→手伝いをできないか聞きに行く

ただ待ってるのも申し訳がないし、
ここの時代のことを少しでも知っておきたい。
何か手伝えることがあれば手伝おう。

「すみません。
誰かいませんか。」

宇佐美
「どうかなさいましたか？燐殿。」

しばらくしない内に宇佐美さんが部屋を訪れてくれた。

「あっいえ、その、呼び立ててしまってすみません。
その、何か私にお手伝いできることとかありませんか？」

宇佐美
「お手伝い...ですか？」

「はい。
ここの時代の文字とか、読めるようになりたいですし...。
何もせずにじっとしているのは落ち着かなくて。」

宇佐美
「なるほど...。」

宇佐美さんは深く考え込んでからニコッと笑った。

宇佐美
「いいですよ。
学びたいという心意気は良いものですし、
丁度、人手を欲していましたから。」

「本当ですか!?」

宇佐美
「えぇ。
では私について来てください。
私の仕事部屋へ案内しますので。」

そう言われて、私は宇佐美さんと共に廊下に出た。

しばらく進むと宇佐美さんの仕事部屋に着いた。
たくさんの巻物や本のようなものが転がっている。

宇佐美
「一段落したので、片付けようと思ったのですが、1人では中々片付かなくてですね...。」

宇佐美さんは苦笑いをした。

宇佐美
「私は書物を片付けますので、貴方は巻物をお願いします。
同じ紐で結ばれた巻物をあの棚に入れてください。既に同じ物が入ってると思いますので。」

「わかりました。」

宇佐美
「紐で巻かれていないものは色別で、避けておいてください。
後で私が巻いておきますから。」

「はい！」

宇佐美
「では、お願いします。」

私は宇佐美さんに言われた通りに巻物を分けていった。
普段、事務仕事をしているせいだろうか。
初めてやるのに、効率よくできているような気がする。
足でまといになりそうになくて良かった。

宇佐美
「初めてするとは思えないぐらい、容量が良いですね。」

「ありがとうございます。
私が前してた仕事に似ていたので。」

宇佐美
「おや？そうなのですか？」

「はい。
仕分けたり、確認したり、修正したりという
仕事をしてます。」

宇佐美
「なるほど...。
道理で、早いわけです。」

宇佐美さんは笑って言ってくれた。
どうやら役に立てたようだ。

一通り片付け終わると、外は日が沈もうとしていた。

宇佐美
「ありがとうございます。
もうすぐ夕餉ですので、先にあの部屋に戻っていただけますか？」

「わかりました。」

宇佐美
「では、また後で。」

にっこりと笑った宇佐美さんにお辞儀をしてから私はさっきの部屋に戻った。