外殻大地編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「応えろ……、応えろ!」
同調フォンスロットを繋いだレプリカに向かって、少年は通信を図っていた。少女はただそれを見つめる。ディストは成功したと言っていたが、本当に、遠隔地の通信など可能なのだろうか?
「奴は砂漠のオアシスにいる」
「砂漠のオアシスなら、丁度よい頃合に来てくれそうですね」
少年はレプリカを呼び寄せることで、イオンを逃がそうとしていた。今からでも窓から放り出すことはできるが、あからさまな命令違反は目立ってしまう。レプリカ一行に導師を奪わせれば、自然に目的を達成できるというわけだ。
「セフィロトを解咒して、何をしようとしているのですか?」
ここは以前、レプリカルーク達を閉じ込めていた部屋だ。そこにイオンは座らされ、軟禁されていた。少年と少女は何も答えない。2人だって、正確なことは知らないのだ。
しばらくの沈黙のあと、少女は話の流れを汲まずに導師に話しかけた。
「セフィロトにルーク様を呼びました。混乱に乗じて、導師イオンはダアトまで逃げてください」
「……!?菜真絵、アッシュ、あなた方はいったい」
「色々な考えの人がいる、以前そう申し上げたはずです」
少女がそう言うと、イオンは屈託のない笑みを浮かべた。
「そうですか。安心しました」
まるで世界の最高権力者とは思えないような、無邪気な笑み。
噂と違う、導師イオンはこんな奴だったのか。少年は驚いて少女に目を合わせたが、少女も少女で、子供のように笑っていた。
「解咒の前に彼らが現れるとよいのですが……」
「セフィロトを解咒しただけでは、何もできません。パッセージリングにはユリア式封咒が施されていますから」
導師は少女を安心させるようにそう言った。パッセージリングは、セフィロトツリーを制御するための機構である。セフィロトの解咒をしても、まだ何重にも鍵が掛けられているらしい。
「ユリア式封咒を解くとどうなる」
「パッセージリングを操作することができます。例えば……」
「着いたよ、出てきな」
ふいにドアが開いて、シンクとラルゴが導師を連れ出す。他に人がいては、これ以上のことは聞けない。少年と少女は黙ってその後をついて行った。
セフィロトの扉の紋様が、光を纏っていく。世界でただ一人、導師のみが受け継ぐダアト式譜術。それはとても美しく、少女はこの状況を忘れて、解咒の様に見とれていた。
「足音がきこえるね」
シンクの声が地下に響けば、次の瞬間には、目の前にレプリカルーク一行が立ちはだかっていた。
黒獅子ラルゴと烈風のシンク、2人は彼らの姿を見るなり、攻撃を加える。彼らもそれに応戦し、瞬く間に戦闘へと発展していく。
「アンタ達はイオンを見張ってな!」
都合よく、それとも何かの計らいか、少年と少女はイオンの元に取り残された。熾烈な戦いを遠くから眺める。
「頃合いを見てあいつ等に斬りかかる。その隙に逃げろ」
「はい」
2対6では不利が過ぎただろうか、やがて、シンクとラルゴはその場に崩れ落ちた。彼らが悔しそうに呻く姿を、少女は初めて見たような気がした。レプリカルーク一行はやはり強いのだ。
「二人がかりで何やってんだ!屑!」
少年がその場を飛び出した。そして、レプリカルークと剣を交える。前と同じだ。繰り出す技も、攻撃の流し方も、何もかもが同じ。
「今の……今のはヴァン師匠の技だ!どうしてそれをお前が使えるんだ!」
「決まってるだろうが!同じ流派だからだよ、ボケがっ!俺は……!」
「アッシュ様!いけません!」
彼が真実を告げようとした時、少女は導師を置いて少年の元に走り出した。その隙に、人形士が駆け寄り、導師を救出した。
「アッシュ!何やってんのさ!」
「申し訳ありません!しかし、無理に戦っては……」
すべて茶番だ。少年は感情的になったフリをして、少女は少年を止めるフリをして、持ち場を離れる、その間にイオンを逃す。これまでの2人の行いからすれば、いたって自然な流れだろう。
導師イオンを奪還したレプリカルーク一行は、駆け足で遺跡の上部へと登っていった。
「ナタリア王女に、逃げられちゃったね」
シンクがそう呟くと、少年は舌打ちを返す。少女は少年に対する皮肉だと思った。しかし、ラルゴもまた眉を潜めていた。
傷が痛むのだろうか。
少女が心配して駆け寄ると、ラルゴは静かな声で呟いた。
「死んだ娘と歳が近くてな。そのような相手を斬りつけるのは……やはり心が痛む」
死んだ娘。
この男も、預言に見捨てられたのだろう。そして、六神将の他の面々も、きっと。
少女はそう思って、仲間たちの不幸を憂いた。
同調フォンスロットを繋いだレプリカに向かって、少年は通信を図っていた。少女はただそれを見つめる。ディストは成功したと言っていたが、本当に、遠隔地の通信など可能なのだろうか?
「奴は砂漠のオアシスにいる」
「砂漠のオアシスなら、丁度よい頃合に来てくれそうですね」
少年はレプリカを呼び寄せることで、イオンを逃がそうとしていた。今からでも窓から放り出すことはできるが、あからさまな命令違反は目立ってしまう。レプリカ一行に導師を奪わせれば、自然に目的を達成できるというわけだ。
「セフィロトを解咒して、何をしようとしているのですか?」
ここは以前、レプリカルーク達を閉じ込めていた部屋だ。そこにイオンは座らされ、軟禁されていた。少年と少女は何も答えない。2人だって、正確なことは知らないのだ。
しばらくの沈黙のあと、少女は話の流れを汲まずに導師に話しかけた。
「セフィロトにルーク様を呼びました。混乱に乗じて、導師イオンはダアトまで逃げてください」
「……!?菜真絵、アッシュ、あなた方はいったい」
「色々な考えの人がいる、以前そう申し上げたはずです」
少女がそう言うと、イオンは屈託のない笑みを浮かべた。
「そうですか。安心しました」
まるで世界の最高権力者とは思えないような、無邪気な笑み。
噂と違う、導師イオンはこんな奴だったのか。少年は驚いて少女に目を合わせたが、少女も少女で、子供のように笑っていた。
「解咒の前に彼らが現れるとよいのですが……」
「セフィロトを解咒しただけでは、何もできません。パッセージリングにはユリア式封咒が施されていますから」
導師は少女を安心させるようにそう言った。パッセージリングは、セフィロトツリーを制御するための機構である。セフィロトの解咒をしても、まだ何重にも鍵が掛けられているらしい。
「ユリア式封咒を解くとどうなる」
「パッセージリングを操作することができます。例えば……」
「着いたよ、出てきな」
ふいにドアが開いて、シンクとラルゴが導師を連れ出す。他に人がいては、これ以上のことは聞けない。少年と少女は黙ってその後をついて行った。
セフィロトの扉の紋様が、光を纏っていく。世界でただ一人、導師のみが受け継ぐダアト式譜術。それはとても美しく、少女はこの状況を忘れて、解咒の様に見とれていた。
「足音がきこえるね」
シンクの声が地下に響けば、次の瞬間には、目の前にレプリカルーク一行が立ちはだかっていた。
黒獅子ラルゴと烈風のシンク、2人は彼らの姿を見るなり、攻撃を加える。彼らもそれに応戦し、瞬く間に戦闘へと発展していく。
「アンタ達はイオンを見張ってな!」
都合よく、それとも何かの計らいか、少年と少女はイオンの元に取り残された。熾烈な戦いを遠くから眺める。
「頃合いを見てあいつ等に斬りかかる。その隙に逃げろ」
「はい」
2対6では不利が過ぎただろうか、やがて、シンクとラルゴはその場に崩れ落ちた。彼らが悔しそうに呻く姿を、少女は初めて見たような気がした。レプリカルーク一行はやはり強いのだ。
「二人がかりで何やってんだ!屑!」
少年がその場を飛び出した。そして、レプリカルークと剣を交える。前と同じだ。繰り出す技も、攻撃の流し方も、何もかもが同じ。
「今の……今のはヴァン師匠の技だ!どうしてそれをお前が使えるんだ!」
「決まってるだろうが!同じ流派だからだよ、ボケがっ!俺は……!」
「アッシュ様!いけません!」
彼が真実を告げようとした時、少女は導師を置いて少年の元に走り出した。その隙に、人形士が駆け寄り、導師を救出した。
「アッシュ!何やってんのさ!」
「申し訳ありません!しかし、無理に戦っては……」
すべて茶番だ。少年は感情的になったフリをして、少女は少年を止めるフリをして、持ち場を離れる、その間にイオンを逃す。これまでの2人の行いからすれば、いたって自然な流れだろう。
導師イオンを奪還したレプリカルーク一行は、駆け足で遺跡の上部へと登っていった。
「ナタリア王女に、逃げられちゃったね」
シンクがそう呟くと、少年は舌打ちを返す。少女は少年に対する皮肉だと思った。しかし、ラルゴもまた眉を潜めていた。
傷が痛むのだろうか。
少女が心配して駆け寄ると、ラルゴは静かな声で呟いた。
「死んだ娘と歳が近くてな。そのような相手を斬りつけるのは……やはり心が痛む」
死んだ娘。
この男も、預言に見捨てられたのだろう。そして、六神将の他の面々も、きっと。
少女はそう思って、仲間たちの不幸を憂いた。