記憶の揺籠
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
_
物心ついた時には、《母親》は1人では無かった。
彼女たちは、世話をしてくれる人、という認識でしか無かった。
1年に2回、《母親を取り替える》システム。
私に《母親》と呼べる人は居なかった。
ある交換の時、預けられた研究所で出会った男の子。
無愛想な表情を浮かべている少年が、***には珍しく映った。
おべっかで張り付けられた愛想笑いとは違う表情。
骸「ボクはムクロと言います。君の名前は?」
_「ぁ、の…」
上手く声が出なくて、拳を握りしめた。
すると、彼は手を引いてベッドまで導いてくれた。
彼の隣に座る。
骸「君が研究所に来たのは何故ですか?」
***は何とも言えないカオをした。
_「……お母さん…」
ポツリと、それしか言えなかった。
次に来るのは《新しい母親》だからだ。
ふ、と気づいた。
まだ骸と手を繋いでいたことに。
_「あの、手…」
骸「もう少し、このままで」
_「うん」
他の誰かと手を繋ぐなんて、いつ振りだろう。
温かくて優しい手。
義務で差し出されることはない、手。
2人で過ごす時間は、心地が良かった。
ポツポツと交わす会話でさえも嬉しかった。
その内に、やってくる白衣の悪魔。
『食事の時間です』
引き離される手、
いとも簡単に連れ去られる小さな体。
着かされるディナーテーブル。
目の前に用意されたのは、小皿に山盛りの薬。
その奥で湯気を立てている美味しそうな食事たち。
それらに口をつけることはない。
数錠を口に入れることで精一杯で、それを無理やり水で流し込む。
全部が飲めた頃には吐きそうになって、せめて骸には持って帰ろうと夕食に手を伸ばした。
持ち帰った時の彼の喜びようには嬉しかったし、同時に、とても悲しかった。
そんな日が続いて、骸とも別れて、
数年が経って…
私は薬物の多量摂取の副作用と、体組織の崩壊とで起きていられなくなってしまっていた。
気がつけば研究所に戻され、キャバッローネに救い出された。
「そうだった、私はーーー」
ーーーー作り出された命ーーーー
幸せを望まれて生まれた子供では無かったのだ。
→
物心ついた時には、《母親》は1人では無かった。
彼女たちは、世話をしてくれる人、という認識でしか無かった。
1年に2回、《母親を取り替える》システム。
私に《母親》と呼べる人は居なかった。
ある交換の時、預けられた研究所で出会った男の子。
無愛想な表情を浮かべている少年が、***には珍しく映った。
おべっかで張り付けられた愛想笑いとは違う表情。
骸「ボクはムクロと言います。君の名前は?」
_「ぁ、の…」
上手く声が出なくて、拳を握りしめた。
すると、彼は手を引いてベッドまで導いてくれた。
彼の隣に座る。
骸「君が研究所に来たのは何故ですか?」
***は何とも言えないカオをした。
_「……お母さん…」
ポツリと、それしか言えなかった。
次に来るのは《新しい母親》だからだ。
ふ、と気づいた。
まだ骸と手を繋いでいたことに。
_「あの、手…」
骸「もう少し、このままで」
_「うん」
他の誰かと手を繋ぐなんて、いつ振りだろう。
温かくて優しい手。
義務で差し出されることはない、手。
2人で過ごす時間は、心地が良かった。
ポツポツと交わす会話でさえも嬉しかった。
その内に、やってくる白衣の悪魔。
『食事の時間です』
引き離される手、
いとも簡単に連れ去られる小さな体。
着かされるディナーテーブル。
目の前に用意されたのは、小皿に山盛りの薬。
その奥で湯気を立てている美味しそうな食事たち。
それらに口をつけることはない。
数錠を口に入れることで精一杯で、それを無理やり水で流し込む。
全部が飲めた頃には吐きそうになって、せめて骸には持って帰ろうと夕食に手を伸ばした。
持ち帰った時の彼の喜びようには嬉しかったし、同時に、とても悲しかった。
そんな日が続いて、骸とも別れて、
数年が経って…
私は薬物の多量摂取の副作用と、体組織の崩壊とで起きていられなくなってしまっていた。
気がつけば研究所に戻され、キャバッローネに救い出された。
「そうだった、私はーーー」
ーーーー作り出された命ーーーー
幸せを望まれて生まれた子供では無かったのだ。
→