よろず屋★DEVIL
将也『いかがいたしました?蕾さま』
蕾『将也、貴方また』
将也『貴女のためです』
蕾『はあ、、』
将也『蕾さまのお手を煩わす輩など、この学園に不要です』
蕾『将也、気持ちは有り難いのですが、その、なんて言いますか。やり過』
将也『何かおっしゃいましたか?』
蕾『い、いえ(怖い)』
将也『そうですか。これが今回の議題です。確認をお願いします』
蕾『はい。あら?これは何ですか?《理事長の素晴らしさを語る会議》ま、将也?あの』
将也『なにか?』
蕾『っもう いいです。勝手にしてください』
ロザリア『ふーん、大変やなあ』
レスカ『何も言い返さないのか?立場的にはお前の方が』
蕾『そう思うでしょう?!駄目なんですよ!言い返さないではなく言い返せないんです』
ロザリア『このままやったら、間違いなくエスカレートするなあ』
レスカ『今、正にエスカレート中だ。それより、将也はお前の他に興味がある事はないのか?』
蕾『さあ。あまりそういう話は聞きませんね。よくよく考えてみれば、私、彼の事をあまり知らないんですよね』
ロザリア『はあ?そないな得体の知れん奴、今までよく側に置いとったなあ』
蕾『う。私も家の事や学園の事で頭が一杯で、彼の事を考える余裕がなくて。やっぱりまずいですか?』
レスカ『まずくはないが。それを知ることで、少しは軽減されるんじゃないか?仕事は問題なくこなしているんだし』
ロザリア『《理事長の素晴らしさを語る》なんてのを議題にするのにか?』
レスカ『問題あるな』
蕾『このままでは、他の生徒達に誤解されかねません。どうかお二人の力でなんとかなりませんか?』
ロザリア『えぇ。ウチ、あんま将也に関わりとうないんやけど』
レスカ『ロザリア、言ってやるな。しかし、何故私たちなのだ?』
蕾『一番口が堅そうなのと将也とやり合えるのではと思いまして』
レスカ『お前の言うことすらスルーする奴に、私たちが敵うと思うか?』
ロザリア『明らかに人選ミスやろ』
蕾『じ、じゃあ、琥珀さんは?年上ですし』
ロザリア『それこそ人選ミスやんけ!考えてもみい?押しにとことん弱い奴やねんぞ?言いくるめられるんは明確やん』
レスカ『今、その光景が見えた』
蕾『はあ。よろず屋の皆さんでも駄目ですか。もう我慢するしかないんでしょうか』
レスカ『ん?一人いるぞ。我が強い奴が』
ロザリア『え?いたっけ?』
蕾『え?!どなたですか?それは!!』
レスカ『ただ、依頼を受けてくれるかが問題だが』
ロザリア『あぁ(察し)』
蕾『そんなに手強い方なのですか?』
レスカ『手強い、か。将也の女バージョンと考えて貰えればいい』
ロザリア『ちっと違ない?狂信的というよりは狂人的やろ』
蕾『大丈夫ですか?その人』
レスカ『私も確実にとは言えないが、少しは緩和されるかもしれんな』
蕾『はあ』
レスカ『まあ、何とか話は付けてみるが、あまり過度な期待はするな』
蕾『は、はい』
ロザリア『大丈夫なんか?あいつ琥珀の言う事しか聴かんのとちゃうの?』
レスカ『ああ、だから琥珀から頼んで貰うんだ。人助けだと言えば琥珀は動くからな』
ロザリア『飼い馴らしとるなあ』
レスカ『誤解されるような言い方はよせ』
蕾『あの、ではよろしくお願いします』
――――
ところ変わってよろず屋
琥珀『そうですか。でも、彼女に説得は難しいと思うんですけど』
レスカ『そうか?咲夜とナタリアを黙らせられるなら大丈夫だと思ったんだが…』
ロザリア『黙らせんのと説得は微妙に違うからなあ。それに相手はあの将也やん。あっちの方が口達者な訳やし』
レスカ『うむ、無理か』
琥珀『でも、約束はしてしまったんでしょう?とりあえずやって貰いましょう。駄目だったら別の作戦を考えれば良いことですし』
ロザリア『そやな。駄目もとと割り切ってやらせてみるか』
レスカ『そうだな』
琥珀『じゃあ、私、早速頼んでみます!』
レスカ『ああ、よろしく頼む』
次の日……
アメリア『承知しました。将也さんという方と話せばいいのですね』
ロザリア『話すっちゅうか、説得な。意味わかる?』
アメリア『データ照合中、、、説得《よく話して納得させること》了解』
レスカ『無理はするなよ。あと、あまり刺激するな』
アメリア『はい』
ロザリア『ちなみに成功確率は?』
アメリア『計算中、、、12%』
ロザリア『んなあ?!』
レスカ『不吉な数字だな』
アメリア『成せば為る、成さねば為らぬ何事も。では行ってきます』
ロザリア『気合いは十分やねんけど』
レスカ『安心感は不十分だな』
コンコン
将也『どうぞ』
アメリア『失礼します。将也さんとは貴方の事ですね』
将也『君は確かよろず屋の。アメリア君だったかな。何か用か?』
アメリア『貴方のする事で、蕾さんが迷惑しています。自己満足な行動は謹んだ方が良いかと』
将也『何を言うかと思えば。統べては蕾さまを思っての事。止める気はない』
アメリア『貴方の行動の尻拭いを、蕾さんが被るとしてでもですか?』
将也『俺は常に、蕾さまのためを思い行動している。迷惑をかけているつもりはないが?』
アメリア『無自覚ですか』
将也『何が言いたい』
アメリア『その自信に根拠のない確率、98%。もはや手遅れのレベルですね。話になりません』
将也『君は俺を怒らせに来たのか?』
アメリア『事実を言ったまでです。では失礼します』
ロザリア『どうやった?』
アメリア『何を言っても無駄です。私の回路の方がバグを起こしそうです』
レスカ『感情に訴えても駄目だろうな』
アメリア『仮に私が成功したとしても、根本的な解決にはならないです。蕾さんには申し訳ないですが、私は彼と関わり合いたくありません』
ロザリア『匙なげよった』
レスカ『さすがに相手が悪すぎたな。根本的解決か』
ロザリア『こうなったら将也の事、とことん調べよか。一応、年頃の男なんやから何かしらあるやろ』
レスカ『そうだな』
アメリア『私も手伝います』
ロザリア『お!助かるで!!でもええのん?関わりたくないんやろ?』
アメリア『確かにそうです。ですが、受けた依頼は最後までやり遂げる。マスターとの約束です』
レスカ『なるほどな。なら早速だが、将也の行動をマークしてくれ』
アメリア『了解』
レスカ『私達は生徒に聞き込みをしてみよう』
ロザリア『あーあ、めんどい事になったなあ。しゃあないな、やるか』
―――
……―
…―
レスカ『なんなんだ。一体』
ロザリア『あいつホンマに人間か?サイボーグかなんかやないの?』
レスカ『忠犬だとは思っていたが、ここまで他に無関心とはな』
ロザリア『AIBOか?あいつ』
アメリア『そんな事を言ってはAIBOに失礼です』
ロザリア『そっちかい!!って、アメリア!!どうやったん?』
アメリア『授業が終わってすぐ、理事長室に直行しました』
レスカ『そうか。張り込みは無理か?』
アメリア『申し訳ありませんが、勘付かれる可能性があります。少し時間を置いたら、また行ってきます』
レスカ『そうか。それもそうだな』
ロザリア『蕾の奴大丈夫やねんな?結構ストレス溜まってそうやったし、喧嘩にならんといいけど』
レスカ『蕾がキレる所はあまり想像出来んが。ああいう普段大人しい奴はキレると怖いというからな』
アメリア『その心配はないかと。実は将也さんを追って理事長室の前に来たとき、少しの間、中の様子を探っていましたが、蕾さんの生体エネルギーは通常値でした。元々温厚な方ですし、よっぽどの事がない限り大丈夫でしょう』
ロザリア『よっぽど、ねぇ』
レスカ『すでによっぽどの事をしてそうだがな』
アメリア『!!将也さんが動いたようです。私は引き続き張り込みを再開します』
ロザリア『お、おぅ。頑張ってなあ』
レスカ『頼むぞ』
アメリア『はい。では』
ロザリア『根本的解決。どないする?』
レスカ『将也は親しい奴はおろか趣味すら分からん。ここまで謎の多い奴は初めてだ』
ロザリア『これってあれか?砂漠の中からアンモナイトを探し出すよりってやつ?』
レスカ『違うだろう。砂漠じゃなくて砂浜だ。なんだアンモナイトって、どこから出てきた。でもまあ、ニュアンス的には間違ってないな』
ロザリア『なんやもうめんどいなあ。どうでもええねんて。砂漠も砂浜も将也も』
レスカ『お前まで匙を投げてどうする。ん?あれは雪菜?』
ロザリア『んあ?!そうや!雪菜やったらなんか知っとるんとちゃう?事件の時、よく理事長室に出入りしとったし』
レスカ『あまり期待は出来ないが、聞くだけ聞いてみるか』
雪菜『え?将也さんの事?』
レスカ『ああ、何か分からないか?趣味とか好きな物とか』
ロザリア『どんな小さい事でもええねん!』
雪菜『ん~、よく本を読むみたいだけど』
ロザリア『本?どんな?』
雪菜『えっと《下僕を飼い馴らす方法》だっけ』
レスカ『聞かなければ良かったな』
ロザリア『あいつ、いつか学園乗っ取るつもりやないか?つか、下僕って誰やん!!』
レスカ『流れ的に私達生徒だろう』
ロザリア『はあ?!舐めんなや、あのひょろりん野郎!!土下座させて謝らせた後、足の指の間まで舐めさせたる!!』
雪菜『あ!でもでも、たまにお料理の本も読んでたよ!!お料理好きなんじゃないかな』
レスカ『り、料理?』
ロザリア『(想像中)な、なんか違和感どころか異物やな』
レスカ『異物、確かにな。違和感が具現化したような光景が頭に過ぎった』
雪菜『(な、なんか、凄い言われよう)お料理の事だったら柚希に聞いてみたら?もしかしたら将也さん、柚希と何か話したかもしれないし』
ロザリア『せや!料理と言えば柚希やな!!雪菜、おおきに!!』
レスカ『引き止めて済まなかったな』
雪菜『ううん、頑張ってね!(何してるのか分からないけど)』
……―
…―
ロザリア『あ!柚希!!』
柚希『へ?あ、ロザリアとレスカ。どうしたの?』
ロザリア『将也の事知らへん?』
柚希『将也さん?理事長室にいるんじゃ』
レスカ『ロザリア、いろいろはしょり過ぎだ。実はな』
………説明中…………
柚希『そうなんだね。将也さんて、蕾さんの事になると人が変わっちゃうからね』
ロザリア『なんや含みのある言い方やねんけど、将也の本性知っとったりするん?』
柚希『?本性かどうかは分からないけど、みんなが言うほど酷い人じゃないよ?』
レスカ『ほう、聞かせてくれないか?』
柚希『うん。多分、蕾さんが言ってる事って、雪菜の事件の処分の延長線の事だよ』
ロザリア『?雪菜の事件の処分?』
柚希『将也さん、あの事件から学区内の見回りを強化して、雪菜のイジメに加担していた人達を近付けないようにしてるみたい。それでこの間、学区内に侵入して雪菜を探してる楓華学園の生徒を見つけて、追い出したの』
レスカ『それじゃ、《やり過ぎ》は?』
柚希『将也さん、最初は口で注意してたらしいんだけど、あまりにもその生徒がしつこいから、武力公使に出たんだって』
ロザリア『んで案の定、そいつらが返り討ちか。将也の奴』
レスカ『剣道部の主将だしな。蕾のためと言うのは大方、事件処理のいざこざを学園に持ち込ませたくなかった、と言ったところか』
ロザリア『なんや、それ聞くと見方変わるなあ。ただのストイック野郎と思っとったのに、結構いい奴やねんな』
レスカ『ああ。ところで柚希、それを誰から聞いたのだ?』
柚希『この間、お料理を教えてあげた時に本人から。蕾さんには内緒にしてくれって言ってたから、二人には大丈夫だと思って』
ロザリア『やっぱり料理好きなんか、あいつ』
レスカ『いよいよ、異物だな』
柚希『そう?将也さん、すごく手際良いし飲み込みも早いし。やっぱり誰かのために作ってあげたいと思ってる人は一生懸命だよね!』
ロザリア『それって、遠回しにユリアにダメ出ししとるんか?』
レスカ『柚希もさりげない毒吐きか』
柚希『?』
ロザリア『しかし、誰かの為、ねぇ。一人しか思いつかんな』
レスカ『ああ、そうだな。因みに何を教えたんだ?』
柚希『クスクス』
ロザリア『柚希、普通の顔で笑うなや。怖いねんて』
柚希『笑ってないよ!クスクスっていう料理!お米状のパスタの料理だよ』
レスカ『なぜそれをチョイスしたんだ』
柚希『語呂が気に入ったって言うから』
ロザリア『なんや、一気に醒めてきたな』
レスカ『ああ、全くだ』
レスカ・ロザリア『『私(ウチ)の感動を返せ!!』』
柚希『な、なんで怒ってるの?』
アメリア『そうですか。新たなフォルダを作成し、付け加えて置きます』
ロザリア『フォルダ作成せんでええよ。適当にくっつけとき』
アメリア『了解』
レスカ『しかし、蕾になんて言うのだ?聞いた話は蕾には秘密なんだろう?』
ロザリア『そやな。あいつにもプライバシーはあるしな』
アメリア『そういえば、その事で蕾さんがお話があるそうです』
ロザリア『蕾と接触したんか?いつの間に』
アメリア『将也さんが理事長室を出てすぐ、対面しました』
ロザリア『どうやったん?機嫌悪かった?』
アメリア『いえ、とてもニコニコしていました。それで、お二人に報酬を渡したいので呼んで欲しいと言われまして』
レスカ『その笑顔、微妙に引き攣ってたか?』
アメリア『いえ、本心から喜んでいるようで、おかしなエネルギーは感じませんでした。何かしたのですか?』
レスカ『い、いや。そうか、すぐに向かおう』
ロザリア『なんやウチ、怖い』
蕾『皆さん!お疲れさまでした』
レスカ『あ、いや。随分と機嫌が良いが、その、どうした?』
蕾『?皆さんが将也を説得して下さったのでしょう?さっき、将也が謝罪に来てこれからは行動を控えると言ってきたんです』
ロザリア『アメリア、なんて言ったんや(小声)』
アメリア『自己満足、身勝手、迷惑、無自覚、話にならない』
レスカ『喧嘩を売ってるような単語が聞こえたが』
アメリア『まだ記録していますが』
レスカ『いや、いい』
ロザリア『結構、傷付きやすいんやなあ、あいつ』
レスカ『デリケートだな』
蕾『皆さん、本当にありがとうございました!暫くは平和に過ごせそうです。あ、これ。報酬です』
レスカ『いやその、全く解決していないと思うのは私だけか?』
ロザリア『ええやん!くれるゆうなら貰っとこ!おおきに~!』
アメリア『ありがとうございます』
その頃
将也『見回りをさらに強化する!不審な者を見かけたら、問答無用でつまみ出せ!』
生徒『『はい!!』』
将也『蕾さま、俺はめげません!見ていてください!!』
蕾の憂鬱はまだ続きそうです。
END
蕾『将也、貴方また』
将也『貴女のためです』
蕾『はあ、、』
将也『蕾さまのお手を煩わす輩など、この学園に不要です』
蕾『将也、気持ちは有り難いのですが、その、なんて言いますか。やり過』
将也『何かおっしゃいましたか?』
蕾『い、いえ(怖い)』
将也『そうですか。これが今回の議題です。確認をお願いします』
蕾『はい。あら?これは何ですか?《理事長の素晴らしさを語る会議》ま、将也?あの』
将也『なにか?』
蕾『っもう いいです。勝手にしてください』
ロザリア『ふーん、大変やなあ』
レスカ『何も言い返さないのか?立場的にはお前の方が』
蕾『そう思うでしょう?!駄目なんですよ!言い返さないではなく言い返せないんです』
ロザリア『このままやったら、間違いなくエスカレートするなあ』
レスカ『今、正にエスカレート中だ。それより、将也はお前の他に興味がある事はないのか?』
蕾『さあ。あまりそういう話は聞きませんね。よくよく考えてみれば、私、彼の事をあまり知らないんですよね』
ロザリア『はあ?そないな得体の知れん奴、今までよく側に置いとったなあ』
蕾『う。私も家の事や学園の事で頭が一杯で、彼の事を考える余裕がなくて。やっぱりまずいですか?』
レスカ『まずくはないが。それを知ることで、少しは軽減されるんじゃないか?仕事は問題なくこなしているんだし』
ロザリア『《理事長の素晴らしさを語る》なんてのを議題にするのにか?』
レスカ『問題あるな』
蕾『このままでは、他の生徒達に誤解されかねません。どうかお二人の力でなんとかなりませんか?』
ロザリア『えぇ。ウチ、あんま将也に関わりとうないんやけど』
レスカ『ロザリア、言ってやるな。しかし、何故私たちなのだ?』
蕾『一番口が堅そうなのと将也とやり合えるのではと思いまして』
レスカ『お前の言うことすらスルーする奴に、私たちが敵うと思うか?』
ロザリア『明らかに人選ミスやろ』
蕾『じ、じゃあ、琥珀さんは?年上ですし』
ロザリア『それこそ人選ミスやんけ!考えてもみい?押しにとことん弱い奴やねんぞ?言いくるめられるんは明確やん』
レスカ『今、その光景が見えた』
蕾『はあ。よろず屋の皆さんでも駄目ですか。もう我慢するしかないんでしょうか』
レスカ『ん?一人いるぞ。我が強い奴が』
ロザリア『え?いたっけ?』
蕾『え?!どなたですか?それは!!』
レスカ『ただ、依頼を受けてくれるかが問題だが』
ロザリア『あぁ(察し)』
蕾『そんなに手強い方なのですか?』
レスカ『手強い、か。将也の女バージョンと考えて貰えればいい』
ロザリア『ちっと違ない?狂信的というよりは狂人的やろ』
蕾『大丈夫ですか?その人』
レスカ『私も確実にとは言えないが、少しは緩和されるかもしれんな』
蕾『はあ』
レスカ『まあ、何とか話は付けてみるが、あまり過度な期待はするな』
蕾『は、はい』
ロザリア『大丈夫なんか?あいつ琥珀の言う事しか聴かんのとちゃうの?』
レスカ『ああ、だから琥珀から頼んで貰うんだ。人助けだと言えば琥珀は動くからな』
ロザリア『飼い馴らしとるなあ』
レスカ『誤解されるような言い方はよせ』
蕾『あの、ではよろしくお願いします』
――――
ところ変わってよろず屋
琥珀『そうですか。でも、彼女に説得は難しいと思うんですけど』
レスカ『そうか?咲夜とナタリアを黙らせられるなら大丈夫だと思ったんだが…』
ロザリア『黙らせんのと説得は微妙に違うからなあ。それに相手はあの将也やん。あっちの方が口達者な訳やし』
レスカ『うむ、無理か』
琥珀『でも、約束はしてしまったんでしょう?とりあえずやって貰いましょう。駄目だったら別の作戦を考えれば良いことですし』
ロザリア『そやな。駄目もとと割り切ってやらせてみるか』
レスカ『そうだな』
琥珀『じゃあ、私、早速頼んでみます!』
レスカ『ああ、よろしく頼む』
次の日……
アメリア『承知しました。将也さんという方と話せばいいのですね』
ロザリア『話すっちゅうか、説得な。意味わかる?』
アメリア『データ照合中、、、説得《よく話して納得させること》了解』
レスカ『無理はするなよ。あと、あまり刺激するな』
アメリア『はい』
ロザリア『ちなみに成功確率は?』
アメリア『計算中、、、12%』
ロザリア『んなあ?!』
レスカ『不吉な数字だな』
アメリア『成せば為る、成さねば為らぬ何事も。では行ってきます』
ロザリア『気合いは十分やねんけど』
レスカ『安心感は不十分だな』
コンコン
将也『どうぞ』
アメリア『失礼します。将也さんとは貴方の事ですね』
将也『君は確かよろず屋の。アメリア君だったかな。何か用か?』
アメリア『貴方のする事で、蕾さんが迷惑しています。自己満足な行動は謹んだ方が良いかと』
将也『何を言うかと思えば。統べては蕾さまを思っての事。止める気はない』
アメリア『貴方の行動の尻拭いを、蕾さんが被るとしてでもですか?』
将也『俺は常に、蕾さまのためを思い行動している。迷惑をかけているつもりはないが?』
アメリア『無自覚ですか』
将也『何が言いたい』
アメリア『その自信に根拠のない確率、98%。もはや手遅れのレベルですね。話になりません』
将也『君は俺を怒らせに来たのか?』
アメリア『事実を言ったまでです。では失礼します』
ロザリア『どうやった?』
アメリア『何を言っても無駄です。私の回路の方がバグを起こしそうです』
レスカ『感情に訴えても駄目だろうな』
アメリア『仮に私が成功したとしても、根本的な解決にはならないです。蕾さんには申し訳ないですが、私は彼と関わり合いたくありません』
ロザリア『匙なげよった』
レスカ『さすがに相手が悪すぎたな。根本的解決か』
ロザリア『こうなったら将也の事、とことん調べよか。一応、年頃の男なんやから何かしらあるやろ』
レスカ『そうだな』
アメリア『私も手伝います』
ロザリア『お!助かるで!!でもええのん?関わりたくないんやろ?』
アメリア『確かにそうです。ですが、受けた依頼は最後までやり遂げる。マスターとの約束です』
レスカ『なるほどな。なら早速だが、将也の行動をマークしてくれ』
アメリア『了解』
レスカ『私達は生徒に聞き込みをしてみよう』
ロザリア『あーあ、めんどい事になったなあ。しゃあないな、やるか』
―――
……―
…―
レスカ『なんなんだ。一体』
ロザリア『あいつホンマに人間か?サイボーグかなんかやないの?』
レスカ『忠犬だとは思っていたが、ここまで他に無関心とはな』
ロザリア『AIBOか?あいつ』
アメリア『そんな事を言ってはAIBOに失礼です』
ロザリア『そっちかい!!って、アメリア!!どうやったん?』
アメリア『授業が終わってすぐ、理事長室に直行しました』
レスカ『そうか。張り込みは無理か?』
アメリア『申し訳ありませんが、勘付かれる可能性があります。少し時間を置いたら、また行ってきます』
レスカ『そうか。それもそうだな』
ロザリア『蕾の奴大丈夫やねんな?結構ストレス溜まってそうやったし、喧嘩にならんといいけど』
レスカ『蕾がキレる所はあまり想像出来んが。ああいう普段大人しい奴はキレると怖いというからな』
アメリア『その心配はないかと。実は将也さんを追って理事長室の前に来たとき、少しの間、中の様子を探っていましたが、蕾さんの生体エネルギーは通常値でした。元々温厚な方ですし、よっぽどの事がない限り大丈夫でしょう』
ロザリア『よっぽど、ねぇ』
レスカ『すでによっぽどの事をしてそうだがな』
アメリア『!!将也さんが動いたようです。私は引き続き張り込みを再開します』
ロザリア『お、おぅ。頑張ってなあ』
レスカ『頼むぞ』
アメリア『はい。では』
ロザリア『根本的解決。どないする?』
レスカ『将也は親しい奴はおろか趣味すら分からん。ここまで謎の多い奴は初めてだ』
ロザリア『これってあれか?砂漠の中からアンモナイトを探し出すよりってやつ?』
レスカ『違うだろう。砂漠じゃなくて砂浜だ。なんだアンモナイトって、どこから出てきた。でもまあ、ニュアンス的には間違ってないな』
ロザリア『なんやもうめんどいなあ。どうでもええねんて。砂漠も砂浜も将也も』
レスカ『お前まで匙を投げてどうする。ん?あれは雪菜?』
ロザリア『んあ?!そうや!雪菜やったらなんか知っとるんとちゃう?事件の時、よく理事長室に出入りしとったし』
レスカ『あまり期待は出来ないが、聞くだけ聞いてみるか』
雪菜『え?将也さんの事?』
レスカ『ああ、何か分からないか?趣味とか好きな物とか』
ロザリア『どんな小さい事でもええねん!』
雪菜『ん~、よく本を読むみたいだけど』
ロザリア『本?どんな?』
雪菜『えっと《下僕を飼い馴らす方法》だっけ』
レスカ『聞かなければ良かったな』
ロザリア『あいつ、いつか学園乗っ取るつもりやないか?つか、下僕って誰やん!!』
レスカ『流れ的に私達生徒だろう』
ロザリア『はあ?!舐めんなや、あのひょろりん野郎!!土下座させて謝らせた後、足の指の間まで舐めさせたる!!』
雪菜『あ!でもでも、たまにお料理の本も読んでたよ!!お料理好きなんじゃないかな』
レスカ『り、料理?』
ロザリア『(想像中)な、なんか違和感どころか異物やな』
レスカ『異物、確かにな。違和感が具現化したような光景が頭に過ぎった』
雪菜『(な、なんか、凄い言われよう)お料理の事だったら柚希に聞いてみたら?もしかしたら将也さん、柚希と何か話したかもしれないし』
ロザリア『せや!料理と言えば柚希やな!!雪菜、おおきに!!』
レスカ『引き止めて済まなかったな』
雪菜『ううん、頑張ってね!(何してるのか分からないけど)』
……―
…―
ロザリア『あ!柚希!!』
柚希『へ?あ、ロザリアとレスカ。どうしたの?』
ロザリア『将也の事知らへん?』
柚希『将也さん?理事長室にいるんじゃ』
レスカ『ロザリア、いろいろはしょり過ぎだ。実はな』
………説明中…………
柚希『そうなんだね。将也さんて、蕾さんの事になると人が変わっちゃうからね』
ロザリア『なんや含みのある言い方やねんけど、将也の本性知っとったりするん?』
柚希『?本性かどうかは分からないけど、みんなが言うほど酷い人じゃないよ?』
レスカ『ほう、聞かせてくれないか?』
柚希『うん。多分、蕾さんが言ってる事って、雪菜の事件の処分の延長線の事だよ』
ロザリア『?雪菜の事件の処分?』
柚希『将也さん、あの事件から学区内の見回りを強化して、雪菜のイジメに加担していた人達を近付けないようにしてるみたい。それでこの間、学区内に侵入して雪菜を探してる楓華学園の生徒を見つけて、追い出したの』
レスカ『それじゃ、《やり過ぎ》は?』
柚希『将也さん、最初は口で注意してたらしいんだけど、あまりにもその生徒がしつこいから、武力公使に出たんだって』
ロザリア『んで案の定、そいつらが返り討ちか。将也の奴』
レスカ『剣道部の主将だしな。蕾のためと言うのは大方、事件処理のいざこざを学園に持ち込ませたくなかった、と言ったところか』
ロザリア『なんや、それ聞くと見方変わるなあ。ただのストイック野郎と思っとったのに、結構いい奴やねんな』
レスカ『ああ。ところで柚希、それを誰から聞いたのだ?』
柚希『この間、お料理を教えてあげた時に本人から。蕾さんには内緒にしてくれって言ってたから、二人には大丈夫だと思って』
ロザリア『やっぱり料理好きなんか、あいつ』
レスカ『いよいよ、異物だな』
柚希『そう?将也さん、すごく手際良いし飲み込みも早いし。やっぱり誰かのために作ってあげたいと思ってる人は一生懸命だよね!』
ロザリア『それって、遠回しにユリアにダメ出ししとるんか?』
レスカ『柚希もさりげない毒吐きか』
柚希『?』
ロザリア『しかし、誰かの為、ねぇ。一人しか思いつかんな』
レスカ『ああ、そうだな。因みに何を教えたんだ?』
柚希『クスクス』
ロザリア『柚希、普通の顔で笑うなや。怖いねんて』
柚希『笑ってないよ!クスクスっていう料理!お米状のパスタの料理だよ』
レスカ『なぜそれをチョイスしたんだ』
柚希『語呂が気に入ったって言うから』
ロザリア『なんや、一気に醒めてきたな』
レスカ『ああ、全くだ』
レスカ・ロザリア『『私(ウチ)の感動を返せ!!』』
柚希『な、なんで怒ってるの?』
アメリア『そうですか。新たなフォルダを作成し、付け加えて置きます』
ロザリア『フォルダ作成せんでええよ。適当にくっつけとき』
アメリア『了解』
レスカ『しかし、蕾になんて言うのだ?聞いた話は蕾には秘密なんだろう?』
ロザリア『そやな。あいつにもプライバシーはあるしな』
アメリア『そういえば、その事で蕾さんがお話があるそうです』
ロザリア『蕾と接触したんか?いつの間に』
アメリア『将也さんが理事長室を出てすぐ、対面しました』
ロザリア『どうやったん?機嫌悪かった?』
アメリア『いえ、とてもニコニコしていました。それで、お二人に報酬を渡したいので呼んで欲しいと言われまして』
レスカ『その笑顔、微妙に引き攣ってたか?』
アメリア『いえ、本心から喜んでいるようで、おかしなエネルギーは感じませんでした。何かしたのですか?』
レスカ『い、いや。そうか、すぐに向かおう』
ロザリア『なんやウチ、怖い』
蕾『皆さん!お疲れさまでした』
レスカ『あ、いや。随分と機嫌が良いが、その、どうした?』
蕾『?皆さんが将也を説得して下さったのでしょう?さっき、将也が謝罪に来てこれからは行動を控えると言ってきたんです』
ロザリア『アメリア、なんて言ったんや(小声)』
アメリア『自己満足、身勝手、迷惑、無自覚、話にならない』
レスカ『喧嘩を売ってるような単語が聞こえたが』
アメリア『まだ記録していますが』
レスカ『いや、いい』
ロザリア『結構、傷付きやすいんやなあ、あいつ』
レスカ『デリケートだな』
蕾『皆さん、本当にありがとうございました!暫くは平和に過ごせそうです。あ、これ。報酬です』
レスカ『いやその、全く解決していないと思うのは私だけか?』
ロザリア『ええやん!くれるゆうなら貰っとこ!おおきに~!』
アメリア『ありがとうございます』
その頃
将也『見回りをさらに強化する!不審な者を見かけたら、問答無用でつまみ出せ!』
生徒『『はい!!』』
将也『蕾さま、俺はめげません!見ていてください!!』
蕾の憂鬱はまだ続きそうです。
END