新たなΨ難? 季節外れの転校生
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「お昼、ご一緒してもいい?」
「私、夢原知予。この学校でわからないことがあったら、なんでも聞いてね!」
案の定、明寺さんが照橋さんと夢原さんに目をつけられた。
(この子、斉木と仲がいいみたいなのよね……)
(昨日海藤君と一緒にご飯食べてたよね)
理由はこの通りだ。
確かにここ2日間、明寺さんは僕や3馬鹿、才虎としか話をしていない。そのせいで彼女達に「恋敵予備軍」と認識されてしまったようだ。
これまた面倒なことになったな。照橋さんを敵に回したら、その後の未来は無いに等しい。さて、明寺さんはどう出るか。
「おっふ」
おっふ?
「まさかお二人に声をかけていただけるなんて……嬉しいです!ありがとうございます!」
「う、うん……?」
明寺さんは模範的なここみんズ会員のようにひれ伏して、涙を流した。
いくらなんでも喜びすぎだろ。たかが昼食だぞ。
(今までこの力のせいで、みんなから避けられてきたから……。女の子とお昼ご飯なんて、何年ぶりだろう)
なるほど、そういうことか。しかし残念だが、今回は君の期待通りにはならないかもしれない。
(でも待って。都合が良すぎる。なにか裏があるんじゃ……)
その通り。二人は君と想い人との関係を探りに来ているだけなのだ。
(だったら、なんのために話しかけてきたんだろう?……聞いてみるしかないよね)
「何が目的だ?」
「「えっ」」
いやいやいや。その言い方はないだろ。コミュ障か。
どうやら、友達が出来ないのは超能力のせいだけではないらしい。いや、人付き合いをしないからこそ、こじらせてしまったのか?
「目的なんてそんな……」
「仲良くなりたいと思って……」
「私も仲良くしたいです!」
「う、うん」
(変わった子だなぁ……)
(ちょっと調子狂うかも)
早速嫌われかけてるぞ。
とはいえ、照橋さんも夢原さんも、目的を達成するまで引くはずがない。3人はそのまま机を組み換え、奇妙な女子会を始めた。
(何から聞けば、自然に斉木の話ができるかしら……)
(いきなり切り出したら逆に意識させちゃうもんね。ここは自然に!)
「学校にはもう慣れた?」
「え?うーん、まだまだかな」
「そ、そうだよね〜」
(うーん、ごめん、失敗かも)
(仕方ないわ。明寺さん、緊張してるみたいだし)
おいそこ、ナチュラルにテレパシーで会話するんじゃない。
「でも、ちょっとずつなら慣れてきてるよ」
「なら、気になる男の子とかできた?」
「わ〜私も気になる〜!」
唐突に女子会らしい会話に移行した。明寺さんに好きな人がいれば、恋敵にはならないという理論か。
「まだ転校してきたばっかりだよ?」
「カッコいいなって思う人でもいいから!」
転校3日目で想い人を見つけるなど、普通に考えれば無理な話だ。
明寺さんは心底困った様子で、教室を見回した。ふいに僕と目が合う。おい、やめろ。僕の名前は出すなよ。
「やっぱり、いないかな(なんか斉木君変な顔してた……)」
良かった。伝わったか。
「(このままじゃ埓があかない。よーし!)なら、海藤君と斉木君は?仲良くしてるみたいだし」
(直接行った!!勇気あるわね、知予!)
急に話が飛んだな。
しかしまずい。明寺さんが地雷を踏む可能性もある。
「確かに、とっても仲良くしてもらってます。でも、そんな目で見るなんて恐れ多いよ……」
はい、踏みましたー。
恐れ多いって何だ。僕達は神か何かか。
((殺す!!!))
最悪の回答をした明寺さんに、惜しみない殺意が送られる。
(殺す?殺すって言われた!なんで?)
そこだけテレパシーで聞こえたのか。
断片的に心の声がわかるというのも、不便な能力だ。助け舟を出したいところだが、僕は超能力で知り得た事は、人に言わないことにしている。自力で争いを回避してくれると有り難いのだが……。
(私、そんなにおかしいこと言った?)
(2人と仲良くしてるっていうのが、ダメなのかな)
いいぞ。その調子だ。
(いいの?合ってるの?斉木君)
しまった。僕の心の声が届いてしまったか。これからは心の声も慎まないとな。
(私が2人を好いちゃだめ…………)
(もしかして、照橋さんと夢原さんのどっちかが、あの2人を好きなのかな?)
よくやった!
万年ぼっちの割には、優れた洞察力をしているじゃないか。
(そうだとして、どうやって言い訳したらいいんだろう?)
明寺さんが顎に手を当てたその時、空からホットプレートが降ってきた。相当悩んでいたからな。体にも力が入ってしまったのだろう。
しかし、ホットプレートは明寺さんの頭部に辿り着く前に、窪谷須の手に納められた。偶然気づいて駆けつけてきたらしい。さすがの運動神経だ。
「窪谷須君……!ありがとう!あ、あの、えっと、何かお礼、」
「これくらい当然だから気にすんなよ」
「ありがとう……」
頬を紅く染め、微笑む明寺さん。爽やかにグーサインを見せる窪谷須。
この光景を見て、女性陣は何かを感じ取ったようだ。
「今の、すごくいい感じじゃなかった!?」
「なんだ、もう相手がいたのね」
「えっ(なんて都合のいい解釈……)」
窪谷須と明寺さんの関係をつつく照橋さんと夢原さん。一方の明寺さんは、なにやら意気込むように大きく息を吸い始めた。
何をするつもりだ?
(でも、これは願ってもいないチャンス!よーし、)
「やめてよ、そういうんじゃないって!ほ、ほら、向こうにも迷惑でしょ!」
(必殺、満更でもない態度!!)
窪谷須のことを好きだと思わせて、争いを避けるのか。さっき「何の用だ?」と言った奴とは思えないくらい、器用なことをするんだな。
(イメトレに使った少女漫画が役に立った……。漫画って結構リアルに描かれてるんだ)
いや、そんなことはない。気をつけて読んだほうがいいぞ。
しかし、少女漫画でイメージトレーニングをしていたのか。なんというか、なかなか、寂しいな。
さて、明寺さんの満更でもない態度が功を奏し、照橋さんと夢原さんからの誤解を解くことに成功した。まあ、新たな誤解は増えたが。
「私、応援するよ!」
「声かけたかったらいつでも言ってね」
照橋さんと夢原さんは、完全に騙されてくれたようだ。それだけならよかったのだが、
(!?)
(明寺が俺のことを……?いや、ダチとしてだよな、そうに決まってる)
本人にも聞こえていたらしい。
やれやれ。ご愁傷様だ。僕に飛び火しなかっただけいいが、君もなかなかにΨ難を引き寄せる才能があるようだ。
まあ、僕ほどではないがな。
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