雨宿りのインクブルー(フリー朗読劇用シナリオ)🆕

カウンター席に二人並んで座る。この距離感も随分と久しぶりなものだ。雨音はまだ少しだけ強い。
口を開いたのは、どちらからだろうか…美月のほうだった気もするし、陽太のほうだった気もする…

美月:陽太、今の仕事はどう?うまくいってるの?

陽太:え、なに突然。仕事はまあ、上々ってとこかな今度一つ大きな仕事任されたんだ

美月:え、そうなんだ…!それは凄いじゃない、おめでとう

(SE:カチャリ…珈琲の入ったカップとソーサーがカウンターに置かれた音)

陽太(モノローグ):珈琲が目の前に置かれる、俺はそれにミルクと砂糖を二ついれた。心地よい時間…
けど、俺の心はすっかり美月に囚われていた。5年の間、何を思って何を考えて生活していたのか、俺の仕事を聞いて褒める君、その言葉は真実だった。嘘をついて、真実を隠して話すこともできずに去っていった君。今の君の横顔はとても綺麗だけど、今その瞳は何をうつしているの?

美月:ふは、ねえ陽太、相変わらず甘党だね

彼女の一言で一気に時間が巻き戻った。5年前、高校二年の時に二人は別れた。別に性格の不一致とかそういうものじゃない。ある日突然にその時は訪れたのだ

美月:大人ぶってブラック頼まなくてよかったわ

陽太:うるさいな、これがないと仕事の疲れがとれないんですー。

最初はどこか緊張に満ちた雰囲気だったが、次第にそれは和らいでいった。愛しくてちょっとだけ学生に戻れるようなそんなテンポの会話だった。
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