白夜編
夢小説設定
この小説の夢小説設定※原作開始時点
誕生日:7月17日(かに座)
性別:女
年齢:16歳
血液型:A型
身長 150cm
好きな物:白薔薇、果物、空を飛ぶこと
出身地:王貴界
等級:一等下級魔法騎士
魔法属性:竜
竜化魔法 ?????
→自身がドラゴンになる。変身魔法とは別物。
魔法を弾く鱗、地上よりも空の方が速く動ける羽毛の翼、鋭い爪や牙が武器。
(title by
不在証明)
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師匠に言われて単身飛んだ先、金色の夜明けの本拠地で朝日に目を細める。
王撰騎士団に選ばれた団員がいちばん多いので竜の姿で合否の通達とお迎えに来た所だ。
「せっかく来てくれたのに、申し訳ないな」
「いえいえ。急に決まりましたし……」
選抜された団員が準備をしてくる間、ウィリアムさんとふたりでお話できたので正直嬉しいですとは言えないまま頭を垂れる。
わたしの意図を汲んで額を撫でてくれる手のひらはお日様の匂いがした。早起きしてお散歩でもしてたのかな。
「ソフィア……すまない」
不意に投げられた謝罪に浮かんだのは未だ意識が戻らないフィンラルさんの姿だった。
ぎゅっと眉間に皺が寄る。ランギルスさんは取り調べが続いているという。ああいうふうになってしまったのはウィリアムさんのせいじゃないって分かってるけれど。
「その言葉は、ヤミさんに言った方がいいですよ」
「……そうだね」
副団長の行ないに心痛めてか、本当に申し訳なさそうな様子にこちらまでしゅんとなってしまう。久しぶりにこんなに近くにいるのに、なんだか悲しい。
「元気だしてください。ヤミさんだって、ウィリアムさんのことが嫌いなわけじゃないんですから……」
「……」
曖昧な微笑を浮かべたままのウィリアムさんは何も返事をしないまま。
ちょうど、金色の夜明けの本拠地から見事選抜された面々がやっ来たので不自然にならないようお互いに距離を取る。
「お待たせしましたわ」
「おはよう、ソフィア」
「おはようございます。ゆっくりでいいよー」
慌てて駆けてきたミモザちゃんと、その後ろを歩いてくるユノくんに挨拶をする。遅れてクラウスさん、レオくんフィンラルさんとチームを組んでいた硝子魔法の使い手が合流して、これで全員だ。
背中に乗せたらユノくんだけ少し複雑そうだった。風魔法の達人である彼はわたしより速く集合場所の王都に着くからそれでかな。
「それじゃあ、行ってきます」
「行って参ります団長!」
「気をつけて。武運を祈っているよ」
朗らかに、けれど信頼の伺える激励を聞いて空に舞いあがる。
もう離れてもいいのにウィリアムさんはずっとずっとこちらを見送ってくれた。
「素敵な団長さんだね」
「ソフィアさんも金色に来られますか?」
「ううん、わたしは黒の暴牛がしょうに合ってるから」
でもヤミさんにあんなふうに見送られたことはない。それだけはちょっとぴり羨ましいなという気持ちを胸にしまい王都に向かって力強く羽ばたく。
そうして送り届けたのは魔法騎士団本部の一角にある小さな塔。
王撰騎士団のメンバーについては聞かされていなかった。ただ、なんとなく黒の暴牛はみんな選ばれるんじゃないかと思っていた。なんの根拠もなく。
「ソフィア先輩!」
「アスタくんにノエルちゃん! ラックさんも!」
「あなたも選ばれたの?!」
「うん。師匠が、便利だからって……」
「ああ……」
師匠に指定された場所をに向かえば、そこには大半が揃っていた。師匠が直々に迎えに行くと言っていた黒の暴牛からは後輩ふたりとラックさん、あともう一人はいるらしいけどマグナさんは選ばれなかったらしい。
「(マグナさん、活躍してたのに……)」
見回してレオくんもいないことに気づく。文句なしに強いのに。何故。
「(選抜は師匠とユリウスさんと国王でしたっていうし、実力で選ばれてるはずだけど……)」
マグナさんも、レオくんも選ばれなかった。なのに試験すら受けていないわたしがここにいる。それはなんだか、酷く場違いのような、嫌な気持ちだった。
ラックさんに脇を小突かれてはじめて、自分の頭が下がっていたのに気づく。
「マグナのことなら気にしなくていいよ。今回はいないってだけだし」
「う……でも、」
「ソフィアが強いのは僕もマグナも知ってるし。それに、ほら。ちゃんとやる気ださなきゃ、怒られるんじゃない?」
ラックさんが見上げた先。
一段高い場所で腕組みした師匠が口を開く。
「揃ったな!」
ざわついていた魔法騎士全員が背筋を伸ばして自然と目を、意識を向ける。
「王撰騎士団団長に任命された、メレオレオナ・ヴァーミリオンだ! ここに居るということは諸君は王撰騎士団に選ばれた団員達だ! この時から白夜の魔眼殲滅の時まで、その命、私が預からせてもらう!!」
一気に言い切った後。師匠の眉がぴくりと動いた。
「……ん? ひとり来ていないな……舐めてるのか?」
「すみませ〜ん、遅れました〜」
あ、この登場はと声を上げるより先に師匠は真上に火球を放った。欠片も容赦ない。
降ってきたその人は魔法陣で火球を吸い込み、跳ね返し。猫のように軽やかに着地する。わたし達のすぐ傍で。
「舐めてはいるようだな……!」
「よろしくお願いしま〜す」
流石に今回ばかりは誰の方にも腕を回せないまま降り立ったその人にアスタくんが声をかけようとして、その出で立ちに顎を落としていた。
「ザクスーー?! ……え」
「バァ〜カ、ザクスじゃねー。ゾラだ。黒の暴牛、ゾラ・イデアーレだクソチビ後輩」
その両肩にかけられているのはわたし達と同じ、黒の暴牛のローブ。
「「え゛え゛ええええええ?!」」
「お前が……黒の暴牛〜〜?!」
「(ユリウスさんとの会話を聞いた時からもしやとは思ってたけど、まさか本当にヤミさんがスカウト済みとは……)」
「ソフィアは驚かないの?」
「ヤミさんが好きそうな方なので……」
「「「それはそう」」」
驚きはするけど納得だ。この人には黒の暴牛がよく似合う。
わたしに頷いていたアスタくんがハッとザクスさん、いやゾラさんを指さす。
「ゾラって何だ?! お前ザクスじゃねーのか?!」
「だからそうだっつってんだろバカチビ」
「何で嘘ついたんだお前ーー?!」
「だから言うだろ敵を騙すなら味方からって」
「いや敵って誰?!」
「(アスタくん、試合相手のこと一度も敵だと思ってなさそうだからなあ……)」
人によってはガッツリ敵意マシマシな試合の連続だったと思うのだけど。流石すぎる。
「てゆーか先輩ですかお前?!」
「そーだよ媚びへつらえ」
「断る!!」
「ラックさんは知ってたんですか?」
「知らない。僕より先輩なんじゃないかな」
ザ、……ゾラさんは試合中とほとんど変わらない態度でするりと混ざってきた。というかアスタくんに絡んできた。
「昔ヤミの旦那のスカウトで裏口入団してたんだなこれが」
「なんだそれズリーぞ!」
「え、確かノエルちゃんも、うぐっ」
入団試験じゃなくてスカウトだったはず、と言いかけた脇腹に入ったのはノエルちゃんの鋭い肘打ちだった。とっさで加減が出来なかったのかめちゃくちゃ痛い。
「うぅ……あれ、アスタくん、頭にカメムシ乗ってるよ」
「あ、慣れればいー匂いかも」
「もしもしアスタくん?」
ゾラさんの悪戯か虹色のカメムシを乗せたアスタくんにいつもの元気はなく、ぽけーっと乗せたままにしている。
臭いけど何より大丈夫か心配になる。ゾラさんさえ。ラックさんは気にした様子もなくゾラさんに戦おうよとお誘いをかけている。度胸が凄い。
「おい、どーしたんだあのチビ。全然張り合いねーぞ」
「あいつ……まだユノのこと引きずってんの……」
「試合でライバルと戦えなかったってだけで、あのアスタくんがこうなるの……?」
確かにドンマイとは思うけれど、元気いっぱい力もりもりな普段とかけ離れすぎてて不安になる。このまま王撰騎士団に参加して大丈夫だろうか。いやアスタくんの力は替えがきかないので必要だけど。
「貴様ら何勝手にわちゃわちゃやっとるかぁぁーー!!」
「すみませんっっ!!」
「莫迦弟子はローブの用意だ!!」
「はーい」
師匠に言われて塔の奥へと向かう。師匠の紹介を待って裏方で待っていた3人に先に王撰騎士団専用のローブを配って、ローブが入った箱を持って戻れば、ちょうど団員が順番に並んでくれている所だった。
師匠を初め全員に手渡し、所属する団のローブから王撰騎士団ローブに着替える。魔法攻撃を防ぐローブは全身を包み込むような着心地で、身が引き締まる。
ふと気づく。さっきまで消沈していた後輩が復活している。
「(あれ? アスタくん、なんか元気になってる)」
「よし! 全員着替え終えたなーー! 今からお前達が! 王撰騎士団だ!!」
いつもはてんでバラバラな団に所属する魔法騎士が対白夜の魔眼のために集結し、揃いのローブを羽織る。それは特別なことのような気がして。
いや、普段も身分や思想に関係なくひとつの団で行動してたなと思い至る。いつもとそんなに変わらない。
だからきっと、いつもと同じで大丈夫だろう。
「シレン・ティウム、コブ・ポルタポルト! 魔法の利便性からこのふたりにも参加してもらう!」
「(確か金色の人と、移動の空間魔法の達人でユリウスさんのお手伝いをしてる人だ。……フィンラルさん……)」
「そしてもうひとり、ノゼル・シルヴァ! この男にもな!」
師匠の紹介を受けて、さっき裏方で渡した王撰騎士団ローブを身につけた3人が進み出てくる。
「銀翼の大鷲団長が……! これは頼もしい!」
「(ノエルちゃん……)」
大丈夫だろうかと横目に見たノエルちゃんの横顔。緊張してはいたけれど、そこに恐れも怯えもなかった。
「なに?」
「……ううん」
息を飲んだわたしに気づいて、心配してくれる姿に負の感情はない。前の王都襲撃の時とは全然違うんだ。いい意味で、変わったんだ。
ノゼルさんの登場で声を上げたのは意外なことに同じ団長のリルさんだった。ちなみに普通に選抜されてわたし達と同じルートで王撰騎士団ローブを着ている。
「ノゼルさんっ……! 何を当たり前のように登場してるんですかっ! 試験受けてないのにズルいですよっ!」
「……むしろお前は何故、団長でありながら試験など受けたのだ」
「え゛ーーっっ」
「(ごもっとも……)」
ヤミさんが選抜試験に参加して、みんなと同じ条件で選ばれて、今日ここに招集されたらと考えるとシュールすぎる。リルさんだから笑い話になってるけど。
ノゼルさんが出てきた場所からひょっこり出てきた人影に、ああそういえばと思い出す。これは王撰騎士団。国王が選んだ騎士団。
「至極! 王族の団長の力は必須であろう! 何しろロイヤルじゃからな! ロイヤル!」
「あ、王様だ」
「(師匠も王族の団長なんだけど……)」
ノゼルさんが一緒に来てくれるのは純粋に心強いから誰も何も言ってないけれども。
横から出てきた国王に気遣う優しさなんて持ち合わせのない師匠はガン無視して大喝した。
「者共!! 王撰騎士団の名に恥じぬよう―――分かっていると思うが勝利以外はいらん!! それを成せん糞莫迦者は敵の根城に行く前に私が殺してやる!!」
喝を入れるというにはあまりに獅子の咆哮に近いそれ。
王撰騎士団全員が体を震わすその声を胸に刻む。
「白夜の魔眼のアジトは強魔地帯、グラビト岩石帯の浮遊魔宮の中だっ!!」
今まで白夜の魔眼との戦いは防戦一方だった。王都、町、村、果ては海底神殿。襲撃ばかりされてきたこれまでが走馬灯のように過ぎる。
いよいよ、敵本拠地への殴り込みだ。