崩落編
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キムラスカでのそれと比べ、マルクト帝国へは速やかに協力を取り付けることができた。
両国の会談が、ルグニカ平野戦の終戦会議として執り行われることになった。
その場所は、ユリアシティ。ダアトではモースの妨害が入るおそれがあるし、残る中立地帯のケセドニアは魔界に落ちたばかりで、混乱の最中だからだ。
魔界へ向かうために、ルーク一行は飛行譜石を取り戻す旅を始めた。
すると、少女の頭に、硬いものがぶつかった。
「紙飛行機……ディストさん!」
その形からわかる。これはディストからの手紙だ。
しかし、何の用があるというのだろう。飛行譜石を盗んだのは彼で、彼は追われる立場のはずだ。
少女のもとに皆が集まり、手紙を覗き込む。少女はそれを情感を込めて読み上げた。
「飛行譜石は、私が――この華麗なる薔薇のディスト様が預かっている。返して欲しくば、我らの誓いの場所へ来い。そこで真の決着をつけるのだ!
怖いだろう。そうだろう。だが怖じ気づこうとも、ここに来なければ飛行譜石は手に入らない。あれはダアトにはないのだ。絶対ダアトにはないから早く来い!
六神将・薔薇のディスト」
少女が言い終わると、ジェイドはその手紙を奪い取って、燃やした。
「えっ」
「ダアトへ向かいましょう」
確かに、文面からして飛行譜石はダアトにあると伝えているようなものだ。だが、あまりにも冷たすぎる。
「菜真絵のモノマネが似てるから、大佐怒っちゃったじゃん」
アニスが言う。
似ていただろうか。少女は頬に手を当てて、照れるような素振りをした。それを見て、アニスがぐーっと眉間に皺を寄せる。
「菜真絵ってディストのこと結構好きだよね」
「まあ。あんな邪悪な方と仲良くしてはなりませんわ!」
別に、仲が良かったわけではない。アニスのように物を贈ってもらったことはないし、2人で出かけたこともない。ただ、親切にはしてくれた、と思う。
ディストはセントビナーの市民を攻撃し、ノエルを人質にとった人間だ。行動だけ見れば、悪党に違いない。だが、ヴァンの極端な思想に染まっていたというわけでもない。
彼の行動原理は預言ともヴァンとも離れたところにあって、少女から見れば、自分を持っているように見えた。
ただ、今となっては、彼の目指す"何か"は少女の行く手を阻んでいる。
「ちゃんと、嫌いにならないといけませんね」
さみしそうに少女が言うと、ナタリアが引き下がる。
六神将は皆、性根の悪い人ではなかった。軍人故か冷たく気難しかったが、幼くて満足に字も読めない少女のことを慈しむような素振りも見せていた。
それでも、彼らがやろうとしていること、これまでにしたことは到底許せない。
「ええ、情けは無用です」
軽く明るい口調で言うジェイドの言葉が、少女の胸に重くのしかかった。
モースは不在らしく、ダアトには少女を捕まえようとする者はいなかった。それに、イオンが一言命じれば、ほとんどの兵は退く。
少女はひとまず手がかりを探るため、皆をディストの私室に連れて行った。すると、一人の男が立っていた。
「ここはお通しできません!絶対です!」
彼はディストの付き人のライナーだ。
イオンや少女の顔を見ても、誰も通せないと突っぱねるばかり。だがその態度こそが、ここに飛行譜石があると確信させる。
「ティアさん……」
「え?ああ、ええ……」
少女がティアに声をかけると、ティアは譜歌を歌う。たちまちライナーは眠り倒れ、部屋に入ることができた。
そして少女は、部屋の隅にあった宝箱の鍵を壊し、開けた。なんてわかりやすいのだろう、中には飛行譜石が入っている。
「なんか、罪悪感沸くな」
「今は仕方ないわ」
冷たい声色で言いつつも、ティアは少女をちらりと見る。ライナーを眠らせたのも、鍵をこじ開けたのも、この少女だ。
しばし部屋に沈黙が訪れる。
こういったことを率先してする人だとは思わなかった。と、いうのは、この場にいる誰もが感じていたことだった。
「情けを捨てる第一歩、ということで」
「おっかないなぁ……」
「結構なことです」
ジェイドは愉快そうに笑う。対してガイは肩をすくめた。
少女とライナーは少しだが面識があった。だからこそ、話し合いに持ち込んではならなかった。話せば話すほど、心が動いてしまうから。
怪我をさせずに飛行譜石を手に入れるには、これが一番確実な方法だったのだから、仕方ない。
「ジェイドさんなら、こうするかなって」
「おや」
少女はジェイドに顔を向けて、首を傾けた。
周りの皆は、たしかにやりそう、とか、ジェイドならいきなり殴っていたかも、とか、見倣う相手を間違えてる、とかとか、好き勝手言っている。
ジェイドは参ったな、と、額に手を当ててみせた。
両国の会談が、ルグニカ平野戦の終戦会議として執り行われることになった。
その場所は、ユリアシティ。ダアトではモースの妨害が入るおそれがあるし、残る中立地帯のケセドニアは魔界に落ちたばかりで、混乱の最中だからだ。
魔界へ向かうために、ルーク一行は飛行譜石を取り戻す旅を始めた。
すると、少女の頭に、硬いものがぶつかった。
「紙飛行機……ディストさん!」
その形からわかる。これはディストからの手紙だ。
しかし、何の用があるというのだろう。飛行譜石を盗んだのは彼で、彼は追われる立場のはずだ。
少女のもとに皆が集まり、手紙を覗き込む。少女はそれを情感を込めて読み上げた。
「飛行譜石は、私が――この華麗なる薔薇のディスト様が預かっている。返して欲しくば、我らの誓いの場所へ来い。そこで真の決着をつけるのだ!
怖いだろう。そうだろう。だが怖じ気づこうとも、ここに来なければ飛行譜石は手に入らない。あれはダアトにはないのだ。絶対ダアトにはないから早く来い!
六神将・薔薇のディスト」
少女が言い終わると、ジェイドはその手紙を奪い取って、燃やした。
「えっ」
「ダアトへ向かいましょう」
確かに、文面からして飛行譜石はダアトにあると伝えているようなものだ。だが、あまりにも冷たすぎる。
「菜真絵のモノマネが似てるから、大佐怒っちゃったじゃん」
アニスが言う。
似ていただろうか。少女は頬に手を当てて、照れるような素振りをした。それを見て、アニスがぐーっと眉間に皺を寄せる。
「菜真絵ってディストのこと結構好きだよね」
「まあ。あんな邪悪な方と仲良くしてはなりませんわ!」
別に、仲が良かったわけではない。アニスのように物を贈ってもらったことはないし、2人で出かけたこともない。ただ、親切にはしてくれた、と思う。
ディストはセントビナーの市民を攻撃し、ノエルを人質にとった人間だ。行動だけ見れば、悪党に違いない。だが、ヴァンの極端な思想に染まっていたというわけでもない。
彼の行動原理は預言ともヴァンとも離れたところにあって、少女から見れば、自分を持っているように見えた。
ただ、今となっては、彼の目指す"何か"は少女の行く手を阻んでいる。
「ちゃんと、嫌いにならないといけませんね」
さみしそうに少女が言うと、ナタリアが引き下がる。
六神将は皆、性根の悪い人ではなかった。軍人故か冷たく気難しかったが、幼くて満足に字も読めない少女のことを慈しむような素振りも見せていた。
それでも、彼らがやろうとしていること、これまでにしたことは到底許せない。
「ええ、情けは無用です」
軽く明るい口調で言うジェイドの言葉が、少女の胸に重くのしかかった。
モースは不在らしく、ダアトには少女を捕まえようとする者はいなかった。それに、イオンが一言命じれば、ほとんどの兵は退く。
少女はひとまず手がかりを探るため、皆をディストの私室に連れて行った。すると、一人の男が立っていた。
「ここはお通しできません!絶対です!」
彼はディストの付き人のライナーだ。
イオンや少女の顔を見ても、誰も通せないと突っぱねるばかり。だがその態度こそが、ここに飛行譜石があると確信させる。
「ティアさん……」
「え?ああ、ええ……」
少女がティアに声をかけると、ティアは譜歌を歌う。たちまちライナーは眠り倒れ、部屋に入ることができた。
そして少女は、部屋の隅にあった宝箱の鍵を壊し、開けた。なんてわかりやすいのだろう、中には飛行譜石が入っている。
「なんか、罪悪感沸くな」
「今は仕方ないわ」
冷たい声色で言いつつも、ティアは少女をちらりと見る。ライナーを眠らせたのも、鍵をこじ開けたのも、この少女だ。
しばし部屋に沈黙が訪れる。
こういったことを率先してする人だとは思わなかった。と、いうのは、この場にいる誰もが感じていたことだった。
「情けを捨てる第一歩、ということで」
「おっかないなぁ……」
「結構なことです」
ジェイドは愉快そうに笑う。対してガイは肩をすくめた。
少女とライナーは少しだが面識があった。だからこそ、話し合いに持ち込んではならなかった。話せば話すほど、心が動いてしまうから。
怪我をさせずに飛行譜石を手に入れるには、これが一番確実な方法だったのだから、仕方ない。
「ジェイドさんなら、こうするかなって」
「おや」
少女はジェイドに顔を向けて、首を傾けた。
周りの皆は、たしかにやりそう、とか、ジェイドならいきなり殴っていたかも、とか、見倣う相手を間違えてる、とかとか、好き勝手言っている。
ジェイドは参ったな、と、額に手を当ててみせた。