怪異-異世界-

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君の名前は?

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「クスクス」


雨が降り出した、体育館の屋根を叩く音が静かに響く。

雨音に紛れる笑い声。


「今回は良い獲物だわぁ」


10代後半のような背の高い容姿の花子さんが笑う。


「美味しそうな生気をしてる」


子供姿のザ・花子さん姿の少女が横になっている***の側に、しゃがんでいる。


「これこれ、ちゃんと分けるんじゃよ」


見た目は老婆の様な姿をした花子さんが皆に声をかける。


「早く分けましょうよ、待ちきれないわ」


ロングヘアの花子さんが、髪を振り乱して待ちきれないと首を振る。


老「それは邪魔者を排除してからじゃな」


体育館の入り口から姿を現した侵入者に、花子たちの視線が向けられる。


10「男ぉ?不味そうー」

ロ「そう?生気はありそうよ」


フワフワと浮かびながらキャッキャっと姦しい会話を交わす。


花「私、あの子知ってるわ。並盛中の子よ」

ロ「ホント?じゃ、並盛担当の私が取り分多めで良いわよね」

10「ダメよ、平等だってオババも言ったでしょ!」


雲「ワオ、並盛にも花子さんが居たの」


ロングヘアの花子が前に出る。


ロ「私がヤるわ」


彼女が片手を上げると、周りの瓦礫が雲雀を取り囲む様に浮かび上がる。


雲「***を返してもらうよ」

ロ「その前に貴方がシぬのよ!!」


雲雀に向けて手を振り下ろせば、瓦礫が雲雀に向かって放たれた。

雲雀はトンファーを瞬時に取り出して、全ての瓦礫を叩き砕いた。


ロ「なっ!なによ、コイツ!!」

老「強いのぅ」


10「見てられないわねぇ、私がやるわぁ」


次に出てきた背の高い花子が、雲雀に向かって手を伸ばす。


雲「!」


ググっと拘束されている感覚がして、体が浮かび上がる。


10「捻り潰してあげるわぁ」

雲「お化けって単純なんだね」

10「何ですってぇ…お望み通り、シね!!」


カンッ..足元で金属音がしたかと思えば、カッと眩い青白い光が背の高い花子を掻き消した。


花「ちょっと!こっちまでダメージ食らったじゃない!!」

10「くそッ、あのガキ…ぃ」


体の半分を失い力が消えて、雲雀の拘束が解ける。


雲「次は、キミかい?」


小さな花子さんが、たじろぐ。


花「オババ!!」


小さな花子が老婆の花子さんの後ろに隠れる。


老「仕方がないのぅ」


カッと老婆が目を開くと、辺りが赤く炎に包まれる。


老「幻覚でも幻術でもない、本物の炎じゃ。獲物を置いて逃げるか、共に焼けシぬか、選ぶが良い」


雲「これは厄介だな」


炎を見ても尚、冷静な様子の雲雀に心内で焦るのは老婆の花子さんだ。

幽霊である彼女らに炎は効かない。


雲「ねぇ、いつまで寝てる気?」


声をかけられて、クワッと目を覚ました***がバッグから取り出した物に、老婆が驚く。


老「そ、それはぁ!何故そんなものを」

_「お小遣い貯めて買ったんですー!」

ロ「なに、写真機?随分と古そうだけど」

老「逃げろ!バカ者!!」

ロ「え?」


パシャッ❗️

シャッターが切られた次の瞬間、ポラロイドカメラから排出された写真には、腕で顔を庇っているロングヘアの花子さんが写っている。

その場にロングヘアの花子さんの姿はない。


10「な、なにが起きたのぉ?」

老「アレは呪われた写真機。撮った怪異を写真に封じ込めてしまうんじゃ、じゃが霊力のある者しか扱えぬはず…何故お前さんが使えるんじゃ!?」


_「へへーん、それは私の体質にあります」


起き上がっては再度、写真機を構えて背の高い花子さんを捕らえた。

***は霊感こそ無いが、物の本質を捉え真価を発揮させるという特異体質持ちなのだ。

背の高い花子さんの驚いた姿が写真として排出されるのを見て、小さい花子さんが逃げる様に姿を消した。


雲「あとはキミだけだよ」


老婆は首を横に振り、炎を収めた。


老「ワシに戦う意志も力もないわぃ、写真に収めると良い」

_「じゃ、はいポーズ」


老婆はニッコリ笑顔でピースして写真化した。





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