重力魔法使いとヤミさん(ブラクロ夢)
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「ようこそ、最低最悪の魔法騎士団『黒の暴牛』へ」
極めてあくどい笑みを浮かべたヤミさんは立ち尽くすアスタくんにそう言って歓迎した。
アスタくんの視線の先には魔法を使って乱闘するマグナくん、それを煽って交わすラックくん、今日は女の子の巨人に変身しているグレイさん、鏡越しに妹のマリーちゃんと話しながら鼻血を流すゴーシュくん、下着姿のバネッサさん。
パッと見るだけでもロクな奴がいない。
アスタくんも奇天烈過ぎるメンバーに立ち尽くしているようだ。
気持ちは分かる。普通なら近付きたくない部類の人間だものね。わかるわ〜。
が、アスタくんはやがて何かを決意したようで大きく足を踏み出す。
「今日から『黒の暴牛』に入るハージ村から来たアスタです!!
よろしくお願いしゃァァァーーーす!!!!」
中の喧騒に負けないほどの大声を彼は張り上げた。やっぱり元気だなぁ。
うん、最初は大切だもの。挨拶するのは大事。
でも、ちょっと相手が悪かったかな、と思う。
「キミの取っておいたプリン美味しかったなー!」
「それがテメーの最後の晩餐だァ!!!」
「あ〜知らないオッサンと呑み勝負してたとこまでは覚えてるんだけどな〜」
「いい加減にしろよテメーらァア!!!テメーらゲスの騒音が妹に聞こえたらどうしてくれんだァ!ボケが!!!」
「フシュー」
「もぐもぐもぐもぐ」
「…」
いっそ清々しいほど誰も聞いちゃいなかった。
「アスタくん、こういう人達なのでそんな気を落とさないで下さい。ね?」
アスタくんは魂が抜けたように突っ立っている。こんなに華麗に総無視を決め込まれる新人もそういないんだけど、いや、これは新人でなくてもキツイ。
あまりにもアスタくんが哀れで少しフォローを入れた。
と、そこへマグナくんの火球を避けたことで目標を外れ、ラックくんを狙ったはずの火球はアスタくん目掛けて飛んできた。
「あの、馬鹿共…!」
咄嗟にアスタくんの襟首を掴んで引き寄せ、緊急回避させる。思わず素が溢れたがこの喧騒じゃ誰も聞いちゃいないからセーフだ。
「##イスズ##、素が出てんぞ」
「…、なんことですか?ヤミさん」
訂正。
ヤミさんにはバレていた。
その後、ヤミさんによる【悪魔の一喝】と【一部物的損壊】でなんとかそれ以上の損壊は回避した。
だが、ヤミさんの魔力を帯びた拳による一撃は全体的に脆い印象(と言ってもそれなりの強度はある)の壁を大破させており、扉を破壊したマグナくんとラックくんよりも被害は大きい。
団員を正座させてふんぞり返っているところ申し訳ないが、これもケジメだ。そもそも自分が言い出したことなのだから平等に罰は受けないと。
「ヤミさん」
「あ?なんだ」
「ヤミさんのお給料からも修理費天引きしておきますね」
「エ"ッ」
「貴方が壊したんだから当然でしょう」
「…」
「何かおかしなことでも?」
「イエナニモ」
「おぉ…」
「請求書関係は##イスズ##ちゃんが処理してるから彼女を敵に回すと恐ろしいことになる…気を付けて」
「エッ」
「と言っても##イスズ##ちゃんが怒ったところなんて僕も見たことないんだけど」
それから恐ろしいものを見る目で私はアスタくんから見られることになるのだが、それも一時のことだった。