白夜編
夢小説設定
この小説の夢小説設定※原作開始時点
誕生日:7月17日(かに座)
性別:女
年齢:16歳
血液型:A型
身長 150cm
好きな物:白薔薇、果物、空を飛ぶこと
出身地:王貴界
等級:一等下級魔法騎士
魔法属性:竜
竜化魔法 ?????
→自身がドラゴンになる。変身魔法とは別物。
魔法を弾く鱗、地上よりも空の方が速く動ける羽毛の翼、鋭い爪や牙が武器。
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不在証明)
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騎士団本部にある尖塔のひとつまで全員で移動してからはじめて、魔宮での詳しい経緯の説明と、持ち帰れた魔法の話になった。
まずはユノの魔導書に新しく増えたページから。基本的に魔導書に記される言葉は持ち主が問題なく読める言葉が使われている。魔法とは本人の資質と心から発現するものだから。
だがユノのそのページは、本人にはまったく読めないらしく戸惑いながら差し出された。
食い気味に目を通した魔法帝ユリウスは目を輝かせていた。珍しい魔法を見たときのリアクションだ。
「よくぞ手に入れたね! この魔法がおそらくあの魔宮の最重要遺物だ! 」
「読めるんですか……?」
「なんとなくね!」
最重要遺物の言葉にアスタが「カッケー……!」と言っている横で、暴牛のアジトで見せてもらったアスタくんの剣もカッコイイと思うんだけどなあとソフィアは思った。
好奇心と興味が抑えきれなくなったのか魔法を使ってくれるよう金色の新人ユノにお願いする魔法帝ユリウスという図式はなかなか見応えがあった。動じなさすぎる新人ユノという意味で。
「すみません、魔宮で一度発動したんだと思うんですが……あのとき以来使えなくて……」
「えっ?!」
どうもアスタが絶体絶命のときに発動したっきり沈黙しているらしい。発動条件があるのか、はたまた気持ちの問題か。
しょんぼりしながらも何か思うところのある目でユノの目を見るユリウスに、ソフィアはなにか隠し事をしているなと勘づいたが、口を出すような野暮はしなかった。
「今言えるのは……この魔法は君と共に成長し、いずれとてつもない力になるということ。大切にするんだよ」
ユノの魔導書を閉じ、丁寧に返すユリウス。
ソフィアはそのとき、背表紙に描かれている4つ葉にはじめて気づき、思わず声を上げかけたが、その前にアスタが横からがばっと開いた魔導書を手に飛び出してきたため、声は形にならなかった。
とはいえ本当に驚いた。4つ葉と5つ葉、伝説と異端の魔導書がふたつ同じ年に、幼なじみ同士で授けられるだなんて。
そんな偶然、あるのだろうか?
「まっったく読めない……! 文献でも見たことがないね」
マジマジとアスタの魔導書を覗き込んでのユリウスの言葉に我に返る。
昔からユリウスの部屋には魔法に関する資料がびっしりなのを知っている身としては、見たことがないとまで断言させてしまう5つ葉の魔導書はさすがと言う他ない。
と同時に、持ち主のアスタはもちろん黒の暴牛の誰にも読めなかった魔導書を紐解けそうな心当たりがいなくなってしまったとも思った。
魔導書の文字が魔法帝にも読めないと言われるや否や魔導書から剣を引き抜くアスタは、本当にめげずしょげず判断が早く素晴らしいの一言に尽きるのだが。
「こんなん出ます!!」
「おおっ! 2本目の反魔法の剣だねっ!」
興味津々ワクワク顔で剣に触れていいか聞くユリウスと、献上するように捧げ持つアスタ。
それこそ古の時代の騎士の叙勲式のようなのに、どちらも妙にテンション高く元気なので厳かな雰囲気など欠片もない剣の受け渡しだった。
アスタの日常は任務か筋トレで出来ていることを同じ団で過ごすソフィアは知っていた。だから剣を素振りする光景を見ても偉いなーとしか思わなかった。
まさかその剣が、それなりに体格がいい成人男性のユリウスが両手で持てないほど重いとは思ってもみなかった。
「って重っ!!」
「えっ」
「大丈夫ですか魔法帝いいい!!」
がくんと体幹を崩し切っ先を床に落としたユリウスにアスタが元気よく心配する。
思わず駆け寄りそうになったソフィアだったがその元気っぷりに思わず冷静になり、踏みとどまれた。
今は自分は黒の暴牛のただの一員であり、駆け寄り支えようというのはちょっとダメだ。すごく心配だけど。ぎっくり腰とかしてないよね。
ハラハラ見ていたからか。ふと違和感を覚えた。
ユリウスの周囲を包み込むような魔。近くにいるだけでも肌で感じられるそれが、今、煙のように淡く消えたような。
「(あれ……?)」
横を見れば金色の3人も同じように怪訝そうな顔をしている。気づいていないのは、魔力なしのアスタと感知も不得意のノエルくらい。
「ありがとう、返すよ。これは私の手には負えない」
ひとりだけ何かを得たような顔で剣を手放したユリウスと、膝をつき返された剣をうやうやしく受け取るアスタ。唐突に戻ったユリウスのマナの変調。さすがに気づかないほど間抜けではいられなかったから、次の言葉に冷や汗が吹き出した。
「この剣は、魔力がない君だから持てるんだね!」
この剣は、魔力を"吸う"または"かき消す"力があるということ。
「……魔力そのものに干渉する魔法、かあ」
「えっ、ちょっとどういうことよ」
「帰ってから話すね」
教えなさいよとプリプリするノエルをなだめながら、わたしの魔法とぶつかったらどうなるのかなとソフィアは気になった。
「まあとにかく素晴らしい活躍だったよ! お疲れ様!」
魔宮で手に入ったものは、ユノの新しい風魔法と、アスタの魔力に干渉する細身の剣だけ。
だが充分な収穫だったという結論でいいらしい。
ほっと安堵の息をつくクラウスと一緒にソフィアもちょっと安心した。
その斜め前で。一歩前に踏み出したユノと、ガチガチに緊張したアスタが、異口同音にユリウスへ言葉を重ねた。
「「どうやったら……魔法帝になれるんですか?!」」
魔宮で言っていた夢。それを、夢の先に立つ人に、遥か高みの人に聞く。
このふたりは本当にまっすぐだ。そして愚直だ。
もしも生まれで、育ちで、魔力や魔法で否定されたならとは考えないのだろうか。
ユリウスの人柄に触れて、この人になら聞けると判断しての質問ならば。
それはこれ以上なく嬉しいなあと、ソフィアはひとり場違いな笑みをこらえられなかった。
「実績だよ」
ユリウスの真剣な顔が、真摯な声が、冷徹なほど静かな響きを尖塔の中にもたらす。
「プライドだけでは人を守れないし、信頼は実績の後についてくるものだ。魔法帝に求められるものはただ一つ……」
あの日、はじめて深紅を纏ったユリウスを見た日のこと、ソフィアは今でもまぶたの裏に思い出せる。
「最強と言わしめる実績だ。実績を出せ。ひたすらに実績を積むこと……それがすべてだ」
あの日、夕闇迫る茜色の空の下、語ってくれた夢を思い出す。
「それが出来ない者は頂点に立つことなど出来はしない……!」
差別のない未来が欲しい。
かつてそう語ったユリウスの声が今、王族も貴族も平民も下民も関係ないのだと、すべては行ないとその結果によってのみ決まるのだと、剣のように鋭く突き刺さる。
その言葉に込められた優しさを。信念を。夢を。
託されるふたりが羨ましいと、ソフィアは少しさびしく思った。
冷たくすら感じるユリウスの眼差しを真っ向から受け止めたアスタとユノは、挑むように、宣言するように、ふたり声を重ねる。
「「望むところです……!」」
ユリウス・ノヴァクロノの夢のひとつが叶った瞬間だったのかもしれないのだと。
この場でソフィアだけが知っていた。