Pure rain


邪魔は消えた…

でも

まだ満たされない…



Pure rain



「え?雪菜ちゃんが転校?」

私が蓮汰くんを白川雪菜から奪い取ってしばらくしたある日、クラスメートからあの女が転校した事を聞いた。
なんでも、家庭の事情らしけど私は確信した。

(逃げたわね……)

せっかく、蓮汰くんと私の幸せな姿を見せびらかしてやろうと思ってたのに。
つまらない…。

「でもあの子、最低よね!あれだけ愛莉の事を虐めてさ。謝りもしないで!!」
「ホントホント!!地獄に堕ちろってね!!」

あの女が居ても居なくても、悪態が尽きないクラスメート。
私は心の中でほくそ笑みながら、悲しげな表情を造る。

「やめて!可哀相よ……。家の都合なんでしょ?きっと急に決まったのよ」
「でも、謝るくらい出来るでしょう?やっぱりカスよ!!」
「ゴミね!!」

…全く、面白いったらない。

誰が?

……こいつらが。

私が何かを言えば、馬鹿みたいに鵜呑みにして、さも自分が正義だと言わんばかりに標的をなじる。

(カスでゴミなのは………あんた達だけど…ね)

目の前で騒いでいるクラスメートに心の中で悪態を尽きながら、いい子、優しい子を演じる。

「友達だもの。私は平気よ。でも、蓮汰くんには謝って欲しかった…な」
「愛莉……」

私は辛そうに微笑みながら、頬に涙を一筋流した。

勿論演技。

我ながら自分が恐ろしくなる。
でも、欺き続けなければ……居場所は無くなる。

もう後には引けない。

再び騒ぎ出すクラスメートをなんとかやり過ごし、気分が悪いからと保健室に向かう。何人か着いていくと言ってきた子が居たけど、邪魔だし、やんわりと断った。
それに保健室で待ち合わせをしているから。

「もう来てる頃よね。会うのも久しぶりだわ…」

5年ぶりの再会と、これから始まる享楽の宴に、私は笑みを深くした。




Pure rain



私が幸せになるための

無慈悲で

冷酷で

救いようのない


《思惑》





つづく
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