よろず屋★DEVIL

―よろず屋―


琥珀『ロザリア~!あれ?どこに行ってしまったんでしょうか…。お客様が来てるのに。ごめんなさいね。』


??『いえ。お気になさらず。少し待たせていただいても構いませんかしら。』

琥珀『は、はい。あ、お茶入れてきますね?』


??『お構いなく。』


―小さな小さなお客様。ウェーブがかかった肩までの金髪、クリクリとしたエメラルドグリーンの瞳。小さな手は、日傘を携えている。

…―数分後

琥珀『お待たせしました。お口に合うか分かりませんが。』


??『有難うございます。では、遠慮なく戴きますわ。』


―出された紅茶を優雅に啜る、少しませた女の子。


琥珀『…。(誰かに似ている気がします。)』


??『……!!帰って来たみたいですわ。』


琥珀『へ?』


―ガチャ


ロザリア『ふぃー。帰ったで。…げ』


琥珀『あ、ロザリア!!どこ行ってたんですか!?『お姉様!』え?』


ロザリア『キャロライン…』


琥珀『??お姉様?』


ロザリア『ウチ、ち、ちょっと急用が…《ドチュン》ひっ!!』


琥珀『!?』


キャロライン『やっと見つけましたわ!お姉様!さ、帰りますわよ!』


ロザリア『い、いやや!冗談やない!絶対帰らへんからな!!』


キャロライン『ダメですわ!お父様も心配してらっしゃるし、お姉様は我が一族の正式な後継者なのですから。』


ロザリア『い・や・や!!』


キャロライン『ダ・メ・で・す・わ!』


琥珀『え、えと…(話が見えない、、、)』


―しばらくお待ちください――


琥珀『つまりキャロラインさんはロザリアの妹で、ちょっと散歩に行ってくると出ていったきり帰ってこない、ロザリアを探しに日本まで来たんですね?』


キャロライン『ええ。その通りですわ。お父様が凄く心配していて、食事も睡眠もロクに取らずにゲッソリですわ。』


琥珀『そうなんですか。ロザリア…散歩に行って来るって、どんだけ長い散歩ですか。…もしかして、最初から家出するつもりだったんですか?』


ロザリア『うっ!しゃあないやろ!嫌なもんは嫌なんやから。他に外に出る口実が思いつかんかったんや!』


琥珀『だからって…散歩ですか。せめて旅行とか、他に言いようがあったんじゃ。』


ロザリア『、、、、だって、涙がでちゃう…女の子だもん…』


琥珀『意味が分からない上に、関係ないです。』


ロザリア『…うぅ~っ!とにかく帰らん!ウチは後継ぎになんてならんし、興味もない!それにこっちの生活のほうが大事なんや!あきらめてぇな!』


キャロライン『…お姉様。そこまで、この方達の事を…。分かりました。連れ帰るのは諦めますわ。』


ロザリア『ホンマか?…なんか、物分かりが良すぎてかえって怖いわ…』


琥珀『本当にいいんですか?お父さん心配してるんじゃ…』


キャロライン『ここまで嫌がっているお姉様を連れ帰っても、また同じ事を繰り返すでしょうし。お父様は、私がなんとか説得いたします。多分大丈夫でしょう。』


ロザリア『キャロ~っ!悪魔で鬼なお前が今だけ天使に見えるわ~!』


キャロライン『…どういう意味ですの?その言葉。』


琥珀『ロザリア。危うく地雷踏踏みそうになってますよ?』


キャロライン『琥珀さん。』

琥珀『はい!』


キャロライン『お姉様は粗暴でいい加減で、かなりひねくれてますが、人の弱みを握るのも好きな人です。』


ロザリア『…何一つフォローになってへんで…。』


琥珀『はい。知ってます』


ロザリア『おい!』


キャロライン『色々とご迷惑おかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。』


琥珀『はい!任せてください!』


キャロライン『さて、私は帰ります。お父様を脅…説得しなくては。』


琥珀、ロザリア『(今、さらりと脅すっていいかけた!?)』


―こうして、キャロラインは国に帰って行きました。

おまけ

…―数日後


ロザリア『なんで、おるんやぁ!?』


琥珀『ははは』

キャロライン『お姉様だけずるいですわ!それに居心地も良さそうですし…そういうわけで、私も家を出てきました。これからよろしくお願いしますわ。』


―この時ロザリアは、やっぱり帰ろうかなと思ったとか思わなかったとか。



終わり
4/13ページ
スキ