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あなたの名前
うぅ…
今日寒いなぁ -
ぷるぷると震えながら私は教室へ入った。
ーと、すぐ隣で「おはよう」と声が聞こえてきた。
この声はーー花形だ。 -
あなたの名前
花形おは……
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言い終える前に教室のドアで私はお腹を抱えて笑ってしまった。
なぜなら花形のメガネは真っ白にくもっていたのだ。 -
あなたの名前
やばいやばい
むりむりむり -
他の人なら別に…と思うけれどあの真面目な花形がこんなんになると腹筋崩壊。
私は涙を流してゲラゲラと涙が止まらない。 -
花形
そんなに笑うことないだろ
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花形はそう言ってメガネをはずした。
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あなたの名前
……
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メガネをはずした花形の顔を初めて見た私はドキン、とひとつ心臓が大きな音をたてた。
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花形
どうした?
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あなたの名前
み、見えるの?!
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花形
あぁ
見えないことは無い -
あなたの名前
ハッキリ見えるの?
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花形
いや
この距離だとハッキリと
お前の表情は見えない -
あなたの名前
ふ、ふぅん
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花形
これぐらいなら見える
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そう言って花形はグイっと顔を近づけてくる。
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あなたの名前
近い!!!!
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慌ててわたしは花形の胸を押した。
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花形
へぇ
そんな表情していたのか -
そう言って自分の席へと歩き始めた花形の背中を私はただ黙って見ることしかできなかった。
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