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……アイツは気付いている。
私がこうやって隠れて様子を見ていることを。 -
女1
やったー!
もう手ぇ洗わなーい! -
女2
あたしもー!
お願いー!! -
キレイな女の子2人組はキャッキャッと騒ぎながら目の前の男に握手をねだり、はしゃいでいる。
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藤真
声でけぇな
お姉ちゃんたち -
握手を求められていたのは、私の彼氏である
藤真健司だ。
誰もが見惚れるほどの容姿と、あのバスケの強豪校で有名な翔陽高校のキャプテンという事もあり、巷ではちょっと有名人。 -
女1
ねえ藤真くん
この後どっか遊び行かない? -
女2
いこーよ!!
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藤真
あぁ~
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健司はチラリとこちらを見る。
私はあわてて乗り出していた身体を物陰に寄せ、隠れた。 -
藤真
ちょっと用事あんだよ
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女1
えー
もしかして彼女? -
藤真
そっ
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もう一度健司はこちらをチラリと見る。
……絶対私がここにいること気付いてる。 -
女2
藤真くんの彼女とか
超気になるんだけど -
女1
絶対可愛いでしょ!?
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……やめて。
ハードルを雲の上まで高くするのは。
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藤真
まぁ、オレにとっちゃ
世界一いい女だな -
健司はそう言ってこちらを向き、「んべ」とあっかんべーをした。
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