プロローグ編
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今日は、少女にとってイレギュラーな日であった。
もしかしたら、これから毎日がイレギュラーになるのかもしれない。少女の胸は期待と不安でいっぱいだった。
昨日、大詠師の命令で、少女の部隊への配属が決まった。これで正式に、神託の盾騎士団の一員となる。
誰もが、導きの少女は大詠師直属の部隊に配属されるものと思っていた。しかし、そうではなかった。一昨日までは少女も、大詠師すらそう考えていたのだが、何故だか少女が立っているのは、主席総長ヴァン・グランツの部屋の前。というのも、主席総長から一昨日、要請があったらしいのだ。導きの少女を部下にしたいと。
少女が配属されるのは、六神将の特務師団である。ほんの十数名の部隊であり、活動内容は周囲に知らされていない。少女は 階級が高い為、「団長補佐」として配属されるようだ。
教育係に評判を聞く時間すらなかったため、少女にとって特務師団は、未知の存在であった。
少女は新しい制服を来て、背筋を伸ばし、恐る恐る扉を開けた。すると、あの男が待っていた。
「待っていたぞ、導きの少女」
「はい、私、本日より特務師団にて働かせていただきます菜真絵・明寺奏長であります」
張り切って敬礼をすると、ヴァンは少女の予想通り、優しく微笑んだ。白い歯が光る。やっぱり、さわやかな人だ。
「その節はどうも、ありがとうございました」
「礼には及ばん」
命の恩人の部下になれるとあって、少女も少なからず楽しみに思っていた。少女の警戒心がなさそうな顔を見て、ヴァンも安堵する。信頼できる部下になりそうだ、と。
「その節、とは?」
「こちらの話だ。前に会ったことがあってな」
ヴァンの隣には、一人の女が立っていた。髪を後ろで縛った、つり目の女。
「彼女は副官のリグレットだ、奏長に剣の指導を行うこともあるだろう」
「はっ、宜しくお願いします」
「ああ」
素っ気ない返事だが、態度は毅然としている。かっこいい。少女は彼女の名を聞いて、記憶の中を探った。魔弾のリグレット。第四師団を率いる女隊長であり、銃を巧みに扱う戦士だ。
六神将は、世界中の人々がその存在を知っている程有名だ。例えて言えば、大臣のようなもの。そんな有名人が、自分とまともに話をしている。そう思うと、少女は不思議な気分になった。少女の知名度も、相当なものなのだが。
「まあ立ち話もなんだ、広間に移動しよう」
お前の直接の上司を紹介する。そう言ってヴァンは歩き出した。やけに歩幅が小さいのは、後ろにいる少女を気遣っているからだろう。リグレットが部屋のドアを開けると、少女はあわてて礼をした。
この広間は、普段六神将が会合に使っているらしい。
どの人が特務師団長様、鮮血のアッシュなのだろう。少女はキョロキョロと辺りを見回す。たぶんこの人かな、とあたりをつけて、自分が紹介されるのを待った。
「どうしたのさ、いきなり呼び出して」
六神将達には、少女が配属されることは知らされていないようだ。昨日決定したことだから、無理もない。しかし、やりにくいな、と少女は思った。
「今日から特務師団の団長補佐として配属されることになった、菜真絵・明寺奏長……導きの少女様だ。丁重に扱うように」
「補佐だと?聞いてねえぞ!」
少女が目をつけていた少年が、突然男に飛びかかる。少女は身の危険を感じ、とっさに防御の姿勢を取った。
「はは、警戒されているぞ。アッシュ」
「うるせえ!」
やはり、この人が鮮血のアッシュか。赤い髪に、緑の瞳をした少年。少女より2つ3つ歳上に見えるが、まだあどけなさが残る。
顔立ちは整っていてハンサムだ。今は眉間にシワを寄せていて、怖いけれど。
少女は少年に自己紹介をしようと、話し出す。
「本日より、アッシュ様の補佐をさせていただきます、明寺奏長であります。至らないところは沢山あると思いますがどうか……、っ」
睨まれた。
自己紹介を阻まれた少女は、悲しくなってうつむいた。他の隊員が叱るが、少年は何も言わない。少女がめげずに近寄ろうとすれば、それを振り払って、広間を出ていってしまった。
「すまない、少し気難しいやつでな」
「いえ……」
手を振り払われることなんて初めてだ。何か失礼なことをしてしまっただろうか。少女は思い返してみる。声が大きすぎたかもしれない、タイミングが悪かったかもしれない、なんて、反省することばかりで、落ち込む。
果たして、これからやっていけるのだろうか。少女は不安になった。
「いつもあんなだからね、気にしないほうがいいよ」
「時間が経てば戻ってくるだろう」
他の団員からの慰めの言葉が、少女の耳に入る。
「ありがとうございます」
「今日はもう遅い、私からアッシュには話しておく。部屋に戻るといい」
「はい、ありがとうございます」
少女は走って広間を出ていった。今日はもう寝てしまおう。明日は……
少女は考えるのをやめて、部屋に入っていった。
「アンタが大詠師に直接頼んだんだって?」
広間ではまだ、六神将達が話をしていた。鮮血のアッシュを除いて。
緑の髪の少年は、ヴァンに話しかける。あんな小娘の何を気に入ったのか。それは、誰もが疑問に思う事だった。
「人質だ。あの少女がいる限り、大詠師はこちらに手を出せないだろう」
「なるほどね。それにしては、手がかかりそうだけど」
「それに、あれは預言を嫌っているようだからな」
「預言を嫌う?預言に生かされてる少女が?」
少年は不機嫌そうに言うが、ヴァンは表情ひとつ変えない。
「まあ、アッシュの監視としては適任なのでは?」
素直そうな少女でしたし。
眼鏡の男が、空飛ぶ椅子に座りながら言った。周りの皆も珍しく、それに同調する。
アッシュはいわゆる問題児であった。態度は悪い、命令無視は多発。それは他の人間にも言えたことだが、それでも、目立って心配をかける存在だ。
あのような素直で従順な少女がいれば、彼の動きを抑えることができるだろう。
ヴァンは小さく笑うと、解散を指示して一人になった。
導きの少女に、会いに行くか。
もしかしたら、これから毎日がイレギュラーになるのかもしれない。少女の胸は期待と不安でいっぱいだった。
昨日、大詠師の命令で、少女の部隊への配属が決まった。これで正式に、神託の盾騎士団の一員となる。
誰もが、導きの少女は大詠師直属の部隊に配属されるものと思っていた。しかし、そうではなかった。一昨日までは少女も、大詠師すらそう考えていたのだが、何故だか少女が立っているのは、主席総長ヴァン・グランツの部屋の前。というのも、主席総長から一昨日、要請があったらしいのだ。導きの少女を部下にしたいと。
少女が配属されるのは、六神将の特務師団である。ほんの十数名の部隊であり、活動内容は周囲に知らされていない。少女は 階級が高い為、「団長補佐」として配属されるようだ。
教育係に評判を聞く時間すらなかったため、少女にとって特務師団は、未知の存在であった。
少女は新しい制服を来て、背筋を伸ばし、恐る恐る扉を開けた。すると、あの男が待っていた。
「待っていたぞ、導きの少女」
「はい、私、本日より特務師団にて働かせていただきます菜真絵・明寺奏長であります」
張り切って敬礼をすると、ヴァンは少女の予想通り、優しく微笑んだ。白い歯が光る。やっぱり、さわやかな人だ。
「その節はどうも、ありがとうございました」
「礼には及ばん」
命の恩人の部下になれるとあって、少女も少なからず楽しみに思っていた。少女の警戒心がなさそうな顔を見て、ヴァンも安堵する。信頼できる部下になりそうだ、と。
「その節、とは?」
「こちらの話だ。前に会ったことがあってな」
ヴァンの隣には、一人の女が立っていた。髪を後ろで縛った、つり目の女。
「彼女は副官のリグレットだ、奏長に剣の指導を行うこともあるだろう」
「はっ、宜しくお願いします」
「ああ」
素っ気ない返事だが、態度は毅然としている。かっこいい。少女は彼女の名を聞いて、記憶の中を探った。魔弾のリグレット。第四師団を率いる女隊長であり、銃を巧みに扱う戦士だ。
六神将は、世界中の人々がその存在を知っている程有名だ。例えて言えば、大臣のようなもの。そんな有名人が、自分とまともに話をしている。そう思うと、少女は不思議な気分になった。少女の知名度も、相当なものなのだが。
「まあ立ち話もなんだ、広間に移動しよう」
お前の直接の上司を紹介する。そう言ってヴァンは歩き出した。やけに歩幅が小さいのは、後ろにいる少女を気遣っているからだろう。リグレットが部屋のドアを開けると、少女はあわてて礼をした。
この広間は、普段六神将が会合に使っているらしい。
どの人が特務師団長様、鮮血のアッシュなのだろう。少女はキョロキョロと辺りを見回す。たぶんこの人かな、とあたりをつけて、自分が紹介されるのを待った。
「どうしたのさ、いきなり呼び出して」
六神将達には、少女が配属されることは知らされていないようだ。昨日決定したことだから、無理もない。しかし、やりにくいな、と少女は思った。
「今日から特務師団の団長補佐として配属されることになった、菜真絵・明寺奏長……導きの少女様だ。丁重に扱うように」
「補佐だと?聞いてねえぞ!」
少女が目をつけていた少年が、突然男に飛びかかる。少女は身の危険を感じ、とっさに防御の姿勢を取った。
「はは、警戒されているぞ。アッシュ」
「うるせえ!」
やはり、この人が鮮血のアッシュか。赤い髪に、緑の瞳をした少年。少女より2つ3つ歳上に見えるが、まだあどけなさが残る。
顔立ちは整っていてハンサムだ。今は眉間にシワを寄せていて、怖いけれど。
少女は少年に自己紹介をしようと、話し出す。
「本日より、アッシュ様の補佐をさせていただきます、明寺奏長であります。至らないところは沢山あると思いますがどうか……、っ」
睨まれた。
自己紹介を阻まれた少女は、悲しくなってうつむいた。他の隊員が叱るが、少年は何も言わない。少女がめげずに近寄ろうとすれば、それを振り払って、広間を出ていってしまった。
「すまない、少し気難しいやつでな」
「いえ……」
手を振り払われることなんて初めてだ。何か失礼なことをしてしまっただろうか。少女は思い返してみる。声が大きすぎたかもしれない、タイミングが悪かったかもしれない、なんて、反省することばかりで、落ち込む。
果たして、これからやっていけるのだろうか。少女は不安になった。
「いつもあんなだからね、気にしないほうがいいよ」
「時間が経てば戻ってくるだろう」
他の団員からの慰めの言葉が、少女の耳に入る。
「ありがとうございます」
「今日はもう遅い、私からアッシュには話しておく。部屋に戻るといい」
「はい、ありがとうございます」
少女は走って広間を出ていった。今日はもう寝てしまおう。明日は……
少女は考えるのをやめて、部屋に入っていった。
「アンタが大詠師に直接頼んだんだって?」
広間ではまだ、六神将達が話をしていた。鮮血のアッシュを除いて。
緑の髪の少年は、ヴァンに話しかける。あんな小娘の何を気に入ったのか。それは、誰もが疑問に思う事だった。
「人質だ。あの少女がいる限り、大詠師はこちらに手を出せないだろう」
「なるほどね。それにしては、手がかかりそうだけど」
「それに、あれは預言を嫌っているようだからな」
「預言を嫌う?預言に生かされてる少女が?」
少年は不機嫌そうに言うが、ヴァンは表情ひとつ変えない。
「まあ、アッシュの監視としては適任なのでは?」
素直そうな少女でしたし。
眼鏡の男が、空飛ぶ椅子に座りながら言った。周りの皆も珍しく、それに同調する。
アッシュはいわゆる問題児であった。態度は悪い、命令無視は多発。それは他の人間にも言えたことだが、それでも、目立って心配をかける存在だ。
あのような素直で従順な少女がいれば、彼の動きを抑えることができるだろう。
ヴァンは小さく笑うと、解散を指示して一人になった。
導きの少女に、会いに行くか。