雨宿りのインクブルー(フリー朗読劇用シナリオ)🆕
しばらく和やかな一時を過ごした…二人の間には5年の月日なんて感じさせないほどの穏やかな時間だ。カフェに響く物静かなjazzの音楽と、少しだけ静寂を紡ぎだした雨音だけが響く中で、ふと陽太の手が動く。
サラサラ耳触りの良い紙の上を走るペン先の音が静寂をぬって二人の間に響いた。ガラスの粒子を散りばめたような、透き通った深い青(インクブルー)の万年筆が見える
美月:その万年筆、まだ使ってるんだ
陽太:ん?ああ…あの日、君が『夜の海みたいな色だね』って笑ってくれたから、ほかの色は使う気になれなくて、もちろん、もう5年も経ってるから少しかすれてきちゃって…君が初めてプレゼントしてくれたあの日から、俺にとって大事なことがあった特別な時にしか使ってない。
美月(モノローグ):大事なこと…。ねえ陽太、それって今私とここに居る奇跡と呼べる一瞬を特別って思ってくれてる、ってこと…?その手帳に今、あなたはなにを書き込んでいるの?
美月:陽太…
(間を置く、一息つく陽太)
陽太:美月…俺、いまでも美月と過ごした時のこと忘れてないよ。どうしてあの時、あんな嘘ついたの?
それは切ない問いかけだ、陽太にしかわからない、美月が嘘をつくときの瞳。その微細な感情を彼は読み取るのがうまかった。別れた時もそうだった。引き留めることはできなかった、だって彼女は悲しそうに笑っていたから…まるで、心配しないで、私を信じてと言っているかのようだったから
美月(モノローグ):…今言わないといけない気がした、ほかの誰でもない陽太が、私を真っすぐ見てる。多分、私が話すのを待ってる。本当に、そういうところ優しいんだから。5年前どうして私があなたから離れたのか。まるで自然な流れのように一つ一つ取りこぼしのないように言葉を紡いでいく
美月:…あのね、あの時は…あの時の私にはそうするしか出来なかったんだよ。
語られる真実、雨の音はまた少しだけ強くなった。
美月:親友だった女の子、陽太のこと好きだったんだ。それを知ったとき私はもう陽太と付き合っていたからすごく複雑だったけど、でも陽太との関係は壊したくなかった。…でもね、次第にその子の取り巻きから目を付けられるようになったんだ。陽太と別れないと、どうなるかわかるよね?って。いじめはエスカレートしていって、陽太にも色々心配かけちゃったのはわかってたよ、陽太優しいもんね。私のためなら絶対居場所を捨ててでも私を守ろうとするよね?だから私は逆にあなたの居場所を守りたかった。
陽太:なん…だよ、それ
(ひどく悲痛そうに声を振り絞る感じで)
だから美月は、あんな嘘をついたの。
美月(モノローグ):私のついた嘘、『陽太のその優しさが大嫌い』
私が彼の一番大好きなところ、その本質、優しさを…私は否定した。一番大嫌いだと言って彼の前から去った私…。
その時のあなたの傷ついた顔は忘れられない
(SE:小雨になりつつある優しい音がそこにあった)
口を開いたのは、陽太のほうだ
陽太:じゃあ、君の本音(真実)は?
美月:(ハッとして息をのむ)
陽太:5年前に隠した美月の本音(真実)が俺は知りたい。
(SE:カップを置く音)
陽太(モノローグ):俺は沈黙を保つ華奢なその体を自分のほうへ向かせた。カウンターの椅子がこちらに回転する。
…美月の瞳を見つめる。学生の頃、君の話を聞きこぼさないように、ずっと行っていた行動。美月はひどく潤んだ瞳をしていた。
陽太:もう一度聞くよ、美月の本心はどこにあるの?
美月:私…私の本心は…
サラサラ耳触りの良い紙の上を走るペン先の音が静寂をぬって二人の間に響いた。ガラスの粒子を散りばめたような、透き通った深い青(インクブルー)の万年筆が見える
美月:その万年筆、まだ使ってるんだ
陽太:ん?ああ…あの日、君が『夜の海みたいな色だね』って笑ってくれたから、ほかの色は使う気になれなくて、もちろん、もう5年も経ってるから少しかすれてきちゃって…君が初めてプレゼントしてくれたあの日から、俺にとって大事なことがあった特別な時にしか使ってない。
美月(モノローグ):大事なこと…。ねえ陽太、それって今私とここに居る奇跡と呼べる一瞬を特別って思ってくれてる、ってこと…?その手帳に今、あなたはなにを書き込んでいるの?
美月:陽太…
(間を置く、一息つく陽太)
陽太:美月…俺、いまでも美月と過ごした時のこと忘れてないよ。どうしてあの時、あんな嘘ついたの?
それは切ない問いかけだ、陽太にしかわからない、美月が嘘をつくときの瞳。その微細な感情を彼は読み取るのがうまかった。別れた時もそうだった。引き留めることはできなかった、だって彼女は悲しそうに笑っていたから…まるで、心配しないで、私を信じてと言っているかのようだったから
美月(モノローグ):…今言わないといけない気がした、ほかの誰でもない陽太が、私を真っすぐ見てる。多分、私が話すのを待ってる。本当に、そういうところ優しいんだから。5年前どうして私があなたから離れたのか。まるで自然な流れのように一つ一つ取りこぼしのないように言葉を紡いでいく
美月:…あのね、あの時は…あの時の私にはそうするしか出来なかったんだよ。
語られる真実、雨の音はまた少しだけ強くなった。
美月:親友だった女の子、陽太のこと好きだったんだ。それを知ったとき私はもう陽太と付き合っていたからすごく複雑だったけど、でも陽太との関係は壊したくなかった。…でもね、次第にその子の取り巻きから目を付けられるようになったんだ。陽太と別れないと、どうなるかわかるよね?って。いじめはエスカレートしていって、陽太にも色々心配かけちゃったのはわかってたよ、陽太優しいもんね。私のためなら絶対居場所を捨ててでも私を守ろうとするよね?だから私は逆にあなたの居場所を守りたかった。
陽太:なん…だよ、それ
(ひどく悲痛そうに声を振り絞る感じで)
だから美月は、あんな嘘をついたの。
美月(モノローグ):私のついた嘘、『陽太のその優しさが大嫌い』
私が彼の一番大好きなところ、その本質、優しさを…私は否定した。一番大嫌いだと言って彼の前から去った私…。
その時のあなたの傷ついた顔は忘れられない
(SE:小雨になりつつある優しい音がそこにあった)
口を開いたのは、陽太のほうだ
陽太:じゃあ、君の本音(真実)は?
美月:(ハッとして息をのむ)
陽太:5年前に隠した美月の本音(真実)が俺は知りたい。
(SE:カップを置く音)
陽太(モノローグ):俺は沈黙を保つ華奢なその体を自分のほうへ向かせた。カウンターの椅子がこちらに回転する。
…美月の瞳を見つめる。学生の頃、君の話を聞きこぼさないように、ずっと行っていた行動。美月はひどく潤んだ瞳をしていた。
陽太:もう一度聞くよ、美月の本心はどこにあるの?
美月:私…私の本心は…