REBORN短編集
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ケッ、テメーは詰めが甘ぇんだよ」
「おっしゃるとおり、完敗です……」
テストの答案用紙をパラパラと机の上に散らばして、その上に突っ伏す明寺。
机の上のそれには丸が沢山ついている。どれも高得点だ。が、それぞれが少しずつオレの点数に及ばない。
今回も勝ってしまった。
テストの点数で勝ち負けなんかつけても意味ねーけど、明寺は自分の有り様を「負け」と称する。
勝ち負けなんてつけるから、こんなに落ち込むんだろーに。
「次は負けませんから」
「悔しかったら1つでも満点取ってみろ」
「人間必ずミスはします」
「そうやって言い訳してっからうまく行かないんだろ」
「…………」
言い返せなくなって黙り込む明寺に、「勉強教えてやろうか」なんて皮肉混じりで言ってみたら、恨めしそうに睨みつけられた。
人がせっかく相手してやってんだから、有り難く思えよ。全くムカつく奴。
だいたい初対面のときだって、「私、あなたが来るまで成績一位だったの」なんて、いきなり言い出して。威嚇オーラ全開の明寺にダイナマイトを放とうとするオレを、十代目が止めてくださったことを覚えている。
「別に1位じゃなくたっていいだろ」
「やだ、1位がいい」
「なんでそんなにこだわるんだよ」
そうだ。どうしてそんなにこだわるんだ?
別に、今の段階で勉強ができていない訳でもない。目当ての高校に進学したいだけなら、もう十分だろう。それなのに、どうしてそんなに勉強勉強勉強勉強。
明寺はまた机に体を預ける。
そのときに起きた風で答案用紙が飛んでいくが、そんなことはどうでもいいらしい。数枚の紙がはらりと床に落ちて、拾った奴らはヒソヒソ話を開始する。
「見られてんぞ」
「いいよ、私の知性に恐れおののけばいい」
「お前……。そんなだから友達できねぇんだぞ」
「余計なお世話です」
本っっ当に生意気な奴だ。考え方も偏ってるし、口から出る言葉は不満か皮肉。
何がそんなに気に入らねぇんだ。
いや、それはわかってる。オレが嫌なんだ。1位のオレが憎いのだ。
「勉強ができたっていいことないぞ。それだけじゃ十代目のお役に立てやしねぇ」
「知らないよ。私にお守りすべき十代目はいないもん」
「そうじゃなくて。勉強だけじゃ、将来の夢とか、趣味とか、大事な誰かのためにならない…………」
……ふと寒気がして、オレは言葉を止めた。
オレだって、そんなこと考えて生きていなかった。目標なんてなくて、守るものなんてなくて、喧嘩ばかり強くなって。
自分で言っておいて耳が痛い。自分のできないことをなに人に偉そーに言ってんだよ。
「今の撤回」
「え?」
「オレが言える立場じゃねえわ」
明寺はオレの言っている意味がわからなかったのか、ポカンとしている。
「何言ってるの。できてるのに」
は?何言ってんだ?
いじけていたと思ったら、いきなり真顔になって。
こいつは昔のオレなんて、いや、今のオレすら知らないくせに。
「獄寺君、沢田君と一緒にいるとき以外も楽しそうだよ。山本君とか緑中の子とか小さい子とか。SFの話も好きだよね」
「…………」
「大事な物、いっぱいあるじゃんか」
別に、野球バカとかアホ女とかアホ牛とかを大事だとは思ってねーけど。
明寺はいたって真剣なようで、オレの目をじっと見つめている。一体どうしたってんだよ。
「それに比べて私は、友達いないし趣味もないしひねくれてるし、そう言われても仕方ないな」
「……………」
「でも、勉強だけはやったらやったぶん評価がもらえて、褒められて」
「……」
「楽しいんだ。だからそのアイデンティティくらい一番でいたいの。私の一番大切なものなの!だから譲れー!」
「そこは自力で頑張れよ!」
「うぅ、けちー」
拗ねたのかなんなのか、謎のけちコールを始める明寺。
どう見たってこれが成績優秀なヤツには見えない。
というか、今の言い方だと勉強以外何も楽しくないってことだろ?本当かよ。
「辛くねーのかよ」
「ん……?」
「勉強しかないなんて、いつか限界が来るだろ」
「だから今その限界が来てるんでしょ、あなたのせいで。はーつらいつらい」
オレが悪いってのか。
確かに、オレが来てからコイツの生活は変わってしまったのかもしれない。今までは、頭脳明晰だとチヤホヤされていたのかもしれない。
だからって、オレが悪いわけじゃないだろ。オレを超えられなかったのは、コイツの実力だ。
……それとも、今とても不満げなコイツは、オレが1位の座から降りれば機嫌が良くなんのか?
「わーったよ、次のテストで手ぇ抜きゃいいんだろ」
「えっ」
これ以上会話を続けてても進歩がない。そこでオレは妥協してみることにした。ガッコの勉強なんか実のところどうでもいい。一回負けてみてやろうじゃねーか。
明寺がそれで満足するなら解決だ。
「待ってよ、なんでそんなことするの」
「1位になりたいんだろ?」
「でも、それは違うと思うんだけど」
「何がだよ」
まだこれでも文句があんのかよ。
もう相手にしてらんねえ、てか、今までなんで相手にしてきたんだ?
テストが返却される度に喧嘩ふっかけてくるような奴を。
「本気でやってくれた獄寺君に勝たないと意味がないの」
「それじゃいつまで経っても勝てねーだろ」
「それでもいいから」
「1位じゃなきゃ嫌なんじゃないのかよ」
「だけど……」
だけど……、なんだよ。
明寺はそのまま俯いて、動きを止めた。
これで終わりか。
もう明寺に話しかけられることもない。二度と話す用事もない。
「私、勉強が好きなの」
明寺は俯いたまま、絞り出すように言った。
「勉強すればするほどできるようになるから」
「そうだな」
「でも、それは最近のことで」
「は?」
勉強を好きになったのが最近?
成績はこいつの生き甲斐なんじゃなかったのかよ。
先ほどまでの会話と噛み合わない。
「本当は2位でもいいんだよ、2位にはなれるようにって、勉強して……」
「なに言って」
どんどん自分の考えを否定していく。
一体どういうことなんだよ。2位でいいだ?よくねえだろ、こいつが1位を目指さないなんて。
「お前いい加減にしろよ、うだうだうだうだ…」
「だって2位になれば、会話ができるから」
明寺は俯いていた顔を上げ、涙目でオレを睨みつけた。
……ん?
「だって勉強くらいしか接点がないんだもん!だから勉強できるようになりたいし、もっとたくさん話がしたいし」
「ちょっ、待てお前それどういう…」
「だから、次も本気出してよ……!」
「おい!」
涙声で喋り続ける明寺にオレが怒鳴って制止をかけると、明寺の瞳が揺れた。
やべ、泣くか?
「お、おい…」
「何」
「泣くんじゃねえよ」
「泣いてない」
「泣きそうだろ」
「泣かない」
「じゃあなんでそんな情けねえ顔してんだよ」
「してません。何そんなに動揺してるの」
お前が泣きそうだからだろ。
そんな文句を言うにも頭の処理が追いつかねえ。
一方の明寺は俺を睨み続けているが、全く迫力がない。
なんのつもりなんだよ。こいつさっき何言った?
「2位になれば、会話ができる」
「……」
「もっとたくさん話がしたい」
「…………………」
「……誰とだよ」
「知らない」
「なんのつもりだよ」
「察してみれば?頭いいんだから」
「察しろってなあ……」
いや、わかってる。
めちゃくちゃだけど、何考えてんのか訳わかんねーけど。こいつの言った言葉の真意は本当はわかっている。
でも、どうしたらいいのかわからねえ。
「お前はなんて言って欲しいんだよ」
「それもわかってるでしょ?頭いいんだから」
「そんなのわかるわけ……」
「ハッキリすればいいんだよ!迷惑なんでしょ?毎回毎回私がちょっかいかけてくるの!」
このインテリ馬鹿っ!
そう言って再び机に突っ伏した明寺は、わかるように声をあげて泣いた。
なんだなんだ、とこちらに視線が集まるが、もうそんなのどうでもいい。
やっぱりこいつ、本当にひねくれものだ。遠回しでわがままで卑屈で。こんな形でしか本心が出てこねえ。
こんなんじゃ、相手が馬鹿だったら伝わらねえんじゃねーか?
「……っし、正解をくれてやる」
「え?」
それでもオレは答えられるはずだ。すげえ不本意だし、無理矢理引きずり出されたような答えだけど。
「二度と言わねーからしっかり聞けよ」
明寺の耳元で答えを呟けば、真っ赤な顔して動かなくなった。
「おっしゃるとおり、完敗です……」
テストの答案用紙をパラパラと机の上に散らばして、その上に突っ伏す明寺。
机の上のそれには丸が沢山ついている。どれも高得点だ。が、それぞれが少しずつオレの点数に及ばない。
今回も勝ってしまった。
テストの点数で勝ち負けなんかつけても意味ねーけど、明寺は自分の有り様を「負け」と称する。
勝ち負けなんてつけるから、こんなに落ち込むんだろーに。
「次は負けませんから」
「悔しかったら1つでも満点取ってみろ」
「人間必ずミスはします」
「そうやって言い訳してっからうまく行かないんだろ」
「…………」
言い返せなくなって黙り込む明寺に、「勉強教えてやろうか」なんて皮肉混じりで言ってみたら、恨めしそうに睨みつけられた。
人がせっかく相手してやってんだから、有り難く思えよ。全くムカつく奴。
だいたい初対面のときだって、「私、あなたが来るまで成績一位だったの」なんて、いきなり言い出して。威嚇オーラ全開の明寺にダイナマイトを放とうとするオレを、十代目が止めてくださったことを覚えている。
「別に1位じゃなくたっていいだろ」
「やだ、1位がいい」
「なんでそんなにこだわるんだよ」
そうだ。どうしてそんなにこだわるんだ?
別に、今の段階で勉強ができていない訳でもない。目当ての高校に進学したいだけなら、もう十分だろう。それなのに、どうしてそんなに勉強勉強勉強勉強。
明寺はまた机に体を預ける。
そのときに起きた風で答案用紙が飛んでいくが、そんなことはどうでもいいらしい。数枚の紙がはらりと床に落ちて、拾った奴らはヒソヒソ話を開始する。
「見られてんぞ」
「いいよ、私の知性に恐れおののけばいい」
「お前……。そんなだから友達できねぇんだぞ」
「余計なお世話です」
本っっ当に生意気な奴だ。考え方も偏ってるし、口から出る言葉は不満か皮肉。
何がそんなに気に入らねぇんだ。
いや、それはわかってる。オレが嫌なんだ。1位のオレが憎いのだ。
「勉強ができたっていいことないぞ。それだけじゃ十代目のお役に立てやしねぇ」
「知らないよ。私にお守りすべき十代目はいないもん」
「そうじゃなくて。勉強だけじゃ、将来の夢とか、趣味とか、大事な誰かのためにならない…………」
……ふと寒気がして、オレは言葉を止めた。
オレだって、そんなこと考えて生きていなかった。目標なんてなくて、守るものなんてなくて、喧嘩ばかり強くなって。
自分で言っておいて耳が痛い。自分のできないことをなに人に偉そーに言ってんだよ。
「今の撤回」
「え?」
「オレが言える立場じゃねえわ」
明寺はオレの言っている意味がわからなかったのか、ポカンとしている。
「何言ってるの。できてるのに」
は?何言ってんだ?
いじけていたと思ったら、いきなり真顔になって。
こいつは昔のオレなんて、いや、今のオレすら知らないくせに。
「獄寺君、沢田君と一緒にいるとき以外も楽しそうだよ。山本君とか緑中の子とか小さい子とか。SFの話も好きだよね」
「…………」
「大事な物、いっぱいあるじゃんか」
別に、野球バカとかアホ女とかアホ牛とかを大事だとは思ってねーけど。
明寺はいたって真剣なようで、オレの目をじっと見つめている。一体どうしたってんだよ。
「それに比べて私は、友達いないし趣味もないしひねくれてるし、そう言われても仕方ないな」
「……………」
「でも、勉強だけはやったらやったぶん評価がもらえて、褒められて」
「……」
「楽しいんだ。だからそのアイデンティティくらい一番でいたいの。私の一番大切なものなの!だから譲れー!」
「そこは自力で頑張れよ!」
「うぅ、けちー」
拗ねたのかなんなのか、謎のけちコールを始める明寺。
どう見たってこれが成績優秀なヤツには見えない。
というか、今の言い方だと勉強以外何も楽しくないってことだろ?本当かよ。
「辛くねーのかよ」
「ん……?」
「勉強しかないなんて、いつか限界が来るだろ」
「だから今その限界が来てるんでしょ、あなたのせいで。はーつらいつらい」
オレが悪いってのか。
確かに、オレが来てからコイツの生活は変わってしまったのかもしれない。今までは、頭脳明晰だとチヤホヤされていたのかもしれない。
だからって、オレが悪いわけじゃないだろ。オレを超えられなかったのは、コイツの実力だ。
……それとも、今とても不満げなコイツは、オレが1位の座から降りれば機嫌が良くなんのか?
「わーったよ、次のテストで手ぇ抜きゃいいんだろ」
「えっ」
これ以上会話を続けてても進歩がない。そこでオレは妥協してみることにした。ガッコの勉強なんか実のところどうでもいい。一回負けてみてやろうじゃねーか。
明寺がそれで満足するなら解決だ。
「待ってよ、なんでそんなことするの」
「1位になりたいんだろ?」
「でも、それは違うと思うんだけど」
「何がだよ」
まだこれでも文句があんのかよ。
もう相手にしてらんねえ、てか、今までなんで相手にしてきたんだ?
テストが返却される度に喧嘩ふっかけてくるような奴を。
「本気でやってくれた獄寺君に勝たないと意味がないの」
「それじゃいつまで経っても勝てねーだろ」
「それでもいいから」
「1位じゃなきゃ嫌なんじゃないのかよ」
「だけど……」
だけど……、なんだよ。
明寺はそのまま俯いて、動きを止めた。
これで終わりか。
もう明寺に話しかけられることもない。二度と話す用事もない。
「私、勉強が好きなの」
明寺は俯いたまま、絞り出すように言った。
「勉強すればするほどできるようになるから」
「そうだな」
「でも、それは最近のことで」
「は?」
勉強を好きになったのが最近?
成績はこいつの生き甲斐なんじゃなかったのかよ。
先ほどまでの会話と噛み合わない。
「本当は2位でもいいんだよ、2位にはなれるようにって、勉強して……」
「なに言って」
どんどん自分の考えを否定していく。
一体どういうことなんだよ。2位でいいだ?よくねえだろ、こいつが1位を目指さないなんて。
「お前いい加減にしろよ、うだうだうだうだ…」
「だって2位になれば、会話ができるから」
明寺は俯いていた顔を上げ、涙目でオレを睨みつけた。
……ん?
「だって勉強くらいしか接点がないんだもん!だから勉強できるようになりたいし、もっとたくさん話がしたいし」
「ちょっ、待てお前それどういう…」
「だから、次も本気出してよ……!」
「おい!」
涙声で喋り続ける明寺にオレが怒鳴って制止をかけると、明寺の瞳が揺れた。
やべ、泣くか?
「お、おい…」
「何」
「泣くんじゃねえよ」
「泣いてない」
「泣きそうだろ」
「泣かない」
「じゃあなんでそんな情けねえ顔してんだよ」
「してません。何そんなに動揺してるの」
お前が泣きそうだからだろ。
そんな文句を言うにも頭の処理が追いつかねえ。
一方の明寺は俺を睨み続けているが、全く迫力がない。
なんのつもりなんだよ。こいつさっき何言った?
「2位になれば、会話ができる」
「……」
「もっとたくさん話がしたい」
「…………………」
「……誰とだよ」
「知らない」
「なんのつもりだよ」
「察してみれば?頭いいんだから」
「察しろってなあ……」
いや、わかってる。
めちゃくちゃだけど、何考えてんのか訳わかんねーけど。こいつの言った言葉の真意は本当はわかっている。
でも、どうしたらいいのかわからねえ。
「お前はなんて言って欲しいんだよ」
「それもわかってるでしょ?頭いいんだから」
「そんなのわかるわけ……」
「ハッキリすればいいんだよ!迷惑なんでしょ?毎回毎回私がちょっかいかけてくるの!」
このインテリ馬鹿っ!
そう言って再び机に突っ伏した明寺は、わかるように声をあげて泣いた。
なんだなんだ、とこちらに視線が集まるが、もうそんなのどうでもいい。
やっぱりこいつ、本当にひねくれものだ。遠回しでわがままで卑屈で。こんな形でしか本心が出てこねえ。
こんなんじゃ、相手が馬鹿だったら伝わらねえんじゃねーか?
「……っし、正解をくれてやる」
「え?」
それでもオレは答えられるはずだ。すげえ不本意だし、無理矢理引きずり出されたような答えだけど。
「二度と言わねーからしっかり聞けよ」
明寺の耳元で答えを呟けば、真っ赤な顔して動かなくなった。
1/1ページ