崩落編
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シェリダンでは、ヘンケンとキャシーだけでなく、め組の面々も出迎えてくれた。
「やっと来たか。周波数測定器は完成したぞ!」
「わしらの力を借りてな」
「道具を借りただけだ!」
どうやら、協力して測定器を完成させたらしい。今はヘンケンとイエモンが憎まれ口を叩き合っているが。
「おじーさんたち、仲良くできたんだぁ」
「こんなに短い時間で。ありがとうございます!」
アニスがぴょこぴょこと結った髪を揺らす。その横で、少女は深く頭を下げる。
孫ほど歳の離れた子供たちからの礼が嬉しかったのか、め組とい組の技術者たちは頬笑みを返した。しかし、またすぐに睨み合う。
「地殻に振動を与える装置の復元は、我々め組に任せてくれ」
「何を言う、い組が受けた依頼だぞ!」
そんな老人たちの前に、少女が歩み寄る。
「これからも皆さんが協力して下されば、この計画はより完璧になりますね!」
「ね〜」
にっこりと笑う少女とアニスに見つめられて、彼らは少し黙ったあと、顔を見合わせた。
「……わしらが地核の揺れを抑える装置の外側を造る。お前らは……」
「分かっとる!演算機は任せろ」
どうやら協力してくれるようだ。
喧嘩するほど仲が良い、というやつなのだろう。少女たちは意図せずして、協力な仲間を手に入れることができた。
セフィロトのあるタタル渓谷は、海の見える穏やかな土地だった。夜にだけ花を咲かせるという、セレニアが群生している。
空気も澄んでいるような気がする。少女が息を吸い込むと、目の前を青い蝶が横切った。
「あれは、幻の『青色ゴルゴンホド揚羽』!捕まえたら、一匹辺り400万ガルド!!」
アニスが急に叫んだかと思えば、青い蝶を追って走り出した。捕まえようとしているようだ。
網も持っていないのに?少女はそう思ったが、普段の彼女を見ていると納得もできる。両親のこともあってか、お金への執着がすさまじい。それが彼女の可愛いところでもあるのだが。
そんなアニスを皆で見ていたときだった。ぐら、と、急に地面が揺れた。地震だ。
「きゃう!?」
「アニス!!」
崖際に立っていたアニスが、激しい揺れで空中に放り出される。
まずい。でも、間に合わない。どうすれば。
少女がやっと崖まで走り寄ると、そこには、アニスの腕を掴んだガイがいた。
「ガイさん……!」
少女がアニスのもう片方の手を掴み、なんとか崖の上に引き上げる。
怖かった。仲間が死んでしまうかと思った。少女は肩を揺らして呼吸を整える。隣ではガイが、呆然と自分の手を見つめている。
「ガイ、菜真絵。……ごめん、ありがとう」
「私は何も。それより、ガイさん……」
「……さわれた……」
女性恐怖症だったはずのガイが、アニスに触れて、助けることができた。
後ろから他の仲間も駆け寄ってくる。
「ガイさん! 頑張ったですの!」
「よかったな、ガイ!」
「偉いですわ。いくら過去のことがあっても、あそこでアニスを助けなければ見損なっていました」
ミュウ、ルーク、ナタリアが、わいわいとガイを讃える。まるで自分のことのように嬉しそうだ。
「俺のせいでアニスに大事がなくてよかったよ」
仲間の危険を前にしたからなのか、原因を思い出すことで症状が軽くなったのか。理由はわからない。だが、女性恐怖症を少しでも克服できたならば、それはとても喜ばしいことだ。
少女も皆と同じように、ガイに微笑みかける。
「かっこよかったです。とっても」
これまで見ることのなかった少女の満面の笑みに、ガイは少しだけ驚いた顔をして、すぐに、くしゃりと笑った。
セフィロトの振動周波数測定はそう難しいことではなかった。
同時に、セフィロトの術式を書き換え、ラジエイトゲートのセフィロトとタタル渓谷のセフィロトを連動させることができた。全世界のセフィロトを繋げ、同時に降下させようという算段だ。
船の中。ルークは相談したいことがある、と、一室に皆を集めていた。
「ずっと考えてたんだけど、大陸の降下のこと、やっぱり伯父上とかピオニー皇帝にちゃんと事情を説明して、協力し合うべきなんじゃないかな」
ルークの考えはもっともだ。何も知らせずに世界を巻き込むのは、混乱の元である。
しかし、少女はそれを言い出すことはしなかった。自分では、周囲の協力を取り付けられないと思ったからだ。
しかし、この少年は、真っ直ぐに提案する。
自分の、何歩も先を歩いている。少女はそう思った。
「貴方の口からそれが出てくるのですね」
ジェイドが、柔和な微笑みを称えながら言う。彼も、少女と同じ気持ちなのかもしれない。
「ジェイドもそう思ってるんだな」
「筋を通す。というのは大切なことですから。それに、まだ解決しなければならない問題がありますしね」
「……瘴気、ですか」
外殻大地を降下させられたとしても、魔界が瘴気に包まれていることには変わりない。
瘴気の海に落ちたときのようにはならないが、長くは生きられない。
「対策には、両国の協力が必要でしょう」
「……ですが、そのためにはバチカルへ行かなくてはなりませんわ」
皆が頷く中で、ナタリアは逆に表情を沈めている。だが、ルークは怯まなかった。
「行くべきなんだ」
「ルーク……」
ナタリアは驚いてルークを見る。
「街のみんなは命がけで俺たちを……ナタリアを助けてくれた。今度は俺たちがみんなを助ける番だ」
「それが一番なのは分かっています。でもまだ怖い。お父様が私を拒絶なさったこと……」
ナタリアの言動から、ナタリアはバチカルでインゴベルトと顔を合わせたのだとわかる。
父親から処刑を言い渡されるとは、どれほど苦しいことだろう。少女は想像してみたが、現実味が無い。
押し黙るナタリアを見て、少女は声をかける。
「絶対に、受け入れてくださいます」
「菜真絵?」
どんな声をかけたらいいかわからない。わからないけれど、どうしても伝えたい。自分の言葉では気が晴れないかもしれないけれど、どうしても、自分の言葉でナタリアを元気づけたい。
少女は、どこかから湧き上がるエネルギーに身を任せて、言葉を継いだ。
「一番近くで見ていたお父様が、ナタリアさんのことを、嫌いになるはずがありません」
「でも私は、王家の血筋では……」
「私は、アッシュ様は、ここにいる皆は、国民は、今のナタリアさんを愛しているんです」
少女がナタリアの手を取る。
「もし、受け入れて貰えなくても、私たちがいます。死ぬまで一緒です」
「菜真絵……………」
まるでプロポーズだ。少女の大胆な振る舞いを、固唾をのむ者、笑いをこらえる者、ただただ呆気にとられる者、それぞれの反応を取りながら、見つめている。
ナタリアはというと、涙を流していた。少女が慌ててハンカチを取り出すと、受け取らず、菜真絵を優しく抱きしめた。
「本当に、ルークに……アッシュに似ていますのね」
「え?」
小さな声でナタリアが言う。
何を言っているのか、わからない。似ているのは、あなたのほうじゃないか。
少女はわからないなりに、ナタリアの背中に手を回した。
「………ありがとう。菜真絵を信じます。着いてきてくださいますか?」
「はい、もちろん」
ナタリアが辺りを見回すと、皆、力強く頷いた。
誰も取り残さず、世界を幸せに導きたい。それは、だれもが望んでいることなのだ。
「やっと来たか。周波数測定器は完成したぞ!」
「わしらの力を借りてな」
「道具を借りただけだ!」
どうやら、協力して測定器を完成させたらしい。今はヘンケンとイエモンが憎まれ口を叩き合っているが。
「おじーさんたち、仲良くできたんだぁ」
「こんなに短い時間で。ありがとうございます!」
アニスがぴょこぴょこと結った髪を揺らす。その横で、少女は深く頭を下げる。
孫ほど歳の離れた子供たちからの礼が嬉しかったのか、め組とい組の技術者たちは頬笑みを返した。しかし、またすぐに睨み合う。
「地殻に振動を与える装置の復元は、我々め組に任せてくれ」
「何を言う、い組が受けた依頼だぞ!」
そんな老人たちの前に、少女が歩み寄る。
「これからも皆さんが協力して下されば、この計画はより完璧になりますね!」
「ね〜」
にっこりと笑う少女とアニスに見つめられて、彼らは少し黙ったあと、顔を見合わせた。
「……わしらが地核の揺れを抑える装置の外側を造る。お前らは……」
「分かっとる!演算機は任せろ」
どうやら協力してくれるようだ。
喧嘩するほど仲が良い、というやつなのだろう。少女たちは意図せずして、協力な仲間を手に入れることができた。
セフィロトのあるタタル渓谷は、海の見える穏やかな土地だった。夜にだけ花を咲かせるという、セレニアが群生している。
空気も澄んでいるような気がする。少女が息を吸い込むと、目の前を青い蝶が横切った。
「あれは、幻の『青色ゴルゴンホド揚羽』!捕まえたら、一匹辺り400万ガルド!!」
アニスが急に叫んだかと思えば、青い蝶を追って走り出した。捕まえようとしているようだ。
網も持っていないのに?少女はそう思ったが、普段の彼女を見ていると納得もできる。両親のこともあってか、お金への執着がすさまじい。それが彼女の可愛いところでもあるのだが。
そんなアニスを皆で見ていたときだった。ぐら、と、急に地面が揺れた。地震だ。
「きゃう!?」
「アニス!!」
崖際に立っていたアニスが、激しい揺れで空中に放り出される。
まずい。でも、間に合わない。どうすれば。
少女がやっと崖まで走り寄ると、そこには、アニスの腕を掴んだガイがいた。
「ガイさん……!」
少女がアニスのもう片方の手を掴み、なんとか崖の上に引き上げる。
怖かった。仲間が死んでしまうかと思った。少女は肩を揺らして呼吸を整える。隣ではガイが、呆然と自分の手を見つめている。
「ガイ、菜真絵。……ごめん、ありがとう」
「私は何も。それより、ガイさん……」
「……さわれた……」
女性恐怖症だったはずのガイが、アニスに触れて、助けることができた。
後ろから他の仲間も駆け寄ってくる。
「ガイさん! 頑張ったですの!」
「よかったな、ガイ!」
「偉いですわ。いくら過去のことがあっても、あそこでアニスを助けなければ見損なっていました」
ミュウ、ルーク、ナタリアが、わいわいとガイを讃える。まるで自分のことのように嬉しそうだ。
「俺のせいでアニスに大事がなくてよかったよ」
仲間の危険を前にしたからなのか、原因を思い出すことで症状が軽くなったのか。理由はわからない。だが、女性恐怖症を少しでも克服できたならば、それはとても喜ばしいことだ。
少女も皆と同じように、ガイに微笑みかける。
「かっこよかったです。とっても」
これまで見ることのなかった少女の満面の笑みに、ガイは少しだけ驚いた顔をして、すぐに、くしゃりと笑った。
セフィロトの振動周波数測定はそう難しいことではなかった。
同時に、セフィロトの術式を書き換え、ラジエイトゲートのセフィロトとタタル渓谷のセフィロトを連動させることができた。全世界のセフィロトを繋げ、同時に降下させようという算段だ。
船の中。ルークは相談したいことがある、と、一室に皆を集めていた。
「ずっと考えてたんだけど、大陸の降下のこと、やっぱり伯父上とかピオニー皇帝にちゃんと事情を説明して、協力し合うべきなんじゃないかな」
ルークの考えはもっともだ。何も知らせずに世界を巻き込むのは、混乱の元である。
しかし、少女はそれを言い出すことはしなかった。自分では、周囲の協力を取り付けられないと思ったからだ。
しかし、この少年は、真っ直ぐに提案する。
自分の、何歩も先を歩いている。少女はそう思った。
「貴方の口からそれが出てくるのですね」
ジェイドが、柔和な微笑みを称えながら言う。彼も、少女と同じ気持ちなのかもしれない。
「ジェイドもそう思ってるんだな」
「筋を通す。というのは大切なことですから。それに、まだ解決しなければならない問題がありますしね」
「……瘴気、ですか」
外殻大地を降下させられたとしても、魔界が瘴気に包まれていることには変わりない。
瘴気の海に落ちたときのようにはならないが、長くは生きられない。
「対策には、両国の協力が必要でしょう」
「……ですが、そのためにはバチカルへ行かなくてはなりませんわ」
皆が頷く中で、ナタリアは逆に表情を沈めている。だが、ルークは怯まなかった。
「行くべきなんだ」
「ルーク……」
ナタリアは驚いてルークを見る。
「街のみんなは命がけで俺たちを……ナタリアを助けてくれた。今度は俺たちがみんなを助ける番だ」
「それが一番なのは分かっています。でもまだ怖い。お父様が私を拒絶なさったこと……」
ナタリアの言動から、ナタリアはバチカルでインゴベルトと顔を合わせたのだとわかる。
父親から処刑を言い渡されるとは、どれほど苦しいことだろう。少女は想像してみたが、現実味が無い。
押し黙るナタリアを見て、少女は声をかける。
「絶対に、受け入れてくださいます」
「菜真絵?」
どんな声をかけたらいいかわからない。わからないけれど、どうしても伝えたい。自分の言葉では気が晴れないかもしれないけれど、どうしても、自分の言葉でナタリアを元気づけたい。
少女は、どこかから湧き上がるエネルギーに身を任せて、言葉を継いだ。
「一番近くで見ていたお父様が、ナタリアさんのことを、嫌いになるはずがありません」
「でも私は、王家の血筋では……」
「私は、アッシュ様は、ここにいる皆は、国民は、今のナタリアさんを愛しているんです」
少女がナタリアの手を取る。
「もし、受け入れて貰えなくても、私たちがいます。死ぬまで一緒です」
「菜真絵……………」
まるでプロポーズだ。少女の大胆な振る舞いを、固唾をのむ者、笑いをこらえる者、ただただ呆気にとられる者、それぞれの反応を取りながら、見つめている。
ナタリアはというと、涙を流していた。少女が慌ててハンカチを取り出すと、受け取らず、菜真絵を優しく抱きしめた。
「本当に、ルークに……アッシュに似ていますのね」
「え?」
小さな声でナタリアが言う。
何を言っているのか、わからない。似ているのは、あなたのほうじゃないか。
少女はわからないなりに、ナタリアの背中に手を回した。
「………ありがとう。菜真絵を信じます。着いてきてくださいますか?」
「はい、もちろん」
ナタリアが辺りを見回すと、皆、力強く頷いた。
誰も取り残さず、世界を幸せに導きたい。それは、だれもが望んでいることなのだ。