崩落編
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ベルケンドに着くと、そこには神託の盾兵がいた。
「特務師団長!?先程捕えたはずじゃ……」
「明寺奏長!特務師団長に連れ去られていたのですね」
少年と少女は顔を見合わせる。
ここに、ルークが来たのだ。
「まあいい。主席総長がお呼びです。こちらに来てください!」
兵に促されるまま、二人は街の奥の建屋、第一音機関研究所へと向かった。
「フ。待ちかねたぞ、アッシュ」
ドアを開けると、椅子に腰掛けるヴァンと、背後に立つリグレット、そしてそれを取り囲むルークたちがいた。
ヴァンは少女の存在などまるで見えていないかのように、少年だけを真っ直ぐ見つめている。一方他の面々は、少年と少女の登場に驚きはしたものの、気まずそうに眉をしかめているだけで、何も話さない。
しばらく睨み合った後、ヴァンは椅子から立ち上がり、少年に歩み寄った。
「お前の超振動がなければ、私の計画は成り立たない。私と共に新しい世界の秩序を作ろう」
「断る!超振動が必要ならそこのレプリカを使え!」
「雑魚に用はない。あれは劣化品だ。一人では完全な超振動を操ることも出来ぬ。あれは、預言通りに歴史が進んでいると思わせるための、捨て駒だ」
そう言い放つヴァンに、少女は掴みかかりたいような気持ちになった。しかし、少女が一歩踏み出して、口を開くよりも前に、ティアが叫んだ。
「その言葉、取り消して!」
拳を握り、怒っているような、泣いているような声でヴァンを責め立てる。ヴァンの不敵な笑みが、ほんの一瞬だけ崩れたような気がした。
やはり、妹の言葉だからだろうか。
自分が話しかけていたら、返事すら貰えなかったかもしれない。少女はそう考えながら、目の前の上司を見つめた。
「ティア。お前も目を覚ませ。その屑と共にパッセージリングを再起動させているようだが、セフィロトが暴走しては意味がない」
しかし、ヴァンの表情の機微を、ティアが受け入れることはなかった。ヴァンの言葉を聞いて、ティアはサッとナイフを構える。それをジェイドが前に立ち制止する。
「ティア。武器を収めなさい。今の我々では分が悪い」
「ああ。この状況じゃ、俺たちも無傷って訳にはいかない。たとえ相打ちでも駄目なんだ。外殻を降下させる作業がまだ残っている」
ガイもそう言い聞かせる。
「……ヴァン。ここはお互い退こう。いいな?」
ヴァンを睨みつけたまま、少年が言う。
その言葉を聞いて、ヴァンは皆に背を向け、机の前へと戻って行った。
リグレットが椅子を引きながら問いかける。
「よろしいのですか?」
「アッシュの機嫌を取ってやるのも悪くなかろう」
「承知しました。……主席総長のお話は終わった。立ち去りなさい」
リグレットは冷たい声で言い放つ。
ジェイドに促され、一行はその部屋の出口を潜っていった。
研究所の外へ出るなり、ナタリアが菜真絵の元に駆け寄る。
「菜真絵!無事でよかった……!」
少女は驚いて、その勢いを受け止めきれずによろける。しかし構わず、ナタリアは少女を抱きしめて支えた。
少年ではなく、自分?
少女は怪訝に思いながらも、ナタリアの背中に手を回した。
「もう、二度と会えないかと思いましたわ……」
泣きながらそう言うナタリアに、少女も小さく涙をこぼす。せっかく泣き止んだというのに、これじゃあ、また顔が見せられなくなってしまう。
「私もナタリアさんが殺されるんじゃないかって、怖かったです」
「菜真絵が助けに来てくれたから、無事でいられたのです。本当に、ありがとう」
「助けたのは私じゃありません。街の皆さんです」
いつものように冷やかな言葉で、しかし、いつもとは違う震える声で、少女が言葉を紡ぐ。
あのまま、教会に閉じ込められていたら、あのまま、ルークとナタリアが処刑されていたら。考えるだけでおぞましい。
「いやー、美しい友情ですねぇ」
からかうようなジェイドの言葉で、少女は咄嗟にナタリアから手を離す。
気がつけば、皆が笑みをたたえてこちらを見ている。少女は恥ずかしくなって、そのまま俯いて黙り込んだ。
「ジェイド、私は心から再会を喜んでいるのですよ」
ナタリアに睨みつけられ、ジェイドが肩をすくめる。
コミカルなやりとりをしている2人を横目に、少女は頭の中で"友情"という言葉を反芻する。
嫉妬のような、憧れのような、まとまりのないこの感情は、きっと、そんなに清らかなものではない。
「俺もまた会えて嬉しいよ。あれが最後になっちゃ、悔やんでも悔やみきれないからさ」
声をかけられ、少女がハッと顔を上げると、そこにはガイの姿があった。
ケセドニアで神託の盾兵に連れ去られたときの話をしているのだろう。ナタリアとガイに落ち度は無いが、みすみす攫われることになってしまったことを、ガイは後悔しているのだ。
「こちらこそ、また会えて嬉しいです」
「あれ。ガイ、今日は菜真絵に優しいんだな」
微笑み合う2人の姿を見て、ルークが茶々を入れる。その言葉を受けて、ガイは気まずそうに頭を掻いた。
暗に普段はキツく当たっていると言っているようなものだ。間違ってはいないのだが、今のやりとりを聞いた少年がガイを睨みつけている。
「ガイさんはいつも優しいですよ」
フォローをしたらしたで、逆効果である。
ガイはさらに鋭くなった少年の視線を躱すように、少年から背を向けて、おどけて言った。
「それにしても、とんでもない計画だよな。ローレライごと外殻大地を消滅させて、レプリカで作り変えるなんてさ」
「………!! ヴァン様は、本当にそんな事を……!?」
ここにたどり着く前、皆とヴァンとの間でどんな会話があったのか、今の一言が説明していた。
ヴァンが外殻大地を崩落させようとしていることも、預言を無くそうとしていることも、少女は知っていた。
だが、本当にすべてを壊し、しかも、レプリカで代用すればいいと考えているなんて。
「なんだ。アッシュは話してないのか? 優しくないんだな」
「……………確証を得ているわけじゃなかった」
軽い意趣返しのつもりでガイは言ったが、アッシュは想像の何倍も腹が立ったらしい。すぐさま菜真絵の腕を掴んで、歩き出した。
「ガイ! また怒らせるような事を言って!」
離れても、ナタリアの怒る声はよく聞こえた。
「特務師団長!?先程捕えたはずじゃ……」
「明寺奏長!特務師団長に連れ去られていたのですね」
少年と少女は顔を見合わせる。
ここに、ルークが来たのだ。
「まあいい。主席総長がお呼びです。こちらに来てください!」
兵に促されるまま、二人は街の奥の建屋、第一音機関研究所へと向かった。
「フ。待ちかねたぞ、アッシュ」
ドアを開けると、椅子に腰掛けるヴァンと、背後に立つリグレット、そしてそれを取り囲むルークたちがいた。
ヴァンは少女の存在などまるで見えていないかのように、少年だけを真っ直ぐ見つめている。一方他の面々は、少年と少女の登場に驚きはしたものの、気まずそうに眉をしかめているだけで、何も話さない。
しばらく睨み合った後、ヴァンは椅子から立ち上がり、少年に歩み寄った。
「お前の超振動がなければ、私の計画は成り立たない。私と共に新しい世界の秩序を作ろう」
「断る!超振動が必要ならそこのレプリカを使え!」
「雑魚に用はない。あれは劣化品だ。一人では完全な超振動を操ることも出来ぬ。あれは、預言通りに歴史が進んでいると思わせるための、捨て駒だ」
そう言い放つヴァンに、少女は掴みかかりたいような気持ちになった。しかし、少女が一歩踏み出して、口を開くよりも前に、ティアが叫んだ。
「その言葉、取り消して!」
拳を握り、怒っているような、泣いているような声でヴァンを責め立てる。ヴァンの不敵な笑みが、ほんの一瞬だけ崩れたような気がした。
やはり、妹の言葉だからだろうか。
自分が話しかけていたら、返事すら貰えなかったかもしれない。少女はそう考えながら、目の前の上司を見つめた。
「ティア。お前も目を覚ませ。その屑と共にパッセージリングを再起動させているようだが、セフィロトが暴走しては意味がない」
しかし、ヴァンの表情の機微を、ティアが受け入れることはなかった。ヴァンの言葉を聞いて、ティアはサッとナイフを構える。それをジェイドが前に立ち制止する。
「ティア。武器を収めなさい。今の我々では分が悪い」
「ああ。この状況じゃ、俺たちも無傷って訳にはいかない。たとえ相打ちでも駄目なんだ。外殻を降下させる作業がまだ残っている」
ガイもそう言い聞かせる。
「……ヴァン。ここはお互い退こう。いいな?」
ヴァンを睨みつけたまま、少年が言う。
その言葉を聞いて、ヴァンは皆に背を向け、机の前へと戻って行った。
リグレットが椅子を引きながら問いかける。
「よろしいのですか?」
「アッシュの機嫌を取ってやるのも悪くなかろう」
「承知しました。……主席総長のお話は終わった。立ち去りなさい」
リグレットは冷たい声で言い放つ。
ジェイドに促され、一行はその部屋の出口を潜っていった。
研究所の外へ出るなり、ナタリアが菜真絵の元に駆け寄る。
「菜真絵!無事でよかった……!」
少女は驚いて、その勢いを受け止めきれずによろける。しかし構わず、ナタリアは少女を抱きしめて支えた。
少年ではなく、自分?
少女は怪訝に思いながらも、ナタリアの背中に手を回した。
「もう、二度と会えないかと思いましたわ……」
泣きながらそう言うナタリアに、少女も小さく涙をこぼす。せっかく泣き止んだというのに、これじゃあ、また顔が見せられなくなってしまう。
「私もナタリアさんが殺されるんじゃないかって、怖かったです」
「菜真絵が助けに来てくれたから、無事でいられたのです。本当に、ありがとう」
「助けたのは私じゃありません。街の皆さんです」
いつものように冷やかな言葉で、しかし、いつもとは違う震える声で、少女が言葉を紡ぐ。
あのまま、教会に閉じ込められていたら、あのまま、ルークとナタリアが処刑されていたら。考えるだけでおぞましい。
「いやー、美しい友情ですねぇ」
からかうようなジェイドの言葉で、少女は咄嗟にナタリアから手を離す。
気がつけば、皆が笑みをたたえてこちらを見ている。少女は恥ずかしくなって、そのまま俯いて黙り込んだ。
「ジェイド、私は心から再会を喜んでいるのですよ」
ナタリアに睨みつけられ、ジェイドが肩をすくめる。
コミカルなやりとりをしている2人を横目に、少女は頭の中で"友情"という言葉を反芻する。
嫉妬のような、憧れのような、まとまりのないこの感情は、きっと、そんなに清らかなものではない。
「俺もまた会えて嬉しいよ。あれが最後になっちゃ、悔やんでも悔やみきれないからさ」
声をかけられ、少女がハッと顔を上げると、そこにはガイの姿があった。
ケセドニアで神託の盾兵に連れ去られたときの話をしているのだろう。ナタリアとガイに落ち度は無いが、みすみす攫われることになってしまったことを、ガイは後悔しているのだ。
「こちらこそ、また会えて嬉しいです」
「あれ。ガイ、今日は菜真絵に優しいんだな」
微笑み合う2人の姿を見て、ルークが茶々を入れる。その言葉を受けて、ガイは気まずそうに頭を掻いた。
暗に普段はキツく当たっていると言っているようなものだ。間違ってはいないのだが、今のやりとりを聞いた少年がガイを睨みつけている。
「ガイさんはいつも優しいですよ」
フォローをしたらしたで、逆効果である。
ガイはさらに鋭くなった少年の視線を躱すように、少年から背を向けて、おどけて言った。
「それにしても、とんでもない計画だよな。ローレライごと外殻大地を消滅させて、レプリカで作り変えるなんてさ」
「………!! ヴァン様は、本当にそんな事を……!?」
ここにたどり着く前、皆とヴァンとの間でどんな会話があったのか、今の一言が説明していた。
ヴァンが外殻大地を崩落させようとしていることも、預言を無くそうとしていることも、少女は知っていた。
だが、本当にすべてを壊し、しかも、レプリカで代用すればいいと考えているなんて。
「なんだ。アッシュは話してないのか? 優しくないんだな」
「……………確証を得ているわけじゃなかった」
軽い意趣返しのつもりでガイは言ったが、アッシュは想像の何倍も腹が立ったらしい。すぐさま菜真絵の腕を掴んで、歩き出した。
「ガイ! また怒らせるような事を言って!」
離れても、ナタリアの怒る声はよく聞こえた。