黒の契約Re
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どことなく挙動不審な花嫁の父親に、寄り添う妻は見兼ねて声を掛けた。
母「あなた、どうかなさったの?
今日は娘の晴れ舞台なのですから堂々となさって」
父「う、うむ、そうだな」
咳払いをしては落ち着きを取り戻して、父は婿の元に向かう。
父「くれぐれも、娘を頼む」
半ば祈る様に願う父親の言葉に、青年は不適な笑みを浮かべる。
婿「勿論そのつもり、幸せにするよ」
【 契約 は 現実 に 】
ギィ..と軋む、扉の開放音すら響く式場に入場する花嫁に感嘆の溜め息が漏れる。
それ程に、花嫁の少女は美しかった。
先先代の、彼女の曽祖母を思わせる美女の再来だと人々は噂し、その誕生と成長を喜んだ。
ベールを持つのは、彼女の侍女でもある老婆だ。
恭しい態度で静かに花嫁の後を追う。
振り返る彼の姿は、ステンドグラスから差し込む明かりで逆光して、よく見えない。
ただ、闇に溶け込みそうな程の黒髪に黒い正装と、結婚式に不似合いな格好をしているのだけは分かる。
差し出された彼の手を取ろうと、手を伸ばした刹那、世界がモノクロカラーへと一変した。
_「 ?! 」
【 いけない 】
ノイズ混じりの声が、彼女を引き止めた。
まるで時を止めたかのように動かない花嫁に、式場が騒めき始める。
『どうしたんだ』と、ヒソヒソとした声が囁き合う。
瞬きしては体を動かそうとする彼女を、更にノイズが引き留める。
【 彼の手を、取ってはいけない 】
自分を見る、その彼も、異常を嗅ぎ取って訝しげな表情をする。
すると父親が立ち上がり、
父「何をしているッ、早く娘を…」
絶叫じみた声を分断する様に、花嫁の姿は老婆によって頭上へと掻っ攫われていた。
_「ば、ばぁや…?」
老「骸様、お待ちしていました」
老婆の口から若い声がして、***が固まる。
眼下の騒ぎなど気にも止めていない彼らを余所に、式場は大騒ぎになっている。
父「なにをしてる、撃てッ撃てぇ!!」
父の声を合図に、参列者の中から銃を手にした数人が立ち上がり、彼らに向けて発砲を開始した。
『きゃあぁあ!!』
突如として起きた事に式場は阿鼻叫喚と化した、
女性たちは頭を抱えて蹲り、男たちも狼狽えながら壁際に退いている。
ただ1人を除いては。
婿「…、」
黒い獣?は眼下の花婿を睨む様に見下ろしている、
そして彼も同じ様に鋭く睨み返す。
暫しの睨み合いの後、
獣?「クフフ…約束通り、花嫁は貰い受けます。それでは」
ザアッ..
旋風の様に、彼らは2階のバルコニーから黒い翼を広げて空に消えていった。
→
どことなく挙動不審な花嫁の父親に、寄り添う妻は見兼ねて声を掛けた。
母「あなた、どうかなさったの?
今日は娘の晴れ舞台なのですから堂々となさって」
父「う、うむ、そうだな」
咳払いをしては落ち着きを取り戻して、父は婿の元に向かう。
父「くれぐれも、娘を頼む」
半ば祈る様に願う父親の言葉に、青年は不適な笑みを浮かべる。
婿「勿論そのつもり、幸せにするよ」
【 契約 は 現実 に 】
ギィ..と軋む、扉の開放音すら響く式場に入場する花嫁に感嘆の溜め息が漏れる。
それ程に、花嫁の少女は美しかった。
先先代の、彼女の曽祖母を思わせる美女の再来だと人々は噂し、その誕生と成長を喜んだ。
ベールを持つのは、彼女の侍女でもある老婆だ。
恭しい態度で静かに花嫁の後を追う。
振り返る彼の姿は、ステンドグラスから差し込む明かりで逆光して、よく見えない。
ただ、闇に溶け込みそうな程の黒髪に黒い正装と、結婚式に不似合いな格好をしているのだけは分かる。
差し出された彼の手を取ろうと、手を伸ばした刹那、世界がモノクロカラーへと一変した。
_「 ?! 」
【 いけない 】
ノイズ混じりの声が、彼女を引き止めた。
まるで時を止めたかのように動かない花嫁に、式場が騒めき始める。
『どうしたんだ』と、ヒソヒソとした声が囁き合う。
瞬きしては体を動かそうとする彼女を、更にノイズが引き留める。
【 彼の手を、取ってはいけない 】
自分を見る、その彼も、異常を嗅ぎ取って訝しげな表情をする。
すると父親が立ち上がり、
父「何をしているッ、早く娘を…」
絶叫じみた声を分断する様に、花嫁の姿は老婆によって頭上へと掻っ攫われていた。
_「ば、ばぁや…?」
老「骸様、お待ちしていました」
老婆の口から若い声がして、***が固まる。
眼下の騒ぎなど気にも止めていない彼らを余所に、式場は大騒ぎになっている。
父「なにをしてる、撃てッ撃てぇ!!」
父の声を合図に、参列者の中から銃を手にした数人が立ち上がり、彼らに向けて発砲を開始した。
『きゃあぁあ!!』
突如として起きた事に式場は阿鼻叫喚と化した、
女性たちは頭を抱えて蹲り、男たちも狼狽えながら壁際に退いている。
ただ1人を除いては。
婿「…、」
黒い獣?は眼下の花婿を睨む様に見下ろしている、
そして彼も同じ様に鋭く睨み返す。
暫しの睨み合いの後、
獣?「クフフ…約束通り、花嫁は貰い受けます。それでは」
ザアッ..
旋風の様に、彼らは2階のバルコニーから黒い翼を広げて空に消えていった。
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