新たなΨ難? 季節外れの転校生
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「超能力?」
そうだ。
自覚がないからか発動タイミングを制御できていないが、超能力を使っていることは間違いない。
先程のタライが落ちてきた現象は、紛れもないテレポート/アポート能力。タライと何かを交換したのだ。千里眼で教室を見てみたら、高橋の財布が無くなったと騒ぎになっていた。
だからこそ、僕も自身の能力を隠すのをやめた。
「じゃあ、これまでのタライやマンボウは、みんな瞬間移動で呼び出していたってことですか……?」
マンボウって何だ。
どうやら彼女はこれまでにも、あらゆるものを頭上に召喚してきたらしい。
全く、壮絶な人生だ。
転校してきたのもそれが理由なのだろう。前の学校でも、トラブルを起こしたに違いない。と、なると、この学校にも災いをもたらす可能性がある。どうするべきか……。
キーンコーンカーンコーン
思考を張り巡らしている折、チャイムが鳴った。昼食の時間だ。さすがに戻らなければならないだろう。照橋さんが学校中に捜索をかける前に。
しかし、釘を刺すのを忘れてはならない。絶対に、僕が超能力者であるとバラしてはいけない、と。付け加えるなら、自分の事も超能力者と名乗ってはいけないと。
「えっ……?どうして?せっかく教えてもらったのに」
平穏な日常を送りたいからに決まっている。
つべこべ言わず黙っていろ。そう伝えるために、鉄パイプを折り曲げてみせた。すると明寺さんは、足を震わせて、悲鳴をあげる。
「ひっ……」
その瞬間、空からマンボウが降ってきた。明寺さんの頭に、ぐしゃりと音を立てて落ちる。うわぁ。と、うっかり僕も声を出してしまうほど、凄惨な光景だった。
明寺さんが泣き出す前に、マンボウを復元能力で元に戻す。そして、適当な近くの海に瞬間移動させた。しばらく固まっていた明寺さんだが、僕の行った一連の作業を理解したのか、顔色をみるみる明るくしていく。
「す、すごい!!全部元通りにしてくれるなんて……。ありがとう!!超能力者って本当なんだ!すごい!」
それほどでも。
しかし、事態は思ったよりも深刻だ。これから事あるごとにマンボウをスプラッタにされては、たまったものではない。
明寺さんの超能力は、本人も知ることのないブラックボックス。その能力の全貌を把握しなければ、僕が被害を未然に防ぐこともできないだろう。放課後、実験をして、今後のことを考えよう。
「うん。ありがとう。……私なんかのために、時間もらって」
君のためではない。あくまでも、僕の快適な環境のためだ。
放課後。いつも僕がトレーニングをしている土地へ、明寺さんを連れてきた。
「ここなら、安全に実験ができそうですね」
地図に載っていないからな。人っ子一人いない。
「そんな場所があるんですね」
明寺さんが僕の思考に返事をする。
やはりそうだ。テレパシーを送っていないにも関わらず、明寺さんに僕の考えていることが伝わっている。彼女が使用できる能力は、テレポート/アポートだけではないようだ。
「え、ずっと、喋っているものだとばかり……」
そもそも、明寺さんは思考を読み取っていることを自覚していないらしい。
それもそうか。自身が超能力者だと自覚していなければ、脳はテレパシーを普通の声として処理するだろう。加えて、いくつかの条件が揃わないと、テレパス能力は発動しないらしい。教室では、僕の思考を読み取っている様子はなかった。
この後の実験で明らかになったのだが、明寺さんのテレパシー発動範囲は50センチメートルとごく小さいものだった。しかも、それなりに強く念じないと聞こえないらしい。
明寺さん曰く、思念にも大きさが存在し、大きい声は聴き取ることができるが、小さい声は喧騒の中に紛れて聴こえない、ということだそうだ。
その後もこの土地で実験を重ねた。その度にタライやマンボウや明寺さんの制服が犠牲になりかけたが、僕がその事態を阻止し続けた。
以下、判明したことを簡潔にまとめる。
・テレパシー範囲はおよそ50cm。思念の大きさで聴き取れるかどうかが決まる。
・テレパシーを送ることも可能。(50cm以内)
・5センチ浮遊することができる。
・ほんの小さな種火を作れる。
・テレポート/アポートは1万円、半径300kmまで。
・念力で弱風を起こすことができる。
・念視は可能だが解像度が極めて低い。
・念写は可能だが絵のレベルが極めて低い。
・サイコメトリーは可能だが、2秒前までの残留思念しか読み取れない。
・透視は0.01ミリを透過させるのに1分かかる。
・好感度メーターは2値。
・小型化、透明化においては、肉眼では認識できない程度の変形・変色がみられた。
さて、色々と列挙したが、簡単にまとめよう。
明寺菜真絵の持つ超能力は、どれも極めて小さい。
僕のように自由に物を動かしたり、好きな場所へ飛んでいけるわけではない。むしろ日常の足枷となるレベルだ。
加えて、発動条件は「体に力を入れたとき」と、日常生活でも十分に起こりうるものであり、不意に発動させた場合、行使する能力は選べない。
これらの結果を見るに、この先明寺さんが災難を呼び寄せることは、もはや確定事項である。
やれやれ、面倒事がまた1つ増えてしまった。
だが、良い発見もあった。
「わあ、お花出せました!お花!イメージ通りに!」
この1日で、急激に超能力のコントロールができるようになったのだ。
やはり教師の有無は重要だ。僕は生まれて間もなく超能力を使いこなせるようになったが、平凡な人間の場合、勉強も運動も、他者の指導の元に実現される。
明寺さんは、至って普通の人間なのだ。それなのに、持て余す力を与えられ、災難に見舞われ続けている。彼女の人生には、僕ですら若干の同情を覚える。
「私、斉木君と出会えて良かったです。自分のこと、やっと理解できました。ありがとう」
明寺さんは大げさにお辞儀をして、僕に満面の笑みを向けた。明寺さんが手を差し出していたので、僕はそれを握り返した。
その瞬間、
「ぎゃああああああ」
明寺さんが悲鳴をあげた。
突然のことだったが、僕はテレパシーで何が起きたかを理解した。僕に対してのサイコメトリーが発動し、自分の裸が見えてしまったようだ。
と、いうか、今まで人間を触ったときはどうしていたんだ?
「この力が強くなったのが小学校高学年で、それ以降はみんなに避けられてたから人に触ってない、かな……?」
そんなに長い間人と接触していないのか。一体どんな生活をしてきたんだ。
しかし、これから握手をする度にサイコメトリーを起こされては迷惑だ。僕はテレポートで、明寺さんの使う手袋を買ってきた。
「くれるんですか……?ありがとうございます!」
目をキラキラさせて、明寺さんは手袋を受け取った。
「人からプレゼントを貰える日が来るなんて……」
勘違いするな。僕の平穏な日常のためだ。
しかし、この喜びよう。よっぽど人付き合いに飢えていたとみえる。鳥の雛のように僕の後ろをついて回ってくる。だが、学校でもこの調子では目立ってしまう。できればやめていただきたい。
僕がその旨を伝えると、明寺さんはしゅんとして、小さく頷いた。
「私と一緒だと、平穏が遠ざかっちゃいますもんね」
よくわかっているじゃないか。僕は極力目立ちたくないのだ。このような場を設けているのも、君が超能力を使いこなし、僕に迷惑をかけないようにするためだ。
「それって、使いこなせるようになるまで、練習に付き合ってくれるってことですか?」
あくまで使いこなせるようになるまでだがな。幸い、君は見捨てたくなるほど嫌なヤツではない。
「ありがとうございます!嬉しい……!」
明寺さんは目をキラキラさせて、何度も頭を下げる。
(斉木君、本当にいい人だなぁ。プレゼントもくれたし。あれ、なんだか山崎○人に見えてきた……)
しまった。
確かに、同じ超能力者だ。仲間意識がなかったといえば嘘になる。境遇に対して同情もした。
しかしこの感じ、まずい。嫌な予感がする。
恐る恐る好感度メーターの値を見てみれば、数値は82を指していた。
僕はとんだΨ難の多重苦を抱えてしまったようだ。
そうだ。
自覚がないからか発動タイミングを制御できていないが、超能力を使っていることは間違いない。
先程のタライが落ちてきた現象は、紛れもないテレポート/アポート能力。タライと何かを交換したのだ。千里眼で教室を見てみたら、高橋の財布が無くなったと騒ぎになっていた。
だからこそ、僕も自身の能力を隠すのをやめた。
「じゃあ、これまでのタライやマンボウは、みんな瞬間移動で呼び出していたってことですか……?」
マンボウって何だ。
どうやら彼女はこれまでにも、あらゆるものを頭上に召喚してきたらしい。
全く、壮絶な人生だ。
転校してきたのもそれが理由なのだろう。前の学校でも、トラブルを起こしたに違いない。と、なると、この学校にも災いをもたらす可能性がある。どうするべきか……。
キーンコーンカーンコーン
思考を張り巡らしている折、チャイムが鳴った。昼食の時間だ。さすがに戻らなければならないだろう。照橋さんが学校中に捜索をかける前に。
しかし、釘を刺すのを忘れてはならない。絶対に、僕が超能力者であるとバラしてはいけない、と。付け加えるなら、自分の事も超能力者と名乗ってはいけないと。
「えっ……?どうして?せっかく教えてもらったのに」
平穏な日常を送りたいからに決まっている。
つべこべ言わず黙っていろ。そう伝えるために、鉄パイプを折り曲げてみせた。すると明寺さんは、足を震わせて、悲鳴をあげる。
「ひっ……」
その瞬間、空からマンボウが降ってきた。明寺さんの頭に、ぐしゃりと音を立てて落ちる。うわぁ。と、うっかり僕も声を出してしまうほど、凄惨な光景だった。
明寺さんが泣き出す前に、マンボウを復元能力で元に戻す。そして、適当な近くの海に瞬間移動させた。しばらく固まっていた明寺さんだが、僕の行った一連の作業を理解したのか、顔色をみるみる明るくしていく。
「す、すごい!!全部元通りにしてくれるなんて……。ありがとう!!超能力者って本当なんだ!すごい!」
それほどでも。
しかし、事態は思ったよりも深刻だ。これから事あるごとにマンボウをスプラッタにされては、たまったものではない。
明寺さんの超能力は、本人も知ることのないブラックボックス。その能力の全貌を把握しなければ、僕が被害を未然に防ぐこともできないだろう。放課後、実験をして、今後のことを考えよう。
「うん。ありがとう。……私なんかのために、時間もらって」
君のためではない。あくまでも、僕の快適な環境のためだ。
放課後。いつも僕がトレーニングをしている土地へ、明寺さんを連れてきた。
「ここなら、安全に実験ができそうですね」
地図に載っていないからな。人っ子一人いない。
「そんな場所があるんですね」
明寺さんが僕の思考に返事をする。
やはりそうだ。テレパシーを送っていないにも関わらず、明寺さんに僕の考えていることが伝わっている。彼女が使用できる能力は、テレポート/アポートだけではないようだ。
「え、ずっと、喋っているものだとばかり……」
そもそも、明寺さんは思考を読み取っていることを自覚していないらしい。
それもそうか。自身が超能力者だと自覚していなければ、脳はテレパシーを普通の声として処理するだろう。加えて、いくつかの条件が揃わないと、テレパス能力は発動しないらしい。教室では、僕の思考を読み取っている様子はなかった。
この後の実験で明らかになったのだが、明寺さんのテレパシー発動範囲は50センチメートルとごく小さいものだった。しかも、それなりに強く念じないと聞こえないらしい。
明寺さん曰く、思念にも大きさが存在し、大きい声は聴き取ることができるが、小さい声は喧騒の中に紛れて聴こえない、ということだそうだ。
その後もこの土地で実験を重ねた。その度にタライやマンボウや明寺さんの制服が犠牲になりかけたが、僕がその事態を阻止し続けた。
以下、判明したことを簡潔にまとめる。
・テレパシー範囲はおよそ50cm。思念の大きさで聴き取れるかどうかが決まる。
・テレパシーを送ることも可能。(50cm以内)
・5センチ浮遊することができる。
・ほんの小さな種火を作れる。
・テレポート/アポートは1万円、半径300kmまで。
・念力で弱風を起こすことができる。
・念視は可能だが解像度が極めて低い。
・念写は可能だが絵のレベルが極めて低い。
・サイコメトリーは可能だが、2秒前までの残留思念しか読み取れない。
・透視は0.01ミリを透過させるのに1分かかる。
・好感度メーターは2値。
・小型化、透明化においては、肉眼では認識できない程度の変形・変色がみられた。
さて、色々と列挙したが、簡単にまとめよう。
明寺菜真絵の持つ超能力は、どれも極めて小さい。
僕のように自由に物を動かしたり、好きな場所へ飛んでいけるわけではない。むしろ日常の足枷となるレベルだ。
加えて、発動条件は「体に力を入れたとき」と、日常生活でも十分に起こりうるものであり、不意に発動させた場合、行使する能力は選べない。
これらの結果を見るに、この先明寺さんが災難を呼び寄せることは、もはや確定事項である。
やれやれ、面倒事がまた1つ増えてしまった。
だが、良い発見もあった。
「わあ、お花出せました!お花!イメージ通りに!」
この1日で、急激に超能力のコントロールができるようになったのだ。
やはり教師の有無は重要だ。僕は生まれて間もなく超能力を使いこなせるようになったが、平凡な人間の場合、勉強も運動も、他者の指導の元に実現される。
明寺さんは、至って普通の人間なのだ。それなのに、持て余す力を与えられ、災難に見舞われ続けている。彼女の人生には、僕ですら若干の同情を覚える。
「私、斉木君と出会えて良かったです。自分のこと、やっと理解できました。ありがとう」
明寺さんは大げさにお辞儀をして、僕に満面の笑みを向けた。明寺さんが手を差し出していたので、僕はそれを握り返した。
その瞬間、
「ぎゃああああああ」
明寺さんが悲鳴をあげた。
突然のことだったが、僕はテレパシーで何が起きたかを理解した。僕に対してのサイコメトリーが発動し、自分の裸が見えてしまったようだ。
と、いうか、今まで人間を触ったときはどうしていたんだ?
「この力が強くなったのが小学校高学年で、それ以降はみんなに避けられてたから人に触ってない、かな……?」
そんなに長い間人と接触していないのか。一体どんな生活をしてきたんだ。
しかし、これから握手をする度にサイコメトリーを起こされては迷惑だ。僕はテレポートで、明寺さんの使う手袋を買ってきた。
「くれるんですか……?ありがとうございます!」
目をキラキラさせて、明寺さんは手袋を受け取った。
「人からプレゼントを貰える日が来るなんて……」
勘違いするな。僕の平穏な日常のためだ。
しかし、この喜びよう。よっぽど人付き合いに飢えていたとみえる。鳥の雛のように僕の後ろをついて回ってくる。だが、学校でもこの調子では目立ってしまう。できればやめていただきたい。
僕がその旨を伝えると、明寺さんはしゅんとして、小さく頷いた。
「私と一緒だと、平穏が遠ざかっちゃいますもんね」
よくわかっているじゃないか。僕は極力目立ちたくないのだ。このような場を設けているのも、君が超能力を使いこなし、僕に迷惑をかけないようにするためだ。
「それって、使いこなせるようになるまで、練習に付き合ってくれるってことですか?」
あくまで使いこなせるようになるまでだがな。幸い、君は見捨てたくなるほど嫌なヤツではない。
「ありがとうございます!嬉しい……!」
明寺さんは目をキラキラさせて、何度も頭を下げる。
(斉木君、本当にいい人だなぁ。プレゼントもくれたし。あれ、なんだか山崎○人に見えてきた……)
しまった。
確かに、同じ超能力者だ。仲間意識がなかったといえば嘘になる。境遇に対して同情もした。
しかしこの感じ、まずい。嫌な予感がする。
恐る恐る好感度メーターの値を見てみれば、数値は82を指していた。
僕はとんだΨ難の多重苦を抱えてしまったようだ。