クレ海R-18




最初は、恋人らしいことなんてほとんどしなかった。
手を繋ぐのにも、抱きしめ合うのにも
唇を合わせるのにも、思春期をもてあますくらいの時間がかかった。

初めて体を合わせた日には、ここに至るまで彼がゆっくりと長い時間をかけてきた意味がようやく分かった気がする。
こんな素敵なことをあの時の子供の私が知ってしまったら、もう毎日毎日飽き足りないくらいに求めてしまったはずだから。

クレフは、とてもとても優しく愛してくれる。
繊細な指、唇、舌で、いたわるみたいに。

体を求められることは嬉しい。
穏やかを絵にかいたような人が、夜はまるで違う人の顔をする。
それが、私だけの特権みたいで。
知らない彼の一面を見られる夜が、私はとても好きだった。

けれど私は、クレフのことを
まだ何にもわかっていなかった。





「lack」前半






早足にコソコソとセフィーロ城の回廊を歩く。
腕が揺れれば手首にジンジンと熱い痛みが走り、歩幅が緩くなったり早くなったりを繰り返す。

油断していたわけではない。
だけど、まさかセフィーロの街でもこんな目にあうなんて思ってもいなかった。
一人で行動したのが良くなかった。それは今になってみれば当然のようにわかること。
けれど、つい一時間前のは私は、恋人会いたさから早く用事を済ませてしまうことを優先していた。

東京ではしっかり警戒するのに。
城からしばらく行った隣町。
男の人に道を尋ねられ、私はつい立ち止まってしまった。
慣れない街で道案内などできるわけもないのに。
謝って立ち去ろうとすると、後ろから強い力で腕を掴まれた。
それで、腕を思い切り引いてしまった結果がこれだ。

熱を持った左手首を右手で抑える。
風の私室まであと少し。
治してもらって、そうしたらクレフの部屋へ急ごう。
その時だった。

「ウミ」

思わず肩がびくりと震える。

会いたかった人。
だけど、今は会いたくなかった人。

「ウミ」
名を呼ばれ、私は反射的に左腕を隠してしまった。
それを目ざとく見つけたクレフが「腕をどうした」と尋ねてきた。
「あ、あの……」

私はこの目に嘘がつけない。
転んだとか、ぶつけたとか。
そんな小さな嘘すらも。

「ちょっと……ひねっちゃって……」
「ひねった?」
「実は……」

事情を聞き終えたクレフは「治す」と言って、私を私室へ招いた。
痛むほうとは逆の手を引かれ、回廊を歩く。
「ちょっと、クレフ、手……!」
声をかけてもクレフは「ああ」とぼんやりと返事をするだけで、手を離す素振りもない。
照れくさいのと、誰かに見られたらどうしようという気持ちと。
早足なクレフの歩幅からは少しの怒りを感じた。

私室へ入ると、クレフは私をソファに座らせてくれた。
横並びにクレフも腰掛けて私の左手を包み、簡単な治癒の魔法をかけてくれた。
〝簡単な〟というのはクレフの言葉。
あまりにさっと治すものだから、たしかに簡単に見えるかもしれない。けれど、その術を知らない私にとっては奇跡のような魔法だと思う。

(こんな怖い顔をして魔法を使う人だったかしら)
クレフの様子がいつもと少し違うのが気になる。
けれど、魔法の効果はてきめんで、手首の痛みはすっかり消えていた。

「痛みは?」
私の手首をさすりながら、クレフが尋ねた。
「もう大丈夫よ。ありがとう」

クレフはいつも通り優しい。
だけど、やっぱり感じる。
空気がピリピリとしている。
クレフは少し短気なところもあるけれど、理不尽に怒ったりすることは絶対にない。そんな彼が、今ばかりは、不機嫌な様子を隠しきれていない気がして。
怖い。
そんな気持ちをクレフに抱いたのは初めてだった。

いらだちの理由を尋ねることすらできなくて、
私はクレフの刺すような視線から、思わず目をそらした。
なぜか逃げ出したくなる。そんな瞳だった。

怒っているような
泣いているような
戸惑っているような
深い瞳。

クレフの手が、そっと私の頬に触れた。
「クレフ……?」
そのまま顔を引き寄せられ、唇を塞がれた。
いつもと違う。少し強引な口づけ。
歯がぶつかりそうになったかと思えば荒っぽく舌が入ってきて、口の中をかき回される。
「ん……、はぁ…クレ……、なんなのよ急に」
唇を解放された隙に、私はクレフの両肩を腕で押し離して文句を言った。

クレフはお構いなしに、私の腕を掴みそのまま引き倒した。
治癒を終えた腕は、今度は彼の握る力のせいで軽い痛みが走る。
姿勢が崩れて、ソファの上にクレフが仰向けになり、その上に私がうつ伏せにかぶさるような格好で捕らわれてしまった。
捕らわれる、と言うのも変な話。
私が上になっているのだから、逃げようと思えば簡単に逃げられるのに。

「ウミ……お前は、」

逃げるなんてできるわけがない。
彼の泣きそうな顔と言葉が、それを許さなかった。



✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


欲深い。ただの愚かな男。
自分がこんな人間だとは思ってもみなかった。

海たちの来訪の予感。
空を見上げれば頬が緩む。

早く会いたい。
そんな思いで部屋を出、広間まで迎えに行こうと足を運んだがそこに海の姿はなかった。
光と風に尋ねると、今しがた所用で街へ出向いたという。

自分の表情が険しくなったことは、光と風の反応が示していた。
「すまない。ゆっくりしていくといい」
そんな言葉をかけ、二人に背を向ける。

海はなぜ一人で街へ?
こちらへ来たならば先に一目くらい姿を見せてくれればよいのに。
そんな子供の駄々のような考えが頭を巡る。

わざわざ部屋を出て、足早に迎えになど来てしまった。
海の来訪を心待ちにしていたからにほかならない。

― ウミは、違うのか

心が淀む。
「これは、良くないな」
そう独りごち、回廊を進む。
心の調整をしなければ。
この淀んだ心を放っておけば、夜には魔物の種となってしまう可能性も零ではない。

庭へ向かう通路の途中に、海はいた。

「ウミ」

腕を隠した海が、少しおびえた目で私を見た。
「腕をどうした?」
尋ねれば、街で見知らぬ男に掴まれたという。

赤くなった手首が痛々しい。
心がざわつく。


治癒をしなければ。
その一点に私は集中した。
もちろん心配ではある。
治してやりたいとも思う。

けれどそんな心に相反して、込み上げる黒い感情を抑えられない。
心の中がじわじわと燃焼していくような。

― 怒り、なのか。


部屋で回復魔法をかけると、海の手首の腫れはすぐに引いて行った。
すっかり赤みの引いた白い手首を見やる。
この怒りのような感情の正体がだんだんと明確になっていく。

― 触れたのか。男が、この肌に

海は、おびえた顔でこちらをうかがっていた。
そんな顔をさせたくて想いを通わせたわけではないはずなのに。


知りたくもなかった自分の感情に驚き、戸惑い、あきれた。

つまりは

この少女を
独占し
閉じ込めて
自分だけのものにしたいのだ。



この少女に何かを与えるのは自分だけでありたい。

愛も、快楽も、

傷でさえも。




そう思った時には海の唇をふさいでいた。
抵抗を感じる。受け入れられていないとわかっていても、止めることができない。

「ウミ……お前は」

そう願ってしまったのだから。


「お前は、私のものだ」



✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼



「クレフ……?」

深い口づけに涙が浮かぶ。
酸素を求めてハアハアと息を付いても、混乱した頭では理解がしきれない。
クレフの口から出た言葉が意味を持って脳に到達するのに、随分な時間がかかった。

(お前は、私のもの………?)

クレフはそう言った。

「あの……クレフ……? 何怒って……んっ…んぅ…!」

また荒っぽい口づけ。
欲をぶつけるような、唾液の交換だけを求めるような傲慢な舌使いが私を乱す。
「ん…っやぁ、くるし……」

クレフの口づけは、こんなじゃない。
いつもなら、ほんの少し触れる程度にそっと口づけてから私の名を甘く呼んで、下唇をやわくはんだり、ちゅっと小さな音を立てて唇を吸ってくれるのに。唇を開き呼吸を求めれば、大丈夫か? と言って目を優しく細めるのに。私の髪を撫でながら柔らかい舌でちろちろと唇や舌を舐めてくれるクレフは、どこに行ってしまったの?
そっとそっと、とろけるみたいに愛してくれるクレフは―。

そんな思考は、クレフの舌の動きに翻弄されてかき乱される。

食べられそうな勢いで舌を絡め取られ、後頭に触れる手は、髪を撫でるどころか、私を逃がさないように押さえつける役目しか持たず、息継ぎすら許してくれない。呼吸は荒れ、口元はどちらの所以かわからないくらいに濡れてしまっている。

「ぅん…っ! 苦ひ…っ…クレ、ふ、や…だぁ…っ」

ぴちゃぴちゃと卑猥な水音が響く。
呼吸の限界に達したのは私だけではない。
唇が離れるとハアハアと二人の息が交わった。

「は……クレ、フ、…ねえ、こんなの、いやっ…」
クレフは返事もせずに私の体を抱きしめると、そのまま私にのしかかって組み敷くように体を重ねてきた。

「やだ……、クレフ…、お願い……」
首筋に押し当てられた唇は、恐怖でしかない。
「いや……くれ…、ふ…もっと、やさしく……」
「ウミ、好きだ。愛している」

彼の口からはあまり聞くことができないことば。
お腹の奥がきゅうんと縮まる感じがする。

この感じは、よく知っている。
こんな状況だというのに

(私、感じちゃってる……)

涙と唾液が一緒に零れる。けれど両方の手首をつかみ抑えられるので、ぬぐうこともできない。
言葉も遠慮もなく強引に唇を奪われ、恐怖すら覚えるこの状況下にあってなお、私は彼を感じ求める自分に驚いた。

大丈夫。
私もあなたを好きだと言って、
クレフの話をちゃんと聞いて、彼の気持ちがわかれば。

「クレフ……私も好…」

好きだと伝えたくて、腕を伸ばす。
抱き寄せたくて伸ばした腕に、クレフが口づけをくれた。
けれどその瞬間、手首に強い痛みが走る。
「痛っ…!」
手首が熱い。
私の手首と、クレフの唇にはうっすらと血がにじんでいた。
「……!? クレフ…? 今、噛ん…?」

叫ぶ私の唇を、クレフがもう一度塞いだ。
少しだけ血の味がした。
とろけそうな熱い舌が気持ちよくて、もう何も考えられない。
混乱、痛み、戸惑い。全部吹き飛んでしまいそう。

「すまない、ウミ。今日は優しくできそうもない」
口づけの合間に、そんなことをクレフが言った。

自分が「いいの」と言ったのか「いや」と言ったのかもわからなかった。
酸欠のせいで頭がしびれて、滲んだ視界でクレフがうっすら笑っていることだけがわかった。気付けば、私の両腕は後ろ手に回されていた。
抵抗する間もなく、半端に脱がされたジャケットが私の手元でぐるぐる巻きに両手首を拘束している。
ようやく理解した時にはもう遅かった。

「やだ! これ、取って……!」
瞬きをすると涙が流れて、滲んだ視界が少しは明瞭になる。
クレフは笑っていた。瞳にはギラギラとした輝きが宿っている。
―怖い
それが今の私の感情の全てだった。

「や、だ……」
クレフが、乱れたブラウスをたくしあげた。
昼の光の中、下着があらわになっても私には隠す術もない。
「嫌っ…!」
クレフは、下着の片方に指で触れ、そのままカップを下のほうへずらした。
クレフの視線が一点に注がれ、たまらず目をぎゅうとつぶる。

「やっ…! 見ないで…!」
こんな明るい場所で体を見られたことはない。
拘束された腕では隠すことも逃げることもできず、露出した片胸があわれに外気に触れる。
「いや、……お願い……」
自由の効かない上半身をもぞもぞと動かしてもなんの効果もない。むしろ胸がわずかに揺れるばかりで、その様子にクレフがニヤリと笑ったようにすら見えた。
「やだ……はずかし…」
クレフはクスクスと笑って、「かわいい」とか「ウミ」とかそんなことを口にした。
「ね、クレフ……どうしちゃったの…? お願い、こんなこと…嫌、もうやめて…?」

クレフの耳には、私の懇願などまるで届いていないようだった。手が伸びてきて、あらわになった胸にやわやわと触れる。

いつもの触れ方と違う。さっきのキスの強引さとも違う。
ただ曖昧に、クレフの指が私の肌の上をすべる。
クレフは、私の敏感な部分を避けるように手のひら全体でゆるくゆるく触れ続けた。くすぐるみたいな柔い触れ方に、半端な快感のやりどころが見つからない。
「あっ……やだぁ…、あぁっ…ん、クレ、フ…それ、いやっ…」
クレフの視線を浴び続けたせいか、胸が刺激に敏感になっている気がする。あっという間に、先端が〝触って触って〟と主張を始めだした。

「ぁん…っ…! これ…嫌っ…おねがい…ねっ…いつもみたいに…っ…」
もどかしい快感がじりじりと私を攻め立てる。
欲しくても得られない刺激に、普通に触れられるよりもかえって快感が集まってしまう。
思わず腰が揺れ、私は自分の限界を感じていた。

「だ…め、クレフ……」

クレフの指が、先端のわずか外側を撫でた。くるくると円を描くように。尖り切ったところへ、触れるか触れないかの刺激。先程までとは比較にならないもどかしさが私を襲う。
「ひゃぁんっ…! あっぁっ、もうやっ…! クレフ…クレフぅ…だめっそれ……っ」

体がびくびくと跳ねる。
触れてほしくて仕方がない。
あそこがきゅうきゅうと切ないくらいに収縮して、今日はまだ触れられてもいない下着の中がびしょびしょに濡れているのが自分でもわかった。

もう耐えられない。
頭がおかしくなりそう。

「クレフ……お願い、も…いじわるしないでっ…! ちゃんと…っ触ってよぉ…っ…!」
クレフは満足そうに口の端をあげ、
「ウミ、よく言えた」
えらいえらい、とまるで子供をあやすような口調で言った。
顔を胸元へ運んだかと思うと、胸の先が、熱くとろとろとしたものに包まれた。
「ひゃっ…!? ああぁんっ…」
突然の刺激に体がのけ反る。
クレフの舌がコロコロと私の胸を蹂躙していく。

「やっ…やだやだっ…! 今っ…それ、…だめっ…!」



― それが一番気持ちいいかも

体を合わせて間もないころ、クレフのいたわるような優しさと気遣いが愛おしくて、私は恥じらいを押し殺してそう言ったことがあった。
それからはクレフは、行為の時は必ず胸に口づけを落としてくれるようになった。
普段ですら、クレフの舌がそこへ当たるだけで恥ずかしいくらいに声が出てしまうというのに。


焦らしに焦らされ、待ち望んでいた箇所へ待ち望んでいた以上の刺激が与えられる。腰の奥から快感が急激に上がってきて、私は半分パニックになりながらクレフを見た。
クレフの頭をぎゅうと抱きたくても、拘束された腕ではそれも叶わない。

敏感になりきった先端を舌と唇に弄ばれ、怖いくらいの快感がゾクゾクと身体中をかけめぐった。
「は…待っ…これ、ほんとだめ…なんか来ちゃうぅ…」
腰からあがってくる快感が限界に迫っていた。
知っているようで知らない感覚。私を襲う強すぎる快楽は、もはや恐怖とも呼べた。
「や、だぁ… !こんな、の……っ、知らな、…こわ…い…!」
「ウミ、大丈夫だ。そのまま達していい」
「えっ…? やっ…胸で…っ…?」
その返事のように、先端をクレフの唇がはさんでチュッと強く吸い上げた。
「だめっ、これ……こわいっ… ! 嫌っ…ク、レ……だめ、だめだってばあぁっ……!」

歯を立てて先端を軽く噛まれれば、快感が体全体へと四散する。
弾かれるみたいに背中が大きくのけぞって、身体からぐったりと力が抜けた。

気をやった私を見て、クレフは嬉しそうに口の端を上げている。
「クレフ……?」
クレフの手がもう片方の胸に伸びるので「なにするの?」 と抗議の声を上げた。
クレフは私の言葉を唇で塞いで、下着をずりさげ今度は逆の胸をやわやわと揉みしだき始めた。

先端には触れない。
ゆるい刺激にゾッとする。
「嘘……うそ…、いや……いやよ、そんなの……」

今の今まで散々に焦らされた記憶と余韻が快感を後押しして、〝触ってほしい〟〝やめてほしい〟という相反する感情がごちゃごちゃに絡まり合う。

「うっ……ぅ、ひ…っく、…なん、で…? も……こんなっ、の、やだ…」
「ウミ、つらいか?」
声は優しい。けれど、焦らす手の動きは非情だ。
つらいなんてものではない。
この後に何をされるかがわかっている分、あの激しすぎる快楽への恐怖と期待が、よりリアルに押し寄せてくる。

(だめ。また、あんなことをされたら、私……死んじゃう……)

「お願い……クレフ、も…やめて……」
そんな願いも虚しく、私の体は二度目の快楽に跳ねた。


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[newpage]





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「lack」後半



「腕、取って」
ムッとした声で海が言った。
息は乱れ、涙声に鼻がグスンと鳴る。
「怖かった」
束を解いた後、海がそうしてと言うのでクレフは彼女の体を抱きしめた。

「ね、クレフ。お願い。いつもみたいに、優しくして?」
細い背中をトントンと撫でながら「それは難しい相談だ」とクレフは言った。穏やかな声色。優しい抱擁。
けれどクレフの言葉は海を攻め立てる。
「恋人に黙って一人で街へ出たことへの仕置がまだだったな」
「……過保護すぎよ」
クレフの腕の中で、海が頬を膨らませた。
「『街くらい一人で行けるのに』か?」
海は拗ねた表情で「そうよ」と返した。もう子供じゃないんだから、と。

クレフは海の顎をそっと掴み言った。
「その結果がこれだ」
今度は海の手首に触れ、柔い口づけを落とす。
「血が出たのはクレフのせいでしょ」
「まだそんな生意気を言う余裕があったか」
海はプイと顔を背け「ほんとのことよ」と言った。

「ウミ、もう一人で出歩いたりしないと約束してくれ」
海は拗ねたまま返事を返さない。
「相手が悪ければ大怪我をしたり辱めを受けていたのかもしれんのだぞ」
言いながら、クレフの手が海の頬を撫でた。
子猫を撫でるような優しい手つきでありながら、けれどその意図と目的は〝目をそらすな。こちらを見ろ〟のほかになかった。

「だって……」
「ウミ」
クレフの親指が、桃色の唇を押し広げて無理やり口内に侵入する。歯に触れる指の生々しい感触に海はたじろぎ、そしてようやく謝罪の言葉を口にした。
「ごめんなさい……」
海の発語すれば指先に温かな舌が触れ、クレフの劣情を誘う。
「いい子だ」

囁き、唇を塞げば海の体はすぐ熱くなった。
散々もてあそばれた胸がまだジンジンと疼いている。

「ウミ、続けても良いか?」
「教えてくれ」 とクレフが耳へ息を送ると海の声は甘さを増した。
「ふ…ぁ……そんな、の…聞かないでよ…」

海の答えを肯定ととらえる。
クレフは小さく微笑むと、乱れたブラウスに手を伸ばした。
まだいくつか留まっているボタンに手をかける。今や片手でも外せるほどに慣れたボタン。その一つ一つを、今ばかりはゆっくりと必要以上の時間をかけて外していく。
「相変わらずこの服はやっかいだな」
わざとらしく囁けば、海はクレフの意地の悪い行為から思い切り顔をそむけた。
「早く、取っちゃってよ」
「まあそう急くな」
おかしそうに笑って、そして先程焦らしに焦らした胸に手を触れた。

「嫌……!」
ほんの少し触れただけで、海の身体はのけぞるよう大きく跳ねた。
「ウミ?」
「…いや……嫌っ…」
海の身体がビクビクと震え、声には恐怖の色が乗っている。先ほどの行為のせいか、海の体は胸への刺激に敏感になりすぎているようだった。
クレフはしばらく考えて、触れた手をそっと離した。
体をここまで敏感にした海から手を離すのは、非常に名残惜しい。名残惜しくはあるが、それでこの刺激に恐怖を感じるようになってはかわいそうだと、クレフはそう判断した。

ならば、と今度はスカートの裾から手を差し入れる。
黒いストッキングの滑らかな感触を楽しみながら、何度も何度も太腿をさすれば、海の唇からは快楽の吐息が漏れた。
手を更に滑らせ、最も熱をもっている個所に触れる。
ぬるりとしたものが指に触れ、クレフはにんまりと頬を緩めた。

「ウミ、こんなに…」
愛液は下着をとうに浸透し、ストッキングまでをも濡らしていた。
「やっ、! やだぁ…」
指に伝わる濡れた繊維の感触が面白く、クレフはストッキングの上から海の弱い箇所を何度もなぞる。
「は……ぁ、いや……! だめ…クレ、ふ…」
海の嬌声がクレフの指の動きを加速させる。
このまま海を味わったならば、彼女はどのような反応を見せるだろうか?
好奇心のまま、クレフは海の足を押し開いて顔を埋めた。
「えっ? クレフ…!? ちょっと…!」
まさか衣服を身に着けたまま顔を埋められるとは予測できず、海は悲鳴のような抗議の声をあげた。お構い無しに舌を這われば、海の抗議の声に反して、愛液は次々に染み出てくる。

「クレフ…それ…、やだあ…はずかし…! も、だめぇ…っ」
衣服ごしに自身の中心を求める舌の感覚がたまらない。
先程胸を攻められたときとはまた別の、焦れる感覚に襲われ海は身体をよじらせた。
クレフは、海のストッキングと下着を余裕なく脱がせると、花弁の入口のあたりをそっと撫でた。ぴちゃと水音が響く。海の身体が一段と大きく跳ねた。
「やんっ……!」
「こんなに濡らして」

さて、どちらを刺激しようか。
このまま指を挿入させて温かな感触を享受してもいいが―
そっと花芽を摘む。
海の甘い声をもっと聞きたい。

「ふ…っ…あっ…そこだめ……っ! 弱っ、から…っだめっ…」
「ああ、知っている」

海が内部への刺激にはまだ慣れていない頃ですら、こちらへの刺激には早々に順応し、今までの行為で達した回数は一度や二度ではなかった。
今日とて、さんざん焦らされ濡らされた体に、ようやく待ち望んだ直接の愛撫を受け、海の声には甘さと悦びの色が混じる。
「ん…ぅ…、くれ…ふ…も………」
海の足に突っ張るような力が入り、その時が近いことを暗に告げる。
くるくると回すような動きで芽だけを刺激してやれば、海はクレフにしがみついた。余裕なく掴んだ腕に爪が立ち、肌に少しの痛みが走る。
こうなるとその寸前であることをクレフは知っていた。
「あ…っ、だめ…も…っ、いきそ……」
ハアハアと呼吸を乱し、汗と涙と唾液にまみれた彼女の顔は、それですら美しい。

― もっと泣かせて、汚して、犯して
― もう自分以外の男が、触れたいとも見たいとも思わないようにしてやりたい 

クレフの中に、そんな狂暴な感情すら湧き上がる。
そして、その感情は、彼にある残忍な考えを思い浮かばせた。

実行すれば、海はどのような反応を見せてくれるだろうか。
小さく湧いた好奇心と加虐心のまま、先程さんざん行った責め苦を、クレフは今一度海に与えることにした。

「クレ、フ…く…れふ…ぅ! も…だ、め…!いっちゃ…」

海が達する寸前。
クレフは花芽に触れた指を離した。

「っ…えっ…? 嘘っ…や…やだ…っ!?」

触れることのない刺激に、海は大きく体をよじらせる。
もどかしさは、胸を焦らされた時の比ではない。
海は「ひっ」と悲鳴のような声をあげた。
快感が最大になる寸前で刺激を止められたため、たまりきった快楽が逃げ場なく下腹部を駆け巡った。

「クレ、フ…! ひ、どい…っ…! こんな、のっ…んん…っやだぁっ…っ!」
足をキュウと閉じてもじつかせても、快感は増しも引きもしない。
海の口の端から唾液がボトボトと零れ落ちるのを見て、クレフは楽しそうに笑った。
「仕置と言ったろう」
「やだ……! ね、これ…ほんと、に変…っ助けて…っ」
ビクビクと身体を震わせながら、海はクレフの背に腕を回した。
お願いお願い、と余裕なくクレフを求める海の姿は、今までに見たのことないほどに愛らしかった。クレフの下腹部に急速に熱いものが込み上げる。
「かわいいな、ウミ。本当に、たまらない」
クレフは猛った己のものを海の秘口にあてがった。
ほんの少し触れただけで海の身体は飛び跳ねる。異常なほどの快感に、海は目を見開いた。
「あ…っ? …! や…っ?、ね…嘘、クレフ……まさか…!?」
青ざめ、海はクレフの両肩を渾身の力で突き放した。
押し返す海の力があまりに強いので、クレフはどうしたのかと目で尋ねる。
「あなた……っ魔法を使った…!? …私の身体…っ…なにか…した、の…?」
海の問いに、クレフは一瞬戸惑い、唖然としたがそれも柄の間「そういうことか」と呟き、にやりと笑みを浮かべて海に尋ねた。
「どうしてそう思う?」
「だ、だって……私の身体…っ…おかしく……て、ずっと…イ…、いっ…いってるみたいな……どうにか、なりそうなんだものっ…! あなたが、魔法で何か、したんでしょう!?」
息を乱しながら海が必死に問うと、クレフはさも面白そうに答えた。
「こういった行為に魔法を使用することが好ましくないことはお前も知っているだろう」

たしかに、数ある魔法の中には、催淫術や快感の増幅術といったものもなる。しかし、それらはしかるべき状況、医療行為などで使われるべきものであり、私情でみだりに使うことは許されていなかった。
「はっ……ん、だって、私…、こんなに…っからだ…へんなのにっ…」
「ウミ、ウミ……」
クレフは言い聞かせるように海の耳元で囁いた。
「いいか、魔法は使っていない。こうなっているのは…こんなにも私を求めているのは」

「まぎれもなく、お前の身体だ」

吐息と言葉。
その二つに、海の身体がビクンと震えた。

「…っ…わ、私…私…? まほ…ぉ…じゃな…?」
海の眼差しが戸惑いに揺れる。言葉にならない声を漏らす海の唇をクレフは親指でなぞり、
「私もみくびられたものだな」
と言った。
海は、しまったと思うと同時に、既に手遅れであることを理解した。
あてがわれたクレフの熱が一気にズンっと入ってくる。
「……っ…!」
あまりの圧迫に声も出ない。
目の前が白くちらついた。
「………っ…はっ…」
ハクハクと呼吸を整えたくても、声にならない声を漏れるばかりでうまくいかない。酸欠に溺れそうになっている海にもクレフは構うことなく、ゆっくりと律動を始めた。
「ウミ、魔法がかかったと思うほど良かったか?」
ゆるゆると動きながら海に問いかける。
「この私が愉悦目的に魔法を使ったと?」
「あ…っ…ちがうの……クレ、フ…ごめ…っなさい…あっ…っ…」
その合間にも、花芽を指で撫でられ、二か所へ同時に与えられる刺激に海の身体はプルプルと震えた。
「ゃっ…、そこ触っちゃ…! 動きな、がら…らめ……って」
「お前は、今何かものを言える立場ではなかろう?」
「ごめっ…、、さ……クレっフ、…、ひっ…く、も…ゆる…ひ、て…」
「ああ、こんなに泣いてしまって。かわいそうに」
言葉とは裏腹に、クレフは意地悪く顔をゆがませ、そして腰の位置を少しずらした。海の浅い入り口をわざとこすりつけるように動けば、海の泣き声はさらに甲高くなっていく。
「はっ…、…ぁっ…あ、ぁっ…ク……クレ、ふ…そこ…、めぇ」
腰を浮かせて奥へと誘おうとする海の動きを、クレフが楽しそうに眺める。
「はしたないな」
笑みを浮かべて言えば、海はただ泣きながら「ごめんなさい」と謝罪の言葉を喘ぎに混ぜるだけだった。
「やっ……だって、勝手、に…っ…動、いちゃ……っ」
「ウミはずいぶんと悪い子になってしまったものだ」
「あっ…ごめ…っなさ、…クレフ…も…ゆるし…って…おねが……」
「つらいか、ウミ」
海は、クレフの背をぎゅうと抱いてコクコクと何度も頷いた。
「これが、そんなに欲しいか?」
変わらず浅く海の中をこすり、クレフは尋ねた。
「ん……おねがい……、ほし…い…の…」
海の中で、体積が増す。それをもっと奥にもらえたらどれほど善いだろうか。海の頭は、もはやクレフの与える快楽のみに支配されていた。
「言ってみろ」
「えっ?」
「先ほどから達しかけで身体もつらいだろう」
胸の先端を指でピンと弾き、クレフはそう言った。
「先ほどは触って触ってと、素直でいい子だったではないか」
言いながら、胸元をちゅうと吸い上げる。
「嘘……なに? どういうこと?」
「何をどうしてほしいか、お前の言葉で聞きたい」
海の体温が一気に下がって、上がる。
「やっ…嘘…、そんなの…言えない…っ…」

やにわに、クレフは海の中から抜け出した。
「あ…? や…っ クレフ…?」

彼のものは、既に自分の体の一部となっているのだと海は思った。
彼が体内から抜け出す。体の一部が欠けてしまったような感覚に、涙がとめどなく溢れる。
乞うように見つめる海の涙を、クレフは指でぬぐってやり、そしてまぶたに唇を落とした。
「ウミ、言ってごらん。いいこだから」
クレフはもう一度、海の入り口に己をあてがい、ぬるぬると液を塗りたくった。
「……言ったら……してくれる…?」
「ああ、もちろんだ」
海は涙声で、どうにか言葉を絞り出した。
「…っ…クレ、フの…っ…――、私の、っ…奥まで、いっぱい、いれて…いかせてっ……」
言い終わるや否や、クレフの欲望が海の中に沈む。
何度か律動を繰り返すとクレフは海から抜けだし、そして海にうつ伏せの体勢を取らせた。
「やっ……クレフ…、…? あっああっ …!!?」
背後からプツンっと深く挿入する熱に、海の悲鳴があがる。
後ろから突かれ、圧迫を受けるたびに脳も心も経由しない、なかば脊髄反射のような声が、海の口からは漏れた。
「ひゃっ…! クレ…クレフ…! やぁ…あっ…?あ…っ」

様々な体位は経験してきたが、今のように、完全にうつ伏せて全く身動きが取れない体勢で攻められたことは一度もなかった。
朦朧の中、海は、今までの彼がいかに手心を加えていてくれていたかを知る。
「はっ…あ︎︎っ…クレフ…やだっ…!…おっきぃ…苦し…もっと…ゆっくりっ…して…っ」
焦らしも加減もない、本能的でただただ激しいだけの律動に海はもはや声を抑えることができない。
クレフも限界が近い。海の懇願虚しく、律動は深く激しさを増していく。
「あっ…あ"っ…? 奥…っ……クレフぅ…も…だめ……来ちゃ…ぁっ…」
「ウミ……」
名を呼び、クレフが熱を吐き出すと、海はシーツをきつく掴み、そして意識を手放した。


―――――

体を拭いて清め、寝衣を着せてやっても海はまだ意識を手放したまま、くったりと横たわっている。
ため息が溢れ、クレフは涙のあとを指の背で撫でた。
「すまない、ウミ」

どんな謝罪もきっと意味をなさないだろう。わかってはいても、心からは謝罪の言葉がにじみ出る。それは、行為そのものに対するものでもあったし、どこか自嘲めいたものでもあった。こんな浅はかな自分を海は選んでしまった。
苦い笑みを浮かべ、汗の滲む青い髪に指を通すと、海はわずか身動ぎをした。まだ目を覚ます様子はない。髪をひと房手に取り口づける。
「ウミ、愛している」

ふだんは「言って!」とせがまれてもなかなか言うことのできない言葉。
こんな時にしか口にできない自分も、甚だ情けないと思う。

くしゅんと小さなくしゃみをして海が目を覚ました。
「寒いか?」
抱き寄せようと腕を伸ばし、ためらい、結局は掛布をもう一枚かけてやった。
海が胸元にすり寄り、額を擦り付けてきたので、背にゆっくりと腕を回す。
抵抗の様子はない。
が、海の表情が読み取れない。
目覚めたら海はすぐに部屋を出て行くかもしれない、そんな可能性も浮かんでいたが、どうやらその様子はなかった。
けれど、まず間違いなく怒ってはいるだろう。
それから、恐怖。呆れも。
どんな叱責も甘んじて受け入れなければ。
「ウミ……」
自分の声が、自覚もないほどに気弱に発せられたのでクレフは戸惑った。
咳払いをしてからもう一度名前を呼ぶと、海の手が伸びてクレフの両頬を包んだ。
「大丈夫よ」
海の発した言葉は、クレフが全く予想していないものだった。思わず面食らい、クレフの反応が鈍る。その隙をつくかのように、海はやわらかな唇をクレフへと寄せた。
〝大丈夫〟
その真意が読み取れない。
あげく、到底負の感情など感じられない口づけを受け、クレフは大いに戸惑った。
「ね、クレフ」
海は微笑み、言った。
「こんなにこわいことしなくても、私、ずっとそばにいるからね」
微笑みを携え、海はたしかにそう言った。

「ウミ、まさかわかっていたのか……?」
独占欲ゆえの、この黒い心の内を。クレフが尋ねる。海は少し拗ねたような声で返した。
「なにを? なんにもわかるわけないじゃない。だってクレフ、何も言ってくれないんだもの」

「でもなんとなくね、なんとなくよ。何かがこわくなっちゃったのかなって思ったの」
「怖い?」
「違うの?」

「私は、怖かったのか…」
ほとんど独り言のように呟く。
そう言われてみると、しっくりする気もする。
言葉の意味と、自分の心内を照合させるように確かめていると、海が少し強い力で額をクレフの胸元にぶつけた。
「でも! 私も怖かったんだからね!」
「すまない」とクレフはまるで反射のように言った。
「ウミ、本当にすまなかった。こわがらせるつもりは……いや。わからない。ただ、どうしようもなくウミが欲しかった。自分だけのものにしたかった」
知りたくなかった、知られたくなかった自分の想いが溶けていく。
他でもない、海によって溶かされていく。想いは言葉としてゆっくりとあふれ出た。

海が一人街へ言ったと聞いた時の寂しさ。
男に触れられたと聞いた時の心配と怒り。
それから、自分の中に存在する独占欲に戸惑ったこと。

ゆっくりと、緩慢に語られるクレフの言葉を、海はさえぎることなくただ聞いた。

「それで噛み付いちゃったのね」
海は、自分の手首を見てクスクスと笑った。
「まさか、自分がお前を傷つける衝動にかられるとは思ってもいなかった」
クレフが心底申し訳なさそうに言い、回復魔法をかけようとすると、その手を海がさえぎった。

「これね。ちょっと、うれしいの」
「嬉しい?」
「だって、私のことが好きだから、こんなことしたんでしょう?」
海の言葉に、クレフは声をつまらせた。
「ウミ、違う。それは……」
「違うの? 好きじゃない?」
「いや、そうではなく」
クレフは戸惑い、そして海の手首を再びつかんだ。もう一度、魔法をかけようと試みれば海が少し怒って「やだってば」と手を引いて言った。
「ねえ、仕返ししてもいい?」
クレフはすぐに頷いた。どんなことでも甘んじて受け入れる。そう覚悟をしていた。
海が体を起こし、クレフの体の上へのしかかる。両腕を張って上体を起こしたかと思えば、今度は体をかがめ、クレフの首筋に唇を落とした。

少しの痛み。
ピリと小さな刺激が走り、クレフは海が何をしたのかを察した。
おそらくそれがあるであろう箇所を指でなぞる。
「これが、仕返しか?」
仕返しにしては随分とかわいらしい。
それでも、海は満足そうに微笑んでいる。
「これって」
海が言った。
「同じ意味でしょ?」
赤く傷のついた手首をクレフに見せ、そして自分が今つけた痕を指でなぞった。
「クレフは……私の…?」
所有を示すニュアンスで海が言えば、クレフはさも当然とばかりに頷いた。

「私も……聞きたいな」
海が、少し照れくさそうに言った。意図がわからず、クレフは首をかしげる。
「これの意味」
そう言って、海はもう一度手首の傷をクレフに見せた。
「ああ」
クレフは理解するのと同時に不思議な思いに駆られる。
「そんなことが、聞きたいのか?」
ためらいがちに尋ねれば、海は小さく頷いた。

あらためて言えと言われると気恥ずかしいものがある。
けれどそれ以上に〝そう〟望んでいいのだと、海に許されたことが嬉しい。
浅はかだとばかり思ったいたこの欲を認められたような、そんな肯定感にどこか安心する。

それを、彼女にも伝えたい。
だからクレフは海の耳元へ口を寄せ、囁いた。

「ウミ、愛している。お前は私のものだ」





『lack』
end



>たしかに、数ある魔法の中には催淫術や快感の増幅術などもある

そうなの‪?( ˘ᵕ˘ ).。oO( 妄想)‬



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