かぐや姫と導く者達

………何がどうしてこうなったのか………。

その時の私には知る術はなかった。





「ん………」


暗闇にぽつんと倒れている少女が、小さく唸り身じろぎする。


「あ、れ?ここは……?」


次第に開いていく目に映った光景に困惑する。
一筋の光すら注さない深い深い暗闇。一瞬、地獄にでも来てしまったのかと頭が真っ白になるも、まがまがしさは全く感じず、少女は少し安心した。


「私、どこに来てしまったのかしら……」


呆然とぽつりと呟く。
するとどこからか気配が近付き、少女の背後で止まった。


「ようこそ、夢幻界へ」


はっとして振り向くと、綺麗なプラチナブロンドの髪に、赤い目をした青年が立っていた。


「お待ちしておりました『かぐや姫』。さ、こちらに…」

「え?か、かぐや姫??」


青年が恭しく手を差し出すが、少女は混乱しているのか、不安に満ちた目で青年を見る。
……何故自分を『かぐや姫』と呼ぶのか。それ以上に疑問がある。
未だ目の前の少女が固まっているのを見て、青年は笑みを浮かべた。


「『かぐや姫』…いや、『十六夜かぐや』さん、俺と一緒に来てくれますか?」


…………疑問はますます深まった。
何故自分を知っているのか、ここは何処なのか、これから自分はどうなるのか…。
聞きたい事は山ほどあったが、おそらく目の前にいる彼は答えない。そんな気がした。
かぐやは少し考えた後、何かを決意したように顔を上げ、彼の手に自分の手を重ねた。


………これが、これから始まる、自分の存在意義を探す旅の始まりになろうとは、かぐやは想像すらしていなかった。






暗闇を抜けるには、
この光(人)に縋るしかない……







つづく………
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