桜狂乱

それは狂乱。
春の嵐に翻弄されて、舞乱れ、舞い散る桜花。
薄紅の霞みの中、彼の人の残した羽織だけを素肌に、桂はただ立ち尽くす。
その白き頬には、一筋の涙。
風に髪を嬲られるままに、心は彷徨う。

なぜ?

目覚めれば一人、置き去りの冷たい褥で目が覚めた。
花弁のような刻印は、まだ生々しく肌に残るのに。
抱き締められた温もりだけが、遠い。
共に在れると信じた昨夜、愛し愛されて、このままずっと。

何も告げず、宙(そら)へ旅立った人。
捨て去るなら、なぜ抱いた?
思い出なぞ、いらない。
欲しいのは、強く抱き締めてくれる熱い腕。
傍で微笑んでくれる、優しい存在。

失ってしまったと、心が軋み、荒れ狂う。
去った男の名を呟けば、胸に別れの痛みが走る。
ただただ花霞の中、涙を流すことしか出来無かった。







メモファイルより発掘したポエム///←どちゃくそ恥ずかしい><

2016.5.13って、プライベッターに書いてたから、それより前に書いてた物かと?
ベッター消すのに、こちらに移しました。




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