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藤真
なんだよ
桜も似合ういい男だと
思ってんのか? -
そんな事を悠々と言ってのけるこの男は藤真健司。
私の幼なじみだ。
ーーーそして片想いの相手。 -
あなたの名前
私もあんたぐらい
自分に自信持ちたいよ -
私は「はぁ」と大きなため息をつく。
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学校が春休みに入り、今日は私の家族と健司の家族での毎年恒例のお花見だった。
大人たちはすでに酔っ払い、私と健司は屋台へとやってきたのだが、その時バチッと目が合った健司が先程の言葉を言ってきたのだ。 -
藤真
だってお前さ
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あなたの名前
なによ
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藤真
桜じゃなくて
オレの事ばっか
見てんじゃん -
あなたの名前
は?!?!
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藤真
オレが気付かないとでも思ったのか?
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あなたの名前
な、何言って
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藤真
こっち向けよ
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健司はそう言って私の手を掴んだ。
その顔は真剣そのものだった。 -
藤真
これからも
オレだけ見てろよ? -
そう言ってニヤリと笑う健司に
何もかもお手上げだと思う私であった。
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