アビス短編集
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私は、壁を作るのが得意だ。
昔からそうだった。
例えば、一回イヤミを言われたら、1センチ。
陰で人の悪口を言ってたら、5センチくらい?
面と向かって嫌いと言われれば、もう無限大。
私は、自分と人との間に壁を作って、それ以上は近寄らない、近寄らせない。そんな風に生きてきた。
作った壁はなくならない。あいだに厚い壁ができた人とは、一生喜びを分かちあうこともないだろう。
そうやって、傷つかないようにしてきた。
だってほら、あの人は、陰でほかの人の悪口言ってる。
あの人は、初めて会ったとき私のこと「なんか暗そう」って言ったもの。
信頼なんて、できない。
極端だって事はわかってる。
本当は、仲直りして、深まる絆もあるんだよね。
本音で言い合って喧嘩する愛情もあるんだよね。
でも私は、残念ながら違う。
傷つく前に 離れないと。私は打たれ弱いから。
「なぁ、菜真絵」
私が物思いにふけっていると、赤い髪の少年が話しかけてきた。
まだ少しあどけなさの残るその顔は、こちらの表情を窺っているようだ。
安心させるために笑ってみると、彼は大きくはにかんで私の隣に腰掛けた。
「何か用ですか?ルークさん」
私の隣で空を見つめている少年に、問いかける。
すると、何故か彼の表情が険しくなった。
「呼び捨てでいいのに」
「私がそう呼びたいんです」
「…………」
しばらく沈黙が続いた後、彼は再び空を見た。それにつられて、私も空を見る。
空を見るのは好きだ。こうしていれば、会話が無くても時間が過ぎる。
「やっぱり、まだ許してくれてないんだな」
「え?」
「だって俺が隣に座ってから、表情一つ変えてないだろ?」
赤髪の少年が、よくわからない話を始める。一体、なんのことだろう。
「許してないって、何のことですか?」
「アクゼリュスの事だよ」
アクゼリュスって、彼が崩落させた、あのアクゼリュスのことだよね。
確かに、あのときの彼の発言で、私は彼との間に厚い壁を作った。
だけど、許す許さないの問題でもないと思う。だって彼は私に直接危害を加えたわけじゃないし、私に彼を罪に問う資格などないから。
でも彼は、許していないと思っているみたいだ。
「そんなことを言う為に、話しかけてきたんですか」
「そういう訳じゃねえけど……」
「じゃあ、変なこと言わないでください」
「変なことって……、俺はこれでも真剣に考えてるんだぜ?」
「変なことは変なことです」
だって、私はルークさんのことを恨んでなんかいないんだから。
「俺と菜真絵の間に壁があるような気がしてさ」
「あなたに近寄ると、傷つくような気がしますから」
「……やっぱり、許してねーじゃん」
「そんなことないですよ」
「いや、お前は俺を嫌ってる」
なんで?
私がいいって言ってるのに、ひどい。
私が壁を作るのは、深入りして傷つくのを防ぐためで、好きとか嫌いとか、そういう話じゃない。
完全に私の都合なんだ。それを彼が気にする必要なんてない。
「ずいぶんと勝手なお考えで」
「……何がだよ」
「あなたの考え方は違うと言っているんです」
「そうかよっ!」
「っ!?」
ドンッっと音を立てて、ルークさんが立ち上がった。
怒りの形相でこちらを見て、その後、すごく悲しそうな顔をした。
「俺、ちょっと期待してたんだけどさ、やっぱり違ったんだよな。もう諦めるから。迷惑かけて、ごめん」
「ルーク、さん……?」
何を期待してたの?
諦めるって何?
なんで謝るの?
訳がわからないけれど、彼は落ち込んでいるようだった。
去っていくその背中が、とても小さい。
「……壁があるってわかってるならさ」
彼には、嫌われたかもしれない。
そう思うとやるせなくなって、とてもかなしくなって。
「そのぶん、壊してくれればいいのに」
つい、本音が声に出た。
昔からそうだった。
例えば、一回イヤミを言われたら、1センチ。
陰で人の悪口を言ってたら、5センチくらい?
面と向かって嫌いと言われれば、もう無限大。
私は、自分と人との間に壁を作って、それ以上は近寄らない、近寄らせない。そんな風に生きてきた。
作った壁はなくならない。あいだに厚い壁ができた人とは、一生喜びを分かちあうこともないだろう。
そうやって、傷つかないようにしてきた。
だってほら、あの人は、陰でほかの人の悪口言ってる。
あの人は、初めて会ったとき私のこと「なんか暗そう」って言ったもの。
信頼なんて、できない。
極端だって事はわかってる。
本当は、仲直りして、深まる絆もあるんだよね。
本音で言い合って喧嘩する愛情もあるんだよね。
でも私は、残念ながら違う。
傷つく前に 離れないと。私は打たれ弱いから。
「なぁ、菜真絵」
私が物思いにふけっていると、赤い髪の少年が話しかけてきた。
まだ少しあどけなさの残るその顔は、こちらの表情を窺っているようだ。
安心させるために笑ってみると、彼は大きくはにかんで私の隣に腰掛けた。
「何か用ですか?ルークさん」
私の隣で空を見つめている少年に、問いかける。
すると、何故か彼の表情が険しくなった。
「呼び捨てでいいのに」
「私がそう呼びたいんです」
「…………」
しばらく沈黙が続いた後、彼は再び空を見た。それにつられて、私も空を見る。
空を見るのは好きだ。こうしていれば、会話が無くても時間が過ぎる。
「やっぱり、まだ許してくれてないんだな」
「え?」
「だって俺が隣に座ってから、表情一つ変えてないだろ?」
赤髪の少年が、よくわからない話を始める。一体、なんのことだろう。
「許してないって、何のことですか?」
「アクゼリュスの事だよ」
アクゼリュスって、彼が崩落させた、あのアクゼリュスのことだよね。
確かに、あのときの彼の発言で、私は彼との間に厚い壁を作った。
だけど、許す許さないの問題でもないと思う。だって彼は私に直接危害を加えたわけじゃないし、私に彼を罪に問う資格などないから。
でも彼は、許していないと思っているみたいだ。
「そんなことを言う為に、話しかけてきたんですか」
「そういう訳じゃねえけど……」
「じゃあ、変なこと言わないでください」
「変なことって……、俺はこれでも真剣に考えてるんだぜ?」
「変なことは変なことです」
だって、私はルークさんのことを恨んでなんかいないんだから。
「俺と菜真絵の間に壁があるような気がしてさ」
「あなたに近寄ると、傷つくような気がしますから」
「……やっぱり、許してねーじゃん」
「そんなことないですよ」
「いや、お前は俺を嫌ってる」
なんで?
私がいいって言ってるのに、ひどい。
私が壁を作るのは、深入りして傷つくのを防ぐためで、好きとか嫌いとか、そういう話じゃない。
完全に私の都合なんだ。それを彼が気にする必要なんてない。
「ずいぶんと勝手なお考えで」
「……何がだよ」
「あなたの考え方は違うと言っているんです」
「そうかよっ!」
「っ!?」
ドンッっと音を立てて、ルークさんが立ち上がった。
怒りの形相でこちらを見て、その後、すごく悲しそうな顔をした。
「俺、ちょっと期待してたんだけどさ、やっぱり違ったんだよな。もう諦めるから。迷惑かけて、ごめん」
「ルーク、さん……?」
何を期待してたの?
諦めるって何?
なんで謝るの?
訳がわからないけれど、彼は落ち込んでいるようだった。
去っていくその背中が、とても小さい。
「……壁があるってわかってるならさ」
彼には、嫌われたかもしれない。
そう思うとやるせなくなって、とてもかなしくなって。
「そのぶん、壊してくれればいいのに」
つい、本音が声に出た。