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ん、なんの匂いだ?
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放課後、話しかけてきたのは部活へ行こうとしていたクラスメイトの牧くんだった。
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あなたの名前
ハンドクリームだよ
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私は塗り終えたハンドクリームを牧くんへ見せた。
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あぁ、その匂いか
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あなたの名前
牧くんもつけてみる?
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…つけたことはないんだが
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あなたの名前
じゃあ
物は試しだね! -
私は半ば無理やり牧くんの手の甲にハンドクリームを少しだけ乗せた。
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おい…
なんだか笑いをこらえてないか? -
あなたの名前
ご、ごめ…
だって牧くんから超いい匂いするんだもん -
あのバスケ部主将から女の子らしいいい匂いがしてくる事に、私は笑いがこらえられなくなっていた。
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あなたの名前
あははは!
部活行く前に手洗って!
ごめんね -
……いや
このままでいい -
あなたの名前
え?!
絶対みんなに笑われるよ?! -
お前と同じ匂いなのは悪くないからな
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そう言って部活へと行った牧くんに、私は一体どんな顔をしていたのだろう……。
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