雨宿りのインクブルー(フリー朗読劇用シナリオ)🆕

やがて雨が小降りになり、店の外からは雨に濡れたアスファルトが街灯を反射して、インクブルーに輝いている。

陽太:雨、小降りになったみたいだ

店を出るとき、傘を1本しか持っていなかった彼は、美月が濡れないようにスッと傘を差し出した。その瞬間、ちょっと照れくさそうに頬をかく。その仕草も5年前からずっと変わらない。…離れていた5年間の距離を埋めるかのようだった。

陽太:駅まで、入る?

美月:うん


しとしと降りやまぬ雨が二人をまた引き寄せる。
__さっき、最後に問いかけた美月への問いかけ

陽太:じゃあ美月の本心はどこにあるの?

美月:私の、本心は…

美月:_っ(唇をかみしめる、堰を切ったようにあふれ出す感情)
陽太の優しさが大嫌いなんて嘘っ、嘘だよっ!本当は、本当はずっとずっと今も…、大好きで仕方ない。

_5年隠されていた真実が、まるで滝のように溢れて零れ落ちた。

陽太:…じゃあ俺たち、両想い…だね


__別々の道を歩き出したはずの2人が、もう一度、同じ傘の下で一歩を踏み出した。互いの呼吸と雨音だけが静寂を包む中、ふと…足取りが止まる

美月:陽太!

陽太:ん?どうした?

夕闇が訪れようとしている駅の街灯の下で、柔らかなオレンジ色の明かりに照らされて、二人の影が向かい合わせになった

美月:…私、陽太の太陽のような優しさが大好き。

陽太:…!

美月:また、ここから…あなたと一緒に歩いて行ってもいいですか

陽太(モノローグ):赤らんだ頬、街灯に照らされて愛おしく色を映す柔らかな輪郭、穏やかで優しい月の光みたいな君が愛おしくて仕方ない

(SE:抱きしめる衣擦れの音)

陽太:当たり前でしょ、逆に俺からも言わせて…
ねえ美月、俺は君と出会ったあの日から、君のことずっと大好きだよ。これからの未来全部、君の人生を、俺に…ちょうだい

それは紛れもないプロポーズだった。
少しずつ近づく距離、二人の影が重なってお互いを思いあう二人はまた、新しい道を歩んでいくのだった。

___インクブルーで書かれた手帳のページには、

美月と5年ぶりに再会できました。今日、俺は彼女に告白します

そう綴られていた。


執筆日2026.05.15
作 紅月憂羅(京國華郷)





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