外殻大地編
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「大詠師モースの命の元、導師イオンを奪還する」
シンクの声がその場に響いた。ヴァンを除く、六神将の息のかかった者たちが集う。
導師イオンが行方不明になった。その噂は既に教団を支配していた。理由はとうにわかっている、マルクトからキムラスカへの、和平交渉のためだ。
秘預言とされ世間には知られていないが、ユリアの預言ではもうじき戦争が起こるとされている。それをなぞるために、モースは和平交渉の妨害を命じたのだ。
導師イオンはマルクトの軍艦タルタロスに乗っている。
その情報を元に、六神将は船を襲った。
「乗員には、訓練を受けた軍人もいる。大丈夫か」
リグレットが心配そうに菜真絵に声をかける。
普段ツンとした態度を取っているが、今日ばかりは本当に少女の身を案じているようだった。
これまで民間人を相手にした任務ばかりを行っていた少女にとって、軍人の敵に会うのは初めてだ。
「大丈夫……いえ、そうでなくとも、私は行きます」
その言葉を受けて、リグレットは頷く。いつの間に少女はこれほどの覚悟を持っていたのか。いや、あの謡将のことだ。どんな人心掌握術でも、洗脳でも、やっていておかしくはない。
船を手に入れるまでは一瞬だった。船の要である船長を殺しさえすれば、動きは掌握できる。船の操縦はアリエッタに任せ、一同は内部を捜索した。
船の中には数百の人間がいる。民間人から傭兵、軍人まで様々だ。少女は向かってくる敵を切りつけ、とどめを刺し、時には部下の兵士に守られながら進んで行った。訓練の成果だろうか、案外、兵士を斬るのは難しくなかった。
「アッシュ」
「なんだ」
「鉢合わせをしても困るからな。念の為言っておく」
「だからなんだ」
「ここに例の出来損ないがいるらしいぞ」
アッシュの表情が凍る。出来損ない、それは彼の模造品、レプリカルークのことだ。ラルゴがその姿を確認したらしい。マルクトの軍人、死霊使いジェイドと共に行動しているとのこと。
少女も同時に息を呑んだ。あの憎きレプリカ、彼の劣等感の向く矛先。そんな因縁の相手を見て、少年は己を保っていられるのだろうか?もちろん、自分も。
「お前達には艦橋を任せる。見張っていろ」
軟禁されているはずの彼が、何故ここに。少女は疑問に思ったが、その答えは誰も知らない。
「アッシュ様、」
「チッ」
少年は何も言わず、甲板へ向かった。一人になりたいのかもしれない。しかし、艦橋を空けるわけにもいかない。
少女は迷いながらも、艦橋の上に登った。ここからなら、甲板を見る事ができる。少年ずっと、少女に背中を向けていた。どんな顔をしているのか、わからなかった。
かすかに歌が聴こえる。少女がそう思ったのも束の間、悲鳴が耳を劈いた。
「う、うわぁあああ!来るな、来るなぁあ!!」
似ている。似ているけど違う、少年の声。
レプリカだ。そう少女は確信した。魔物か兵士にでも襲われているのだろう。
しかし、こんなに近くに彼の姿があるとすれば、もしかしたら。少女は心配になって、甲板を覗き込んだ。
すると、心配していた相手が、こちらにやって来た。
「アッシュ様」
「……」
アッシュの目に菜真絵の姿は映っていなかった。
真っ直ぐ向かう視線の先を辿れば、そこには、レプリカルークと思しき少年がいた。剣を投げ出して、震えている。人を刺したと怯えている。
少年の目に、怒りと憎悪の色が見えた。少女は少年を宥めようとしたが、その声は耳に届かない。
「人を殺すことが怖いなら剣なんて棄てちまいな。この出来損ないが!」
少年は艦橋を飛び出し、レプリカとその仲間に魔法攻撃を加えた。思った通りだ。レプリカの姿を見て、少年の心が乱れない訳がない。
少女は少年を追った。身軽に、という訳にはいかなかったが、なんとか床に足をつけた。
「流石は死霊使い殿。しぶとくていらっしゃる」
レプリカとその仲間の女は倒れていた。たった1人、眼鏡をかけた男が無傷で立っている。しかしピタリと動きを止めて、こちらに攻撃を加えてくる様子は見せなかった。男1人に兵士の軍勢だ、諦めたのかもしれない。
眠らされていたのか、死んでいたように見えた神託の盾兵が、起き上がって走り寄って来る。声からして、特務師団の兵だ。
「隊長、こいつらはいかがしますか」
「殺せ」
「いけません!アッシュ様」
少女は途端に叫んだ。殺してしまっては元も子もない。彼が今死んでしまっては,アクゼリュスで死ぬ運命から逃れられない。
少年もそれを分かっているはずだ。つまり、それほどまでにレプリカルークへの憎悪が強いということ。
少女は震えた手で、少年の腕を掴んだ。少女を見やる少年の目には、少女の姿が映っていた。よかった。ちゃんとこっちを見ている。
「……捕らえてどこかの船室にでも閉じ込めておけ!」
そう言い放つと、少年は艦橋へ消えて行った。
シンクの声がその場に響いた。ヴァンを除く、六神将の息のかかった者たちが集う。
導師イオンが行方不明になった。その噂は既に教団を支配していた。理由はとうにわかっている、マルクトからキムラスカへの、和平交渉のためだ。
秘預言とされ世間には知られていないが、ユリアの預言ではもうじき戦争が起こるとされている。それをなぞるために、モースは和平交渉の妨害を命じたのだ。
導師イオンはマルクトの軍艦タルタロスに乗っている。
その情報を元に、六神将は船を襲った。
「乗員には、訓練を受けた軍人もいる。大丈夫か」
リグレットが心配そうに菜真絵に声をかける。
普段ツンとした態度を取っているが、今日ばかりは本当に少女の身を案じているようだった。
これまで民間人を相手にした任務ばかりを行っていた少女にとって、軍人の敵に会うのは初めてだ。
「大丈夫……いえ、そうでなくとも、私は行きます」
その言葉を受けて、リグレットは頷く。いつの間に少女はこれほどの覚悟を持っていたのか。いや、あの謡将のことだ。どんな人心掌握術でも、洗脳でも、やっていておかしくはない。
船を手に入れるまでは一瞬だった。船の要である船長を殺しさえすれば、動きは掌握できる。船の操縦はアリエッタに任せ、一同は内部を捜索した。
船の中には数百の人間がいる。民間人から傭兵、軍人まで様々だ。少女は向かってくる敵を切りつけ、とどめを刺し、時には部下の兵士に守られながら進んで行った。訓練の成果だろうか、案外、兵士を斬るのは難しくなかった。
「アッシュ」
「なんだ」
「鉢合わせをしても困るからな。念の為言っておく」
「だからなんだ」
「ここに例の出来損ないがいるらしいぞ」
アッシュの表情が凍る。出来損ない、それは彼の模造品、レプリカルークのことだ。ラルゴがその姿を確認したらしい。マルクトの軍人、死霊使いジェイドと共に行動しているとのこと。
少女も同時に息を呑んだ。あの憎きレプリカ、彼の劣等感の向く矛先。そんな因縁の相手を見て、少年は己を保っていられるのだろうか?もちろん、自分も。
「お前達には艦橋を任せる。見張っていろ」
軟禁されているはずの彼が、何故ここに。少女は疑問に思ったが、その答えは誰も知らない。
「アッシュ様、」
「チッ」
少年は何も言わず、甲板へ向かった。一人になりたいのかもしれない。しかし、艦橋を空けるわけにもいかない。
少女は迷いながらも、艦橋の上に登った。ここからなら、甲板を見る事ができる。少年ずっと、少女に背中を向けていた。どんな顔をしているのか、わからなかった。
かすかに歌が聴こえる。少女がそう思ったのも束の間、悲鳴が耳を劈いた。
「う、うわぁあああ!来るな、来るなぁあ!!」
似ている。似ているけど違う、少年の声。
レプリカだ。そう少女は確信した。魔物か兵士にでも襲われているのだろう。
しかし、こんなに近くに彼の姿があるとすれば、もしかしたら。少女は心配になって、甲板を覗き込んだ。
すると、心配していた相手が、こちらにやって来た。
「アッシュ様」
「……」
アッシュの目に菜真絵の姿は映っていなかった。
真っ直ぐ向かう視線の先を辿れば、そこには、レプリカルークと思しき少年がいた。剣を投げ出して、震えている。人を刺したと怯えている。
少年の目に、怒りと憎悪の色が見えた。少女は少年を宥めようとしたが、その声は耳に届かない。
「人を殺すことが怖いなら剣なんて棄てちまいな。この出来損ないが!」
少年は艦橋を飛び出し、レプリカとその仲間に魔法攻撃を加えた。思った通りだ。レプリカの姿を見て、少年の心が乱れない訳がない。
少女は少年を追った。身軽に、という訳にはいかなかったが、なんとか床に足をつけた。
「流石は死霊使い殿。しぶとくていらっしゃる」
レプリカとその仲間の女は倒れていた。たった1人、眼鏡をかけた男が無傷で立っている。しかしピタリと動きを止めて、こちらに攻撃を加えてくる様子は見せなかった。男1人に兵士の軍勢だ、諦めたのかもしれない。
眠らされていたのか、死んでいたように見えた神託の盾兵が、起き上がって走り寄って来る。声からして、特務師団の兵だ。
「隊長、こいつらはいかがしますか」
「殺せ」
「いけません!アッシュ様」
少女は途端に叫んだ。殺してしまっては元も子もない。彼が今死んでしまっては,アクゼリュスで死ぬ運命から逃れられない。
少年もそれを分かっているはずだ。つまり、それほどまでにレプリカルークへの憎悪が強いということ。
少女は震えた手で、少年の腕を掴んだ。少女を見やる少年の目には、少女の姿が映っていた。よかった。ちゃんとこっちを見ている。
「……捕らえてどこかの船室にでも閉じ込めておけ!」
そう言い放つと、少年は艦橋へ消えて行った。