SS
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
仙道くんは不思議な人だ。講義にはよく遅刻してくるし、ペンはいつも持ってきていないし、あんなに大きな図体なのに気が付いたらフラッとどこかに消えている。掴みどころの無い人というか、決して悪い人では無いんだけど、あまり人に合わせるようなことをしない人だという印象がある。
そんな仙道くんはバスケがとても上手で、この大学に入ったのも大学の方からスカウトされたから、らしい。一度だけ、ウチで練習試合があった時に少しだけ見たことがあるけど、普段の彼とはびっくりするほど様子が違っていて、同じ人なのか少しだけ疑ってしまった。
「わりィ、ペン貸してくんね?」
「……また? 仙道くんいつになったら筆箱持ってくるの?」
このやり取りも何度目だろう。目が悪いからという理由で前の席に座っている私と、遅れてくるから前の席しか空いていない仙道くん。必然的に席が近くなることが多くて、度々仙道くんに筆記用具を貸していた。仕方ないな、とペンを差し出した時、不意に目に入る銀色に一瞬、手の動きが止まる。
指輪。指輪をしている。仙道くんが。
右手の薬指。シンプルなシルバーのリングが仙道くんの指を飾っている。
「仙道くん、指輪とか、するんだ」
思わず呟いた言葉にパチパチと瞬きする仙道くん。あぁ、とすぐに思い当たったように呟いて、少しだけ照れ臭そうに笑う。あ、そういう顔も、するんだ。ツキ、と微かに胸が痛んであれ……? と自分で違和感を抱いた。
どこか落ち着かない様子で仙道くんは薬指の指輪に触れる。
「こういうの着けるの柄じゃねーし、バスケする時は外さなきゃいけねーから、あれなんだけどさぁ」
クルクルと回して、微かに笑って。
──揃いで作ったから、やっぱ着けときてーよな。
キラ、と輝くその銀色を、私はもう見ていられなかった。
そんな仙道くんはバスケがとても上手で、この大学に入ったのも大学の方からスカウトされたから、らしい。一度だけ、ウチで練習試合があった時に少しだけ見たことがあるけど、普段の彼とはびっくりするほど様子が違っていて、同じ人なのか少しだけ疑ってしまった。
「わりィ、ペン貸してくんね?」
「……また? 仙道くんいつになったら筆箱持ってくるの?」
このやり取りも何度目だろう。目が悪いからという理由で前の席に座っている私と、遅れてくるから前の席しか空いていない仙道くん。必然的に席が近くなることが多くて、度々仙道くんに筆記用具を貸していた。仕方ないな、とペンを差し出した時、不意に目に入る銀色に一瞬、手の動きが止まる。
指輪。指輪をしている。仙道くんが。
右手の薬指。シンプルなシルバーのリングが仙道くんの指を飾っている。
「仙道くん、指輪とか、するんだ」
思わず呟いた言葉にパチパチと瞬きする仙道くん。あぁ、とすぐに思い当たったように呟いて、少しだけ照れ臭そうに笑う。あ、そういう顔も、するんだ。ツキ、と微かに胸が痛んであれ……? と自分で違和感を抱いた。
どこか落ち着かない様子で仙道くんは薬指の指輪に触れる。
「こういうの着けるの柄じゃねーし、バスケする時は外さなきゃいけねーから、あれなんだけどさぁ」
クルクルと回して、微かに笑って。
──揃いで作ったから、やっぱ着けときてーよな。
キラ、と輝くその銀色を、私はもう見ていられなかった。