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タッタッタッタッタ……。
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フォレスター
(あ、いたいた)
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フォレスター
イライさん!
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イライ
あ、フォレスターさん。こんにちは
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イライ
そんなに急いでてどうしたのかな
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フォレスター
(天眼で分かる訳じゃないのかな……?)
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イライ
……?
どうしたんだい、フォレスターさん -
フォレスター
(……まぁいっか……?)
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フォレスター
あの、今日は何の日か分かりますか?
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イライ
ああ、そのことか
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フォレスター
(あ、やっぱ知ってて……)
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イライ
トリックオアトリート
君はどっちなのかな -
フォレスター
(え、そっち?!)
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フォレスター
あ、えっと……
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イライ
ふふふっ
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イライ
何も持っていないのは分かっていました。
では、私はフォレスターさんのイタズラを受けようかな -
フォレスター
え……っと
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フォレスター
(わざと……? それとも、ガチの天然……?)
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イライ
どうしたんですか、フォレスターさん?
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フォレスター
あ、いえ、なんでもないです……
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フォレスター
あの、お菓子、用意したんです! 今からイライさんを食堂に呼ぼうとしていて……
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フォレスター
(さすがに見抜かれちゃうかな……?)
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イライ
ああ、そうだったんだね。それは気が利かなくてすまない
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イライ
なら、君の言葉に従おう
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フォレスター
は、はい……
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トコトコ……。
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フォレスター
(イライさん、本当に何も知らないのかな……?)
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イライ
……?
私をみつめてもお菓子は出てきませんよ? -
フォレスター
あ、いえ……そんなつもりは……
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イライ
……残念だったなぁ
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フォレスター
え……?
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イライ
ふふ、なんでもないですよ
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フォレスター
(……? もしかして、本当は分かってる……?)
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フォレスター
あ、食堂ですよ! 私が今扉を開けますね!
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イライ
はい
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ガチャ……。
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お誕生日おめでとう!
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イライ
……?
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いやぁ、君は占い師だから、サプライズが出来るか不安だったよ
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でも、イライくん来てくれたなの!
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おれ、わたあめいっぱい作ったぞ!
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お誕生日おめでとう
イライは、ハロウィンと同じ日が誕生日と聞いたからな
フォレスターに、ハロウィンパーティーという名目でここに呼んできて欲しいと言ってあったんだ -
イライ
え……そうだったんですか……?
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フォレスター
は、はい……
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フォレスター
で、でも、もう、分かって……ましたよね……?
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イライ
あ、いえ……
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イライ
自分の誕生日なんて、忘れていたので……
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なら、いいサプライズになったな
さすがにサプライズまでは隠せないから、上手くいくか分からなかったが…… -
こんにちは、イライさん
あなたは成人だと聞いていたので、いいワインをご用意しましたよ -
イライ
私のために……?
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はい
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さ、今日はぱーっと飲んで騒ごうじゃないか!
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飲みすぎはよくねェからな!
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あっはは! それくらい分かってるって!
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イライ
ふふふ……
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フォレスター
あの……サプライズ、上手く出来てましたか……?
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イライ
ええ、とても
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イライ
今日はとても素敵な一日になりそうです。
ありがとうございます、フォレスターさん -
フォレスター
……!
はい、どういたしまして! -
そうして、屋敷内の人達は食堂を出入りしながら、明くる日までイライの誕生日を祝っていた──
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