アビス短編集
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「ガーイさんっ!」
「うわわわわっ!?」
背中に重みがのしかかり、全身に寒気が走る。
誰かが後ろから抱きついてきたようだ。
いや、彼女はまぎれもなく俺の愛しい女性、菜真絵なのだが……
「だめですねえ。これじゃあ女性恐怖症克服の道は遠いですよ?」
「急かさないでくれっていつも言ってるだろ?」
無理矢理に菜真絵をひきはがすと、不服そうに後ろに下がった。
「すみませんでしたぁー」
菜真絵は拗ねた様子で頬をふくらませている。表情だけ見ると、小動物みたいで可愛らしい。
「で、俺に何の用だい?」
「え?」
彼女はたまに、こうしてスキンシップを図ろうとしてくる。しかし、常にこの調子というわけでもない。むしろ普段は気を使って離れていてくれることが多いのだが。
機嫌が良いのか悪いのか。理由はわからないが、何か思うところがあるというサインなのだろう。
「何か用があったんじゃないのか?」
「んー……」
俺じゃなく、全く別の方向を見て悩む菜真絵。言い淀むような事が、俺達二人の間にあっただろうか。
とりあえず、顔の向きを正すよう促してみる。
「おいおい、ちゃんとこっち見て話せよ?」
すると、菜真絵はしかめっつらになって俺に告げた。
「ガイさんの、いじわる」
「おいおいおいおい!?」
一体、今の会話のどこにいじわるな要素があったんだ!?
「察しが悪いですね!才能ない!」
「わかるように説明してくれ!」
菜真絵はいきなり怒り出した。
わけがわからない。彼女にその自覚はあるみたいだが。
俺がきょとんとしていると、しびれをきらしたかのように、彼女は咳払いをひとつ。
「構って欲しいなんて、口で言えるわけないじゃないですか」
「え?」
構って欲しかった?
真っ赤になって手をブンブン振る菜真絵。
「だってガイさん、一緒にいるのにこっち見てなくて、なんて声かけたらいいかわからなくて……。無理だってわかってますけど、でも」
菜真絵は、一人で言い訳を続けている。
……つまるところ、寂しかったという訳だ。
普段距離を置いている分、不安にさせていたのかもしれない。
「ごめんな。気付いてやれなくて」
「え、いや」
「色々考えてくれたのに、怖がっちまって」
「そんな!私はお話ができればそれで……」
菜真絵は急に申し訳なさそうにする。どうやら、気を遣わせたと思っているらしい。
「いいんです、ガイさん。迷惑かけてすみませんでした」
そう言ってにっこり笑う菜真絵。
本当はこんなとき、抱き寄せてキスのひとつでもしてやりたいが、俺にはできない。
思わず彼女へ手を伸ばしかけるが、体がダメだ、と動きを止める。
なんて俺は情けないんだ。
「その、さ、俺・・・」
おどおどと喋りかける俺に、菜真絵は慌てて返事を返す。
「いいですってガイさん!私がわがままなんですから!」
やっぱり、情けない。
俺のせいで気を使わせて、俺のせいで寂しい想いをさせて。
頼ってほしいのに、頼りない自分。
このままじゃどんなに時間をかけても、距離を縮めることができない。
「気を遣ってくれなくてもいいんですよ」
「気を遣っているのは君の方じゃないか」
すべては俺が悪いのに、彼女は自分が我慢すればいいと言う。
でもそれは違う、俺が変わればいいはずなんだ。
「違いません!私がわがまま言っても、そうやって許してくれるじゃないですか。私も無理をされては困りますし……」
違う、違うんだ。
「無理なんかしてないさ、いや、無理してでも」
「……え?」
そうだ、無理してでも、俺は恐怖症を克服すべきなんだ。
いや、べきではなくって、俺は菜真絵に触れたい、抱きしめたいんだ。
「あの、ガイさん・・・?」
触れたい欲求と男としてのプライドが、衝動へと変わる。
恐怖心が、不思議と小さくなってゆく。
「菜真絵、俺は……」
「え、あの、ちょっと、ガイさんっ!?」
身体の震えを溶かすように、伝わる体温。
次に俺が見たものは
真っ赤に頬を染めた菜真絵だった。
「うわわわわっ!?」
背中に重みがのしかかり、全身に寒気が走る。
誰かが後ろから抱きついてきたようだ。
いや、彼女はまぎれもなく俺の愛しい女性、菜真絵なのだが……
「だめですねえ。これじゃあ女性恐怖症克服の道は遠いですよ?」
「急かさないでくれっていつも言ってるだろ?」
無理矢理に菜真絵をひきはがすと、不服そうに後ろに下がった。
「すみませんでしたぁー」
菜真絵は拗ねた様子で頬をふくらませている。表情だけ見ると、小動物みたいで可愛らしい。
「で、俺に何の用だい?」
「え?」
彼女はたまに、こうしてスキンシップを図ろうとしてくる。しかし、常にこの調子というわけでもない。むしろ普段は気を使って離れていてくれることが多いのだが。
機嫌が良いのか悪いのか。理由はわからないが、何か思うところがあるというサインなのだろう。
「何か用があったんじゃないのか?」
「んー……」
俺じゃなく、全く別の方向を見て悩む菜真絵。言い淀むような事が、俺達二人の間にあっただろうか。
とりあえず、顔の向きを正すよう促してみる。
「おいおい、ちゃんとこっち見て話せよ?」
すると、菜真絵はしかめっつらになって俺に告げた。
「ガイさんの、いじわる」
「おいおいおいおい!?」
一体、今の会話のどこにいじわるな要素があったんだ!?
「察しが悪いですね!才能ない!」
「わかるように説明してくれ!」
菜真絵はいきなり怒り出した。
わけがわからない。彼女にその自覚はあるみたいだが。
俺がきょとんとしていると、しびれをきらしたかのように、彼女は咳払いをひとつ。
「構って欲しいなんて、口で言えるわけないじゃないですか」
「え?」
構って欲しかった?
真っ赤になって手をブンブン振る菜真絵。
「だってガイさん、一緒にいるのにこっち見てなくて、なんて声かけたらいいかわからなくて……。無理だってわかってますけど、でも」
菜真絵は、一人で言い訳を続けている。
……つまるところ、寂しかったという訳だ。
普段距離を置いている分、不安にさせていたのかもしれない。
「ごめんな。気付いてやれなくて」
「え、いや」
「色々考えてくれたのに、怖がっちまって」
「そんな!私はお話ができればそれで……」
菜真絵は急に申し訳なさそうにする。どうやら、気を遣わせたと思っているらしい。
「いいんです、ガイさん。迷惑かけてすみませんでした」
そう言ってにっこり笑う菜真絵。
本当はこんなとき、抱き寄せてキスのひとつでもしてやりたいが、俺にはできない。
思わず彼女へ手を伸ばしかけるが、体がダメだ、と動きを止める。
なんて俺は情けないんだ。
「その、さ、俺・・・」
おどおどと喋りかける俺に、菜真絵は慌てて返事を返す。
「いいですってガイさん!私がわがままなんですから!」
やっぱり、情けない。
俺のせいで気を使わせて、俺のせいで寂しい想いをさせて。
頼ってほしいのに、頼りない自分。
このままじゃどんなに時間をかけても、距離を縮めることができない。
「気を遣ってくれなくてもいいんですよ」
「気を遣っているのは君の方じゃないか」
すべては俺が悪いのに、彼女は自分が我慢すればいいと言う。
でもそれは違う、俺が変わればいいはずなんだ。
「違いません!私がわがまま言っても、そうやって許してくれるじゃないですか。私も無理をされては困りますし……」
違う、違うんだ。
「無理なんかしてないさ、いや、無理してでも」
「……え?」
そうだ、無理してでも、俺は恐怖症を克服すべきなんだ。
いや、べきではなくって、俺は菜真絵に触れたい、抱きしめたいんだ。
「あの、ガイさん・・・?」
触れたい欲求と男としてのプライドが、衝動へと変わる。
恐怖心が、不思議と小さくなってゆく。
「菜真絵、俺は……」
「え、あの、ちょっと、ガイさんっ!?」
身体の震えを溶かすように、伝わる体温。
次に俺が見たものは
真っ赤に頬を染めた菜真絵だった。
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