降り、わたしはリビングに向かった。すると、そこにはホルマジオ、ペッシ、プロシュート、メローネの四人の姿があった。
「うわッ。なに、この凄い散らかり様ッ。お酒の瓶ばかりじゃあない……」
「よお。おまえ、いたのか?」
「ホルマジオ、お酒臭いッ。任務から帰って来て、仮眠室で寝てたんだよ。あーあ、ペッシなんてソファーで眠ってるじゃん。ブランケット掛けてあげないと風邪引くよ」
「ペッシには甘ェな、オメーは」
「プロシュートもお酒の匂いが酷いよ。明日、任務が入ってるんでしょ。ある程度で止めておかないと、身体が持たないよ」
「オレにはブランケットを掛けてくれないのか?」
「メローネは寝てないし、ブランケットとかそういう問題じゃあなく、服装が寒そうだよ。あれ?ギアッチョとリゾットは?」
「あいつらはまだ帰って来てねーよ。あ、酒が無くなった。イルーゾォの野郎、ここにある酒じゃあ気に食わないって買い出しに行ったけどまだ帰って来ねーのかよ」
「オメーが『ついで』とか言って自分の酒も頼んだからだろ、ホルマジオ。たぶんキレてるぜ、イルーゾォのヤツ」
「あいつは拘りが強過ぎるんだよ」
「ねえ、もう少し静かにしてよ。わたし、せっかく寝てたのに煩くて起きて来たんだから。徹夜で任務に出て、まだ二時間しか寝てないんだけど」
「そりゃあご苦労さん。でもよォ、オレたちはそんなに騒いでなかったぜ。酒飲んで大声出すのはギアッチョだし。なあ、プロシュート、メローネ」
「ああ。ホルマジオはテレビを観てたし、メローネはずっと一人でパソコンを弄ってたぜ。ペッシは早々に潰れたしな」
「でも、話声が凄かったし、たまに壁を叩く音も聞こえてたよ。ムカついたから壁を殴り返したけど」
「オレたちは壁を叩いてなんかいないぜ。ペッシが寝ぼけてソファーから転げ落ちたが、それ以外で特別デカい音は立てていない。ああ、言っておくが、オレは酔ってなんかいない。酒だって、ホルマジオとプロシュートと違ってこのグラス一杯しか飲んでないからな」
「え?」
「夢でも見ていたんじゃあないのか?外の空気でも吸って、頭をすっきりさせて来いよ」
「うん……。眠気もなくなったし、わたしも何か買って来る」
メローネに促され、わたしはアジトを出る。外の空気に当たりながら歩みを進めると、わたしの視線はある場所に行きついた。それは仮眠室がある場所。その隣、話し声と物音が聞こえて来た側には、部屋なんてなかったことに気付いた。
「え?」
寒気を感じた。わたしはアジトに急いで帰り、お酒が殆ど入っていないメローネを引っ張り出して買い物に付き合わせた。
(職業柄)色んな恨みを買ってそうで、怪奇現象の多い暗殺チームさんのアジト。暗殺チーム
親衛隊のあの子はそういうのが好き
20231101(水)01:43sssネタ募集企画より「スクアーロ&ティッツアーノで甘い言葉も態度も効かない、表情に出ないタイプの親衛隊所属夢主ちゃん」
オレとティッツァーノがいる親衛隊に新しく女が入ったのは半年前。「他のヤツらじゃあ教育に向かない」とか何とかで、オレたちの下にそいつはやって来た。まあ、チョコラータやカルネ、ドッピオの性格を考えりゃあそうなるかと、オレとティッツァーノは納得したんだが、その女がまた難しい性格をしていた。
「今日も可愛らしいですね」
「そうでしょうか」
「そう思っているから言ってるんですよ。そうですよね、スクアーロ」
「ああ」
ティッツァーノの言葉に頷いて女の肩に手を伸ばすが、女はオレの手をあまりに自然な動きで避けた。ティッツァーノが女の髪に触れようとすれば、手の甲で押し退けて払う。オレやティッツァーノがどれだけ甘い言葉を囁いても、指先にまで気を遣いながら触れようとしても、女は表情も一切変えないであしらう。常にツンとしていて笑いもしねえ。それはそれでいいとは思うが、たまには表情くらい崩してやりたくて、ティッツァーノがわざと自分の舌に『トーキング・ヘッド』をひっ付けた時だった。
「今日も愛想がありませんね」
「……そうでしょうか」
「女性なら、もっと素直で従順な方が好かれますよ」
「わたしは……別に……」
「本当に可愛くない性格だ」
オレたちは普段、女に対してあからさまに甘い態度を取っている。こんなに冷たくしたことなんてない。それがティッツァーノのスタンドによって、甘さに比例したかのような冷たい言葉が出ていた。すると、女の眉が垂れ下がって、長い睫毛に縁取られた双眼が下を向いた。その目には涙が浮かび始めている。昨日までのティッツァーノとは違うことに驚いているんだろう。頬を染め、視線を泳がせながら唇を噛む姿が堪らなく可愛いものに見えた。こいつもこんな反応をするんだな。
「……か、可愛くなくて、結構です」
声も少し震えている。薄かったはずの涙の膜が厚みを増していき、いつの間にか目尻に小さな粒を作っていた。そんな弱々しい表情が普段の態度と相まって、嗜虐心を掻き立てる。ああ、クソッ。もう少し見ていたい。ティッツァーノも今の状況を楽しんでいるようで、最初は「ほんのちょっぴり困らせてやるつもり」のはずが止められなくなっていた。ティッツァーノは次々に女へ冷たい言葉の雨を降らせる。オレも止める機会をすっかり逃して二人の様子を傍で眺めていたが、女が涙を一筋流したところで漸く身体が動いた。
そして次の日、女がドッピオとこんな会話をしていたことをオレたちは知らない。
「ドッピオさん。昨日、ティッツァーノさんが凄く冷たかったんです。わたしがいつも素っ気なくしていたせいで、怒ってしまったようで……」
「あの二人が?それ、本当?」
「はい。……でも、なんていうか、その……。つ、冷たくされるの、いいな……というか……」
「え?」
「あ、いやッ、ベタベタされるよりは……いいかなと」
「意外とそういう趣味なの?」
「違いますッ」
「顔が真っ赤だよ」
夢主は無愛想なのではなく、恥ずかしいし慣れてないしでどう反応すればいいか分からない恋愛初心者なだけ。しかし隠れM。親衛隊
ディアボロの部下は純粋
20231028(土)02:37sssネタ募集企画より「5部verのアホの子」
※アホの子な夢主
「……もしもし、わたしだ。おまえに任せたブチャラティチームでの我が娘、トリッシュの護衛の任務はどうなっている?経過報告を聞きたい」
「あ、ボス!ブチャラティチームと合流しました!」
「それで?どうなっている?」
「今、一緒にご飯を食べています。美味しいです!」
「……目の前にいるのか?わたしからの電話を彼らの目の前で取ったのか?」
「いいえ。ちゃんとトイレに入って出ています」
「それならいい。で、状況は?」
「ブチャラティチームに『こちらのチームと一緒にボスの娘の護衛を任されました』と言ったら、凄く疑われて怖かったです。ボス、ちゃんと事前に連絡してくださいよ!誤解を解くのに一時間も掛かって、緊張で泣いちゃうし、鼻水も出ちゃいましたよッ」
「……」
「でも、ちゃんと分かってくれました。『こんなに直ぐに泣くなさけねーヤツで大丈夫か?』ってアバッキオさんに言われましたけど。まったく、失礼ですよね。わたしの方が在籍している年数は上なのに。でも、ブチャラティさんは格好良くて優しいですし、ミスタさんは面白いですし、ナランチャさんは色々と話しかけて来てくれるし……。あ、でもフーゴさんとアバッキオさんはやっぱりちょっと怖いですね。まだ疑っていますし」
「『なさけない』は合っているだろ」
「それと、新人の……えっと、ジョルノさん。わたしより年下なのにしっかりしています。娘さんは、今はちょっとこちらを警戒しているのかツンツンしていますが、仲良くなれそうです!大人っぽくてびっくりしちゃいました!」
「わたしは『仲良くなれ』など一言も言っていないが?わたしはあくまで、ブチャラティチームと一緒に娘を守れという任務をおまえに与えただけのはず。それと、そんなことは経過報告とは言わない」
「あ、ボス。とても重要なことをお聞きしたいです」
「(どうせ下らないことだろうな)」
「食事代って経費で落とせますか?」
「……やはりかッ」
「どうしました?」
「(こいつは本当にバカな女だ……ッ)」
「ところで経費……」
「好きにしろ……ッ」
「食後のドルチェも頼んでいいですか?」
「だから好きにしろッ」
「ありがとうございます、ボス!大好きです!」
一応は親衛隊な夢主。ディアボロへの忠誠心は強くともアホの子。「手が掛かるけどなんか目を離せないアホ」で、ディアボロもなんやかんや甘やかしてる。
ドッピオ&ディアボロ
ジョナサン・ジョースターは怪我をして欲しくない
20231027(金)02:57sssネタ募集企画より「不注意ばかりで怪我ばかりする主人公を思い余って監禁しちゃうジョナサン」
※病んでるジョナサン
「その怪我……」
彼女の右手が包帯に覆われていた。それを指差してどうしてかと問いかけると、彼女はほんの少しだけ口籠ってこう言った。
「昨日の夜、お皿を割ってしまい、片付けようとしたら転んでしまって……。その時に欠片で掌を切って……」
メイドとして雇われている彼女は、どこか危なっかしいところが目立っていた。指を切ってしまっただとか、段差で躓いて膝を擦り剥いただとか、テーブルの下を掃除して頭をぶつけただとか。最初はぼくが怪我のことを聞けばすんなりと答えていたのに、いつの間にか隠すようになってしまい、それを指摘すれば今度はさっきのように躊躇い混じりの言葉になった。別に責めているわけじゃあない。ぼくは心配しているだけだし、彼女が隠すのも濁すのも無理はない。たぶん、心配するぼくを気遣ってのことだろうから。でも、だからこそ余計に心配になるんだ。
「傷に細かい欠片は入らなかったかい?消毒はしてもらった?痛みや腫れは?」
「だ、大丈夫です。処置はしてもらいましたし、痛みも腫れもありませんよ」
いいや。彼女は嘘を吐いている。処置されているのは見ての通りだけど、痛みはあるはずだ。何より不便なはず。食器を下げる時だって無意識に手を庇っていたし、利き手じゃあない左手でぎこちなく物を持っている。それが気になって仕方ない。
「もう少し……気を付けた方がいい。君は怪我が多いから」
「申し訳ございません……」
「ああ、責めているわけじゃあないんだ。むしろ心配なんだ。君は女性だし、あまり傷を作って欲しくない。それだけで、怒っているわけでもない」
彼女は俯いてしまった。危なっかしい子だが、仕事への熱意は強い。だから気にしているのだろう。しかし、言葉の通りぼくだって怒っているわけではないし、本当にただ心の底から心配をしているんだ。ぼくから見れば凄く小さくて愛らしい手に、包帯が巻かれているのを見るだけで痛々しさが湧き出て来る。どうも落ち着かず、視線がそこに縛り付けられてしまうんだ。
そして、手の包帯が取れてから数週間後、今度は左頬をガーゼで覆っていた。彼女と一緒に仕事をしていた人が言うには、庭の掃除をしていて垂れ下がっていた木の枝に気付かず擦ってしまったらしい。ぼくは思わず彼女の頬に手を添えた。ガーゼに隠れた頬に。
「ジョナサン様……?」
「ぼくは思うんだ。君はいつか死んでしまうような怪我をするんじゃあないかって」
そんな大げさですよ。彼女は眉を下げて笑ったけど、ぼくは笑うなんてことはできなかった。本当にそう思ってしまうんだ。もっと酷い怪我をしてしまうんじゃあないかと。死んでしまうんじゃあないかと。階段から落ちて骨折をしたり、頭を打って死んでしまったり。そんな考えは次々に浮かんで消えることはなく、グルグルと回って頭の中を支配していった。
ぼくは父さんに頼んで空き部屋を一つ貰った。何に使うんだって聞かれて「大切な物を仕舞っておきたいんだ」と適当な返事をした。まあ、間違ってはいないし、殆ど嘘でもない。「物」ではないだけで。扉には新しい鍵を付けよう。あとは家具も揃えて、カーテンももっと分厚く透けないもので、風が吹いても靡き難い物に変えよう。執事やメイドにも「掃除は自分でするからいらない」と伝えておかなければ。
そして今、彼女はその部屋にいる。だって何もしなければ怪我なんてしないだろ?彼女が何もしなくて済むよう、ぼくが世話さえすれば。
スタンド、その他5部、他部
プロシュートの好きな人は氷点下
20231025(水)02:41sssネタ募集企画より「本命になかなか振り向いてもらえないプロシュートで。他のメンバーが結婚の話をしていて、それに勝手に1人で夢主との結婚を妄想して、更に猛アタックする話」
※格好いい兄貴はいない
「ああ、プロシュートさん。こんにちは。資料、用意できていますよ」
「グラッツェ。ところでよォ、今日の夜、時間はあるか?」
「夜ですか?まあ、今日は特に予定は……」
「いい店を知っている。そこにおまえを誘いたいんだが……」
「すみません。やっぱり今日は仕事が結構……かなり入っていて、時間が取れないですね」
今さっき「予定はない」と言いかけていたはずの女はシレッと嘘を吐きやがった。情報管理チームのこの女は、誰に対しても……いや、特にオレに対してこんな態度を取る。任務と関係なくオレがどれだけ褒めて甘い言葉を囁いても、女は相変わらずツンとした様子でオレの言葉を躱していた。いつだったか、正確な日は覚えてねーが、ブチャラティチームのナランチャ・ギルガが資料を貰いに来ていたのを見たことがあるが、その時は自分が持っていた菓子をナランチャに与えていた。聞けば、女はナランチャには甘いらしい。
貰ったばかりの資料を手にアジトに帰り、ソファーに腰掛けると、イルーゾォがムカつくようなニヤケ面でこう言った。「またあの女を口説いたのか?どうだったんだよ?」。「煩ェ」と一言を返して足を踏みつけ、封筒から資料を引っ張り出す。女は態度こそはああだが仕事は完璧だ。こっちが必要とする情報が揃った紙を眺めていると、スポーツ雑誌を読んでいたホルマジオが口を開いた。
「あのサッカーチームの選手、ほら、前の試合でゴール決めたあいつ。結婚したんだとよ。ファッションモデルと。特集されてる」
くだらねー話に乗ったのはイルーゾォだった。
「いいよなァ。そういうヤツらは選び放題で。オレたちみてーな仕事だとそうはいかねーよな」
結婚……。その一言に、オレの頭にあいつの顔が浮かぶ。悪態ばかりついていたあいつが、恋人としてじゃあなく夫婦としての顔を見せる。恋人同士の時は散々恥じらっていたのに、夫婦となって暫くしてからはオレがその横にいて当然って顔をする。あの真面目な性格だ。子供ができれば必死にその名前を考えるだろう。どれがいいかとオレに相談して、ベッドに入っても寝る直前までそのことばかりを話していそうだ。
「おい、プロシュート。どうした?資料、手から落ちてるぜ」
「黙ってろ、ホルマジオ。今、考え事をしてんだよ」
数日後、オレは女の元を訪れた。
「オレは何度もおまえに言った。惚れてるってな」
「そうですね。それで、今日のご用件は?何かの情報が欲しいんですか?」
「今日はそういう話をしに来たんじゃあねえ」
「では、どんなお話を?先日の書類に不備でも?」
「オレはおまえと付き合いたいと思っているし、他のクソ野郎に譲る気もない」
「なるほど」
「他のヤツらじゃあ満足できなくなるほど、女として最高におまえを喜ばせる自信もオレにはある。そう決めている。しかしな、気は長い方じゃあねーんだ。早くオレに靡け」
「すみません。わたし、面倒くさい男の人は嫌いです」
プロシュート
ディオ・ブランドーは幼馴染に恋をしていた
20231023(月)22:30sssネタ募集企画より「ジョースター家引き取られ後に出来たアホの子幼馴染みの面倒見るのにうんざりしてたディオが、いざその子に別の男との婚約話が来て怒りと共に恋を自覚してしまう」
※アホの子な夢主
ジョースター家の人間と使用人以外で初めて会ったのがそいつだった。一言でそいつを表すのなら「頭の悪いヤツ」だ。勉強なんて勿論できないし、女のくせに落ち着きもなければ淑やかさもない。特別貧しいわけでも裕福なわけでもない、取るに足らない女だった。
「ディオくん、一緒に遊ぼう!」
「付いて来るなッ!」
「遊ぼうってば!」
「他のヤツらとでも遊べばいいだろうッ!なぜおれがおまえなんかと遊ばなきゃあならないッ!」
「だって、ジョナサンくんとディオくん以外にお友達いないもんッ」
「おれはおまえと友達なんかになった覚えはない……ッ」
後を付いて歩く女を引き離そうとほんの少し歩く速度を上げてみる。すると、女は地面にできていた窪みに足を引っ掛け、そのままスッ転んだ。
「い、痛い……」
「……」
「うう……ッ。こ、転んだ……ッ」
「……」
「血が……出てる」
「……い、いちいち煩いヤツだなッ」
「ディオくんのせいで転んだ……」
「おまえが勝手に転んだんだろうッ」
転んだくらいでメソメソと泣く女を振り返り、膝に付いた砂を払ってやる。確か数日前には男共に揶揄われて泣いていたところを助けたし、更に数日前には野良猫に威嚇をされて震えていたところも助けたはずだ。おれはなぜこんなバカをいちいち助けているんだ?放っておけばいいものを。その時は自分でも分からなかった。
それから何年もして、高校卒業を数日後に控えた日の事。そんな年齢になってもおれに引っ付き続けた女は、いつも通りのふざけたような顔で「婚約するかもしれない」と言った。使用人に言って用意させた菓子を食いながら。
「婚約?フンッ。おまえのような女と婚約をする物好きも世の中に存在するんだな。そもそもするかもしれないってどういうことだ」
「一度会ってみないかって言われたの」
「どうせおまえの本性を知ったら断られるに決まっている。そうやって食いカスをボロボロと零す女なんて。顔だって大したことはないし、チビで幼児体型、おまけにだらしなく、家事の一つもまともにできない。どこの誰がそんなおまえに……惚れるっていうんだろうな~?」
「そこまで言う必要ないじゃんッ!ディオくんの意地悪ッ!」
「煩いッ、この裏切り者ッ」
酷くイラついた。怒りで身体中が熱くなり、女をバカにする言葉が次々に溢れて来る。そして気付いた。なぜおれはこんなにも苛立っているのか。なぜ今までこんなバカの面倒をいちいち見て、相手をしていたのか。
なぜだろう。DIOは「様付け」したくなるけど、ディオは「くん付け」したくなるのは。
スタンド、その他5部、他部
吉良吉影もあの子も気付いていない
20231020(金)23:50sssネタ募集企画より「アホの子夢主を甘やかすラスボス(夢主は甘やかされていることに気付いていない) 」
※アホの子な夢主
この世にこんなバカがいるとは思わなかった。ちょっとのバカなら丁度良く、何かしらで騙して東方仗助たちを……あいつらの仲間の一人でも始末させた後、口封じに爆破させてしまえばいいと思っていた。だが、この女は道を歩けば不良に絡まれ、迷い、挙句には事故に遭って怪我をする。スタンド能力は「自分が望んだ物を対象から抜き取る」というもので、それは身体の一部から記憶や感情まで可能だと言う。そんな使い勝手のいい能力だというのに、この女はあろうことか「自分の嫌いなおにぎりの具を取る」だとか「たまごスープのしいたけを取る」だとか、そんな下らない目的に使っていた。この前は「カップラーメンのかやくから嫌いな具を抜き取る」のに使っていた。先日も不良にいじられていたところを助けてやったし、その数日後には曲がり角で自転車とぶつかって怪我をしたと連絡があった。そして気付けば、わたしはこの女の家に通い、なぜか世話をすることが増えていた。手が美しければ……わたしの好みに合えばまだ良かったが、彼女はまるで子供のような手をしていて、わたしの思い描く理想とは違っていた。それなのに、わたしはなぜこの女の世話を……。
「吉良さん、吉良さん!見てください!この料理、美味しそうじゃあないですか?」
そう言って見せて来たのは……正確にはわたしの顔に押し付けて来たのはある雑誌。ぼやけるそれを引き離せば、いま流行のレシピという頭の悪そうなタイトルと共に料理の写真が載っていた。
「食べたいのか?」
「はい!」
「作る気か?」
「はい!」
「……わたしが作ってやるから、君は何もしなくていい」
幸い、材料は冷蔵庫にある物だ。直ぐに作ってやろうとキッチンに立てば、女はわたしを手伝おうと横に並んだ。こいつが加わるとろくなことにならないし、むしろ手間が増えるだけだ。包丁で指を切るかもしれないし、火傷をする可能性もある。水や洗剤で手が荒れるし、皿を落として怪我をするかもしれない。ソファーに座らせ、「できあがるまで、ここにいてくれ」と言えば、女はどこか落ち込んだ様子を見せた。
「直ぐにできるから待っていなさい」
「……はい」
「食後のデザートは何がいい?」
「この前作ってくれた、牛乳で固めるやつ!いちご味がいいです!」
牛乳を加えて掻き混ぜると固まり出すそれが女は気に入ったらしく、ピーチやらオレンジやらと色んな味が棚に揃っていた。
「じゃあ、これにしよう。これも作ってあげるから座ってなさい」
「ま、混ぜるくらいならわたしでも……」
「なら、混ぜる時に呼ぶ。それまでは大人しくしていて欲しい」
わたしが料理をしている間、女はチラチラと落ち着きなくこちらを見ていた。他人以上に不器用なくせに気を遣おうとしたりする性格は、正直なところ嫌いじゃあない。
どの部のラスボスにしようか、各部ラスボス勢にしようかと悩み、家事能力の高い吉良にしました。夢主は甘やかされている自覚はありませんが、吉良自身も夢主を甘やかしている自覚がありません。
牛乳で固まるやつ→フ○ーチェスタンド、その他5部、他部
勧誘拒否~ぬいぐるみの恩返し~
20231019(木)19:09sssネタ募集企画より「勧誘拒否シリーズで、ぬいぐるみたちがスタンド攻撃を受けて自我を持ち、ヒロインに日頃の感謝を伝えている場面に遭遇するブチャラティorミスタ」
sssネタ募集企画より「勧誘拒否シリーズで、ぬいぐるみたちがスタンド攻撃を受けて自我を持ち、ヒロインに日頃の感謝を伝えている場面に遭遇するブチャラティorミスタ」
大学から家に帰ると、わたしの大切なぬいぐるみたちが床に散乱していた。何事かと部屋の中を見回すと、窓は割られているし、クローゼットからは物音が。そう、見知らぬ男の人がクローゼットを漁っていたのだ。「あなた誰ッ!?」と大声を上げると、男は舌打ちと共に『スタンド』を出現させる。そのスタンドは床に落ちていたぬいぐるみたちを掴み上げ、あろうことかわたしに向かって投げつけた。なんとか両腕で受け止めるが、その間に男は割れた窓から逃げ去ってしまっていた。
「何だったの……」
とにかく警察に連絡だ。そう思って電話に手を伸ばしかけた時、わたしの目の前でオオサンショウウオが動き出した。ぬいぐるみだったオオサンショウウオが。
「え?あれ?わたしの目、おかしいのかな」
両目を擦ってみるも、特に変化はない。そういえば、オオサンショウウオはあのスタンドが投げた子だ。あのスタンドの能力に違いない。となるとスタンドの能力かと身構えた瞬間、オオサンショウウオはわたしに抱き付いた。
「な、何ッ!?」
オオサンショウウオは短い……非常に短い四肢で抱き付く。スリスリと顔を擦り付ける姿はまるで甘えているようだった。次にオタマジャクシ。四肢がないオタマジャクシは飛び跳ねたと思えば顔面に貼り付いた。あの口を使って額に吸い付いて。ちょっと痛いから剥がして撫で回せば、オタマジャクシの尻尾が揺れた。すると、ウォンバットのぬいぐるみがペンとメモ帳を引っ張り出し、何も書いていないページにこう書き出した。「いつもありがとう」「だいすき」と。拙い字で。何だろう、この可愛すぎる光景は。「何が?」と試しに聞いてみれば、こちらの言葉も伝わるようで「ていれ」と文字で返って来た。
「か、可愛いッ」
心臓がギュッと締まる。床に膝を付いたわたしがぬいぐるみたちを抱き寄せ、「わたしも大好きだよッ」と、そう言った瞬間だった。
「何やってんだ?おまえ」
ここにはいないはずのグイード・ミスタの声が聞こえた。頭の上から。さっきまで部屋にいた男と出会った時よりも大きな声がわたしの喉から出た。
「な、何でここにいるんですかッ!ここはわたしの部屋ですッ!」
「丁度帰って来てアパートの前を歩いてたら、おまえの声がした後に男が窓から飛び出して来たんだよ。心配して来たんだろうがッ」
グイード・ミスタは、片手に持った拳銃の周りに天使のピストルズを漂わせながら言った。わたしは状況を説明した。グイード・ミスタはジョルノ・ジョバァーナとブローノ・ブチャラティに連絡をし、逃げた男の特徴とスタンド使いである事、この部屋で起きたことを伝えてから携帯電話を切った。
「それにしても、おまえも言うんだな。『大好き』とかさ。ヒヒッ」
「……見なかったことにしてください」
「さあ、どうしようかな~」
「……」
「冗談だよ。睨むなよッ。今日の晩飯を作ってくれるってんなら誰にも言わねーよ」
「……仕方ないですね」
後日、グイード・ミスタから連絡があった。
「あの犯人、捕まったぜ。ジョルノが血眼になって探し出したんだ。能力は『物に意志を与えること』らしい」
「何ですか、それ。最高の能力じゃあないですか」
「で、女の下着を盗んでは、その下着に意志を与えて『女に着られる感覚』だとか『その女の身体のこと』だとかを聞いて楽しんでたんだと。まあ、おまえなら分かってると思うが、意思はあっても喋れねーから、男の質問に動きで答えるようなもんだけどな」
「何ですか、それ。最低の能力じゃあないですか」
「……いや、男としてはちょっぴり羨ましい能力だぜ」
「グイード・ミスタさんも最低ですね」
ミスタ