怪異-異世界-

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君の名前は?

_



_「また、この夢…もう嫌ッ…」


前回の夢の最後では、次はいよいよ自分の番だった筈だが、何故か前に二人ほど立っていた。

繰り返される残虐な行為、


ブ「次はアナタの番ー、***の番ー」


豚頭がニタニタしながら名前を宣告した。


_「(もうダメ!…誰か、たすけ)」

ブ「助けなんて来ませんー、存在しませーん」


心まで読んできた時には絶望だった。

自分の手首を縛る縄に、火かき棒が掛けられる。


ブ「それじゃ、さ よ う な ら 」


強引な力で体に浮くのが、まるでスローモーションの様に見えた。


_「きゃあああ!!」


ブンッ..と炎の中に放り投げられた。


_「(あぁ、熱い……、…? あれ?熱くない」


ゴウッ..豚頭達が青紫の炎に包まれて、転げ回る。


ブ「ぶぎゃああああああ!!!!」


?「また、会いましたね」


***は、竈門の中に居たはずなのに、いつの間にか少年に抱き留められていた。


骸「夢の中でボクに敵うと思わぬことです」


骸は豚頭の瞳を見ながら告げた。

暑さにのたうち回る豚頭の目は笑っている。


ブ「ぶぎゃああああああ……」


断末魔を上げて、豚頭達は黒焦げになって生き絶えた。


_「あの、貴方はたしか…黒曜センターで会った?」

骸「覚えていてもらって光栄です。ボクも、この夢に迷い込んでしまったのですが、丁度よく君が居たので助かりました。

奴等は何故か君に執着していた様なので油断を誘えました」

_「…ごめんなさい、巻き込んでしまって」


しゅん…とする***の頭を撫でる骸を、不思議そうに見上げる***


骸「貴女は、どうやら奇異な存在の様ですね。

もし、また何かの怪異に巻き込まれたらボクに頼ってください。貴女の力となりましょう」

_「…いいの?」

骸「構いませんよ。ボクは黒曜センターで、いつでも君を待っています」

_「ありがとう、骸くん!」

骸「さて、そろそろ目覚めては?

 誰かが君を呼んでいますよ」

_「きっと、彼…」

骸「彼氏ですか?」

_「そ、そんな恐れ多い! ただの先輩です」


手を振る目前が輪郭をぼやけさせて薄れていく。

呼び声に導かれる様にして意識が浮上していった。


雲「***!」


目を開けると、珍しく声を荒げて自分の名を呼ぶ雲雀の姿があって驚いた。


_「…雲雀さん」

雲「なんともない?」


パイプ椅子に座り直して、雲雀は***に問いかけた。


_「おかげさまで。あ、いよいよ危ないってところを助けられたんですよ!」

雲「…一体、誰に?」

_「えーと少年でしたね、たしか」


以前、《黒曜には行くな》と念を押されていたことを思い出して言葉を濁した。


雲「まぁ無事だったし、別に良いよ。

それにしても今回の事件は、どうして起きたんだろうね」

_「もしかしたら、あの事故じゃないですか?」

雲「なんで、そう思うの?」

_「轢かれる瞬間、低い声で名前を呼ばれたんです」

雲「はぁ、如何して其れを先に言わないの」


目覚めて尚、彼女の無知さに呆れてはため息を吐く雲雀。

また彼のところに相談に行くかと考えていると、


_「わぁ、このフルーツってお見舞い品ですか!?
すごい、メロンやマンゴーまで!!」


雲雀は、くすりと笑って。


雲「そうだよ、好きに食べなよ。あぁ、剥くなら僕の分もお願い」

_「はーい、」


いつもの平和なやり取りが戻ってきて、雲雀は安堵の溜息を吐いた。





…2024.8.2
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