術師、使い魔、幽霊と
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数年前、とあるマンションの一階ロビーに雲雀は居た。
外の車に草壁を待機させて。
雲雀は時計を見た。
遅刻の少ない***にしては珍しく、予定の時間を過ぎているのに連絡もない。
仕方なく雲雀はエレベーターの呼び出しボタンを押した。
チーン..エレベーターが開いた瞬間、ゾワリとした嫌な寒気がした。
エレベーターに乗り込み、階数ボタンを押す。
覚えのある寒気が心を急かす。
エレベーターが目的の階に着いてドアが開くと、流れ込んでくる冷気。
『どうか違いますように』
そう思う心虚しく、***の部屋に近づけば近づく程、冷気が強くなっていく。
ドアノブを回す、鍵は掛かっていない。
ゆっくりドアを開ける、中は暗い。
雨戸が閉めっぱなしになっているせいだろう。
チカッ..チカッ..、電灯が明滅している。
リビングには居ない。
雲「寝室か…」
寝室のドアを開けると、ぼんやりと浮かび上がる淡い光が点々と。
その中心に、居た。
『どうして…どうして…』
顔を両手で覆い、泣きながら「どうして」と繰り返し呟くソレは、確かに***の姿をしている。
草「恭さん、これは一体…」
呼び出された草壁が現場を見て唖然とする。
雲「恐らく呪術だ」
草「では誰かが***さんに呪いを?」
雲「***は誰かに恨まれるような人じゃない。けれど知らぬうちに恨みを買ってしまうこともある」
草「どうしますか?」
『どうシテ…どウシテ…』
草「このままでは悪霊化してしまいます」
雲「僕がやる、僕が浄化させる」
草「ですが、恭さんは…」
雲「分かってる。でも他の奴には任せたくない。哲、やり方を教えて」
真剣な表情の雲雀に頼まれては、断れない。
草「分かりました。全力でサポートします」
そうして雲雀は草壁の助力を受けながら、一日掛かりで***の浄霊を成功させた。
だが、そのままでは魂の力が安定せず消えてしまいそうだった。
そんな時に状況を見ていた知り合いの神様に預けることになり、安定を定着させて返してくれた。
その時に管に入った状態で受け取り、今に至る。
***の悪霊化を遅らせていたのは、雲雀が渡しておいた特殊な石の数珠ブレスレットだった。
呪いを受けた時に弾けて周囲に散らばり、簡易的な結界の役目を果たしていたのだった。
ソレが無ければ手遅れとなってしまっていただろう。
呪術の影響で、***は前後の記憶を失っている。
ディーノからの情報が確かなら、あの六道骸という男に***を近づけるのは、彼女の記憶を取り戻しかねない。
だからこそ遠ざけなければならないのだ。
出来るだけ関わらないようにしなければ、と雲雀は堅く誓った。
→
数年前、とあるマンションの一階ロビーに雲雀は居た。
外の車に草壁を待機させて。
雲雀は時計を見た。
遅刻の少ない***にしては珍しく、予定の時間を過ぎているのに連絡もない。
仕方なく雲雀はエレベーターの呼び出しボタンを押した。
チーン..エレベーターが開いた瞬間、ゾワリとした嫌な寒気がした。
エレベーターに乗り込み、階数ボタンを押す。
覚えのある寒気が心を急かす。
エレベーターが目的の階に着いてドアが開くと、流れ込んでくる冷気。
『どうか違いますように』
そう思う心虚しく、***の部屋に近づけば近づく程、冷気が強くなっていく。
ドアノブを回す、鍵は掛かっていない。
ゆっくりドアを開ける、中は暗い。
雨戸が閉めっぱなしになっているせいだろう。
チカッ..チカッ..、電灯が明滅している。
リビングには居ない。
雲「寝室か…」
寝室のドアを開けると、ぼんやりと浮かび上がる淡い光が点々と。
その中心に、居た。
『どうして…どうして…』
顔を両手で覆い、泣きながら「どうして」と繰り返し呟くソレは、確かに***の姿をしている。
草「恭さん、これは一体…」
呼び出された草壁が現場を見て唖然とする。
雲「恐らく呪術だ」
草「では誰かが***さんに呪いを?」
雲「***は誰かに恨まれるような人じゃない。けれど知らぬうちに恨みを買ってしまうこともある」
草「どうしますか?」
『どうシテ…どウシテ…』
草「このままでは悪霊化してしまいます」
雲「僕がやる、僕が浄化させる」
草「ですが、恭さんは…」
雲「分かってる。でも他の奴には任せたくない。哲、やり方を教えて」
真剣な表情の雲雀に頼まれては、断れない。
草「分かりました。全力でサポートします」
そうして雲雀は草壁の助力を受けながら、一日掛かりで***の浄霊を成功させた。
だが、そのままでは魂の力が安定せず消えてしまいそうだった。
そんな時に状況を見ていた知り合いの神様に預けることになり、安定を定着させて返してくれた。
その時に管に入った状態で受け取り、今に至る。
***の悪霊化を遅らせていたのは、雲雀が渡しておいた特殊な石の数珠ブレスレットだった。
呪いを受けた時に弾けて周囲に散らばり、簡易的な結界の役目を果たしていたのだった。
ソレが無ければ手遅れとなってしまっていただろう。
呪術の影響で、***は前後の記憶を失っている。
ディーノからの情報が確かなら、あの六道骸という男に***を近づけるのは、彼女の記憶を取り戻しかねない。
だからこそ遠ざけなければならないのだ。
出来るだけ関わらないようにしなければ、と雲雀は堅く誓った。
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