ふみやルート
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朝。
瞼を通り抜けた日差しが赤く光って、1日の始まりを知らせる。鳩の鳴き声がするのは、裏庭からだろうか。
いつもなら俺は目を開けて、体を起こして、伸びをするだろう。だが、その前に、いや、本当は目が覚めるよりも前に、俺は気づいていた。
世界が、昨日までと違う。
しかし、目を開いてみても、広がるのはいつもの天井だった。
「ひっく、」
しゃっくりは出る。俺の体もいつも通りだ。
だが、なぜか確信めいたものがある。その理由を探るために、俺は部屋の外へ出た。
「おはようございます、ふみやさん!今日は早起きですね!」
理解が起こしに来る時間もいつも通り。
「今日の朝食はアップルパイです。徹夜で作った自信作なんですよ」
「あ、おい、なに一番デカいの持ってってんだよ」
「え?テラくんが一番美しいんだから、当たり前じゃない?」
「大瀬さんのは小さいですね。天彦のパイ、差し上げましょうか」
「結構です。クソは飢えて死ぬべきなんで」
こいつらもいつも通り。騒がしい。
家の間取りも、外の景色も、何一つ変わらない。
だが、確かにあったはずのものがない。
俺たちにまとわりつくような、それでいてあたたかい"視線"を、感じない。いや、正確には全くないわけではないが、著しく減っている。
「…………!」
「ふみやさんどこ行くの!?朝ごはんは?」
俺は依央利の差し出したアップルパイを掴んで口にくわえて、そのまま家を飛び出した。
うまい。食べ物の味も、変化なし。
「……減ってない」
印字された通帳が、ATMから吐き出される。残高が減っていないどころか、今日の日付での振り込みがあった。
つまり、支援者たちに見放された、というわけではないらしい。
だが、支援者と俺たちを繋ぐ何かが失われたことは間違いない。他に何も変わっていないのだから、それ以外には考えられない。
俺たちがここにいる意味であり、理由であり、すべての根源。それが失われたら、俺たちはどうなってしまうのだろう。
恐怖と裏腹に、ひとつの仮説が頭をよぎる。
もう、媚びを売らなくていいのかもしれない。
例えば、だ。本物の俺たちはどこかにいて、この世界は今日作り出されたコピーであるとしたら、どうだろう。
本物の俺たちが必死になって歌ったり、グッズを売ったりすることで、生活に必要な金(JPY)が手に入る。あいつらに自覚はないが、俺たちはそうやって生きてきた。その金が、これからは自動的にこの世界になだれ込んでくる。つまり、俺たちは何もしなくてもいい、のかもしれない。
自由を手に入れた?
果たして、それは良いことなのか悪いことなのか、判断がつかない。確かに毎日が忙しかったが、嫌なわけではなかった。それに、今感じている視線は、一体誰から、
「ぎゃーーーー!」
家に帰るなり、裏庭のほうから大瀬の悲鳴が聞こえた。
駆けつけると、他の面々も集まってきていた。皆の視線の先には、一人の女がいる。頭から血を流して、地面に横たわる、若い女。
「大丈夫ですか!?」
依央利が体を揺さぶると、女はゆっくりと体を起こした。
「あれ……私……」
泳ぐ瞳が、やがて俺の元にやってくる。
その瞬間、俺はすべてを理解した。
この世界は、この女のためにあるのだ、と。
「一旦家で治療しましょう」
今の俺たちは、たった一人の女のために生きている。
そのためにこの世界は創造された。創造主は、今も俺たちを見つめている。
自由になれたわけではないのだ。
騒ぐ同居人たちを尻目に、俺は地面の土を蹴飛ばした。
瞼を通り抜けた日差しが赤く光って、1日の始まりを知らせる。鳩の鳴き声がするのは、裏庭からだろうか。
いつもなら俺は目を開けて、体を起こして、伸びをするだろう。だが、その前に、いや、本当は目が覚めるよりも前に、俺は気づいていた。
世界が、昨日までと違う。
しかし、目を開いてみても、広がるのはいつもの天井だった。
「ひっく、」
しゃっくりは出る。俺の体もいつも通りだ。
だが、なぜか確信めいたものがある。その理由を探るために、俺は部屋の外へ出た。
「おはようございます、ふみやさん!今日は早起きですね!」
理解が起こしに来る時間もいつも通り。
「今日の朝食はアップルパイです。徹夜で作った自信作なんですよ」
「あ、おい、なに一番デカいの持ってってんだよ」
「え?テラくんが一番美しいんだから、当たり前じゃない?」
「大瀬さんのは小さいですね。天彦のパイ、差し上げましょうか」
「結構です。クソは飢えて死ぬべきなんで」
こいつらもいつも通り。騒がしい。
家の間取りも、外の景色も、何一つ変わらない。
だが、確かにあったはずのものがない。
俺たちにまとわりつくような、それでいてあたたかい"視線"を、感じない。いや、正確には全くないわけではないが、著しく減っている。
「…………!」
「ふみやさんどこ行くの!?朝ごはんは?」
俺は依央利の差し出したアップルパイを掴んで口にくわえて、そのまま家を飛び出した。
うまい。食べ物の味も、変化なし。
「……減ってない」
印字された通帳が、ATMから吐き出される。残高が減っていないどころか、今日の日付での振り込みがあった。
つまり、支援者たちに見放された、というわけではないらしい。
だが、支援者と俺たちを繋ぐ何かが失われたことは間違いない。他に何も変わっていないのだから、それ以外には考えられない。
俺たちがここにいる意味であり、理由であり、すべての根源。それが失われたら、俺たちはどうなってしまうのだろう。
恐怖と裏腹に、ひとつの仮説が頭をよぎる。
もう、媚びを売らなくていいのかもしれない。
例えば、だ。本物の俺たちはどこかにいて、この世界は今日作り出されたコピーであるとしたら、どうだろう。
本物の俺たちが必死になって歌ったり、グッズを売ったりすることで、生活に必要な金(JPY)が手に入る。あいつらに自覚はないが、俺たちはそうやって生きてきた。その金が、これからは自動的にこの世界になだれ込んでくる。つまり、俺たちは何もしなくてもいい、のかもしれない。
自由を手に入れた?
果たして、それは良いことなのか悪いことなのか、判断がつかない。確かに毎日が忙しかったが、嫌なわけではなかった。それに、今感じている視線は、一体誰から、
「ぎゃーーーー!」
家に帰るなり、裏庭のほうから大瀬の悲鳴が聞こえた。
駆けつけると、他の面々も集まってきていた。皆の視線の先には、一人の女がいる。頭から血を流して、地面に横たわる、若い女。
「大丈夫ですか!?」
依央利が体を揺さぶると、女はゆっくりと体を起こした。
「あれ……私……」
泳ぐ瞳が、やがて俺の元にやってくる。
その瞬間、俺はすべてを理解した。
この世界は、この女のためにあるのだ、と。
「一旦家で治療しましょう」
今の俺たちは、たった一人の女のために生きている。
そのためにこの世界は創造された。創造主は、今も俺たちを見つめている。
自由になれたわけではないのだ。
騒ぐ同居人たちを尻目に、俺は地面の土を蹴飛ばした。