崩落編
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ローテルロー橋に船をつけ、テオルの森を抜け、グランコクマを目指す。
そのはずだったのだが、一同はテオルの森の入り口で足止めされてしまっていた。
戦争が近づいている今、マルクト軍も厳戒態勢をとっているのだ。
そこで、マルクト軍の大佐であるジェイドだけが森の奥へと入って行った。
残りのメンバーはというと、何もない森の中で時間を潰していた。
「ガイってホントにマルクトに詳しいよなー」
ルーク、ガイ、ナタリアの3人が円を作って話をしている。ガイがグランコクマの豆知識を披露しているようだ。
少女は、そこから少し離れたところで木に腰掛けていた。すると、ティアと遊んでいたミュウが、ぺちぺちとかわいい音を立てて歩み寄ってきた。
「菜真絵さん、何のご本を読んでいるんですの?」
「日記です」
少女が開いた本の1ページには、日本語の文字が敷き詰められている。それを見たミュウは一瞬難しそうな顔をしたが、その後すぐに、満面の笑みを見せた。
「ご主人様とお揃いですの!」
少女が首を傾げると、ティアがこちらを向いて補足をひとつ。
「ルークは日記をつけているの」
元々、記憶喪失が再発した時のための対策だったらしい。それを今も続けているそうだ。
「今日はなんて書いたんですの?」
「ああ……私の日記は、ただ印をつけているだけです」
「印?」
「ここに来る前の世界で、今が何月何日なのか」
少女はそう言った後、自分を見る複数の目に気がついた。しまった。自分の話なんて、誰も聞きたくないはずなのに。
「君の住んでいた世界とオールドラントでは、暦の進み方が違うということかい?」
ガイが興味深そうに尋ねる。別に、隠すこともないか。
「はい。こちらでの1年が、私の世界では2年とちょっとなんです」
「へー。他にも違うところがありそうだな」
ルークも目を輝かせている。絶好のおもちゃを見つけた、といった感じだ。
少女は少しだけ、自分の世界の話をした。食べ物の話や、普段使う道具の話。話がややこしくならない程度に。
しかし、興味を示していたはずのガイが黙り込んでいる。
「どうかしましたか?」
「菜真絵、君は15歳、だったよな?」
「……ああ。はい、そうですよ」
「そうか」
他の面々が首を傾げているが、ガイは何も言わなかった。少女の声色が冷たかったからだ。
自分だけ速く年老いていく。それは、少女にとって弱みなのだ。
「ガイ、女性に年齢を訊くなんて失礼ですわよ」
「すまない。でも、歳も知らなきゃ、誕生日も祝えないだろ?」
バチリとウィンクをかますガイ。その様子を、一同は呆れた様子で見ていた。
その時だった。
「うわぁあああ!」
男の悲鳴が聞こえた。
一同がその方向に走ると、マルクトの兵士が倒れていた。
「神託の盾の兵士が……くそ……っ」
絞り出すようにそう言って、マルクトの兵士は息絶えた。
「神託の盾の兵士って……まさか兄さん?」
「六神将がまたイオン様を攫いに来たのかも……」
神託の盾に先回りされている。その事実が一行を焦らせる。
果たして、彼らはグランコクマに何をしに来たのだろう?
それぞれが考察を述べるが、どれも確証を得られるようなものではない。
「話してても埒があかねぇ!神託の盾の奴を追いかけてとっつかまえようぜ!」
「そうですわね。こんな狼藉を許してはなりませんっ!」
話の流れを断ち切って、ルークとナタリアが走り出した。
ティアが止めようとするが、2人はそのまま森の奥へと進んでいってしまった。
「マルクトの兵士に敵だと勘違いされてしまうかもしれないわ」
「なら、見つからないように隠れて進むしかないな」
ガイ、アニス、イオンも続けて走り出す。
呆気にとられていた少女とティアだったが、すぐにその手に武器を構えた。
「もう、せっかちなんだから……」
ティアの手は震えている。言動は冷静に見えても、本当は焦っているのだ。
あっという間に、一同は森の出口付近までたどり着いた。
視線の先には開けた街道が見える。しかし、神託の盾兵の姿が見当たらない。
「マルクトの兵が倒れていますわ!」
ナタリアが叫んだのと同時に、木の上から黒い人影が降ってきた。ナタリアは咄嗟に後ろへ避け、影に向かって矢を放った。
「お姫様にしてはいい反応だな」
「お前は砂漠で会った……ラルゴ!」
ナタリアの周囲に、ルーク、ティア、ガイが駆け寄る。
「グランコクマに何の用だ!」
「前ばかり気にしていてはいかんな。坊主」
「え?」
ルークが後ろを向いた頃には遅く、刃がその体を掠めようとしていた。しかし、ティアが咄嗟に飛びついて、ルークを襲撃から守った。剣が地面を転がる。
「ガイ!?」
「ちょっとちょっと、どうしちゃったの!?」
襲撃者の正体は、ガイだった。これまでルークの背中を守り続けていた親友だ。
敵に操られているのかもしれない。そう思った少女は、黒獅子ラルゴに向かって剣を構えた。
「ラルゴ様、貴方は一体何を……」
「これは、カースロットです!どこかにシンクがいるはず……!」
イオンの言葉に、少女は空を見渡した。しかし、鬱蒼とした森の中、人の影を見つけることはできない。
その時、
「きゃっ、また地震!」
ぐらぐらと大地が揺れた。そのはずみでガイの攻撃が止まり、ルークは隙を見て、落としていた剣を拾った。
一方、少女は木々の中で、何かがキラリと光るのを見つけた。
「ナタリアさん、上!」
間髪入れず、ナタリアは示された場所に矢を放つ。すると、木の上から小柄な少年が落ちてきた。シンクだ。
途端に、ガイが動きを止め、その場に崩れ落ちた。
「……地震で気配を消しきれなかったか」
「やっぱりイオンを狙ってるのか!」
「大詠師モースの命令?それともやっぱ、主席総長?」
「どちらでも同じことよ。俺たちは導師イオンを必要としている」
矢継ぎ早に質問をする一同に対して、ラルゴは悠々と答える。
一方シンクは、少女の持った剣の先まで歩み寄り、低い声色で話し出した。
「アッシュを逃がすなんて情けないね」
「捕まえておけと命令された覚えはありませんが」
「役に立たない奴だな」
率直な暴言を受けて、少女は顔をしかめる。しかし、彼が少女に対して攻撃する様子はなかった。
少女は心底安心した。シンクに向けた剣の先が震えていたからだ。まだ、彼らを斬る覚悟はできていない。
「何の騒ぎだ!」
ガサガサと木を掻き分ける音と共に、マルクト兵の姿が見えた。
「ラルゴ、いったん退くよ!」
「やむを得んな」
シンクとラルゴは素早く駆け去った。
2人に追いつくことができないと察すると、マルクト兵はティアに向き直る。
「何だ、お前たちは!」
「カーティス大佐をお待ちしていましたが、不審な人影を発見し、ここまで追ってきました」
「今逃げた神託の盾兵のことか?だが、お前達の中にも神託の盾兵がいるな」
少女とティアとアニスは黙り込む。この場を切り抜けられるような、上手い言い訳が思いつかない。
「……怪しい奴らだ。連行するぞ」
周囲の兵たちが一斉にルークたちを取り囲んだ。
一行は、そのままマルクト兵に連れて行かれることとなった。
そのはずだったのだが、一同はテオルの森の入り口で足止めされてしまっていた。
戦争が近づいている今、マルクト軍も厳戒態勢をとっているのだ。
そこで、マルクト軍の大佐であるジェイドだけが森の奥へと入って行った。
残りのメンバーはというと、何もない森の中で時間を潰していた。
「ガイってホントにマルクトに詳しいよなー」
ルーク、ガイ、ナタリアの3人が円を作って話をしている。ガイがグランコクマの豆知識を披露しているようだ。
少女は、そこから少し離れたところで木に腰掛けていた。すると、ティアと遊んでいたミュウが、ぺちぺちとかわいい音を立てて歩み寄ってきた。
「菜真絵さん、何のご本を読んでいるんですの?」
「日記です」
少女が開いた本の1ページには、日本語の文字が敷き詰められている。それを見たミュウは一瞬難しそうな顔をしたが、その後すぐに、満面の笑みを見せた。
「ご主人様とお揃いですの!」
少女が首を傾げると、ティアがこちらを向いて補足をひとつ。
「ルークは日記をつけているの」
元々、記憶喪失が再発した時のための対策だったらしい。それを今も続けているそうだ。
「今日はなんて書いたんですの?」
「ああ……私の日記は、ただ印をつけているだけです」
「印?」
「ここに来る前の世界で、今が何月何日なのか」
少女はそう言った後、自分を見る複数の目に気がついた。しまった。自分の話なんて、誰も聞きたくないはずなのに。
「君の住んでいた世界とオールドラントでは、暦の進み方が違うということかい?」
ガイが興味深そうに尋ねる。別に、隠すこともないか。
「はい。こちらでの1年が、私の世界では2年とちょっとなんです」
「へー。他にも違うところがありそうだな」
ルークも目を輝かせている。絶好のおもちゃを見つけた、といった感じだ。
少女は少しだけ、自分の世界の話をした。食べ物の話や、普段使う道具の話。話がややこしくならない程度に。
しかし、興味を示していたはずのガイが黙り込んでいる。
「どうかしましたか?」
「菜真絵、君は15歳、だったよな?」
「……ああ。はい、そうですよ」
「そうか」
他の面々が首を傾げているが、ガイは何も言わなかった。少女の声色が冷たかったからだ。
自分だけ速く年老いていく。それは、少女にとって弱みなのだ。
「ガイ、女性に年齢を訊くなんて失礼ですわよ」
「すまない。でも、歳も知らなきゃ、誕生日も祝えないだろ?」
バチリとウィンクをかますガイ。その様子を、一同は呆れた様子で見ていた。
その時だった。
「うわぁあああ!」
男の悲鳴が聞こえた。
一同がその方向に走ると、マルクトの兵士が倒れていた。
「神託の盾の兵士が……くそ……っ」
絞り出すようにそう言って、マルクトの兵士は息絶えた。
「神託の盾の兵士って……まさか兄さん?」
「六神将がまたイオン様を攫いに来たのかも……」
神託の盾に先回りされている。その事実が一行を焦らせる。
果たして、彼らはグランコクマに何をしに来たのだろう?
それぞれが考察を述べるが、どれも確証を得られるようなものではない。
「話してても埒があかねぇ!神託の盾の奴を追いかけてとっつかまえようぜ!」
「そうですわね。こんな狼藉を許してはなりませんっ!」
話の流れを断ち切って、ルークとナタリアが走り出した。
ティアが止めようとするが、2人はそのまま森の奥へと進んでいってしまった。
「マルクトの兵士に敵だと勘違いされてしまうかもしれないわ」
「なら、見つからないように隠れて進むしかないな」
ガイ、アニス、イオンも続けて走り出す。
呆気にとられていた少女とティアだったが、すぐにその手に武器を構えた。
「もう、せっかちなんだから……」
ティアの手は震えている。言動は冷静に見えても、本当は焦っているのだ。
あっという間に、一同は森の出口付近までたどり着いた。
視線の先には開けた街道が見える。しかし、神託の盾兵の姿が見当たらない。
「マルクトの兵が倒れていますわ!」
ナタリアが叫んだのと同時に、木の上から黒い人影が降ってきた。ナタリアは咄嗟に後ろへ避け、影に向かって矢を放った。
「お姫様にしてはいい反応だな」
「お前は砂漠で会った……ラルゴ!」
ナタリアの周囲に、ルーク、ティア、ガイが駆け寄る。
「グランコクマに何の用だ!」
「前ばかり気にしていてはいかんな。坊主」
「え?」
ルークが後ろを向いた頃には遅く、刃がその体を掠めようとしていた。しかし、ティアが咄嗟に飛びついて、ルークを襲撃から守った。剣が地面を転がる。
「ガイ!?」
「ちょっとちょっと、どうしちゃったの!?」
襲撃者の正体は、ガイだった。これまでルークの背中を守り続けていた親友だ。
敵に操られているのかもしれない。そう思った少女は、黒獅子ラルゴに向かって剣を構えた。
「ラルゴ様、貴方は一体何を……」
「これは、カースロットです!どこかにシンクがいるはず……!」
イオンの言葉に、少女は空を見渡した。しかし、鬱蒼とした森の中、人の影を見つけることはできない。
その時、
「きゃっ、また地震!」
ぐらぐらと大地が揺れた。そのはずみでガイの攻撃が止まり、ルークは隙を見て、落としていた剣を拾った。
一方、少女は木々の中で、何かがキラリと光るのを見つけた。
「ナタリアさん、上!」
間髪入れず、ナタリアは示された場所に矢を放つ。すると、木の上から小柄な少年が落ちてきた。シンクだ。
途端に、ガイが動きを止め、その場に崩れ落ちた。
「……地震で気配を消しきれなかったか」
「やっぱりイオンを狙ってるのか!」
「大詠師モースの命令?それともやっぱ、主席総長?」
「どちらでも同じことよ。俺たちは導師イオンを必要としている」
矢継ぎ早に質問をする一同に対して、ラルゴは悠々と答える。
一方シンクは、少女の持った剣の先まで歩み寄り、低い声色で話し出した。
「アッシュを逃がすなんて情けないね」
「捕まえておけと命令された覚えはありませんが」
「役に立たない奴だな」
率直な暴言を受けて、少女は顔をしかめる。しかし、彼が少女に対して攻撃する様子はなかった。
少女は心底安心した。シンクに向けた剣の先が震えていたからだ。まだ、彼らを斬る覚悟はできていない。
「何の騒ぎだ!」
ガサガサと木を掻き分ける音と共に、マルクト兵の姿が見えた。
「ラルゴ、いったん退くよ!」
「やむを得んな」
シンクとラルゴは素早く駆け去った。
2人に追いつくことができないと察すると、マルクト兵はティアに向き直る。
「何だ、お前たちは!」
「カーティス大佐をお待ちしていましたが、不審な人影を発見し、ここまで追ってきました」
「今逃げた神託の盾兵のことか?だが、お前達の中にも神託の盾兵がいるな」
少女とティアとアニスは黙り込む。この場を切り抜けられるような、上手い言い訳が思いつかない。
「……怪しい奴らだ。連行するぞ」
周囲の兵たちが一斉にルークたちを取り囲んだ。
一行は、そのままマルクト兵に連れて行かれることとなった。