【クレ海】全年齢

◆前置き◆


※NSX内で謀反が起きます
※いろいろご都合主義です

yumiru様のツイートを拝見した後に書き始めた作品になります。萌え設定をありがとうございます💜💙
そして、LAKI様に作中挿絵をお願いしちゃいました🙏
作中に出てきます。
ほんと、、、すばらしいから、、見て…🙏
😭💜💙大感謝🙏✨


では、本編をお楽しみくださいませ✨




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Escape from NSX [1]




セフィーロ城大広間の、一点の汚れもなく磨き上げられた床に、ジェオは額が付くほどに頭を下げ、血のにじむほどに拳を打ち付けた。
難攻不落の巨大戦艦。その秩序が内部の者によって脅かされることになろうとは、誰に予想できることではなかった。
副司令官の能力を疑う場面ではない。それは皆がわかっている。この場に、彼を責める者は誰一人としていない。かわりに皆が自分を責めた。

捕らえられた海のことを誰もが思う。どれほど友好関係を結ぼうとそこは異国の地。一人にするべきでは、決してなかった。「あの時、こうしていれば」「こうしていなければ」そんな後悔とたらればが全員の思考を重く支配していた。


数分前、セフィーロ城に届いたのは一通の通信映像だった。武装したオートザムの戦闘員たちが、オートザム語で何かを要求している。
その後ろに映るのは、力なく床に横たわる海。後ろ手に縛られ、猿轡に目隠しまでされている。見慣れた青いブレザーが冷たそうな床に投げ出され、着用しているシャツには若干の乱れが見えた。
その信じがたい光景に、全員が目を見開いた。


最も激しい怒りを滾らせる男は、しかしジェオの肩にそっと手を置き、「知り得ることは全て教えてくれ」と掠れた声で言った。
これほどに怒りをあらわにする導師は、誰も見たことがなかった。

ジェオの憤怒や後悔といった感情は、一瞬で「恐怖」に上書きをされる。ジェオを責める者は一人としていない。しかし、現実問題として最高司令官を不在とするNSXにて起きた紛争の責任は、副司令官にかかってくる。
いや、ジェオにとっては、もはやそういう問題でもなかった。

これより先は一つも間違えてはいけない

肩に触れた繊細な手は、本人の意図とはまた別に、ジェオにそんな思念を抱かせた。

クレフは、自分の頭の中を雪解け水のような冷たさの血が流れている感覚を覚えていた。怒りのあまり、今までに感じたことのない異様な脳波の、静かな高鳴りを実感する。頭は妙に冷静で、ジェオとザズの話がすんなりと頭に入ってくる。艦内の構造、侵入経路、腕の立つ戦闘員の見た目と特徴、一字一句違えず脳内に記憶することができる。機密事項も少なからずあるだろうに、それらの情報を秘匿することなく自分に明かすジェオたちに、クレフは自らの体に少しずつ血の温度が戻り廻っていくのを感じた。

そして、クレフは人目もはばからず、まとっていたローブと衣服を一つずつ脱ぎ捨てた。ザズの手を借りその衣服へと着替える。袖を通し、ヘッドセットを装着すれば、そこにはオートザムの兵士となんら見目違わぬクレフの姿があった。

戦闘において、引けを取ることはまずない。
ただしそれは艦内において魔法が使えれば、の話だ。

なので、オートザムのファイターと同じ方法を取ることとする。精神エネルギーを腕のビームサーベルに変換する方法を。
ジェオがサーベルの使い方を説明し終える頃には、オートザム屈指のメカニックが、クレフのヘッドセット装置にエネルギー変換システムのプロトを構築し終えたところだった。
床にあぐらをかき、膝に乗せた端末を驚異的な集中力で操作していたザズが「いけます」と頷いた。

クレフが手慣らしにビームサーベルを振って見せた。ジェオとザズが感心しても、それを賛辞するような余裕はない。精神エネルギーは申し分ない。より効率的にサーベルへ注入できるようプログラムの最終調整をし、変換ケーブルの固定を終えると、クレフ達は連れ立ってNSXへと向かった。

入艦するやいなや、ジェオたちは司令室へ向かう。万が一にも指令室を掌握されるわけにはいかない。
クレフは、ジェオたちから聞いた通りの経路で艦内を足早に進んだ。ビームサーベルはあくまで緊急時用。戦闘にならずに済ませられるのならそれが一番良い。ザズの用意したオートザムの衣服には、そんな意味合いもあった。
たしかに、着用して正解だった。
すれ違う程度であればわけはなかった。戦闘員とは鉢合わせにはなるべきではない。不要な戦闘は避けたいし、なにより、侵入を知られたくない。
かいくぐるように通路を進み、そしてたどり着いた。

無機質な、プラスチックとも金属とも言い難い素材で出来た扉。ジェオから預かったコードを手順通り入力すると、扉はプシュと空気圧の抜けるような静かな音を立てて開いた。
細い肩がビクリと震えるのが見える。
「ウミ落ち着け、私だ」
声をかけると、猿轡のなかで自分の名を呼ぶくぐもった声が漏れた。

目隠し、猿轡、腕の順に拘束を解いてやる。目隠しは涙の痕に濡れていた。
乱れた衣服。落ちたブレザーを拾い上げクレフが顔をしかめると、海は言った。
「大丈夫。思いっきり暴れたからあきらめたみたい。大丈夫よ、何もされていないから」

海は「大丈夫」と何度も繰り返す。
その言葉の、声色と文脈が徐々に変わっていく。
「きっと助けに来てくれるってわかってたから」
クレフの腕の中に、海の涙声が漏れた。

「ね、この格好どうしたの?」
海は顔を上げて尋ねた。
「ああ、お前も着替えろ。なるべく穏便にここを出たい」
言いながら懐からそれを取り出す。自分と同じくオートザム戦闘員に擬態するための衣服を。

クレフは、先程ザズが自分にしたように海の着替えを手伝い、そして仕上げに海の髪を結ってやった。短髪に見えるよう、服の中へ長い髪を隠す。
「戦闘員にしては顔が整いすぎているな」
頬を撫でクレフが言うと、海がクスクスと笑みを零した。
鼓動が、覚悟と勇気を以て強く震える。

― 是が非でも、ウミだけは守る


その瞬間、空気圧の漏れる音が室内に響いた。
左手で海を突き飛ばすのと同時に、右腕にサーベルを出現させた。精神の昂ぶりか。そのサーベルは城で振るった時よりもずっと鋭利に尖る。

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兵士を壁際に組み伏せるまでは一瞬。
「怪我はさせたくないが不慣れな武器でな」
冷ややかな声は、兵士の体を震わせた。

先端の尖りが禍々しく震えたかと思えば、それは大きな頭蓋の形に変化する。慣れ親しんだ杖を模した光線形。
海も兵士も目を見開いた。

〝昂ぶり〟だけではこうはなるまい。
サーベルを首元に突き付けられながらも、兵士はそう分析した。

その時、海がハッと大きく息を飲んだ。次の瞬間には四、五人の兵士たちが室内へ侵入してきた。頭蓋の形が一層大きく震える。

〝良くても重症〟

五人を相手に手加減を施す自信が、クレフにはなかった。
すると、一人の兵士が「どうか武器をお納めください」と穏やかに言った。

「副司令官から伺っています。指令室は無事防衛ディフェンドできました」
言いながら、別の兵士が手元の機器から映像を投影した。手の甲の上に浮かぶ小さなスクリーンには、指令室で指示を出しているジェオたちの姿が映っている。
分割された画面には、何人かの実行犯と思しき者たちが、捕縛されている光景が映っていた。

クレフが壁際の兵士を解放すると、彼は言った。
「まだ輩が潜んでいる可能性がありますから。出口までご案内しましょう」

七人組の一個小隊は、NSXの搭乗口へと進む。
変装のかいと、それから五人の兵士たちのフォローもあって帰路はあっけないほどに容易いものだった。

搭乗口には一機のホバーが用意されていた。
兵士がカードキーをクレフに差し出し、にこやかに言った。
「自動運転ですから」

促されるまま機体にまたがり、海はクレフの後ろへ横向きに座る。
初めてのホバー。初めての風圧。
たじろぎながら、海はクレフの腰に手を回した。
結っていた髪がほどけ、宙になびく。
兵士たちが守備良くやってくれたようで、追手の姿はない。

『着陸の際は〝魔法〟がお使いになれるかと存じます』
始めて口にするその単語にどこか戸惑いながらも、兵士はそう言った。

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ホバーがセフィーロの上空に表れると、地表からは歓声が沸いた。
城には、既にジェオから通信が入っていた。
不穏分子は全員拘束。国で処罰を受けることとなる。二度と戦艦には、娑婆シャバには出られないとのこと。「後日あらためて謝罪に伺わせていただく」とジェオは言った。




ウミを休ませてあげてください、というのがセフィーロ一同の総意だった。
クレフが海を自分の私室へ連れると「寝室に連れて行って」と海は言った。
ベッドに腰かけた海に、クレフが寝衣を手渡す。
「眠るのなら着替えたほうがよい」
海は受け取った服を膝の上で握りしめながら「一人じゃ着替えられない」と子供のような口調で言った。

長い髪にケーブルが絡まないよう、ヘッドセットをゆっくりと取り外す。
華奢な肩から、オートザムの装備服が滑り落ちる。
下着があらわになっても海は慌てることもなく、ぼんやりとしていた。
「怪我は?」
今日何度目になるかわからない問いかけに、海は静かに首を振った。

寝衣を頭からかぶせようとした時、海の手がクレフの袖をつまんだ。
「そばにいて」
「ああ、大丈夫だ。一人にはしない」
クレフが海をそっと抱きしめると、細い体がありったけの力でクレフを抱き返した。

「怖かったろう」
そんな陳腐な言葉しか出てこない自分に嫌気がさす。
「私がいるから、もう大丈夫だ」
けれど、それが全てだった。
背中をさすっているとしばらく、ウミの体からは少しずつ力が抜けていった。

「さあウミ、体が冷えてしまうからこれを着て」
クレフが抱擁を解き、再び寝衣に手を伸ばすと海は首を横に振った。
「ウミ?」
「抱いて」
クレフの手がピタリと止まる。
何度か細かな瞬きをした後、クレフはしぼりだすように言った。
「ウミ……それはできない。こんな時に一体どうしたというのだ」
戸惑いの中、クレフが尋ねる。

「怖かった……。クレフが助けに来てくれていなかったら私きっと……」
震える手がクレフの袖口を掴んだ。
「お願い」

「忘れさせてほしいの……今日のこと、ぜんぶ…」
「ウミ……」




優しく優しく労わるように。
海が少しでも抵抗の素振りを見せれば手を止め、「やめようか」とか「平気か?」と尋ねるので、海はそのうちにクスクスと笑いだした。
「なんだか、優しすぎて調子狂っちゃうわ」
「どういうことだ?」
「いつもはやめてって言っても全然やめてくれないのに」
海の笑顔につられるように、クレフも小さな笑い声を漏らした。
「だからと言って最中に笑うというのはあんまりではないか。こちらは涙ぐましい自制をしているというのに」
クレフが言うと、海は不思議そうな表情で目を瞬かせた。
「加減ができないのだ。タガが外れれば滅茶苦茶に抱いてしまいそうで」
クレフの眼差しから、にわかに笑みが消える。

「お前の感じた恐怖とは比較にもならんだろうが」
海の腕を引いて起こし、体を強く強く抱きしめながらクレフは言った。
「怖かった……。お前を失ってしまうことが」
「ク、レフ…くるし…」
腕の中で海が身じろぐので、少し慌てて抱擁を解いた。
すまない、と言って顔を覗くと海の頬には涙がつたっていた。

「心配かけてごめんね」
言いながら、海が微笑んだ。
涙に滲んだ笑顔がクレフの心をざわつかせる。
喉が鳴り、本能の熱が体を巡った。
「ウミ……」
掠れた声。奥深くに何か読めない光を隠すクレフの瞳に、海はどうしたのかと小首をかしげた。

「すまない。やはり今日はやめておこう」
かろうじて、クレフは言った。
「どうして?」
拗ねるような瞳がクレフをうかがう。
「……この通り、私とて今日は心中穏やかでないのだ。自分でも何をしでかすかわからない。お前を怖がらせるようなことはしたくない」
「クレフ……」
ありがとう、と言って海はクレフの胸元へと体を預けた。

子猫のようにすり寄る海の髪をそっと撫でる。
海が、心地よさそうに瞳を閉じた。
こんなことで安らぎを与えられるというのなら、いつまでもいつまでもこうしていたい。
クレフの中に、優しさとも覚悟とも言える感情が奮い立った。
呼吸と共に熱を下げる。
このまま海を眠りに誘おうかと身を少しだけ離した時、海がクレフの胸元をきゅっと掴んだ。

「でも」


「私、今日はクレフに……滅茶苦茶にしてほしいの…」
海が上目遣いにクレフの顔を覗いた。
「わかりたいの、心と体で。私は、クレフ以外の人に……どうにかされることなんてないんだってことを」

クレフの鼓動が海の耳元に響く。
それは、激しく、速くなっていく。

「クレフ、愛してる」
海が囁いた。
クレフの喉がもう一度コクリと鳴り、そして二人の体がシーツへ沈んでいく。
「途中で嫌だと言っても止めてやれんぞ」
海は頷き、微笑んだ。


喘ぎ、泣き、愛を求め、痛みを分け合う。
そうして二人は、夜が更けるまでお互いを確かめあった。






「Escape from NSX[1]」
end

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LAKI様のザム仕様クレ海ちゃんのツイート見て😭
↓↓↓↓

※ツイートの埋め込みをしているので、画像の表示に4秒くらいかかるかもしれません。




yumiruさん💜💙めちゃくちゃ萌えキュンな最高すぎる設定をありがとうございました!
yumiruさんのオートザムクレ海本

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※後編🔞
続き→→→Escape from NSX [2](完)

かなりひっどいのでPW制にします。
・ポ●●オ攻めモドキ
・魔法の悪用(🥛の媚薬化&🐘強化)
など本当に本当に本当にひっどいです。


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