外殻大地編
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少女達は、タルタロスでユリアシティを目指していた。
タルタロスに生存者はいないようだった。
乗り慣れたタルタロス。良いことも嫌なこともあった。マルクト兵の死体を片付けた、なんてことも。しかし、今回は見知った面々が倒れている。少女は吐き気をこらえながら、ジェイドに抱えられて移動した。
少女は甲板の地面に座らされた。景色は、淀んだ紫に支配されている。海も、空も、すべてが障気にまみれている。まるで地獄のようだ。
「……先程のあの子、助けられませんでしたわ」
「兄さんを止めることさえできていれば……」
数千の人々が死んだ。
少女だけでなく、ここにいる全員が、その事実を受け止めきれずにいた。
「なんだよ!訳わかんねーよっ!俺と師匠は障気を消そうとしただけなんだ!……消そうとしただけなんだ……」
レプリカルークの声色は泣いていた。
自分が崩落の引き金になった。そう理解しているのだろう。
「……過ぎたことを言っても仕方がないわ……」
ティアがそう呟く。
少女は、何も話すことができなかった。もっと早く来ていれば、わがままを言わなければ。そんな思いが胸を支配している。しかし、恥ずかしくて、情けなくて、口にすることすらはばかられる。
「ヴァンの意図を、知っているだけ教えていただけませんか?」
ふいに、ジェイドが少女に質問を投げかけた。
少女は、震える口元を落ち着けるために、何度も深呼吸をしてから、答える。それでも、声が震える。
「ヴァン様は、預言に縛られない世の中を望んでいます」
「……ええ、そう言っていたわ」
「そのために彼がどんな手を使おうとしているのか、私達は調べていた途中でした。しかし、どうやら外殻大地を崩落させようとしている、というところまでしか……」
外殻大地という言葉に、ティアとイオンを除く全員が首を傾げる。
外殻大地の下にある本当の世界、魔界。それは本来、教団の詠師職以上でないと知らされない存在だ。少女はヴァンの計画を追うにつれ知ることになったが。
少女に変わって、魔界出身のティア、導師のイオンが、魔界の説明をする。面々は、心底驚いているようだった。
「しかし、何故こんなことになったんです?話を聞く限り、アクゼリュスは柱に支えられていたのでしょう?」
「それは……柱が消滅したからです」
イオンの言葉を受けて、アニスが声を強張らせて言う。
「どうしてですか?」
全員が、一斉にレプリカルークを見た。
「……お、俺は知らないぞ!俺はただ障気を中和しようとしただけだ!あの場所で超振動を起こせば障気が消えるって言われて……!」
「あなたは兄に騙されたのよ」
視線に反発し、言い訳を繰り返すレプリカルークの言葉を、ティアがピシャリと遮る。
悪いのは彼だけではない。皆がそれを知っていたが、怒りを向けずにはいられなかった。
「僕が迂闊でした。ヴァンがルークにそんなことをさせようとしていたなんて……」
「せめて、事前に相談して欲しかったですね」
「アクゼリュスは消滅しましたわ。何千という人間が、一瞬で……」
誰も、レプリカルークから視線を逸らさない。誰も、彼を責める姿勢を崩さない。
少女は、自分を責めてくれと言い出したかった。悪いのは自分だからと。しかし、怖くて、震えが止まらなくて、何も言い出せない。
「……お、俺が悪いってのか……?」
レプリカの声に答える者はいない。
「……俺は……俺は悪くねぇぞ。だって、師匠が言ったんだ……。そうだ、師匠がやれって!こんなことになるなんて知らなかった!誰も教えてくんなかっただろっ!俺は悪くねぇっ!俺は悪くねぇっ!!」
騙された、愚かなレプリカルーク。
少女はその姿を見て、涙を溢した。彼はこのためだけに生まれ、殺されようとしていたのだ。なんて惨めなのだろう。
そしてあの少年は、そんなレプリカに居場所を奪われたのだ。
オリジナルもレプリカも、どちらも不幸だなんて、救われない。
「あの、」
少女が、赤髪の少年に語りかける。
あなたは悪くないと言いたかった。ただヴァンに操られただけなのだと。
そして謝りたかった。知っていたのに止められなかったことを。オリジナルを愛しすぎて、わがままになっていたことを。
「ごめんなさい、私、止められなくて、知っていたのに。あなたはただ……」
「足を痛めているのに、無理をしてはいけませんよ」
ジェイドが、少女の肩を掴んだ。まるでその先の言葉を遮るように。声色は優しいが、眼鏡の奥の瞳は、とても冷たい。
自分の言葉は、ここでは求められていない。それを悟った少女は、2度と口を開かなかった。
「艦橋に戻ります。……ここにいると馬鹿な発言に苛々させられる」
少女はジェイドに抱えられ、艦橋に連れられた。
タルタロスに生存者はいないようだった。
乗り慣れたタルタロス。良いことも嫌なこともあった。マルクト兵の死体を片付けた、なんてことも。しかし、今回は見知った面々が倒れている。少女は吐き気をこらえながら、ジェイドに抱えられて移動した。
少女は甲板の地面に座らされた。景色は、淀んだ紫に支配されている。海も、空も、すべてが障気にまみれている。まるで地獄のようだ。
「……先程のあの子、助けられませんでしたわ」
「兄さんを止めることさえできていれば……」
数千の人々が死んだ。
少女だけでなく、ここにいる全員が、その事実を受け止めきれずにいた。
「なんだよ!訳わかんねーよっ!俺と師匠は障気を消そうとしただけなんだ!……消そうとしただけなんだ……」
レプリカルークの声色は泣いていた。
自分が崩落の引き金になった。そう理解しているのだろう。
「……過ぎたことを言っても仕方がないわ……」
ティアがそう呟く。
少女は、何も話すことができなかった。もっと早く来ていれば、わがままを言わなければ。そんな思いが胸を支配している。しかし、恥ずかしくて、情けなくて、口にすることすらはばかられる。
「ヴァンの意図を、知っているだけ教えていただけませんか?」
ふいに、ジェイドが少女に質問を投げかけた。
少女は、震える口元を落ち着けるために、何度も深呼吸をしてから、答える。それでも、声が震える。
「ヴァン様は、預言に縛られない世の中を望んでいます」
「……ええ、そう言っていたわ」
「そのために彼がどんな手を使おうとしているのか、私達は調べていた途中でした。しかし、どうやら外殻大地を崩落させようとしている、というところまでしか……」
外殻大地という言葉に、ティアとイオンを除く全員が首を傾げる。
外殻大地の下にある本当の世界、魔界。それは本来、教団の詠師職以上でないと知らされない存在だ。少女はヴァンの計画を追うにつれ知ることになったが。
少女に変わって、魔界出身のティア、導師のイオンが、魔界の説明をする。面々は、心底驚いているようだった。
「しかし、何故こんなことになったんです?話を聞く限り、アクゼリュスは柱に支えられていたのでしょう?」
「それは……柱が消滅したからです」
イオンの言葉を受けて、アニスが声を強張らせて言う。
「どうしてですか?」
全員が、一斉にレプリカルークを見た。
「……お、俺は知らないぞ!俺はただ障気を中和しようとしただけだ!あの場所で超振動を起こせば障気が消えるって言われて……!」
「あなたは兄に騙されたのよ」
視線に反発し、言い訳を繰り返すレプリカルークの言葉を、ティアがピシャリと遮る。
悪いのは彼だけではない。皆がそれを知っていたが、怒りを向けずにはいられなかった。
「僕が迂闊でした。ヴァンがルークにそんなことをさせようとしていたなんて……」
「せめて、事前に相談して欲しかったですね」
「アクゼリュスは消滅しましたわ。何千という人間が、一瞬で……」
誰も、レプリカルークから視線を逸らさない。誰も、彼を責める姿勢を崩さない。
少女は、自分を責めてくれと言い出したかった。悪いのは自分だからと。しかし、怖くて、震えが止まらなくて、何も言い出せない。
「……お、俺が悪いってのか……?」
レプリカの声に答える者はいない。
「……俺は……俺は悪くねぇぞ。だって、師匠が言ったんだ……。そうだ、師匠がやれって!こんなことになるなんて知らなかった!誰も教えてくんなかっただろっ!俺は悪くねぇっ!俺は悪くねぇっ!!」
騙された、愚かなレプリカルーク。
少女はその姿を見て、涙を溢した。彼はこのためだけに生まれ、殺されようとしていたのだ。なんて惨めなのだろう。
そしてあの少年は、そんなレプリカに居場所を奪われたのだ。
オリジナルもレプリカも、どちらも不幸だなんて、救われない。
「あの、」
少女が、赤髪の少年に語りかける。
あなたは悪くないと言いたかった。ただヴァンに操られただけなのだと。
そして謝りたかった。知っていたのに止められなかったことを。オリジナルを愛しすぎて、わがままになっていたことを。
「ごめんなさい、私、止められなくて、知っていたのに。あなたはただ……」
「足を痛めているのに、無理をしてはいけませんよ」
ジェイドが、少女の肩を掴んだ。まるでその先の言葉を遮るように。声色は優しいが、眼鏡の奥の瞳は、とても冷たい。
自分の言葉は、ここでは求められていない。それを悟った少女は、2度と口を開かなかった。
「艦橋に戻ります。……ここにいると馬鹿な発言に苛々させられる」
少女はジェイドに抱えられ、艦橋に連れられた。