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あなたの名前
……そういやここって
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風邪気味の私はとある薬局で風邪薬を購入したのだが、その薬局の名前を見て私はある人物の顔を思い浮かべた。
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南
あれ…
あなたの苗字さんやんけ -
あなたの名前
南くん
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思い浮かべた人物が目の前に現れ、私はちょっと驚いた。
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あなたの名前
やっぱりここ南くんの家
だったんだね -
南
そうやで
あなたの苗字さんこの辺
慣れたか? -
あなたの名前
あはは
まだあんまり慣れてない -
私は2ヶ月前に大阪へ引っ越してきた。
南くんはそんな私のクラスメイトだ。 -
南
なら、送るわ
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あなたの名前
え?!
いいよいいよ!
南くん部活帰りで疲れてるでしょ?! -
南
迷子になられても
困るからな -
南くんは笑いながら歩き出したので、
私はそれについて行くしかなかった。
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南
家ってあそこやろ?
ローソンの隣のマンション -
あなたの名前
そうそう!
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南
つか、風邪ひいたん?
うちの薬局来てたんやろ? -
あなたの名前
うん…なんか友達んち行ってたんだけど、喉痛くて
南くんちの薬局遅くまで
やっててよかった -
南
はよ治しーや?
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あなたの名前
でも熱出したら学校休め
ちゃうかも -
私はへへへ、と笑った。
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南
あかん
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あなたの名前
ん?
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南
学校休むとかあかんで?
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あなたの名前
えぇ~?
南くんって以外に
真面目なん… -
私の前を歩いていた南くんはくるっと振り返り、私に向き合った。
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南
あなたの苗字さんが学校におらんと寂しいやんか、オレが
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あなたの名前
え…
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ジッと私の目を見つめる南くんの視線から私は目を背ける事ができない。
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南
明日、ちゃんと来てな?
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あなたの名前
う、うん……
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そしてうちのマンションの前まで送ってくれた南くんは、「また」と言って帰っていった。
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あなたの名前
……そーゆー意味でとらえていいの?
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1人になった私はマンションのエレベーターの中で
ポツリ独り言を言った。 -
そんな事を考えていたからなのだろうか、結局私はその後高熱を出して次の日学校を休んだ。
……南くん寂しがってるかな?
なんて事を思いながら薬を飲み、眠るのだった。
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