白夜編
夢小説設定
この小説の夢小説設定※原作開始時点
誕生日:7月17日(かに座)
性別:女
年齢:16歳
血液型:A型
身長 150cm
好きな物:白薔薇、果物、空を飛ぶこと
出身地:王貴界
等級:一等下級魔法騎士
魔法属性:竜
竜化魔法 ?????
→自身がドラゴンになる。変身魔法とは別物。
魔法を弾く鱗、地上よりも空の方が速く動ける羽毛の翼、鋭い爪や牙が武器。
(title by
不在証明)
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
未知の魔宮の攻略、及び崩落から1週間。それは同時にアスタが寝込んでいた時間でもあった。
回復魔法をたっぷりかけられてもそれだけのダメージを負っていたはずのアスタは、起き上がれるようになるやいなや食堂でチャーミーの羊のコックさんお手製ご飯をかき込んでいる。
元気なアスタが帰ってきたことにほっこりしつつ、今日の洗濯物を終わらせたソフィアは。
「つーわけで、引率はドラ娘な」
「はい?」
エントランスを横切っていただけのところにヤミからぶっ込まれた言葉をまったく理解できなかった。
引率? なんの? 疑問符を飛ばす先輩に、もっちゃりもっちゃりごっくんと口の中のものを飲み込んだアスタが教えてくれた。
「魔宮であったことを魔法帝が直接聞きたいってことで、オレとノエルが騎士団本部に呼び出されてるんすよ」
「なるほど、その引率……」
ん? とソフィアは首をひねった。
「そういうのって、普通は団長のヤミさんがついて行くべきなのでは?」
「オレはこれからちょっと用事があってな」
「用事?」
つい先日の魔宮攻略ではきちんと仕事をしていたヤミの言葉に、なるほど団長にしかできない仕事があるのかとソフィアは頷きかけた。
「ちょっと一山当ててくるわ」
「……」
あまりに儚い信頼だった。
さしものソフィアも相当ひどい顔をしていたらしく、後日「あいつあんなゴミを見るような目もできるんだな……」とヤミがバネッサに酒の席でこぼしたが、それはまた別の話になる。
そんなわけで数時間後。
身支度を整えたアスタとノエルを背に乗せて、王貴界の門前に降り立った竜のソフィアは、いつものように人の姿に戻った。
近隣の住民も門兵も慣れたように微動だにしない中、なかなか空を飛ぶ機会に恵まれない魔力なしのアスタは目を輝かせ、ノエルは相変わらず規格外な速度で飛ぶ竜にげっそりしながらその背から降りた。
王貴界は一部の選ばれた人間しか入れない。そしてその選ばれた人間の中には魔法騎士団も入っている。
王族貴族のノエルとソフィアはもちろん、下民のアスタも魔法騎士団のローブを身につけていれば問題なく門をくぐることができた。
「それにしても、アスタくんが下民なの、意外というかなんというか……あ、ごめん! 悪口のつもりじゃなくて!」
「大丈夫っす! 先輩が悪口言えるような人じゃないって、知ってるんで!」
「アスタくん……っ」
にかりと笑うアスタはひねたところなどひとつもなく無礼を許してくれる、ソフィアにとって元気のいい可愛い後輩でしかない。
だが彼は下民で、孤児院育ちの捨て子のため家名もない。魔宮にて強力な風魔法を操っていた幼なじみも同じ境遇だという。
下民は魔力に乏しく努力をせず、すぐ諦める。昔むかしに家庭教師から教わった言葉だ。きっと同じ考えのひとがここにはたくさんいる。
それでも、アスタは誰に対しても真っ直ぐに自分を貫くのだろうとソフィアは笑った。アスタは無邪気に笑い返してくれた。
クローバー城をはじめとする国の主要な施設や貴族の居城がひしめく王貴界は、まさに王都でそのものであり、それ以外の界とは別世界でもある。建物ひとつを取っても巨大かつ色鮮やかで、道にはゴミひとつ落ちていないし、貧民がいるはずもないので基本的に治安もとても良い。
道ひとつ取っても大きな路地を歩きながら、アスタがお上りさんみたいにキョロキョロと周囲を見渡すのを、身に覚えのあるソフィアは咎められなかった。
とはいえ時間は有限だ。ソフィアはちょっとわざとらしく足音を鳴らした。
「アスタくん、このままだと日が暮れちゃうから進んでいい?」
「あっ、すんません! 大丈夫っす!」
「ううん、周り気になるの分かるよ。帰りにじっくり見ようね」
「あざす!」
一応病み上がりとは思えないほど今日も元気なアスタはそれですんなり進んでくれるようになった。
問題は、ソフィアの隣りで気が重そうにため息をついたり、アスタを見ては頬を赤らめたりと、王貴界に着いてからずっと百面相をしているノエルだ。
「ノエルちゃん、具合悪い? 大丈夫?」
「はっ……! だだだ大丈夫よ! 心配しないで!」
そうは言っても顔色が青くなったり赤くなったりしたら誰だって心配する。
とはいえ心配してほしくなさそうな様子だったので、それならとソフィアが口をつぐんだときだ。前を向いていたアスタがおっと声を出したのは。
つられて前を向いたソフィアもまた、緩やかな上り坂の先にある3人の姿に気づいた。
「やあやあ金色のみなさんじゃないですか!」
そこにいたのは、先日知り合ったばかりのクラウスとミモザ、ユノだった。
金色のローブをひるがえしアスタに挨拶をするクラウスと、アスタに声をかけられ逃げ出したミモザを追いかけたノエルに、ソフィアはほっこり微笑んだ。後輩に良いお友達ができるのは嬉しいことです。
ふと、向けられる視線に気づいたソフィアが目で追いかけた先には、まったく同じ色の瞳を持つ少年がいた。
「……違ったらすみません。竜の魔法のソフィア、か?」
「わ、すごい、正解です!」
一発で人の姿と竜の姿をイコールで繋げてくれるひとがいるとは思っていなかったソフィアの心からの賞賛に、少年ことユノは少し口の端が引きつる思いがした。思っただけで表情筋には現れなかったが。
「もしかしてですけど、年上ですか?」
「うん、1年先輩。でも敬語とか使わなくていいよ」
「分かった」
とても素直かつ分かりやすいさっぱりした語り口に、アスタくんともノエルちゃんとも別方向で可愛いなあとソフィアは笑み崩れた。
すぐ近くで上がったミモザとノエル、女の子同士のきゃあきゃあと黄色い声に思わず振り向いたソフィアは、ふと気づく。
「ユノくんたちも魔宮攻略の報告をしに?」
「ああ。もう少し先が待ち合わせ場所だったと思うんだが……」
騎士団員とはいえ本部にズカズカと上がり込めるものではないらしく、今日は新人ぞろいということもあり本部から案内人が用意されているらしい。
ソフィアはもしかしたら魔法帝側近のマルクスかなあと思い周囲を見回した。そして全力で何も見なかったふりをした。
―――いや、なんで、あなたが案内人なんですか!
「こっちだよ〜!」
重厚な石造りの魔法騎士団本部の入口前。
朗らかに手を上げ笑うそのひとは、ソフィアにとってはとてもよく見慣れた、目にも鮮やかな深紅のマントをひるがえし、さも当たり前のようにそこにいた。
「やあやあ、いらっしゃい若者たちよ」
黒の暴牛と金色の夜明けは、どちらも同時に停止した。
王族ふたりの次に正体に気づいた先輩クラウスが、哀れなほどの速度で膝をつく。
「こっ、これは……まさか貴方様直々に……!」
「誰だ? この派手なおっさん」
クラウスとアスタどちらの言い分にも心の中でうなずきながら、ソフィアは遅れて膝をつこうとしたノエルとミモザを手で制止した。ここで跪拝させるために待っていたんじゃないだろうし。
「馬鹿者ぉぉ〜!! この方は現魔法帝ユリウス・ノヴァクロノ様だああー!!」
真っ青な顔で教えてくれたクラウスと、あごを落とし驚くアスタとユノを横目に、ソフィアはため息をぐっとこらえた。
星果祭に行けないひとやなかなか新聞が手に入らないところに住んでるひとは顔を見ても分からないのも仕方ない。それほど、はっはっはと笑うこのひとは雲の上の存在なのだと、改めて感じた。
それと同時に、その魔法帝がこんな本部入口前でわざわざ出待ちをしてくれた理由に察しが付いていたからこそのため息でもあった。
すなわち、魔宮から持ち帰られた珍しい魔法やアスタの特殊体質が気になって気になって仕方がなかったんだな、ということだ。