白夜編
夢小説設定
この小説の夢小説設定※原作開始時点
誕生日:7月17日(かに座)
性別:女
年齢:16歳
血液型:A型
身長 150cm
好きな物:白薔薇、果物、空を飛ぶこと
出身地:王貴界
等級:一等下級魔法騎士
魔法属性:竜
竜化魔法 ?????
→自身がドラゴンになる。変身魔法とは別物。
魔法を弾く鱗、地上よりも空の方が速く動ける羽毛の翼、鋭い爪や牙が武器。
(title by
不在証明)
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試合開始とほぼ同時にユリウスさんに手を引かれ、椅子に腰掛ける。ユリウスさんはすぐ隣りに。国王はその奥にそれぞれ同じように観覧席に座った。
周りの魔法騎士はみんな立っているというのに。
「(なんか……逆に、立っていたいような……)」
流石にそれをマルクスさんに言う訳にもいかないので、大人しく座って観戦するけれども。
アスタくん達はまず相手に先制を取られ、魔晶石に遠距離魔法を何発も食らってしまった。問題はその後。
魔法で魔晶石を持ったままのミモザちゃんとアスタくんだけが敵に向かって移動し始めたのだ。
2人だけで。3人チームなのに。
「(あの人はなんで寝てるの……?)」
最後のひとりザクスさんはスタート地点で横になったまま動かない。参戦放棄だろうか。
相手の遠距離魔法はアスタくんが剣で弾くし、回復魔道士のはずのミモザちゃんはお返しとばかりに遠距離魔法で攻撃を仕掛けてるから確かに参戦しなくても勝てそうな勢いだけど。
と、油断している間にアスタくん側の魔晶石が3方向の魔道士に囲まれた。それぞれ魔力が集まっている。攻撃魔法が装填されてる。剣では3方向を同時には捌けない。
「(それでもアスタくんなら行くはず)」
思った通り、ひとりに速攻をかけようと飛び出したアスタくん―――が踏み込んだと同時に隠れていた魔法陣を踏み、灰色の何かが噴き出した。まともに食らった背中が呆気なく倒れていくのが見える。
「えっ?」
「麻痺系の罠魔法だね」
ユリウスさんの解説を聞いて、余計に混乱する。相手方がそんなものをあんな場所に仕込む時間なんてなかった。
足を止めたアスタくんに相手が構う訳もなく。3方向から一斉に攻撃魔法が襲いかかる。
並大抵の防御魔法では防げない。それこそノエルちゃんくらいの力がいる。魔晶石が壊されれば敗退。
「(まさか、アスタくんがここで終わり……?!)」
3方向から魔晶石に迫った攻撃魔法が、魔晶石のすぐ目の前で開いた3つの魔法陣に吸い込まれ消えた。
息を呑む間もなく魔法陣から魔法が放たれる。
それは吸い込まれた攻撃魔法。
「え……?!」
鏡のように跳ね返った攻撃が身構える暇を与えず魔道士を飲み込むのが見えたのを最後に、爆発と爆音、砂煙に両チームが隠れる。
こんな魔法、見たことない。振り向かなくてもユリウスさんが目をキラッキラ輝かせてるのが手に取るように分かった。
いやいや問題は試合の成り行きだ。アスタくんは倒れたまま、ミモザちゃんは倒れたアスタくんを治療中。相手はほとんど総崩れだけどひとり残っていて、ボロボロの体で魔晶石を守ったらしい。
その残った最後のひとりを踏みつけながら何事か話していたザクスさんが相手の魔晶石を破壊した―――これでアスタくん達の勝ち。
だけど。
「魔晶石の魔力途絶を確認! Bチームの勝利ーー!!」
「(ううん、なんかモヤモヤする勝ち方だったような……?)」
そもそもアスタくんが掛けられた罠魔法の出処が分からないまま終わってしまったし。
観戦していた他の魔法騎士達もザワついていた。国王はザクスさんを評価しているみたいだったけど。
「……ユリウスさん?」
「うん?」
見た事のない横顔に思わず声をかけて、でもなんて言っていいか分からなくて、やっぱりなんでもないですと首を横に振る。こんな所で深く聞くのも違う気がして。
気を取り直して次の試合の組み合わせを見る。次はマグナさんの出番だ。マグナさんの戦い方は性格そのままに真っ直ぐで、見ていて気持ちいいから楽しみ。
「五等下級の下民か……あいつはダメじゃな」
「(まあマグナさんの凄さは見ないと分からないですよね)」
国王の舐め腐った言葉にも少しも動じないほど楽しみだった。マグナさんが全員の度肝を抜くほど大暴れしてくれるに違いないと。
そう思っていたのだけど、なんか思ってたのと違う展開になった。
「凄い、桜が一面に広がって……」
「綺麗だね!」
「そうですね」
ユリウスさんとマルクスさんの同意を聞きながら、わたしは青空の一角を淡く染め上げる花びらの嵐に見惚れていた。
それはマグナさんのチームメイトである珊瑚の孔雀の副団長、キルシュ・ヴァーミリオンの桜魔法だ。
王族である彼はその膨大な魔力で同じチームであるマグナさんと碧の野薔薇団のソルさんの援護をし、的確な助言を授け、スムーズに相手方へ攻撃させながら自陣の魔晶石を苦もなく守りきった。
凄い魔法だと思う。範囲も威力も汎用性も美しさも最高峰だとも。
だけど。なんか酷く癇に障るというか、自分に自信がありすぎて話づらそうというか。
「(もし黒の暴牛にいたら、ヤミさんとめちゃくちゃ険悪になってそうなタイプだ……)」
「Cチームの勝利ーー!!」
高らかに告げる判定員の声を聞きながら思わず遠い目をしてしまった。
舞い散る桜を背負ったまま戻ってきたチームの中。マグナさんとソルさんは顔を手で覆っていた。気持ちよさそうに乗せられて戦っていたのに。でも恥ずかしくなる気持ちも何となくわかる。
「次は1回戦第3試合ーー!!」
「(あ、)」
次はフィンラルさんとレオくんのチームだ。もうひとりの金色の夜明けの団員さんのことはよく知らないけど、正直、物凄く強いチームのはず。
「(フィンラルさんの空間魔法の移動はスピードと正確さが売りの完全サポート。冷静に暴れ回るレオくんの戦闘スタイルとは相性いいだろうなぁ)」
ただ、アスタくんと同じようにフィンラルさんがサポートできるだろうか? そんな不安は杞憂に終わった。
敵味方の動きも含め、戦場の全体をよく見てフィンラルさんがレオくんと金色の人を動かしている。チームのふたりもフィンラルさんを信頼してか魔晶石を預け、自分達の攻撃を空間魔法のタイミングに委ねていたから、相手の攻撃は当たらず、逆に味方の攻撃は必中になっていた。
戦場を掌握したフィンラルさんは一度も攻撃をしていないのにあっという間に相手方の魔晶石が壊れ、決着。
「魔晶石破壊! Eチームの勝利!」
「(やった!)」
魔力的な実力差はなかったはずの相手に危なげなく勝ちを拾ったフィンラルさんとレオくんに嬉しくなってしまう。本当はフラットに見るべき立場なんだろうけど。
「続いて1回戦第4試合ーー!!」
次はフィンラルさんの弟さん以外誰も分からない試合だった。
でもそれだけで充分だった。
「一撃で……」
「空間魔法の強みだね」
キテンの町の、滑らかに穴を開けたような独特な壊れ方から攻撃的な空間魔法の使い手だとは知っていた。知っていたけれどここまでとは思わなかった。
一撃。味方の魔法で近づいた弟さん、いやランギルスさんは、腕を大きく振るその一度の魔法で、厳重な魔法の防御ごと魔晶石を抉り消した。
背後にあった岩壁の一部も抉ったその魔法が通った場所には、何も残っていなかった。
「(2回戦、フィンラルさんの相手はこんなに怖い空間魔法なんだ……)」
「それでは続いて1回戦第5試合を始めるーー!!」
今度こそ誰も知り合いのいない試合だ。
と思いきや、Xと名乗る珍妙な仮面の人物―――決してウィリアムさんではない―――が魔法を解いた瞬間、仮面の下から水色の幻鹿団長、リル・ポワモルティエが現れ、周囲と同じくわたしも驚き声をあげてしまった。
なぜ団長がここに。というかセーフなんだろうか、それ。
「えっ! もしかして団長が参加しちゃダメだったんですか?!」
「そんなことはない! 大歓迎さ! みんな臆することはない、むしろ団長を倒して名を上げるチャンスだよ!」
「(ヤミさんが参加してなくて本っ当に良かった……!)」
まさかのゴーサインを出したユリウスさんに思わず背筋が冷えた。いやそりゃわたし自身が試合に出ることは絶対にないけど。
そう考えると魔法騎士団の団長が参戦するのもセーフなんて簡単に言わない方がいい気もするけれど……ユリウスさん、リルさんの魔法が見たかったんだろうな……。
何やかんやで普通に始まった試合。
最初は何故か普通に罠にかかり捕まったリルさんだったけど、2方向からの攻撃魔法に対抗して放った絵画魔法は正に魔法騎士団団長に相応しい威力で。結果的にはふたり同時に落とす大活躍だった。
「炎と水の魔法を同時に……?!」
「リルの魔法は、全属性を絵画で描く魔法だからね!」
「(それはつまり、ひょっとしたら竜なんかも出てくるってこと……?)」
「魔晶石破壊! Iチームの勝利ーー!!」
こちらもまたあっという間に終わった試合だった。相手を倒した後は相手方の魔晶石を壊すんじゃなく、自分の魔法の痕跡である絵画が残る地面を熱心に見つめてはいたけれどリルさんの実力は本物だ。団長クラスって変わった人が多いのかなとは思わざるをえないけど。
「続いて1回戦第6試合……次の試合やりますので早くどいてくださーい」
チームメイトに引きずられてリルさんが戻ってきて、次の試合のメンバーが入れ替わりで出ていく。
次はうっきうきした様子のラックさんとクラウスさんが出るんだった。戦うの好きだから待ち焦がれてうずうずしてるんだろうなぁと苦笑する。
この試合もすぐに終わるんじゃないかと思っていた。
その予想は外れ、試合開始と同時に始まった魔法の乱打戦がもう随分長く続いている。
「(手数も質も量も互角の魔法の撃ち合い……凄いな、ラックさんの接近戦に負けない魔道士がちゃんといるんだ)」
雷のブーツを履いたラックさんが縦横無尽に暴れ回ってるのに誰も倒れないし魔晶石も壊れてない。
永遠に続くかに見える戦い。その決着は、一瞬で着いた。
味方の魔法で追い風を得たラックさんの速攻。言ってしまえばそれだけだったけど、ラックさんは魔晶石を壊す時、守っていたベテランの魔法騎士を諸共に一撃で倒してしまったのだ。
確かに、確かにラックさんは強いけど。
「(なんか、凄い急に強くなってるような……?)」
「1回戦第7試合はMチームの勝利! 続いて1回戦最後の第8試合ーー!!」
思考の海に沈みかけていたが一気に浮上する。
最後の試合。ノエルちゃんとユノくんの出る試合であり、相手方にソリドさんがいる因縁の試合でもある。こればっかりは純粋に楽しみにはしていられなかった。
「(ノエルちゃん……)」
遠目にも顔色が優れないというのに、ソリドさんが積極的に話しかけに行っている。大丈夫かな。
不安なまま両チームが移動し、試合が始まる。気がつけば祈るように手を組んでいた。
本音を言えばノエルちゃんがお兄さんをしっかり倒して勝って欲しい。でもそれは難しいことも薄々わかってる。ノエルちゃんは家族を怖がっていたから。
でも。
それでも。
「(がんばれ……!)」
どんなに歯がゆくても、ノエルちゃん自身が乗り越えるしかない。
……それにしても、ユノくんに絡んでるチャーミーさんはいったいどこから現れたのか。試験には参加してなかったはずだけど。
結果から言えばノエルちゃん達のチームが勝ち進んだ。
相手の金色の人が出した巨大な砂の兵をユノくんは内側から風嵐で霧散させ、かつ自陣の魔晶石を守り。
決定打は晴れ渡る青空を悠々と泳ぐ水の竜。その顎が相対するソリドさんが出した水の蛇を食らい尽くし、背後に庇われていた魔晶石まで一撃で粉砕した。
ノエルちゃんの攻撃魔法で、お兄さんにも試合にも勝ったんだ。
「魔晶石破壊! Pチームの勝利ーー!!」
「(やっ……た……!)」
両手が痛くなるほど握りしめていた手で拍手しそうになった。それくらい嬉しくて、……やったねって、頑張ったもんねって、駆け寄りたいくらい。
そういえば海底神殿ではあのヤバい野人の身体も吹っ飛ばしたような魔法を受けて大丈夫かと少しだけソリドさんが心配になったけど、意識もあるみたいだからノエルちゃんがちゃんと手加減したんだろう。そこも含めて涙ぐみそうになった。
だってあんなに魔力のコントロールが苦手だったのに。
「(本当に……強くなった)」
ノエルちゃんのことを、誇らしくすら思う。