クリスマスの翌朝

  • チュン……チュン……チチチッ。

  • フォレスター

    う、うーん……

  • ゆっくりと体を起こすフォレスター
    昨日はクリスマスパーティーで、フォレスターは夜遅くまで起きていたのに、朝になるといつもと同じ時間に起きてしまっていた。

  • フォレスター

    まだこんな時間……

  • フォレスター

    もうちょい寝てよ……

  • ガサ……。

  • フォレスター

    ん……?

  • 足元に、何か違和感。

  • フォレスター

    え……?

  • 見ると、覚えのないはずの箱が、きれいな包み紙とリボンに結ばれて、置いてあったのだ。

  • フォレスター

    サンタクロース……?

  • この世界にも、サンタクロースはいるのだろうか。フォレスターは考えてみたが分かるはずもなく。
    考えられるとしたら、屋敷内の誰かが置いたのだろうが……。

  • フォレスター

    鍵は閉めていたのに……

  • ともう一度戸締まりを確認してから、フォレスターは、髪が風に揺れたことに気付いて振り向いた。

  • フォレスター

    ……!
    窓が開いてる……!

  • 昨日は窓の戸締まりまでは確認しなかったかも、とフォレスターは急いで窓を閉めてから、もう一度、謎のプレゼントボックスを見やる。

  • フォレスター

    ……っはっくしゅん……!

  • いつから窓が開いていたのだろう。体が全体的に冷たい気がする、とフォレスターは思った。

  • フォレスター

    ……開けても、いいのかな……?

  • ベットの足元にあったプレゼントボックス。目の前にあるのに、開けるなという方がおかしな話である。

  • フォレスター

    ……

  • フォレスターはそっと、プレゼントボックスを開けてみた。

  • フォレスター

    ……! わぁ……!

  • 中に入っていたのは、見たこともないくらいきれいな丸い石。
    深い青に、白い渦のような模様が入っている石で、こんな宝石があったんだ、とフォレスターは心から感動した。

  • フォレスター

    ……イライさんにも見せてこよ……!

  • トントン。

  • フォレスター

    誰だろ?
    ……はーい!

  • 部屋のノック音に返事をしながら、フォレスターは入口に立った。

  • フォレスター

    おはようございます……あ!

  • イライ

    おはよう、フォレスターさん

  • フォレスター

    イライさん……!

  • 会おうと思っていた人に会えるなんて。
    フォレスターはますます嬉しくなって、先程の宝石をイライに見せた。

  • フォレスター

    見て下さい、イライさん! サンタクロースが来たんです!

  • イライ

    サンタクロース? ああ……ふふふっ

  • イライ

    素敵な贈り物ですね
    フォレスターさんが嬉しいなら、私も嬉しいです

  • フォレスター

    ふふっ……この歳になってもらえるとは思っていなかったので、ついはしゃいでしまいましたw

  • フォレスター

    イライさんは、何か届いてましたか?

  • イライ

    私は……はい。もうもらいました

  • フォレスター

    へぇ……! この世界にも、サンタさんはいるんですね!

  • フォレスター

    この世界のサンタさんは、窓から入ったみたいなんですけどねw

  • フォレスター

    あ、お礼の手紙とか書いた方がいいかな!
    なんて書こー

  • イライ

    あの、フォレスターさん……

  • フォレスター

    ……? はい……?

  • イライ

    実はそれは……

  • フォレスター

    はっくしゅん!
    ……! わ、ちょっと待ってください……!

  • くしゃみの勢いで鼻水が出てしまったフォレスター
    イライにこんな顔は見せられないと、部屋の奥へと引き返した時だった。

  • フォレスター

    あ……れ……?

  • バタッ……!

  • イライ

    フォレスターさん……?!

  • バタバタバタ……!

  • イライ

    フォレスターさん、大丈夫ですか……?

  • 慌てた様子で部屋に上がり込んだイライ。
    フォレスターはいきなり倒れてしまい、イライに膝で抱えられている形となった。

  • フォレスター

    はぁ……はぁ……私、なんか……

  • フォレスター

    体が……熱い……

  • フォレスターの身体中から一気に噴き出る汗。

  • イライ

    もしかして……

  • イライ

    あっつ……熱でも出たんじゃ……

  • イライの手の平がフォレスターの額に触れ、それは優しく汗を拭ってくれた。

  • イライ

    念の為、体温を測りましょう……今、体温計を取りに行きますから……

  • ギュッ……。

  • フォレスター

    行かないで……ください……

  • 熱でどうかしたんだと思う。フォレスターは、イライを困らせるようなことを、つい言ってしまった。

  • イライ

    フォレスターさん……

  • フォレスター

    ごめんなさ……なんでもない……です……

  • イライの手が、額から頬、耳元へと滑り込む。その手つきがあまりにも優しくて、フォレスターはその手に触れた。

  • イライ

    ……分かりました
    一緒にいますね

  • フォレスター

    え……

  • うっかり口を滑らせた自分のわがままで、イライを引き止めてしまったことに、フォレスターは後ろめたさを感じた。

  • フォレスター

    私は、大丈夫ですから……大人しく、一人で寝てま……

  • ふらっ……。

  • イライ

    ほら、足元がふらついてますよ
    私のことは気にしないで……さぁ、ベットに行きましょう

  • フォレスター

    ん……

  • イライに促されるまま、フォレスターはベットへ連れて行かれる。

  • イライ

    ……エミリー先生を呼んできてくれるかい

  • と呟いているのが聞こえた。恐らく、フクロウに言ったのだと思われた。
    フォレスターの近くで、羽音が聞こえた気がしたが、熱で頭がぼーっとする中、姿まではよく見えなかった。

  • フォレスター

    イライさん、すみません……

  • イライはフォレスターの髪を掻き上げるように頭を撫でてくれた。

  • イライ

    気にしないで
    私は、あなたのそばにいられるだけで……

  • フォレスターは眠りに落ちてしまった。
    何か言いかけていた気もするが、よく聞き取れないまま……。

  • イライ

    おやすみ、フォレスターさん

  • イライ

    ……今度はちゃんと窓は閉めないとな……

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