LAKI様宅のクレ海&イーフェリ等





こちらのかわよイラストを見て、夜のテンションで書いたものです。
セリフの設定が跡形もなくなっちゃったけど🙇笑。

↓本編でーす。




design



「Burning Friday Night」




導師クレフの怒りについては、当然も当然だった。
目の前に広がる阿鼻叫喚の図を、いっそのこと雷で一掃してしまおうかとも思う。

「いやあ、元は王子が言い出したことなんですよ」
イーグルが、頭をかきながら申し訳なさそうに言った。
責任逃れにも聞こえるそのセリフは責任逃れ以外の何物でもなく、クレフのこめかみに血管の跡が強く浮き出るのを見て、さすがのイーグルも一歩後ずさりをした。

城のバーカウンターには、緑色と水色が死んだように突っ伏している。この光景に驚いたのはクレフもイーグルも同じだった。
「なんでこんなことになっちゃったんでしょう」
「それは私のセリフだ」
クレフが、怒りを通り越した呆れ声で言った。


もはや、最初に何を賭けていたのかも忘れてしまった。
勝ったほうがどうだとか言っていた気がするけれど。
酒の力は偉大なり。記憶がほとんど飛んでいた。
飲み乱れてはいない。けれど、確実に酔ってはいる。
いつ何時なんどきも出撃の機会があったあの頃とは違う。
イーグル・ビジョンは久しぶりに〝本気で〟酔っていた。

たしかフェリオに勝負を吹っ掛けられて城内のバーへ向かう途中、海に出くわしたので立会人を頼んだ。
おごりますよ、とイーグルが言えば海はウキウキと二人のあとに続いた。

海の審判は、異様に厳しかった。
度数による差が出ないよう、飲む酒の種類は同じにすること。
ギブアップの判定は、自己申告>立会人>対戦相手の順で優先されること。
酒の勝負とは思えないほど生真面目なルールが設けられたが、勝負ごととなると熱くなるのは皆同じだったので彼女のルールに従った。
が、それも最初の数杯を飲み交わすまでに過ぎなかった。

「なんれウミまでそんなに飲んれんらよ」
呂律はとっくに回っていない。
「だって見てるだけなんてつまらないもの」と海が返した。
この時点で、海対フェリオの勝負は彼女に軍配が上がっていたのだけれど、はて、なぜ海まで対戦に加わっているのか。
それがわからないくらいにはイーグルも酔い始めていた。
まだ理性が残っているうちに。
「そろそろやめておいたほうがよさそうですね」
海はともかく、真っ赤な顔をしてくだを巻くフェリオを見てイーグルが言った。
「あら、じゃあイーグルはギブアップってことね?」
海が言うと、イーグルの温厚な笑みがピクリと固まった。
「そんなことは一言も言っていませんよ、あなた方がそろそろ限界かと思って心配してるんじゃないですか」
イーグルが少しムキになって返したのが海にとっては少し意外で、知らない一面を垣間見られた嬉しさと面白さがないまぜになり、クスクスと笑いながらイーグルの肩を弱くはない力でバンバンと叩いた。そして、先ほど掲げたギブアップ判定基準をもう一度口にすると、イーグルも「わかりました」と言って、再び酒を飲み進める。

そういうしている間にも、三人の胃に流れこむ酒の量は増していく。
フェリオは、カウンターテーブルに頬を押し付け、かろうじてグラスを握っていた。
「王子、もう負けを認めたらどうです?」
「おれはまだのめる!」
「わたひが決めるまでがしょーぶなの!」
頬杖を支えにして、グラグラと顔を揺らしながら海が言った。
フェリオも海も、とっくに滑舌をなくしていた。

イーグルの記憶も、そのあたりで途絶えている。
記憶の断片をかいつまんで伝えるとクレフは大きなため息をついた。
ウミと王子うちのがほぼ主犯ではないか」
クレフは呆れて肩を落とし、主犯のうち一人の肩をトントンと叩いた。
「ウミ、起きろ。部屋へ戻るぞ」
海はううん、と声を漏らしたまま微動だにしない。

バーの主人が、困った表情でクレフとイーグルを見た。
今日一番の売り上げ貢献者たちとは言えど、閉店から1時間も過ぎればさすがにご退席願いたい。
すると、海が突然ガバっと上体を起こし「うみちゃんはまけてませんから!」と大きな声で言い、そしてまたカウンターに突っ伏した。
「これはだめだな」
クレフが吐き捨てるように言った。


神聖な魔法を、酔っぱらいの搬送には使いたくない。
仕方なしに海をクレフが、フェリオをイーグルがおぶってそれぞれの部屋へ運ぶことにした。

歩きしな、酔いの抜け始めたイーグルが「すみませんでした」と謝罪の言葉を口にした。
「いや、こちらにも原因があったようだから。謝ることはない」
結局会計はイーグルが全て持ったというので、クレフが「ウミと王子の分は支払う」と申し出たが、イーグルは微笑み首を横に振った。
「しかし…」
食い下がるクレフに、イーグルは言った。
「僕はオートザムの酒の味しか知りませんでしたから」
ずり落ちそうになるフェリオを背負い直し、イーグルは続けた。

「あなたも色々と難しい立場でしょうけど」
芯のつかめないイーグルの言葉。
クレフは不思議そうに眉根を寄せた。
「今度オートザムの酒をごちそうさせてください。ジェオは全く飲めませんし、ザズはまるで水みたいに飲んでしまうので、ちょっと普通の飲み会にはならないかもしれないですけど」

「きっと楽しいですよ」
と、イーグルは言った。
イーグルの〝意図〟を淡く理解し、クレフは「ああ」と言って微笑んだ。
他国、そして異世界の人間とこうしてなんの気兼ねもなく酒を飲み交わせたことに、イーグルは確かに幸せを感じていた。
その喜びを、クレフにも味わってほしい。
自分の体が回復するまで、あれほど世話を見てくれた恩人に。

「お手柔らかに頼む」
クレフが言うと、イーグルもクスクスと笑った。
「どうでしょう。僕はあなたも酔わせてみたいんですけど」
クレフが一瞬面食らい、そして苦笑いを浮かべた。





回廊を進みながら「楽しい夜でした」と、イーグルが言った。
そして、もう一言を言おうと口を開いた時、
「う゛」
と、濁った声がクレフの肩口で鳴った。
海が顔を青くして口元を抑えている。
「きもちわる゛い……」
「ウミ、大丈夫か?」
「む゛り…お手洗い……」
「すまないイーグル、また近いうちに」
クレフは海を抱えたまま杖を取り出し、慌ただしく姿を消した。

取り残された回廊で、イーグルは苦笑いを浮かべた。
「一国の王子を他国の人間に預けて行くなんて」
どうかしてますね。
ひとりごちる顔には笑みが浮かぶ。


そして、先ほど言いそびれた言葉を
今は姿のない人に向けて、イーグルはしみじみと呟いた。








「Burning Friday Night」
end



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なんかいい話になっちゃった(驚)



「ウミ、起きろ。部屋へ戻るぞ」
ここすき☺️
回復したら「男の前で酔いつぶれる者があるか」って、メチャクチャお仕置き🔞されたらいいと思う🛏💜💙w

もう書いた→🔞 [#book=4:p=10#]



友情カルテット楽しいな💜💙💚💚
ありがとうございました✨


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